「新社会兵庫」 2017年9月26日号
 気鋭の憲法学者、首都大学東京教授の木村草太さんを講師に招いた「憲法という希望~木村草太さん講演会」が9月5日夜、丹波市柏原町の丹波の森公苑ホールで開かれ、約600人が参加した。主催したのは木村草太さん講演会実行委員会。昨年末から準備を開始し、50を超える賛同団体、200人を超える賛同人が講演会の成功に向けて力を合わせてきた。
 当日は、あいにくの小雨模様にもかかわらず、丹波市、篠山市、三田市のほか、県下の各地からも参加者があり、会場は満席の盛況となった。
 参加した600人を前に、木村草太さんは講演の冒頭、「憲法は、国家がしでかす失敗を防ぐための『貼り紙』であり、過去の経験から再びトラブルが生じないようにするための決め事」、「国家権力がやりがちな3つの大きな失敗に、①無謀な戦争、②人権侵害、③権力の独裁がある。過去の歴史を踏まえて、①無謀な戦争をしないよう軍事力をコントロールし、②人権侵害を防ぐためにあらかじめ大事な権利を示し、③独裁政治にならないよう権力を分立したり制御できるようにしよう、とルールを書き込んだのが立憲主義の憲法である」と話した。
 その後、「自衛隊と憲法9条」「教育無償化と憲法」「辺野古訴訟の憲法論」などについて、ユーモアを交えながら、とても分かりやすく話した。
 そして最後に、「今年は日本国憲法施行70周年であるにもかかわらず、実現できていないことが多くある。憲法は、私たち一人ひとりがより良く生きられるよう、人権を守り権力をコントロールしている。憲法は私たちの味方だが、私たちがそれをうまく使いこなさなければ、憲法を生かすことができない。いま、現実を憲法に追いつかせることが必要なのではないか」と結んだ。
 参加者からは「スマートなジョークがたくさん織り込まれ、楽しく聴けた。それで憲法がもっと好きになった」「憲法の話ということで、難しいだろうと思っていたが、大変わかりやすく、面白おかしく話して下さり、良かった」などの感想が寄せられた。
 長丁場の取り組みとなったが、雨にも負けず、丹波の地で講演会を成功させることができた。
(川崎)
写真:50を超える賛同団体と200人超の賛同人を集めた実行委主催の木村草太さん(写真下)の講演会は満員の盛況=9月6日、丹波市
 任期満了に伴い、10月8日告示、22日投開票で行われる神戸市長選挙で、新社会党兵庫県本部(粟原富夫委員長)は、無所属での立候補の意向を表明している松田たかひこ氏(58歳、新)を支持して闘うことをこのほど決定し発表した。
 松田氏は、兵庫労連や兵商連など19の団体でつくる政治団体「市民にあたたかい神戸をつくる会」(略称=あったか神戸の会)の共同代表。同会は8月29日の総会で松田氏の擁立を決め、共産党が推薦している。
 松田氏は、「いまの公約違反で大型開発を進める市政を転換するために」と、①市民の意見をよく聞き、願いに寄り添う、②市民との約束を守る、③神戸の良さを大切にする、の3つの基本姿勢を打ち出し、◎神戸の未来を支える世代を大切にする神戸、◎医療・介護・福祉を安心して受けられる神戸、◎地域をあたため、足元から経済がうるう神戸、◎街づくりに市民の暮らしを中心に置く神戸、◎憲法を活かした平和都市をめざす神戸、の6つの基本政策の柱のもとに具体的な政策を掲げている。
 今回の神戸市長選にあたり、新社会党兵庫県本部と同神戸市議団は、現市政を批判する基本的立場と以下のような基本政策(骨子)を発表している。◎くらしを守り、負担増に歯止めを、◎いのちを大切に、◎未来を担う子どもたちを大切に、◎「しごと・雇用」を増やし、元気のある街づくり、◎震災の教訓を生かし、市民が主人公の市政を、◎脱原発・環境を守り、開発行政からの脱皮、◎平和こそくらしの原点。
 9月21日には、松田氏と新社会党兵庫県本部との間で政策協定を結んだ。
 同市長選では、松田氏のほか、再選をめざす現職(63歳)=自民、民進、公明推薦、女性新人(40歳)=維新推薦、男性新人(61歳)の4人が出馬の意向を表明している。
まつだ・隆彦 1958年12月生まれ。神戸市灘区在住。神戸大学理学部卒。市民にあたたかい神戸をつくる会共同代表。共産党兵庫県委員長。
 西宮市が国・県と共同して9月17日に同市の南東部、鳴尾東地区で、弾道ミサイルの落下時を想定した住民避難訓練を午前10時から10時11分まで実施するとしたことに対し、同市の市民運動団体のメンバーらが、「いたずらに危機を煽るだけのような、無意味な訓練に市民を動員することに反対する」と抗議の行動を起こした。
 西宮市の発表では、避難訓練は鳴尾東地区の住民約1万2千人が対象で、「弾道ミサイルが落下した時に身を守るための住民避難訓練」として、内閣官房が示す通り、防災スピーカーからサイレンを鳴らし緊急情報を3回放送するので、放送を確認して次のいずれかの避難行動をとってほしいと、市のホームページや広報紙などで告知している。避難行動とは、①屋外にいる人はその場で腕やカバンを使い頭部を守る、②屋外で市が指定する公民館や学校の近くにいる人はそれらの建物に避難する、③屋内にいる場合は窓から離れ、できれば窓のない部屋に移動する―である。
 こうしたミサイル避難訓練は関西では初めてで、西宮のような規模の都市部でも初となる。
 避難訓練を前にした9月14日午前10時、憲法を生かす阪神連絡会などの市民運動団体のメンバーら20数人が阪神武庫川線・武庫川団地前駅に集まり、避難訓練の対象地域である鳴尾東地域の世帯に対して4千枚のチラシをポスティングするとともに、駅前では「恐怖を煽るよりもっと外交努力を」と書いたメッセージ・ボードを掲げてスタンディング。1時間以上にわたって「ミサイル避難訓練反対」とともに「軍事的対決は逆効果、対話での解決追求を」と訴えを続けた。
写真:関西初のミサイル避難訓練に反対して行動を起こした西宮の市民運動団体のメンバーたち=9月14日、西宮市・武庫川団地前
インフォメーション
2017労働大学講座が開講
 神戸・東播磨・姫路・但馬の4地区で

 労働大学近畿支局は今年も神戸、東播磨、姫路、但馬の4地区で「2017労働大学講座」を開講する。新社会党兵庫県本部、アイ女性会議ひょうご、社青同兵庫地区本部が後援している。
 開催要項は次の通り。問い合わせは労働大学近畿支局へ。電話・ファックス=078・361・5051
  • 《神戸講座》
    ▼開講日/時間=①10月19日(木)②26日(木)③11月2日(火)④9日(木)⑤16日(木)⑥22日(水)の全6回/午後6時30分~8時30分
    ▼会場=神戸市立婦人会館、神戸市立総合福祉センター内(同じビル内)
    ▼講義テーマ/講師=①平和憲法(自民党改憲草案との対比)/鈴田渉 ②安倍政権の「働き方改革」批判/塚原久雄 ③原発再稼働反対/米岡史之 ④貧困と格差問題を考える/佐野修吉 ⑤安心の社会保障(年金・介護)/小林るみ子 ⑥とりまく情勢と課題/津野公男
    ▼受講料=4100円(聴講料=1回800円)
  • 《東播磨講座》
    ▼開講日/時間=①10月25日(水)②11月1日(水)③8日(水)の全3回/午後6時30分~8時30分
    ▼会場=加古川市立勤労会館
    ▼講義テーマ/講師=①安倍政権の「働き方改革」のネライは何か/菊地憲之 ②この先、経済・政治はどう動いていくのか/津野公男 ③今、社会はどうなっている―貧困・若者は―/佐野修吉
    ▼受講料=2000円(聴講料=1回800円)
  • 《姫路講座》
    ▼開講日/時間=①10月11日(水)②18日(水)③25日(水)④11月1日(水)⑤8日(水)⑥15日(水)の全6回/午後6時30分~8時30分
    ▼会場=花の北市民広場
    ▼講義テーマ/講師=①憲法改悪を許さない/鈴田渉 ②労働法制の全面改悪に立ち向かう/塚原久雄 ③沖縄の現状と我々の課題/森哲二 ④原発―再稼働問題と廃炉問題/米岡史之 ⑤老後の社会保障/小林るみ子 ⑥とりまく情勢と課題/今村稔
    ▼受講料=4100円(聴講は1回800円)
  • 《但馬講座》
    ▼開講日/時間=①11月15日(水)②22日(水)③29日(水)の全3回/午後6時30分~8時00分
    ▼会場=豊岡市民会館
    ▼講義テーマ/講師=①残業代ゼロ法案(労基法改悪)/塚原久雄 ②平和憲法(自民党改憲草案との対比)/川元志穂 ③ユニオンの闘い/但馬ユニン
    ▼受講料=2000円(聴講料=1回800円)