「新社会兵庫」 8月12日号
宇都宮健児講演会に400人
 安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行し、「戦争する国」へ突き進もうとするなか、「改憲を許すな」「安倍政権打倒」の怒りの声が広がっている。憲法の改悪を許さない運動の輪をさらに拡げようと、憲法を生かす会阪神連絡会が主催する「宇都宮健児講演会」が7月13日、西宮市勤労会館で開かれ会場一杯の約400人が集まった。学生など若い人たちの参加も目立ち、日弁連の前会長で今年2月の都知事選にも立候補して奮闘した宇都宮健児弁護士の講演に熱心に耳を傾けた。27日には憲法を生かす会・西神戸連絡会主催の憲法集会も神戸市須磨区内で開かれた。

 宇都宮さんは「押し寄せる貧困と戦争への道〜安倍政権の暴走をストップさせ、憲法改悪を許さないために〜」と題して約90分にわたり熱弁。まず安倍政権の解釈改憲の暴走にふれ、「もし安倍政権を評価できるところがあるとしたら、それは唯一、暴走によって多くの国民に憲法について考える機会を与えたことだ」と冗談っぽく述べた後、安倍政権の暴走について、原発の再稼働や輸出から始まって一つひとつを具体的に指摘した。
 さらに、昨年7月の参院選以降の改憲をめぐる動きを振り返りながら、11月の沖縄県知事選を含めた今後の政治日程にも言及して情勢を説き、「あきらめずに闘おう」と呼びかけた。
 そして最後には、安倍政権の暴走を止めるためにと、運動論的な提起も。「同質の集団の集まりは“和”にしかならないが、異質の集団の集まりは“積“になる」と、政治的・イデオロギー的立場を超えてつながることの重要性を訴えた。さらに、無関心層やとくに若い人たちへの働きかけの工夫の必要性を強調。締めくくりに、「改憲の動きはピンチだが、あらためて日本国憲法の理念を定着させるチャンスでもある」と呼びかけ、「一人ひとりは微力ではあっても、決して無力ではない。一人ひとりがつながれば大きな力になる」と激励のエールをおくった。
 今回の講演会の企画をきっかけに阪神連絡会が立ち上げられ、春から半年近くにわたって成功に向けた取り組みが行われてきた。憲法問題を取り組むさまざまな運動団体や労働組合などの会合・集会・イベントに意欲的に出かけては講演会への参加を呼びかけ、働きかけを重ねてきた。安倍政権への危機感の高まりも反映してその努力が学生や若い人たちの参加にも結びついた。今後、そんな新たな結集をどうつなぎ、共に運動を進めていけるかが課題だと事務局メンバーは語っている。

写真上:参加者で埋まった会場=7月13日、西宮市
写真下:宇都宮健児さん=7月13日、西宮市
憲法を生かす会・西神戸連絡会
 憲法を生かす会・西神戸連絡会(兵庫、北、長田、須磨、垂水の5つの区の各憲法を生かす会で構成)が主催する「西神戸憲法集会2014」が7月27日、須磨区役所・多目的ホールで開かれ、約130人が参加した。
 同連絡会による夏の集会は今年で4回目。今回の講師は毎日新聞大阪本社社会部記者の遠藤孝康さんで、毎日新聞紙上で「憲法を読む」の連載を昨年11月から今年2月まで全50回にわたり担当してきた記者。「連載『憲法を読む』を担当して見えた憲法」と題して講演した。
 遠藤さんはまず、日本国憲法の「三大原則」に触れ、個人の尊重にもとづく基本的人権の尊重こそ憲法を貫く最高の価値観だと強調。
 この最も重要な「基本的人権の尊重」に関わる条文に手を加えた自民党の改憲草案(2012年発表)を現憲法と対比させながら、主な条文ごとに詳しく解説した。対比によって、自民党改憲草案が手を加えたものが何を意味するのかがよく見えてくるとともに、現憲法の理念や意義があらためて明確に浮かび上がる。自民党改憲草案で新たに持ち出された「緊急事態」を含め、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に言い替えていることなどから、国民の基本的権利を制限するとともに国民の義務を増やしたい意図がにじみ出ているとした。
 さらに、改憲草案では9条で「国防軍」が規定され武力行使や「審判所=軍法会議」などに道が開かれていることも指摘され、基本的人権の後退や今日進行する安全保障政策の変更と重ね合わせると、国民の新たな義務として“国を守る義務”が打ち出されていると、注意を促した。
写真上:約130人が参加した「西神戸憲法集会2014」=7月27日、神戸市須磨区
写真下:「連載『憲法を読む』を担当して見えた憲法」と題して講演する遠藤孝康さん
2014社会主義ゼミナールin近畿
 「2014社会主義ゼミナールin近畿」が7月19日、大阪市のドーンセンターで開かれ、約100人が参加した。
 11回目を迎えた今回のゼミナールのテーマは「ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』から新自由主義に代わる社会を展望する」。「ショック・ドクトリン」とは「惨事便乗型資本主義」とも言われ、大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義による「改革」のこと。“新自由主義が猛威を振るう現代世界にあって、左翼勢力が自己革新を遂げ、どのような対抗社会像を描き、いかにして民衆を結集し、「もうひとつの世界」への展望を切り拓いていくのか”(呼びかけから)という問題意識で開かれた。
 映画「ショック・ドクトリン」を観たのち、木戸衛一さん(大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授)が講演。木戸さんは、欧米や日本における新自由主義の展開を振り返りながら、専門分野であるドイツの現代政治などを切り口に、底辺民主主義に立つ自己決定の重要性などを強調。また、「他者の犠牲に基づく最大多数の最大幸福からの脱却」などを説き、新しい社会の展望への問題提起を行った。
写真:ドイツの政治状況などを切り口に新しい社会への展望を語る木戸衛一さん=7月19日、大阪市
 8月31日に予定されている県・阪神地域合同の総合防災訓練に在日米軍が参加することに対して、阪神間の自治体議員の有志52人が党派を超えて連名で、兵庫県知事および当該の尼崎、西宮、芦屋、伊丹、宝塚、川西、三田の各市長、猪名川町長に対して、参加中止の申し入れを7月31日、いっせいに行った。県議4、尼崎市議13、西宮市議7、芦屋市議5、伊丹市議4、宝塚市議6、川西市議5、三田市議4、猪名川町議4の顔ぶれで、無所属のほか、民主党、共産党、社民党、新社会党、緑の党に所属する議員たちだ。
 申し入れ書では「米軍参加を求めることは、防災訓練を口実に自衛隊と米軍の共同作戦機能強化を担う一翼となり、地方自治の著しい逸脱にほからない」、「日米同盟のさらなる進化を図るため軍事戦略的意図をもって行われる米軍の防災訓練への参加は認めがたいことだ」などとしている。
「戦争への道を許すな」と訴え 7.16〜8.6
 今年で30回目を迎えた反核平和の火リレーが7月16日、兵庫県庁前をスタートした。安倍政権が集団的自衛権行使容認を閣議決定するなか、「憲法を守れ。戦争への道は許すな」と、青年女性が県内の全自治体を走りつなぎ、8月6日、神戸市役所前のゴールに到着した。
 午前9時30分に始まった16日の出発式で、リレーを主催する平和友好祭兵庫県実行委員会の藤原敏也実行委員長(自治労県本部青年部長)は、「集団的自衛権の行使は戦争参加を意味する。私たち青年が戦場で殺し、殺されるような社会にしてはいけない」と決意を述べた。
 出発式には労働組合や民主団体、政党がかけつけ、それぞれ連帯のあいさつを行った。新社会党からは粟原富夫県本部委員長が、「憲法の原則を踏みにじる安倍政権は許せない。私たちも各地で街頭行動を行っているが、若い人たちが反対運動に立ち上がっているのも事実。平和の思いを走りつないでほしい」と激励した。
 出発式の後、第一走者のトーチに「平和の火」が点火され、7人のランナーで出発した。
 平和友好祭実行委員会ではリレー運動とあわせて、各自治体に対して平和行政の推進を求めている。また、各地域で平和講座など開催し、青年女性が平和問題について考え合う場も追求している。
(A)
写真:出発式を終えて第1走者(左端)のトーチに藤原実行委員長の手で「平和の火」が点火された=7月16日、兵庫県庁前
守田敏也さん講師に記念講演会開く
 脱原発はりまアクションは、結成3周年の記念講演会を7月12日、フリージャーナリストの守田敏也さんを迎えて加古川市内で開催した。56人が参加した。
 講演は「チェルノブイリ後の世界、私たちの今」と題しての2部構成。
 第1部では、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故から28年が経つベラルーシを訪れて見た、今も長期保養を続けているこども達の様子やドイツ、トルコの現地の報告がなされた。安倍政権の「原発の海外販売」に対し、地震国トルコでも激しい反対闘争が広がっているとのことだった。また、海外には日本の現状が伝わっていないので、今も続けている官邸前や全国各地の毎週金曜の脱原発抗議行動(私たちの姫路での関電前抗議行動は12年7月から始め、すでに102回を数える)をユーチューブなどで発信してほしいとの訴えもあった。
 第2部は「どうなっている?ひょうごの防災計画」。守田さんが篠山市で原子力災害対策検討委員会委員を委嘱されていることもあり、篠山市での「原発災害」への対策の詳しい報告や、4月24日に兵庫県が公表した「大飯・高浜原発事故によるシミュレーション」による放射能拡散のことなどが詳しく報告された。篠山市は若狭湾に林立する原発から近い距離にあることから、市長が率先して原発災害に対する警戒心をもち、上記の委員会を早くから立ち上げ、町内会、消防団などに対する研修・学習を精力的に進めるとともに、原発事故時に服用する安定ヨウ素剤の購入を決め、配布を始める対策が進められていることが明らかにされた。
(加古川・菅野逸雄)
写真:フリージャーナリストの守田敏也さんが「チェルノブイリ後の世界、私たちの今」と題する講演を行った=7月12日、加古川市
 この7月、スイスに行ってきました。スイスという国は、たいへん面白い国です。日本の九州ほどの大きさで、東京23区の6割弱の800万人ほどの人口の国ですが、ドイツ語、フランス語、イタリア語、そしてロマンシュ語を話す人々が寄り集まって暮らしています。ロマンシュ語を話す人々は、たった0・5%しかいないそうですが、その4ヵ国語とラテン語が国語として認められています。そのため、標識などもいろいろな言語で表記されています。議会でも、それぞれの議員が自分の出身の言語で話すため、議員に選出されると必ず語学研修を受けなければいけないそうです。大統領は“お飾り”で、7人の閣僚が1年ごとに交代で務めるそうです。おおよそ国会ではあまり大切なことは決まらなくて、26の州ごとに法律があり、そこで人々にとって重要なことが決められているそうです。なかでも感心したことは、その地方に住む人の意見が最も重視されることです。
 例えば、最近スイスではトンネルがたくさん作られるようになりました。なぜなら、谷間になっている村ではバスやトラックなどの排気ガスがひどく、環境に悪影響を及ぼしているため、トンネルを作って排気ガスを何らかの装置で無害化して排気させるべきだという意見が出ると、その村の人々の意見が最重視されるため、すぐにトンネルが作られるというようになっているそうです。観光客にとっては不便でも、住民の意思が最優先なのです。
 ヨーロッパでは住民の力が強く、一番驚いたのは、モンブラントンネルというイタリアとフランスを結ぶ、ヨーロッパの国々にとっては大きな動脈ともいえるトンネルで1999年に火災事故があり、たくさんの死傷者が出た時のことです。近くの住民が、このままでは危ないからトンネルを再開させてはならないと、人間の鎖で抵抗したそうです。そのため、再開したのは、ようやく2002年になってからということでした。その間、喧々諤々話し合い、トラックの夜間の通行は禁止されたそうです。過重労働につながり危ないからという理由からでした。
 ヨーロッパの国々では、夜間や日曜日は店を閉めるという法律がありますが、大都市や観光地の一部を除いてはやはりスイスでもそうなっています。そのことも働く人々の生活を考えてのことで、日本のようにいつまでも店が開いているのはスイスの人々にとっては信じられないことでしょう。
 次に驚いたことは、スイスの物価が高いことです。スイスの人々は、それでも安い外国製品よりは、地産地消で、自国の製品を選ぶそうです。そんなに物価が高ければ、生活に困るのではないかと思いましたが、スイス人であればそれだけの賃金を得ているそうです。日本ではすぐに安い外国製品に頼ってしまうところが、その辺もスイスの人々の自国の産業を大切にしようという気構えがあるところでしょう。TPPにより外国の安い農産物が入ろうとし、自国の農業は危機にさらされている日本とは大きな違いがあるなと思わされました。
 スイスは永世中立国だということは昔から有名ですが、他国のもめ事に関与しないというスタンスで、国連に加盟したのも実に2002年で、つい最近の国民投票で決まったことでした。そして、未だにEUにも参加していません。国として頑固なまでの方針を貫くという姿勢は、スイスの人々の我慢強い国民性からもきていると思いますが、直接民主主義で重要なことは自分達が決めていく、だから、しっかりと自分の考えを持っているというところからもきているのかなと思います。
 スイスに行って美しく厳しい自然に多く触れましたが、同時に日本という国について大きな危機感を持った旅でした。
(M・M)
写真:スイスではどんな急な斜面でも日の当たる場所には手間を惜しますブドウを植え自国製のワインを造る
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防災訓練への米軍参加 抗議集会

  • 8月30日(土)16:00〜17:30頃
  • 芦屋市営宮塚公園
    (JR芦屋駅南約500m、阪神芦屋駅東700m 鳴尾・御影線沿い)
 ※集会後、JR芦屋駅までデモ行進

京丹後・米軍バンドレーダー基地に反対する兵庫集会

 基地建設を憂う宇川有志の会・永井友昭さんを迎えて

  • 9月13日(土)13時30分〜
  • あすてっぷKOBE(JR神戸駅北へ7分)
  • 報 告:永井友昭さん(「憂う会」事務局長)
  • 参加費:800円
 〈憲法を生かす会・ひょうごネット〉