「新社会兵庫」 9月10日号
 ヒロシマ、ナガサキ、そして敗戦から68年の夏、安倍政権の”壊憲=E改憲への暴走にいっそう拍車がかかる情勢に危機感を強める平和運動団体が各地で集会を開き、戦争・平和・憲法≠ノついて考えた。神戸では8月25日、兵庫・長田(合同)と北で、28日は垂水で、各区の憲法を生かす会が主催する集会が開かれた。

被爆体験を聞く 兵庫・長田
 憲法を生かす会・長田と憲法を生かす会・兵庫の共催による「平和のつどい」が8月25日、新長田勤労市民センターで開かれた。
 会場には午前から神戸空襲や戦後の兵庫、長田両区の戦争跡の写真12点を中心に戦争に関わる子ども向けの絵本や貴重な資料など約50点、さらに妹尾河童氏の『少年H』に登場する地域の地図などが展示された。
 午後からは、神戸市原爆被害者の会の副会長で事務局長の高野光江さんの「被爆体験」のお話と、「神戸平和マップをつくる会」の小城智子によるスライドを使った話「平和マップ作製から学んだこと」を聞いた。
 高野さんは、「私は7歳のとき被爆。私の『命の恩人』は、被爆した時に偶然にも熱射を遮ってくれたポプラ並木だと思う」と語り始め、原爆で逃げ惑う両親のこと、爆心地の横川橋の両岸に避難し互いに親子と分からず心配しながら一夜を過ごしたこと、原爆投下後わずか2カ月で4歳年上の兄が亡くなったことなどを語った。淡々とした口調にも参加者の涙は止まらなかった。高野さんは「戦争は絶対駄目です。とくに原爆、原発など論外です」と、改めて反戦・反核≠強調した。
 小城さんは、2年前までの小学校教員時代の平和教育の取り組みの経験から、戦跡などを記録する『平和マップ』を自分でつくろうと思い立ったいきさつを紹介。集めた戦跡の写真の一部をスライドで紹介しながら、「これまでに長田、兵庫、中央、灘区のマップができた。神戸に住んでいてまだまだ知らないことが多いが、間もなく東灘、須磨区ができるし、ひきつづき垂水、北区の平和マップに取り組んで行きたい」と抱負を述べた。
 開会時がひどい雷雨だったにもかかわらず、会場では展示物を食い入るように見つめる参加者もあり、「この写真は今のどこ?」「中国に対してこんなひどいことを行なっていたんですか」などの声も聞かれた。
 集いでは、戦争の悲惨さを再認識し、護憲・平和運動を広げていくことを確認した。
(K)
写真:会場には神戸空襲跡や兵庫、長田の戦跡の写真のほか絵本や資料なども展示された=8月25日、長田区

被爆2世からの訴え 垂水
 憲法を生かす会・垂水は8月28日、レバンテ垂水で8月例会を持った。今回はいつもとは違い、兵庫県被爆2世の会の中村典子さん(垂水区在住)にゲストで参加してもらい、ヒロシマ・ナガサキの被爆やフクシマの被曝をもう一度考えてみようという趣旨でいつもよりは少しだけ大きい例会となった。
 2世の会からは上田理恵さん(垂水区)、神戸市原爆被害者の会の高野光江副会長や古石忠男元会長も参加。憲法を生かす会・長田、兵庫、北区の各会と西神ニュータウン9条の会からも参加があった。
 中村さんは原爆投下3年後の広島の生まれ。国鉄病院のレントゲン技師だった父親が爆心地から1・7kmのところで被爆。中村さんは25年間、健康に働いてきたのに09年5月、慢性骨髄性白血病と診断され、以来闘病生活が続いている。2世には被爆者健康手帳の交付はなく、手帳の保持者には年2回の健康診断も、2世は1回のみ。高額医療費の償還払いはあるものの、昨年1年間で診察・薬剤のために175万円超の支払いを余儀なくされる厳しさや不安、とくに被爆から68年経ってなお子や孫へ放射線の影響が及ぶのではないかという不安などを訴えた。
 交流では、2世の会の活動や福島の被曝、安倍内閣が一歩踏み出そうとしている戦争の道への懸念などについて質問や意見表明が交わされ、また、古石さんからは毎年被爆者手帳を持っている人が9千人を超えて亡くなっている現実も報告された。「生かす会」と参加者は改めて原発を含むあらゆる核に反対していく運動の強化を確認した。
(M)
写真:「兵庫県被爆2世の会」からゲストを招いた憲法を生かす会・垂水の8月例会=8月28日、垂水区

「96条改憲」を考える 北
 憲法を生かす北区の会は8月25日、北区民センターで「第29回憲法を考える集い」を開いた。
 夜半からの激しい雨が朝になってもおさまらず、大雨警報まで発令されるに及んで、集会はどうなることかと気を揉んだが、幸い午後から雨も上がりどうにか開催することができた。悪天候のせいか参加者は少なかったが、その分それぞれから意見が多く出され、有意義な集会となった。
 前回に引き続き原和美さんを講師に「96条改憲」の意味や参院選後の動きを中心に話を聞いた。憲法改正を国会議員や内閣総理大臣が言い出すこと自体が問題であること、内閣法制局長官をすげ替えて解釈改憲で集団的自衛権を認めさせようとしていること、ヒトラーが利用した大統領非常大権条項に似たものを自民党の改憲草案に入れていること、松江市の「はだしのゲン」閲覧制限問題はヒトラー政権の「焚書」事件を思い起こさせることなど、個人の人権が徐々に制限され、戦争ができる国へと向かっている現状が出された。
 憲法を生かす北区の会では、手作りののぼりを作り、9条に因んで毎月9日に街頭行動で市民に憲法の大切さを呼びかけようと決めている。人権・平和を護るために、一人ひとりが自分のできることをねばり強く続けることを確認して、集いを終えた。
(W)
写真:第29回憲法を考える集い=8月25日、神戸市北区
神戸ワーカーズユニオンが主催
 1988年5月1日に結成された神戸ワーカーズユニオン(西直子委員長)は8月24日、「結成25年のつどい」を神戸市勤労会館で開き、組合員一人ひとりが力を出し合って組織の土台を固め、次の一歩を踏み出そう≠ニ誓いあった。
 第1部では、「結成20周年」以降の5年間を映像と画像で振り返るとともに、神戸ワーカーズユニオンの産みの親、育ての親≠ナある黒崎隆雄元委員長(結成以降、書記長や委員長などを歴任)のミニ講演「神戸ワーカーズユニオン25年と私」を聴いた。黒崎さんは、なぜユニオンをつくり、どんな目的と問題意識をもって運動と組織を広げてきたかを、ユニオンを「働くための家」と形容しながら自らの思いと経験を語った。
 第2部では、分会によるギター演奏やフラダンスなどの出し物を楽しみながら、分会や地域の支部、区別交流会ごとの自己紹介、一人ひとりの組合員のスピーチなどが続き、なごやかに組合員間の交流を深め合った。
 最後はインターナショナルをみんなで歌い、「団結がんばろう」で幕を閉じた。
写真:各分会からの出し物の最後のフラダンスで会場は大きな盛り上がり=8月24日、神戸市
台湾で接した日本が残した傷跡
 神戸・南京をむすぶ会第17次訪中団で8月13日から20日まで中国を訪問した。

 南京で改めて侵略戦争の実態を見た
 8月15日は南京大屠殺紀(記)念館で追悼式典に参加し、幸存者の楊翠英さんの証言を聞いた。また、撫順戦犯収容所の鬼≠ゥら人に変わってきた日本軍の展示や館内の参観をし、改めて日本の侵略戦争の実態を見た。
 恒例の中国人の若者への出口インタビューを緊張しながらやった仲間は「記念館の展示物は、どれも気持ちが重くなるものばかりだった」「中日関係は失望しかかったものかもしれないが、このままではいけない」「戦争の要因を取り除かなければいけない」と冷静な反応を得たそうだ。日中の市民、大衆の心の底にある平和維持への思いを形にする取り組みが必要だと感じた。
 台湾での反日蜂起の地を訪問
 後半の台湾は初めてで、何もかも考えさせられる旅であった。蒋介石の独裁政権が続いた台湾∞戒厳令下≠ニいう中で、何が起こっているのか耳にしながらも向き合ってこなかった、という悔悟の念が大きくなる旅であった。
 最初に、最南端の屏東県で「琉球藩民墳墓」を見学。1871年の牡丹社事件を利用した1874年の西郷従道等の台湾出兵の記念碑を見た。宮古島から琉球に年貢を積んでいった船が遭難し台湾南部に上陸、バイワン族に襲撃され66人中54人が殺された。琉球政府と清国では漢人が12人を助けたこともあって和議は成立していたのに、日本は出兵、清国から50万両の賠償金を支払わせ撤退した。しかもこの時、琉球を沖縄県としてしまった(琉球処分1879年)。
 続いて日清戦争で1895年、台湾を日本に割譲させる。この頃から神戸の鈴木商店は後藤新平と共に樟脳や砂糖を台湾で育て、木材等様々な資源を日本に運び、植民地経営に手を貸して大きくなっていく。
 1930年、日本統治時代最大の反日蜂起があった。2011年の台湾映画「セディック・バレ」に取り上げられた霧社事件だ。「こんな山奥で何で?」と思うが、生活習慣や価値観の違いへの日本人の無理解と差別、強制される労役への不満が高まっていた、といわれる。それまでの先住民各部族と日本軍の激しい交戦が一段落し、霧社は日本の「教化」が行き届いた「模範集落」とされていたそうだ。そこでモーナ・ルダオが指導した武装先住民の青年約200人が、運動会の霧社公学校に集まった日本人を殺傷したというものだ。日本側の報復は徹底したもので、2700人の部隊が派遣され、12月上旬には自殺者も含め700人が殺害されたという。また生き残った561人の部族を、日本側に協力した他の部族が襲撃するという第二霧社事件も引き起こされ、青年男子はほぼいなくなり、別の地に移住させられ、警察の監視下に置かれた。
 その霧社の地も現地の方に案内してもらった。この険しい山で攻防が続いたのか、と思わされた。昔は犠牲になった日本人の墓があったという公園に霧社山胞抗日起義紀(記)念碑があった。盧山温泉への途中で、観光客も見学していた。

小城 智子
写真:反日蜂起のあった霧社山を案内してくれた現地のガイドさん
インフォメーション

■憲法を生かす会・垂水「フィールドワーク2013―戦争と平和そして朝鮮文化に触れる旅」

  • 9月16日(月)/京都・立命館大学平和ミュージアム、高麗博物館、尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩碑などを訪問(電車利用)/連絡先ファックス078‐708‐9983・締め切り10日

■映画「フタバから遠く離れて」上映会

  • 10月1日(火)@14時A18時30分/篠山市民センター/参加費1000円(高校生以下500円)/主催=憲法たんば(平和憲法を守る丹波地区連絡会)/入場整理券が必要・申込先電話0795−73−3869

■JAL闘争に連帯する10・3兵庫県集会

  • 10月3日(木)18時30分/神戸市勤労会館/問題提起とJAL闘争原告団の訴えなど/参加費500円/主催=日本航空(JAL)解雇撤回闘争に連帯する兵庫の会 電話078‐382‐2116

■第3回さようなら原発1000人集会

  • 10月6日(日)14時/伊丹市・いたみホール/講師=小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)、ゲスト=神田香織さん(講談師)/参加費=1000円(震災避難者・大学生・高校生以下500円)/主催=集会実行委員会 連絡先=090−3613−7069(北上)