「新社会兵庫」 7月26日号
宮城・福島から現地報告/神戸地区労らが開催
 被災地で活動する労働組合と交流し連帯しようと、神戸地区労と神戸ワーカーズユニオンが主催した「東北被災地でがんばる労組と連帯するつどい」が7月13日、神戸市勤労会館で開かれた。集いには、宮城県仙台市の宮城合同労働組合(全労協全国一般)、福島県いわき市の全港湾小名浜支部(小名浜地区労)の仲間が参加して被災地の現状などを訴えた。

 この日の集会が企画されたきっかけは、神戸地区労などがこれまでに2度、被災地を訪問したことにある。阪神・淡路大震災を経験し、被災労働者ユニオンの立ち上げなどに取り組んできた労働組合として東北の被災地の労働組合と繋がりたいと、第16回被災地メーデーで参加者に書いてもらった「応援花メッセージ」を携え、神戸地区労、神戸ワーカーズユニオン、全港湾神戸支部、被災地メーデー実行委員会の5人が5月19、20日に福島と宮城を訪問。さらに、6月18、19日にコミュニティユニオン全国ネットワークと宮城合同労働組合の共催で開設された「東日本大震災労働ホットライン」には3人が参加した。
 それらの際に受け入れてくれた宮城合同労働組合と全港湾小名浜支部の仲間を神戸に招いて被災地の現状を報告してもらい、自分たちにどんな連帯ができるだろうかを考えようと、今回の集会の設定となった。
 震災犠牲者への黙祷で始まった集会では、東日本大震災ホットラインの取り組みを神戸ワーカーズユニオンの木村書記長が報告。茨城県日立港でのボランティア活動の経験を全港湾神戸支部青年部の仲間が報告した。
 被災地からは宮城合同労働組合の星野委員長が「各地の救援活動・雇用確保と労働組合の役割」と題して現状を報告。労働相談活動についてでは、大震災から少し時が経った3月下旬頃から休業補償や解雇予告手当ての相談が相次いだが、企業の解雇予告手当除外申請がほとんどフリーパスのように認められ、除外申請が乱発されたことを明らかにした。また、阪神大震災と同様、とくに非正規労働者の便乗解雇の横行が目立つとも報告した。さらに、今後の最重要課題として失業問題への取り組みが切実で、失業手当給付が切れたときの生活難にどう対処するかが大きな問題だとされた。
 全港湾小名浜支部の草野書記次長と舟生さんからは、福島原発事故による雇用不安、避難をめぐる動揺や風評被害の実情、さらには生活破壊の状況などが率直に生々しく報告された。

写真:宮城合同労組と小名浜地区労の仲間がそれぞれ宮城と福島の被災地の現状や活動を報告した=7月13日、神戸市勤労会館
神戸大学大学院・山内知也教授が講演
 「憲法を生かす会・灘」が呼びかけ、「さよなら原発 神戸アクション」など多くの賛同団体・賛同人が加わって開かれた講演会「福島原発と放射能汚染」が6月30日、神戸市灘区の六甲道勤労市民センターで開かれ、約150人の市民が参加した。
 講師は、神戸大学大学院海事科学研究科の山内知也教授。放射線計測に携わる山内さんは、文部科学省が4月21日に子どもの避難計画の基準を年間20ミリシーベルトに引き上げたことに対し、「子どもには年間1ミリシーベルトの基準を厳格に下回るよう対処すべき」として、避難計画の見直しを求めて4度にわたって文科省と原子力安全委員会に申し入れを行なってきた教授だ。
 この日も、さまざまなデータにもとづいて、子どもの年間20ミリシーベルトの被曝がいかに恐ろしいものかを訴えた。
写真:多くの賛同団体を得て開かれた講演会には若者や女性が目立った=6月30日、神戸市灘区
 尼崎地区労が主催した原発問題学習会が1日、尼崎市立労働福祉会館で開かれ、約40人が参加した。
 「原発被ばく問題のこれから」と題した西野方庸(まさのぶ)・関西労働者安全センター事務局長の講演は、氏が原発被ばく労働者の労災認定に関わってきたエキスパートであることもあり、放射能汚染に関する話はたいへん分かりやすく、参考になった。
 福島第一原発事故は、今も安定化・収束の目途が立っていないが、多くの労働者が働き続けているし、働き続けなければならない。全国の原発では1年間で7万人を超える労働者が働いているが、放射能の安全基準が緩和されるなか、高濃度の放射能汚染の福島第一原発で劣悪な環境で働いている労働者や、女川と告げられたにもかかわらず福島原発の5、6号機の注水作業に連れて行かれた釜が崎の労働者の話は、労働者の健康管理を軽視する政府や東電の体質を表していると感じた。緊急作業なら被ばくはやむを得ないのか、被ばくした一般住民や労働者の健康管理をどうするのか、野放図な日本の放射線防護行政をどう改めるのかなど、今後の課題も提起がなされた。
 主催者を代表してあいさつした酒井浩二議長は、「福島の事故がスイスやイタリア、ドイツなど世界を変えている。日本を代表する労働組合がなぜ原発問題に声を発しないのか?」と苦言を呈した。脱原発に向けた私たちの課題でもある。
(つづき徳昭)
写真:原発被爆問題学習会
労働組合の存在意義を再確認
 コミュニティ・ユニオン全国ネットワークと宮城合同労働組合の共催で「東日本大震災労働ホットライン」が6月18、19日に開かれるため、16〜20日、仙台に行った。
 18日は6都県13人と宮城合同労組から3人が参加し、2班に分けて被災地である七ヶ浜と仙台市若林区荒浜地区を訪問した。七ヶ浜町は、町に高台があり仮設住宅が建設され、避難所は解消されていた。ボランティアセンターでも多くのボランティアが活動し、物資なども充足されているように感じた。土のう袋220枚を購入し、ひょうご労働安全衛生センターから預かったマスクとあわせてボランティアセンターにカンパした。
 阪神大震災では見られなかった移動コンビニや移動販売が行われていた。仮設住宅近くではお弁当や野菜、お総菜を売っていた。高齢者の多い地域では必要なものだ。
 ホットラインでの労働相談は少なく3件だった。「旅館で働いているが、他の社員は出勤している人もいるのに休職させられたままで不安だ」、「有期雇用契約。震災後、労働日数を減らされていて、次の契約更新時に契約を更新されないのではないかと不安だ」(パートタイマーの女性)、「震災で会社が仕事をできなくなり、仕事を探している。雇用保険に未加入だったため収入がまったくない」(水産業関連で配送をしている男性)という内容だ。
 この3件とは別に、宮城合同労組の女性組合員の職場は健康診断をする会社で、社屋が壊れたことや震災の影響で健康診断がなくなったことから、パート50人が解雇されたということだった。現在は、社屋が一部しか使えないため、移動健診車を使っているそうだ。解雇されたパートと偶然出会い近況を聞いたところ、失業給付が受けられないとのことだったようだ。この会社では、繁忙期となる4〜10月まではパートも週20時間を超えるため雇用保険に加入するが、11〜翌年3月までは閑散期で週20時間を切り雇用保険に加入していない。加入していない3月に震災で解雇されたから失業給付を受けられないということだった。ハローワークに相談に行ったが、ハローワークの優先順位は「自宅などが被災した人」からのようで相談もできず、会社からも失業給付はできないと言われ、あきらめていたということだった。
 今回の震災では、阪神大震災を教訓にしていることもあり、行政(ハローワークの職員など)が避難所を訪問し、労働相談を受けていたということであった。しかし、行政では解決できない事案がたくさんある。解雇されたときには行政の手は届かない。雇用保険の遡及加入についても、行政が積極的に宣伝していない。行政が入ることによっても救われない労働者がいるのであれば、権利をあきらめてしまうことのないように労働組合があるんだと思った。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン)
写真上:山形のおきたまユニオンが仕立ててくれた宣伝車を使って仙台市内で街頭宣伝行動=6月17日、仙台市
写真下:「被災地の労組と連帯する集い」で報告する木村文貴子さん=7月13日、神戸市
 ひょうご労働法律センターは5日、神戸市勤労会館で第11回総会を開いた。総会の冒頭、代表の上原康夫弁護士は、「結成から10年が経ったが、この10年は労働者にとっては何もよくなっていない。諸悪の根源は非正規労働者が大量につくられてきたことにある。兵庫では大企業で働いている非正規労働者が声をあげてきた。まだ決着はついていないが、きっと大きな力になっていく」とあいさつした。
 議案提案を行なった青木昭憲事務局長は、労働者をとりまく現情勢や労働法制をめぐる動きなどを報告し、「有期労働契約研究会」最終報告にもとづく法改正作業に向けた審議への注目を促した。今年度の活動方針としては、隔月刊の会報の発行体制の再建をめざすことを強調した。
 第2部の懇親パーティーでは、出席した労組ごとの自己紹介のなかで、上原法律事務所に支援をもらっている労働争議をはじめ、いま抱えている闘争の現状報告がそれぞれに行なわれた。全港湾神戸支部姫路伊藤分会、武庫川ユニオン猪名葬祭分会、関西ソフラン化工労組、神戸ワーカーズユニオン、あかし地域分会東亜外業分会、姫路ユニオンなどの争議の状況が報告された。
写真:参加者の前であいさつする代表の上原康夫弁護士=7月5日、神戸市勤労会館
全国自治体労働運動研究会
 全国自治体労働運動研究会の第14回交流集会が、7月2〜3日、神戸市北区のみのたにグリーンスポーツホテルで開かれた。90人を超える全国からの参加者が集会基調で情勢と課題を確認し、記念講演や課題別分科会に学んだ。
 橘幸秀理事長は、6月30日に出された国鉄闘争共闘会議等の声明に触れて「四半世紀の国鉄闘争は解決金を引き出したが、雇用問題は断念し、幕を閉じると当事者たちが決断した。よく闘った。自治体労働運動も国鉄闘争からしっかりと学ぼう」とあいさつ。
 交流集会の基調提起は「復興に乗じた新自由主義への逆行を許さず、社会的連帯で人間らしい生活の再建」をテーマに菊地運営委員が提案した。東日本大震災、大津波、原発放射能事故による政治・経済の混迷のなかで復興税、一体改革による消費増税、原発震災による賠償費用の負担のなか、復興特区により土地利用の自由化、漁業への資本参入など新自由主義の復活を許さない運動の強化が提起された。
 全労協・金澤議長と加西市職・深江委員長が来賓あいさつ。深江委員長は、臨時職員の派遣会社派遣反対のたたかいから西村新市長の勝利・誕生の取り組みを報告した。
 「震災復興にむけた経済・財政政策はどうあるべきか」と題した記念講演では山家悠紀夫(やんべゆきお)・暮らしと経済研究所所長が、大震災後の日本経済について語り、日本経済や財政問題で重視すべきは「週40時間働けば暮らせる社会」と労働者の賃上げだと力説した。原発事故では脱原発社会の重要性と原発に依存しなくとも電力は足りることを強調した。  2日目は、@公共関連労働者と公契約条例、A非正規労働者の組織化と闘い、B公務員制度改革と労働基本権、C地域主権とナショナルミニマム、D職場から労働運動の活性化をテーマとした5つの分科会が行なわれ、取り組み課題を共有した。
(K)
写真:記念講演をする山家悠紀夫さん=7月2日、神戸市北区
インフォメーション
双葉町現地からの報告と小出裕章さんのDVDを観て「脱原発」を考える集会
  • とき:8月3日(水) 18時30分
  • ところ:兵庫県私学会館101

    @DVD「福島の子どもたちへ」
    (福島原発で何が起こっているのか−その3−)
    A福島第一原発の現地・双葉町からの報告
     森田省一さん(福島県・双葉地方平和フォーラム副議長)
    B活動の提案など