「新社会兵庫」 3月26日号
- 「行く、逃げる、去る」という言葉があるように、年が明けて3月まではあっという間だ。特に今年は統一自治体選挙の年。選挙にかかわる身には一段と加速がつくかのようだ。まもなく県議選や神戸市議選が始まる▼年を重ねてくると、前回選挙からの4年という間隔は何だか罪深い。嫌でも大きな変わりようを周辺に感じる。街並みの変化もそのひとつだが、何よりもお願いに訪ねて回る先の高齢化に驚く▼だが、思い上がってはいけない。それはとりもなおさず自分のことでもある。4年前は、さらに8年前には、「もっと動けたのになあ」―。こんなため息やぼやきを発しながら、いよいよ選挙本番だ。新しい力、新しい要素を取り入れることができれば元気も出よう▼亥年の選挙は統一自治体選挙と参院選が重なる。亥年選挙は自民党には厳しく、「亥年現象」という言葉も生まれた。2007年の参院選では前年に誕生した第1次安倍内閣が大敗して退陣した▼改憲のためには手段を選ばぬ安倍首相。衆参同日選挙で3分の2議席確保を目指すのでは、との見方も強まっている。だが、これ以上、ウソとごまかしの暴走政治を永らえさせるわけにはいかない。まずは4月の選挙で全員勝利を勝ちとろう。
- ブラック企業の解雇に裁判で対決
- 昨年10月、姫路市飾磨区のカットハウスに勤務するFさんから、「残業が日常的で、有給休暇も取れないので文句を言うと、気に入らないのなら辞めろと言われる」といった相談を受けた。その後、彼女は姫路ユニオンに加入、年休取得などの権利行使を主張し始めたところ、突然解雇を言い渡された。
11月末に行った団体交渉には、会社側からの参加は代理人弁護士一人のみであった。ユニオンが解雇理由を質したところ、「客からクレームがあったため」といった理由が弁護士から示されたが、「そんなことくらいでは解雇理由にならない」と私たちは反論した。客観的で合理的な理由を具体的に示すよう告げ、併せて未払い時間外手当の支給等を求めてその日の交渉を終えた。
後日、弁護士から示された解雇理由は、「客の要望より髪を短く切りすぎたことによりクレームがあった」「勤務時間中にたびたびスマホを使用していた」「勤務時間中にたびたび飴をなめていた」といった内容が羅列されていた。まったくもって解雇理由たり得ない中身でしかなく、取ってつけたような理由であった。
解雇撤回を求めて再交渉の設定を要求したが、会社側はFさんの退職を前提とした金銭解決を申し出たため交渉は決裂、Fさんは昨年末を以て解雇された。
「お金の問題ではなく、あくまで職場復帰と店長からの謝罪を求めたい」として、Fさんは法廷の場で争うことを決意した。
彼女のように雇入れの際に提示のあった労働条件とはかけ離れた無権利状態で働かされている労働者からの相談が後を絶たない。被告であるカットハウスの店長は団体交渉に姿を見せず、対応を弁護士に一任しているが、こういったブラック企業経営者には労働者を雇用する資格が無いことを知らしめる必要があるものと考える。
細川雅弘(姫路ユニオン委員長)
- 男女平等ランキング
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毎年12月に発表される世界経済フォーラム(本部=スイス・ジュネーブ)調査のジェンダー・ギャップ指数というものがある。国の発展レベルではなく、純粋に男女の差だけの調査となっており、149か国を対象に4分野14項目のデータを元に各国の男女格差を分析して出された男女平等ランキングである。
気になる日本は、経済(117位)、教育(65位)、保健(41位)、政治(125位)で総合110位となっている。それは、経済分野において男女の賃金格差問題があることと、管理職等ポストに女性が12%しか就けていないこと、さらに政治分野において女性国会議員も女性閣僚もあまりにも少ないことが要因で、110位は納得できる。昨年は114位で今年は4位順位を上げたとはいえ、指数が0・017の改善のペースでは完全に男女平等が実現するには108年先との試算までしている。
2006年から調査は始まっているが、アイスランドはここ4年程トップで、4位まで北欧の国々が占めている。女性の就業率の高さ、賃金格差の縮小、企業や政治でも女性が多く活躍しており、何と言っても社会保障が充実しているというイメージも定着している。
日本は経済大国でありながらこの順位は、と嘆いてばかりはいられない。3月8日は国際女性デーである。女性の生き方を考える日、女性の社会参加を呼びかける日、女性に感謝する日など国によって様々。I(アイ)女性会議ひょうごはここ3年、日本の男女平等ランキングの低さをチラシで訴え、今年は政治の場にもっと女性を増やすチャンスの年であるとささやかながら行動をした。
さて、政府は国連の「女性差別撤廃条約」を1985年に批准したが、対応の遅れと不十分さが指摘され、改善を求められてきた。安倍政権においては「女性の活躍」を声高に叫び、「政治分野の男女共同参画推進法」をつくったが、もっと積極的なアクションが必要ではないか。クォーター制、パリテ法など世界では本気で女性議員を増やす努力をし、女が闘っている。ランキングが高い国々も自然に男女平等社会が進んだのではなく、きっと多くの女性が闘って権利を勝ち取って今に至っていると思う。
今年の国際女性デー、スペインでは首都マドリードとバルセロナで計50万人以上がデモに参加し、労働組合ではストライキを実施した。130位のトルコでは治安部隊がデモ参加者を排除。ニューヨークのマンハッタンでは働く女性への連帯集会でトランプ政権の移民排除に対し支援の呼びかけをしたと報じられている。
世界中で女たちは怒り、行動している。私たちも男女平等社会のためにもっと多くの人と連帯しなければと思う。
(加納花枝)
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