「新社会兵庫」 2016年8月30日号
メインは松元ヒロのライブ
 明石の地で毎年夏の平和イベントとして定着している「ピースフェスタ明石」が、今年も8月3日から7日にかけて明石市立勤労福祉会館を会場に開催された。戦後50年という節目の年であった1995年に明石地労協人権平和センターが主体となって始まった「明石平和の集い」が10年間続けられてきたが、戦後60年の2005年にさらに輪を広げ、多くの市民団体などと共に実行委員会形式で「ピースフェスタ明石」として拡大・発展し、今回で12回目の開催となったもの。
 初日の3日からは1階のギャラリー会場で、広島平和記念資料館から借りた絵本『はだしのゲン』複製原画展をメインに展示。兵庫県下で初めて展示される『はだしのゲン』となった。
 他にも、実行委員の手作りによるパネル展示として、@立憲主義と平和憲法、A侵略戦争の加害の歴史、B明石空襲の記録、Cフクシマ…5年後の今、Dオール沖縄の想い…『命どぅ宝』、などが同時展示されるとともに、E戦時下の暮らしの品々の展示なども行われた。
 6日は「市民による戦争体験談」。会場をいっぱいに埋める55人が参加し、高齢になった戦争体験者の貴重なお話を聞くことができた。当初は4人の方から体験談を聞く予定だったが、おふたりが体調を崩され、手記での報告となった。会場からも6人の方が体験談への感想や自分自身の経験などが語られ、意義ある集まりとなった。
 明石城西高校の新聞部の生徒4人も参加して熱心に聞き入っている姿もあった。
 最終日のメインイベントは、ソロ芸人の松元ヒロさんによるライブ。「われら市民に笑いと勇気をゆりそそぐ」と題した松元さんのライブでは、安倍政権や憲法がさまざまに話題にのぼる今の世相を、軽快なパントマイムによる風刺とユーモアで演じ爆笑を誘った。また恩師・永六輔さんや立川談志さんら超大物とのエピソードも紹介され、特に永六輔さんの筋金入りの平和に対する思いを語る場面では、会場の300人の老若男女が真剣に聞き入っていた。
(狩&彩)

写真上:1階のギャラリー会場では『はだしのゲン』の複製原画や実行委員手作りのテーマごとのパネルなどが展示された=8月7日、明石市・勤労福祉会館
写真下:安倍政治を軽妙なユーモアで風刺し300人の観客をわかせた松元ヒロさんのライブ=8月7日、明石市
8.15平和のための市民の集い
 今年で第31回を迎えた敗戦記念日恒例の「8・15平和のための市民の集い」(主催=戦争を起こさせない市民の会)が8月15日、新長田勤労市民センターで開かれ、約120人が参加した。
 集いではまず、シンガーソングライターの海勢頭(うみせど)豊さんが講演し、「いま私たちがすべきことは、アジアの人たちから尊敬されるような人間になること」などと、沖縄から訴えるように自らの思いを語った。その中では、沖縄に残る竜宮神信仰について、竜宮=ジュゴン=平和の神であり、「ジュゴンのように大人しく生きれば平和になる」という平和への思いが込められたものだとする説を紹介し、古代からの沖縄と本土との関係にも触れた。
 つづいて、ルポライターの鎌田慧さんが講演。「8・15こそ戦争とはどういうものかを考えるべき日だ」とし、大岡昇平の『野火』を引いて、たんに正義とかでは語れない戦争の悲惨さ、むごさを考えようと訴えた。さらに「9条改憲」の危機的な状況にも触れ、国民投票に持ち込ませないための運動、とくにマスコミに代わる個々人への”教育“の大切さを説いた。
 講演後は、海勢渡さんが「月桃」など沖縄の歌も披露。参加者は心に染み入るような歌を聴きながら、沖縄の闘いとの連帯を誓い、閉会した。
写真:沖縄の海勢頭豊さんと鎌田慧さんの平和への思いを聴いた=8月15日、神戸市長田区
写真下:鎌田慧さん
 ひょうご労働法律センターは8月9日、神戸市勤労会館で第16回定期総会と講演会を開き、約40人が参加した。
 冒頭、あいさつに立った上原康夫代表(弁護士)は、「参議院選挙の結果、労働法制はさらに厳しい局面に立たされることとなったが、現場から労働法制改悪NOの運動をつくっていこう」と訴えた。その後、宇野克巳事務局長(全港湾神戸支部書記長)が議案提案。2カ月に1回の運営委員会を軸に活動に取り組んでいるが、若手の結集と育成が課題となっていること、会員をつなぐ機関紙の発行ができなかった点を総括し次年度で改善していくこと、さらに、県下全監督署交渉や労働局交渉は継続して取り組むことなどを確認した。
 総会終了後、これまでは懇親会を開いてきたが、今年は国会情勢を受けて、龍谷大学名誉教授の萬井隆令(よろいたかよし)さんを講師に迎え、「規制緩和化の改正派遣法について―安倍政権の狙う今後の労働政策―」と題する講演に学んだ。萬井さんは、安倍政権のキーワードは「雇用の流動化」であると指摘し、アベノミクスで進められる雇用特区、労働者派遣、労働時間制、限定正社員、解雇金銭的解決制の問題点と狙いを丁寧に解説した。そして、「権利の上に眠る者は権利を失う」とし、“権利のための闘争”があって初めて労働者の権利は実現する、労働組合の闘いに期待したいと締め括った。
(塚原)
写真:総会後はこれまでの懇親会に代えて安倍政権の労働政策を考える講演に学んだ=8月9日、神戸市勤労会館
11月に総会開催へ
 憲法を生かす会・ひょうごネットは8月9日、第15回運営委員会を開き、先の参院選を振り返るともに今後の活動計画などについて協議した。
 厳しい選挙結果を受け、改憲阻止のたたかいがいよいよ正念場を迎えた状況を再確認しながら、今後、草の根的に根の張った運動の広がりが問われていることを踏まえ、憲法カフェや憲法学習会(とくに緊急事態条項の危険性を意識しながら)などをさらにきめ細かく参院選を一緒に闘った仲間たちと共に広げていく方針などを確認した。
 また、同ネット結成から2年余の活動の中で、今年新たに西播磨と但馬の2つの地域で憲法を生かす会が結成された成果なども確認し、11月3日には第2回総会を開いて、この間の活動の経験交流や問題意識などの交流をしっかりと行おうとの方針も確認した。
 さらに、「アベ政治を許さない市民デモKOBE」など、他の市民団体との共闘組織への結集も引き続き強めていく。
尼崎市が公共調達基本条例提案へ
これまでの運動の成果と確認
  武庫川ユニオン(上山史代委員長)は7月31日、尼崎市内で第29回定期大会を開いた。組合員数は2009年をピークに減少傾向が続き、今年度も拡大に転じることができなかったが、大会に参加した組合員数は昨年と同数の67人で、来賓も含めると80人を超える盛大な大会となった。
 パワハラ、不誠実団交と闘って勝利した親和福祉会社員分会の闘いが報告され、重里学園分会からは、一旦は裁判所で和解しながらも、今後は学生の募集停止など学校そのものをつぶす動きが強まっているとの報告もあり、今年度の集中的な闘いとなりそうだ。
 そして、今年度の大会討論では公契約条例の問題も議論になった。武庫川ユニオンがリビング・ウェイジ条例として自治体委託労働者の生活できる賃金水準を求める条例制定運動を始めたのが2002年だが、ついに今年の9月市議会で「公共調達基本条例」として尼崎市より提案されることになった。賃金条項が入らないなど不十分さもあるが、尼崎地区労と一緒に闘い続けて来た、あきらめない運動の成果だと確認できる。
 大会では脱原発運動や沖縄・辺野古新基地建設反対の闘い、そして何より組織強化の闘いを進めることを確認し、上山委員長ほか新役員を選出して大会を終えた。
 大会終了後は恒例の懇親会。MKGサンシン部会のサンシン演奏に始まり、組合員のお店「ストロベリーフィールド」による料理に舌鼓をうちながら和やかに交流会が進んだ。(小西)
(小西)
写真:来賓も含めて80人が参加し盛大な催しとなった武庫川ユニオンの大会=7月31日、尼崎市
仲間を信じ共に闘うユニオンへ
 神戸ワーカーズユニオン(西直子委員長)は7月31日、神戸市勤労会館で第30回定期大会を開き、来年に結成30年を迎える新年度の活動方針などを決めた。
 今大会で掲げたスローガンは、「仲間を信じ未来を創ろう。ともに闘うユニオンへ」。大会の冒頭、西委員長はあいさつの中で、いま闘争中の権田工業分会のたたかいなどに触れながら、「普通に働くということがどういうことか、労働組合の力とはどういうものか、改めて考えよう」と労働者の団結の力を強調し、活動の強化を呼びかけた。
 神戸地区労、ひょうごユニオンをはじめ各地域ユニオン、コープこうべ定時職員協議会、全港湾神戸支部姫路伊藤分会の来賓からあいさつの後、木村文貴子書記長らから活動報告や運動方針の提案などが行われた。運動方針では、労働相談や交渉を主体的に担えるスタッフの養成の強化や、ユニオンの交渉力・解決能力の向上をめざすことなどが強調されるとともに、重要な課題の柱としている支部づくりの一環として、兵庫・長田支部準備会を垂水支部に続く2番目の支部へと高めることも提案された。
 その後、1年間の同ユニオンの活動をスライドで振り返り、大会討論へ。大会討論では、36協定の締結拒否で対抗しながら労働条件の改善を目指して闘っている権田工業分会の闘争報告を先頭に、各分会や支部、支部準備会、区別交流会の単位で活動報告や近況報告がつづき、交流を深めた。
写真:大会討論の合間に体をほぐすストレッチ体操で少しリラックス=7月31日、神戸市
(3)憲法停止を意味する緊急事態条項=国家緊急権
 重大な問題点はまだまだある。自民党改憲草案では、緊急事態宣言が発せられたときは内閣が法律と同じ効力を持つ政令を発することができるとなっており、国会での法律の審議すらすっ飛ばして、内閣で法律と同等なルールをつくることができるようにされている。
 また、「緊急事態宣言が発せられた場合には何人も、……国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」とされ、国民に国の指示に従う義務が課せられる。そのうえで、憲法の基本的人権に関する諸規定(14、18、19、21条など)は、「最大限に尊重されなければならない」と一応は示されてはいるが、“尊重”の程度が問題で、緊急事態では、憲法で保障されているさまざまな基本的人権が制約されることになりかねない。これこそ重大な問題であり、憲法で保障されている基本的人権が内閣の判断(政令等)によって簡単に制約されてしまう。もしこの条項が憲法に新たに盛られてしまうと、こうした基本的人権の制約が違憲ではなくなるということになる。
 さらに、緊急事態の宣言の手続きについても大きな問題がある。緊急事態は内閣総理大臣が発するが、これへの歯止めとして考えられるのが国会である。にもかかわらず、自民党の改憲草案では、国会の承認は事前または事後でも認められる。そして、その承認の期限がない。 さらに、緊急事態の時限は100日とされているが、国会の承認があれば延長は(何度も)可能である。与党が多数を占めている以上、延長承認は簡単な話である。
 こうして、非常事態宣言のもとでは、内閣総理大臣への権限の集中がすすみ、独裁の進行の危険が大きく膨らんでいく。
(4)ナチスの授権法に通じるもの
 政令が法律の代わりとなり、人権が制約されることから、これではナチス・ドイツの国家授権法と同じだという批判に対し、安倍首相は「限度を超えた批判だ」と反論したが、歴史的にはヒトラーは1933年3月に「民族および国家の危難を除去するための法律案」(全権委任法・授権法)を提出して成立させた。謀略と弾圧が仕組まれていたとはいえ、形式的には民主的なワイマール憲法にのっとって、立憲主義を否定する授権法を制定し、ワイマール憲法を無視したナチス・ヒトラーの独裁政治を拡大していった。当初、4年期限とされていたものが、結局、ドイツの敗戦まで12年間も続いたのである。
 緊急事態条項をめぐる条文が授権法と決定的に異なるものはない。緊急事態を口実に、独裁政治を生み出す条項で、立憲主義を否定するものだといわねばならない。

※緊急事態条項の危険性について、大阪弁護士会が、イラストを用いて分かりやすく説明したリーフレット「憲法に緊急事態条項?いらんやろ!」(A6判・8頁)を作成し、無償で配布している。ダウンロードもできる。大阪弁護士会 広報課(電話06・6364・1371)に問い合わせを。
インフォメーション
西神戸憲法集会「大内裕和講演会

ブラック企業、ブラックバイト、奨学金という名の教育ローン、待ち受ける経済的徴兵制?
  • 9月11日(日)14時
  • 新長田勤労市民センター・大会議室
  • 講師 大内裕和さん(中京大学教授、奨学金問題対策全国会議共同代表)
  • 参加費500円(学生無料
  • 主催=西神戸憲法集会実行委員会(090・2289・6481憲法を生かす会西神戸連絡会・小谷)
9・19戦争法強行採決1年を考える神戸集会(集会後デモ)
  • 9月19日(月・祝日)13時30分〜16時30分
  • 兵庫県私学会館・5F大ホール
  • 講演=岡野八代さん(同志社大学教員)、真喜氏好一さん(建築家、那覇市在住)ほか
  • 参加費 千円
  • 主催=アベ政治を許さない市民デモKOBE
憲法サロン「経済問題の講演会」
  • 9月22日(木・祝日)14時
  • 六甲道勤労市民センター5階あじさい
  • 講演「この経済政策が民主主義を救う―安倍内閣に勝てる対案」
    松尾匡さん(立命館大学経済学部教授)
  • 主催=憲法を生かす会・灘(078・801・8448)
奨学金問題と学費を考える兵庫の会 設立3周年の集い・総会
  • 9月25日(日)13時30分
  • 兵庫県私学会館302、303会議室
  • 講演=布施裕仁さん(ジャーナリスト、『経済的徴兵制』著者)、当事者の声など
  • 参加費1000円(学生無料)     
  • 主催=奨学金問題と学費を考える兵庫の会(078・362・1166)