「新社会兵庫」 4月9日号
大内裕和中京大学教授が問題提起
 いまや「教育ローン」化した奨学金制度で年収の数倍の返済額を抱え、長引く不況や就職難で返済に困窮している若者が急増している。こうしたなか、「もはや奨学金問題を見過ごせない」と題する集いが3月24日、大阪市内で開かれ、早くから奨学金問題について問題提起と運動の提唱を行なっている大内裕和・中京大学国際教養学部教授の講演に学び、返済困難者の救済策や奨学金制度の抜本的な改善などについて考えた。

 「2013緊急ゼミナールin近畿」で講演した大内さんは3月31日に結成された「奨学金問題対策全国会議」の呼びかけ人の1人で共同代表を務める。
 「いま大学で一番学生が多く集まる場は文化祭ではなく、奨学金制度の説明会だ」―こんな切り出しで大内さんの講演が始まるほど奨学金の受給者は多く、2010年には全大学生の5割を突破した。だが、かつての日本育英会時代からは制度は著しく変化し、日本学生支援機構となったいまは有利子貸与型(第二種奨学金)が圧倒的に多く、無利子奨学金38万人、有利子奨学金96万人だ(12年度)。利率は上限年3%。07年からは民間資金が導入された。例えば、第二種奨学金を毎月10万円借りたとすると貸与総額480万円。利率が3%で返済総額は約646万円となる。月賦返済額が26914円で、返還年数が20年。問題は返済が滞ったときだ。延滞金が年利10%で、延滞金発生後の返済では、先ず延滞金の支払いに充当され、ついで利息、そして最後に元本と、返済の「蟻地獄」に落ち込む。現実に、大学卒業後の就職難の拡大に伴い奨学金返済の困難者が急増している。裁判所を使った「支払督促」の申立件数は11年には1万件と7年間で50倍に拡大した。
 大内さんは、奨学金の現在の問題点として、卒業後の返済の困難さから大学卒業後の人生を左右し、結婚・出産・子育てにまで影響していると指摘。奨学金の課題として、@一定収入以下の人への返済猶予・免除、特に猶予5年の上限を撤廃し、本人収入基準にA有利子奨学金を無利子奨学金にB給付型奨学金の導入などを提起した。
 そして、こうした課題の実現へ、返済困難者の救済や制度の改善のために奨学金問題を社会問題化しようと訴えた。さらに、この運動が反貧困運動、新自由主義批判の運動として、既存の社会運動(市民運動、労働運動)が若年層との接点をつくる意義と可能性を持つことも強調した。

写真上:弁護士、自治体議員、活動家のほか生徒の保護者らも奨学金制度のあり方を考えた「緊急ゼミナールin近畿」=3月24日、大阪市
写真下:講演する大内裕和さん=3月24日、大阪市
「憲法ひょうご」が実行委員会
 毎年5月3日の憲法記念日に兵庫憲法集会を開いている「憲法ひょうご」(ひょうご憲法集会実行委員会)は、憲法施行66年となる今年の「5・3兵庫憲法集会」の開催に向けて3月18日、第1回実行委員会を神戸市内で開き、今年の集会の開催要項(後掲)や実行委員会体制などを決めた。
 第2次安倍内閣による露骨な改憲(=「壊憲」)への動きが強まるなか、集会の基調もこの動きへの対決を強調するものとなった。
 集会では纐纈厚さん(山口大学副学長)による記念講演を中心に、歌の演奏や労働現場・人権問題・脱原発運動などの課題についての活動報告もそれらに関わる運動団体から行なわれる。
 確認された実行委員会体制は、▽代表=佐治孝典(近代日本思想史研究者)、浦部法穂(神戸大学名誉教授)▽副代表=木下達雄(浄土宗大林寺住職)、坂本三郎(部落解放同盟兵庫県連合会委員長)、加納花枝(戦争への道を許さない兵庫おんなたちのネットワーク)▽事務局長=森哲二(自治労兵庫県本部)(以上、敬称略)▽事務局団体=憲法・兵庫会議、平和憲法を広げる兵庫県民会議、憲法を生かす会・神戸、ひょうご地域労働運動連絡会、部落解放同盟兵庫県連合会、全港湾神戸支部、自治労兵庫県本部▽連絡先=憲法・兵庫会議(神戸市中央区北長狭通4-7-1 元町駅前ビル TEL 078-335-1182)
神戸空襲を記録する会が合同慰霊祭
 8千人以上の命が奪われたとされる1945年の神戸大空襲のうち神戸市西部が空襲を受けた日である3月17日、神戸空襲犠牲者合同慰霊祭が神戸市兵庫区の薬仙寺で営まれた。市民団体「神戸空襲を記録する会」(中田政子代表)が主催するもので、今年で42回目。
 慰霊祭であいさつした中田代表は、同会が取り組んできた神戸空襲の犠牲者名を刻んだ平和のモニュメント「神戸空襲を忘れない―いのちと平和の碑」の設立計画について、今年8月に落成、15日に中央区・大倉山公園で除幕式を行う予定であることを報告した。これまでに1702人分の届け出が同会と神戸市に集まっていること(刻銘の第1次分は4月30日で締め切り)、設立募金が目標を大きく超える800万円に届いたことなどもあわせて報告された。
 慰霊祭では、昨年から神戸市内に残る空襲の傷跡や慰霊碑など太平洋戦争時の戦跡≠「平和マップ」としてまとめ、すでに兵庫、長田、中央の3区のマップを作成・発行した小城智子さん(神戸平和マップをつくる会事務局長)からその取り組みについての紹介も行なわれた。
写真:刻銘碑の除幕式を報告する中田政子さん=3月17日、薬仙寺
 労働運動の歴史を中心に研究会や講演会を重ねている兵庫県労働史研究会(今村稔代表幹事)は3月23日、結成20周年記念総会と祝賀会を神戸市中央区の兵庫県中央労働センターで開き、約70人が集まった。
 第1部では今村代表幹事が「研究会の20年を顧みて」と、すでに1992年1月から実質的には活動を始めていた歩みを振り返ってあいさつしたのち、会員である金元重(キム・ウォンジュン)さん(千葉商科大学大学院教授)による「韓国大統領選挙後の新たな情勢と労働組合運動の現状」と題する記念講演が行なわれた。金さんは1975年、軍部独裁政治の下で韓国中央情報部が在日韓国人学生を「北朝鮮スパイ団」として摘発した事件で不当逮捕され、7年間服役したのち、昨年3月に再審無罪判決をかちとった人。
 第2部は研究会の20周年と金さんの再審無罪判決を祝う祝賀会で、金さんの歩みを紹介するスライドの上映が行なわれるとともに、参加者による研究会の今後の展望や活動強化への決意、金さんへの祝賀のスピーチなどが続いた。
写真:記念講演では金元康・千葉商科大学大学院教授から韓国情勢を聴いた=3月23日、神戸市
ひょうご労働法律セミナー
 ひょうご労働法律センター(代表・上原康夫弁護士)が主催する第41回ひょうご労働法律セミナーが3月21日、神戸市勤労会館で開かれた。
 今回のテーマは「パワハラ・いじめ」。上原弁護士が「ハラスメントの実態と対策」と題して講義を行なった。
 最近の労働相談でもパワハラ・いじめの相談は増え、厚労省の調査(12年)では過去3年間に「パワハラを受けたことがある」と答えた人が25・3%にものぼる。この日も講義に先立ち、実際に職場でひどいパワハラを受けている2人の労働者から生々しいいじめの実態が報告された。
 上原弁護士は、@パワー・ハラスメントAセクシャル・ハラスメントBアカデミック・ハラスメントと、ハラスメントの3つを類型ごとに説明。法的な規定があるのはセクハラだけであり、パワハラについては、厚労省の円卓会議ワーキンググループ報告(12年1月)でようやく、@身体的な攻撃A精神的な攻撃B人間関係からの切り離しC過大な要求D過小な要求E個の侵害、と分類されたことを解説し、実際のパワハラについて最近の判例を詳しく検討した。また、対策として、職場の力関係のフラット化がハラスメント根絶の根幹だと、労働働組合の役割の重要性などを提起した。
写真:「ハラスメントの実態と対策」と題して上原康夫弁護士が講演=3月21日、神戸市
新社会党県本部学生委員会が開催
 新社会党兵庫県本部青年学生委員会は3月23日、24日の両日、第1回青年学生交流会を神戸学生青年センターで開いた。この交流会は、2011年に兵庫で党全国青年学生交流会を受け入れて以降、同委員会が始めた月1回の委員会兼学習会を重ねる中で、より広く青年党員や日頃関わる周辺の仲間との交流を深めようと企画されたもの。 この呼びかけに応え、四国ブロックからもブロックで交流を続ける青年党員たちが合流した。
 1日目は菊地憲之・県本部書記次長が「青年の現状と政治」と題して講演。安倍政権が目指す政治と、悪化の一途をたどる労働者や国民の状態を学び、その解決の糸口を考えた。
 その後は2つに分かれて分散会。労働組合の大切さを実感しながらもその役割を発揮できないと悔やむ自治体職員、日本年金機構へ法人化されて以来、組織化が難しいが地道な努力を続ける社保労連の仲間、いま裁判闘争を闘う日本郵政非正規ユニオンの近況など、多様な報告に学びあった。
 2日目の最後には、開催地に因んだレクとして「灘の酒蔵巡り」を楽しんだ。
(彩)
写真:青年交流会では2つの分散会を設けて職場の問題などを交流した=3月23日、神戸市
憲法を生かす会・兵庫
 阪神・淡路大震災当時から心配されていた震災時のアスベスト(石綿)被曝による被害が現実となって広がりつつある。倒壊建物の解体作業やがれきの処理、ごみの収集などに従事した男性がアスベストに起因する中皮腫を発症した事実がつぎつぎと明らかにされている。震災アスベスト被害は、復旧・復興のための作業従事者だけでなく、一般住民にも広がる可能性は十分にある。
 こうした震災アスベスト問題を考えようと「憲法を生かす会・兵庫」は学習会を計画し参加を呼びかけている。
憲法を生かす会・兵庫
第20回学習会「アスベスト問題を考える」
  • 日時=4月21日(日)午後2時〜4時30分
  • 場所=兵庫勤労市民センター・講習室
  • 講師=西山和宏さん(NPOひょうご労働安全衛生センター事務局長)
  • 資料代=500円
  • 連絡先=078‐575‐4576
インフォメーション

■とめよう壊憲!護憲結集!討論集会

  • 4月14日(日)13時30分〜16時30分
  • 神戸市勤労会館405/406号
  • 問題提起 広原盛明さん(元京都府立大学学長)
  • 資料代:700円

■第18回被災地メーデー〜傾く天秤 戻す力は連帯〜

  • 4月28日(日)11時〜15時
  • 新長田若松公園グラウンド
    (JR新長田駅南西・鉄人28号の公園)
  • 連帯のひろば/熱唱&熱笑in新長田/屋台村など

■憲法66年 5.3兵庫憲法集会戦争しない“ふつうのくに”を

  • 5月3日(金)午後1時30分〜
  • 神戸市勤労会館・大ホール(7F)
  • 記念講演「安倍政権下の『壊憲』情勢(仮題)
    纐纈 厚さん(山口大学副学長)
  • 参加費 500円
※歌や運動の報告も