「新社会兵庫」 11月26日号
- 今年も残すところ後1ヶ月。1年を振り返る特集が様々なメディアで組まれる時期でもある。例年発表される「流行語大賞」は1年の出来事、世相を反映するもので、友人たちの会話でも話題に上ることが多い。昨年は高プロ、首相案件、ボーっと生きてんじゃねえよ!等を押さえてオリンピック・カーリング女子チームの「そだねー」が大賞に選ばれた▼今年2019年もすでに30の語がノミネートされている。軽減税率、にわかファン、パプリカ、免許返納、命を守る行動等々、どの言葉も、ああそうだったと思うものばかりだが、そこに「れいわ新選組/れいわ旋風」が登場した▼今夏の参院選直前に山本太郎氏が結成した政治団体「れいわ新選組」が、4億円を超える寄付金、ボランティアによる活動で228万票、2議席、政党要件を獲得した。山本氏は街頭演説で「あなたの生活が苦しいのは、あなたのせいにされていませんか」「違う、国がやるべき投資をせず格差や貧困を押し付けてきたからだ」と自己責任論を明確に否定した▼「働いても、働いても苦しい。死にたくなるような世の中やめる、変える」。山本氏の呼びかけに共鳴する動きが始まっている。連帯の声を大きく育てたい。
- 教員いじめ問題
恣意的な「分限・懲戒条例」の拙速な改悪・適用に異議あり -
この10月、須磨区の小学校の教員による教員へのいじめ問題がマスコミによって暴露された。センセーショナルなマスコミ報道に、当該小学校も保護者も地域住民も、神戸市教育委員会も議会も煽られた。マスコミのもつ影響力は大きい。その強い世論に押されて、こぞって“加害教員たたき“に奔った。確かに加害教員は目に余るいじめ行為を繰り返してきた。教職の立場にありながら自らがいじめ行為に奔る。しかもその中身は余りに稚拙で愚かだ。そのこと自体は、人間として決して許せるものではない。徹底した調査の上、厳正な処分をすべきだと思う。
議員としての姿勢がたびたび問われた
この混乱期に、マスコミに煽られることなく冷静にこの事態に向き合い、議会として、議員として、何をしなければならないのか自問自答を繰り返してきた。10月11日の総括質疑の冒頭では、「垂水区女子中学生いじめ自死事件における最終報告書で、生徒の中に、スクールカーストといういじめの構図の存在があり、そして今回、教員の中にも、同様のものの存在が明らかになった。なぜこのようなことが起きたのか、その背景に何があったのか、そこを徹底して追及していただきたい」と表明した。
10月17日の『文教子ども委員会』では、一部の委員から加害教員の告訴を求める声があり、それが全委員を煽った。その異様な空気に違和感を覚えたのは、私だけだったのだろうか。それに対し、21日の『文教子ども委員会』では、「目に余る事実が次々と明らかになっている。このようなことがなぜ起きたのか、その背景に何があったのかを徹底して追及し、明らかにした上での厳正な処分が実施されなければならない。今、加害教員を告訴することになれば、加害教員に対する事情聴取ができなくなり、事実が隠されかねない。その結果、事実経過及び背景要因を明らかにすることが困難になってしまうことから、今、告訴を求めることは性急すぎるのではないか」と、『つなぐ』会派としての態度を表明した。
なぜ急ぐ!その前にすることがある
その一方で、議会で「職員の分限及び懲戒に関する条例」の件が提案された。分限とは、重大な違法行為で起訴の恐れなどがある職員に対して、本人の意に反して休職させる処分のことだ。この条例提案後、十分な議論も保障されることなく、僅か5日間で採決に到った。まさにスピード成立だ。共産党も含めたすべての会派は賛成の立場に立ち、『つなぐ神戸市会議員団』だけが反対の立場をとった。かろうじて附帯決議が付けられたことが救いだったのだが、その附帯決議も蔑ろにされてしまった。神戸市は「異例のことだから」「今回だけだから」を何度も繰り返したが、口頭だけでは何の担保にもならない。市長の“さじ加減”でどうにでもなり、恣意的運用を防ぐことはできない。しかも、今回の条例は、加害教員だけでなく、全教員・市職員に拡大される可能性もあり得る。そもそも今回の被害教員は、このようなことを望んでいるのだろうか。今は、“加害教員たたき”やそのための法整備、体制再編などに力を入れている場合ではない。早急にしなければならないことは、傷ついた子どもたちの心のケア、繰り返させないための背景や要因などの徹底した調査、そして、子ども・教員・保護者・地域住民などの当事者が主になり、中長期的に学校再建に力を尽くすことだ。
本来の組織風土改革を求めて向き合う
今回、『つなぐ神戸市会議員団』5人がそろって条例案に反対した。子どもの人権問題に長年、関わってこられている住友剛さんの客観的で的確なアドバイスがたいへんありがたかった。
10月31日、条例をもとに、神戸市は加害教員4人を分限休職処分とし、給与の支払いを停止した。神戸市教育委員会が諮問した外部有識者でつくる分限懲戒審査会は、「この条例を適用することは不相当と考える」と指摘したにもかかわらず、神戸市は押し切った。何のための諮問機関だ。この間の独断的なやり方に対して、“加害教員たたき”で煽っていたマスコミをはじめ、法曹界・労働界などからも、疑問が出始めている。また今、加害教員の1人が処分を不服として取り消しを求め、人事委員会に審査請求した。この問題は、ますます泥沼化されていく。その流れの中にあって、この問題の本質を見失ってはならない。本来の組織風土改革を求めつつ、これからも変わらず向き合っていきたい。
小林るみ子(神戸市会議員)
- 時にぶつかる相談者側の問題
- 最近、相談者の質について考えさせられることが多い。
派遣で働いていた39歳の男性から、作業中にケガをしたが会社が労災の手続きをしないという相談があった。会社の対応のひどさは言うまでもないが、相談者も「ひどい」。
法律で禁止されているスポット派遣のような状態で働いているため、日々派遣先が変わる。ケガをした派遣先の業務を覚えていないため、どの高さから落ちたのか、誰と働いていたのか名前も覚えていないし、ケガから3日後に受診し、診断を受けている。日払いで賃金をもらっていたため、お金がなくて病院に行けなかったという。派遣会社から労災申請書類が届いたが、その当日、三宮で紛失した。紛失から2日後に連絡してきたが、2日も経過して見つかるはずがない。それでも相談者が歩いた場所を2人で辿ったが見つからなかった。紛失したことを知らせるメールには「再発行ってできますか?」だった。反省がない。
病院では、国民健康保険を使って受診したため、一旦、全額を個人で負担し、労災保険から給付を受ける方法が簡単だが、1万円がないため払えない。派遣会社からお金を借りるようアドバイスしたが、イヤだという。手続きは遅れた。
昔なら、こうした人がいても、先輩が教え、フォローし、少しずつ成長していく。働くということは、業務をこなすだけでなく、後輩を育てるという役割を担うことでもあった。業務量が増え、余裕がなくなることで、なりふり構わず仕事に没頭する。それが職場での孤立やパワハラを生む職場環境につながっている。もう1つは、細切れ雇用。職場を転々とすることで職場での人間関係は作られにくい。雇用形態の細分化や有期労働契約は働き方を変え、社会を壊したように思う。
そして、ユニオンはこうした相談者にどう向き合うのか。労力は何倍も必要になる。そんなことを考えると、気持ちが折れそうにもなる。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)
- パート雇用の実情
-
民間製造メーカーに20歳で入社、60歳で定年後 再雇用で3年目となります。
20年ほど前までは一般事務は高卒、短大卒の新卒の正社員の女性が占めていました。その後、産休や育児休暇制度が拡充され、欠員は派遣社員で補っていましたが、その後、正社員が辞めると次の雇用者が派遣社員となりました。しかし今は社員・派遣社員(期間満了)が辞めると次はパートを雇い入れるケースが増え、実際、ここ20年で新卒の女性社員の採用は8人しかいません。今は、パートさんで勤続15〜20年以上の方も増えていますが、時給は兵庫の最低賃金871円(今年9月まで)、契約期間3ヶ月更新、ボーナスなし、有給は初年度10日で1年ごとに1日増、退職金なし、昇給2年に1回10円アップ、50歳を過ぎると昇給なし、社員にはある特別休暇・産前産後休暇・育休・育児時短・福利厚生等がすべてなく、ひどい条件で働かされています。
派遣法の改正で期間制限ルール(3年になると雇い止めもしくは正社員に)ができましたが、当然、会社は派遣社員を正社員にする気はなく、期間が終わると、派遣社員ではなくパートさんを雇い入れます。会社全体で一般事務の女性の方がすべてパートさんに置き換わるのも時間の問題です。
今、派遣社員の方も色々勉強されている方も増え、「これは私の仕事ではない」「3年働いても社員なれないの!」と自ら辞めていくケースも耳にします。もちろん、そのあとはパートさんを雇い入れるのです。
先日のことですが、派遣社員で2年間働いて、出産で辞めることになった女性が、「出産後またこの会社で働きたい」と上司に申し出ましたが、「次はパートだよ」と言われたそうです。その彼女が出産後、次の派遣先が見つからず、実際に最近、パートで戻られました。実は彼女の時給が20年間パートで働いてきた人より100円以上高かったので、長年パートで働いてきた人の不満が聞こえたのかもしれません。
最低賃金871円では求人希望者が来なかったのか、それとも内部告発を恐れたのかは定かではありませんが、それまで2年に1回10円の昇給だったものが、今年10月からすべてのパートさんの時給が991円に上がりました。「今までなんやったん」「どんどん仕事が増える!パートの品格!机たたいてやろうかな」「社員さんはいいよな。ボーナスや色々な休暇もあるし」「上司の代わりに仕事しても、いつまでもパートのまま」だと嘆いています。社員や派遣社員よりコストの低いパートさんを雇うのは、人件費ほど最速のコスト削減はほかにないからです。
「正社員」ではなく、「パート」を増やすなどは、雇用継続の保障もない、安定した生活も望めないひどい社会です。
今の会社の労働組合はパートさんのことは何も取り上げません。声を上げれば契約3ヶ月更新の彼女たちの首が守れるのか。そんな彼女たちの「怒り」や「声」が形にならないかと日々思うところです。
(尼崎・M)
|