- 講演と職場報告で交流
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第15回働く女性の交流集会が10月22日、「立ち上がれ女性労働者!楽しく生き生きと働き続けるために」をテーマに兵庫県民会館で開かれた。主催は集会実行委員会。集会では、職場報告と中野麻美弁護士による講演が行なわれ、交流を深めながら、厳しい雇用・労働環境が押し付けられるなかで、人間らしい労働のあり方についてあらためて考えあった。
集会では6つの職場報告が行なわれた。13年におよぶ裁判闘争を経て9年前に職場復帰した神戸ワーカーズユニオン恵泉寮分会の職場の状況。あかし地域ユニオンからはパワハラ、セクハラとの闘いの報告。自治労の病院職場からは、正規、派遣、パート、アルバイトと様々な雇用形態のなかで事前の準備やシミュレーションが不十分なまま業務が始まり、職員には疲労が続き、患者優先にはなっていない実態が報告された。ユニオンあしやは、LSA(生活支援員)というモデル事業をめぐり、正規職員、日給職員、臨時職員間で差別があるとして闘っていると報告。社保労連は、正規職員は3分の1以下という中で、非正規職員は書類審査だけでなく年金相談業務まで担いながら、それが習熟する頃には有期契約雇用でリセットされるという悔しい実態に、同じ職場で働く労働者として一つの組合で闘っていきたいと報告。加西市職員ユニオンは、雇用継続を実現させた経験をもとに組合の大切さを訴えた。
これらの職場報告を受けて講演した中野麻美弁護士は、「皆さんのがんばりに励まされた」と述べながら、労働情勢の特徴としてまず貧困の深刻化を指摘。ある調査では可処分所得中央値は224万円で、その半分の年収112万円以下が世帯人員の16%になっていることや母子世帯の貧困率は65%と、アメリカにつぐ貧困率であることを紹介。さらに、非正規雇用の拡大による労働市場の二極化の問題を取り上げ、2000年代には年収150万円未満の労働者が、男性で10人に1人、女性では2人に1人にまでなっており、今では子どもの貧困化、教育の格差も深刻で、数年前は就学援助児童生徒が76万人だと問題になったが、いまや155万人にまで拡大しているとことも紹介した。
最後に、いまの労働のあり方を考える上で、「大事なのは〝人〟だ。〝仕事を、雇用を〟というが、仕事ってなんだろう、と考えてほしい。しっかりした雇用主がいる。よい雇用主をつくるのは、労働組合の仕事。労働時間の規制を守らせ、労働のルールを守らせることが大事だ」と指摘。「労働組合にとって、職場をよくすることが不可欠。労働者が社会の主人公となるためには、政治的に力をつけなくてはいけない。もっと政治的なことや社会を変えることも勉強しなくてはいけない」などと訴えた。写真:集会では中野麻美弁護士による講演のほか6つの職場報告が行われて交流を深めた=10月22日、兵庫県民会館