「新社会兵庫」 7月02日号
 風には台風や暴風という荒くれた、困り者の風もあれば、そよ風、涼風など心が安まるようなやさしい風もある。目には見えなくとも体で感じることのできる風にはそれなりの対応もできる▼だが、この風はどこから生まれ、どの程度に強く吹いたのであろうか。自らもさんざん煽り、永田町の野党ばかりか国民までも弄ぶように吹かされた“解散風”は、結局のところ、「風はきまぐれで、誰かがコントロールできるようなものではない」とうそぶいていた安倍首相自らが、解散の大義を見いだせなかったのか、風を終息させ参議院選挙は単独で行われることになった▼選挙戦の中でも、別の“風”は吹く。有権者の政治的な期待感や心情がひとつの方向に大きく向かえば、“風”を集中的に受けた政党が大勝するという選挙はこれまでも多くあった▼だが、今回の参議院選挙でそんな政治的な気運が生まれるだろうか。”風“を期待できる政党はあるまい。選挙本来の、と言いたいが、風などは関係なく、しっかりとくらしの根幹に関わる政策を示し、議論を戦わせる選挙戦が展開されるべきだろう▼だが、安倍首相は、改憲が争点だとし、改憲論議の促進をねらう。ここには逆風を吹かせるしかない。
参院選 改憲発議要件を阻止し安倍政権を追い詰めよう
 高い内閣支持率からくる余裕なのか、それともリスクの方を重く見たのか、安倍首相は取り沙汰されていた衆参同日選挙を見送り、参議院選挙は7月4日公示、同月21日投開票の日程で単独で行われることが決まった。
 新社会党兵庫県本部は5月26日の県本部定期大会と6月28日の総支部・支部代表者会議で、比例区は社民党の大椿ゆうこさん、兵庫選挙区は、候補の一本化がならなかったため、安田真理さん(立憲民主党)を推薦して、それらの勝利を目指して闘う方針を確認した。  第2次安倍内閣の発足からすでに6年半。この参議院選挙は、この間、「憲法改正」を旗印に、立憲主義と民主主義を否定・軽視し、戦争法(安保法制)に象徴される戦争できる国づくりと、アベノミクスを軸とする大企業・富裕層のための経済政策の推進など、「安倍一強」体制のもとで、国会での議論をも封じ、まさに”やりたい放題“で進めてきた”安倍暴走政治“全般を問う選挙である。
 安倍首相は選挙を前にして、「憲法の議論すらしない政党を選ぶのか、議論を進めていく政党を選ぶのか」だと明言し、改憲問題を最大の争点に位置づける。明らかに国民の多くが関心を持つ政策課題に向き合っているとはいえず、身勝手な争点設定である。
 しかし、そうではあっても、憲法をめぐる課題からすれば、わたしたちにとってもこの選挙で、安倍改憲の野望を挫き、政権を追い詰めるような選挙結果を出せるかどうかが問われる。結果として、この参議院選挙で自公両党はもとより日本維新の会までをも含む改憲勢力による3分の2以上の議席獲得を阻み、改憲の発議条件を崩すことこそ、改憲を執念としてきた安倍政治の根幹に迫る最も重要な政治的焦点である。
 今回、改選議席数は3議席増えて124である。非改選を合わせた全議席は245となるから、その3分の2は164議席だ。非改選の改憲勢力の議席は76なので、今回の改選で改憲勢力の議席を88以下に抑え込めば、一応はクリアできる(無所属の動向などは無視しているので正確ではない)。
 その視座からすると、このせめぎ合いにとって、市民と野党の共闘、野党協力の発展が大きなカギとなることは論を待たない。紆余曲折はあったものの最終的には全国32の1人区すべてで野党統一候補が実現したことはたいへん大きな意味を持つ。しかも、この動きのなかで結実した、「市民連合」と野党4党・1会派の間で結ばれた「政策協定」(「市民連合」が要望した13の政策に各野党が同意し調印したもの)は、辺野古、原発、消費税など、前回の参院選時より踏み込んだ政策内容で合意されていることも市民と野党の共闘の前進を示すものだろう。
 だが、今日の選挙をめぐっていちばん重大な問題は低投票率という現実である。そして、世界を見渡しても、決定的に欠けているのは民衆の能動であり、行動だろう。安倍政権の長期の存続もそんな政治状況の中での消極的支持の上に成り立っている。
 いま多くの有権者が大きな関心をもっているのは、何よりも日々の暮らしに関わることであり、将来に希望よりも不安しか描けないような生活不安、将来不安ではないだろうか。10月からの消費税増税、年金・老後の資金問題など、生活を直撃する問題が迫りくる。社会保障や福祉、景気や雇用の問題が争点化するだろうか。いや、されなければならない。むしろ、野党の側がどれだけ説得力のある、しかも心に響くような政策を提示し、訴えることができるかどうかが重要な課題だ。その意味では政治を変えていくチャンスでもある。 ただ、選挙戦は制約のある限られた行動になってしまう。自由にビラもまけなければマイクも自由には使えない。とくに推薦し、支援する立場ではそんな制約も多くなる。その際、求められるのは”待ちの姿勢“ではなく、自主的に、主体的に自らの行動を起こしていくことだろう。要請された行動への参加は当然のこととして、組織としての取り組みが検討される必要があるし、もしそれができない場合でも数人のグループでやれることもある。そんな中で考え出された行動で、政治に対して自分たちの訴えたい課題、要求を表現し、アピールしていくことは、選対の活動を補い、推薦候補の支持を広げていくことにつながろう。一緒に行動に取り組んだ仲間とのつながりという財産も残ろう。がんばろう!   
上野恵司(新社会党兵庫県本部副委員長)
ミャンマー人の労働者で交渉
 昨年10月、「NPO法人ひょうご働く人の相談室」に相談があった外国人労働者の案件がユニオンあしやに回ってきた。
 ミャンマー人のAさんは18年前、1か月25万円(朝刊と夕刊の配達)、ボーナスは1か月との口約束で、それまで働いていた別の新聞配送営業所からK新聞配送営業所に変り、芦屋市内や夙川の新聞配達をしている。そのAさんの相談が、「休むと給与を減らされる。母国に年1度帰るが、休んだ日数の賃金が引かれている(有給休暇がない)。以前、仕事中にケガをしたが労災保険ではなく自費(国民健康保険)で治療し費用も払ったなど、疑問に思っていることを解決してほしい。(連合以外の)労働組合を紹介してほしい」というものだった。
 早速、ユニオンあしやに加入してもらい、11月下旬に団体交渉を申し入れた。要求項目は、@2016年4月以降、現在まで賃金が5万円減額されていることに対して説明し、従前どおりに回復すること(2000年6月24日付けの契約では1か月25万円、ボーナス年1か月との記載があるため不当契約にあたる)、A2000年以降の有給休暇の賃金カット分についてその相当額を補償することの2点だった。
 12月14日に第1回目の団体交渉を持ち、以降、代理人の弁護士との間で交渉を進めてきた。
 当初、当該の配送営業所は法人ではなく、個人の経営なので債務の継承はなく、要求に対しては支払う意思はないというのが相手側の主張であった。また、途中からは現所長が同営業所を廃業したい意向であることも明らかにされてきた。
 こうした諸条件のなかで、雇用よりは当初の要求を優先させて交渉し、今年2月の第4回目の交渉では賃金の減額分については支払うとの回答を得、解決金や休日労働にかかる休日割り増し賃金については交渉を継続させることとなった。
 3月には相手側の解決金、休日割り増し賃金の最終提示額が出されてきて、最終的には3月12日の第5回目の交渉で、解決金、休日割り増し賃金について合意をした。また、雇用については営業を停止した現所長との間での雇用契約は終了することについて了承した。この間の交渉のなかで、解決金は当初の提示額からは約1・5倍近くまで増額された。
森口道夫(ユニオンあしや)
介護の大変さを改めて実感
 最近、親の介護が必要になり、介護の大変さを改めて実感しています。
私はケアマネをしていて、介護のことはわかっているつもりでしたが、介護の大変さについては本当はわかっていなかったと思うようになりました。
親とは同居していないため、最初はどう関わっていけばよいのかわからず、また、どの部分を手伝う必要があるのかもわからず、今後の親や自分たち家族の生活がどうなっていくのか考えると、不安だらけの状態でした。
 私は仕事でケアプランを作成していますが、ケアプランは利用者さんや家族の意向が基になるため、利用者さんや家族にはどのような生活をしていきたいかを考えてもらうことが必要になります。親の介護をするにあたり、まずそれを考えるところでつまずいてしまいました。
 親は自分の身体がこれまでとは違ってきていることは分かっていても、このままでは生活することが難しくなるというところまではまだ考えることができていない様子でしたので、家族が親の今後の生活について考えていく必要がありました。
 自分の提案で、今後の親の生活の方向が変わってしまうかもしれない、そう思うと大変悩みましたが、まずは今困っていることから改善していこうと考え、介護保険のサービスの利用を提案することにしました。
 親は、最初は介護サービスを利用することでどう生活が改善するのかイメージしにくいようでしたが、一度利用してみて考えてもらうよう勧めました。
 いざ実際にサービスを利用してみると、親は、サービススタッフの方々との会話を楽しんだり、身体の動きが良くなり、生活が改善することが実感できた様子で、半年経った現在もサービスの利用を続けており、私たち家族も、自分たちではできない介護をサービスの方に担ってもらい、心強く、とても助かっています。
 私はこれまでケアマネの仕事をしてきて、家族の介護負担については理解しているつもりで、介護負担軽減のためにとサービスの提案などもしてきましたが、今回、実際に家族の立場になり、その悩みや介護などを経験し、これまでは家族の大変さを本当には理解できていなかったのだと強く実感しました。
 家族が介護の大部分を担わなければならなかった時代に比べると、今は、必要なサービスが利用しやすくなっており、利用者にとっても、家族にとっても、良い環境になっていると思いますが、それでもやはり、1人の人の生活を支えることは大変です。
 介護を受ける人も、家族も、笑顔で生活できるように、制度の改善を願いながら、私自身もケアマネとして成長していきたいと思います。
(M・N)