「新社会兵庫」 09月25日号
 本紙が読者の目に届く頃には自民党総裁選はおそらく「安倍3選」という面白くもない結果になっているだろう。一強を反映して総裁選自体はあまり活発だったとは言えなかったが、この党代表選挙でも党外向けに街頭での選挙演説会などが行われた▼党内の選挙を党外に訴える。昔はどうも理屈に合わないのではと思っていた時もあったが、考えてみるにアメリカなどの大統領や議会選挙で普通に行われている「予備選」に通じるようなものではと、それなりに納得する▼不正確な印象かもしれないが振り返ってみると、日本でこのような形式の党代表選挙は往時の日本社会党委員長選挙から始まったのではなかったか。委員長就任が確実視されていた田辺誠氏に、勝ち目がなさそうにみられていた上田哲氏が名乗りを上げ、選挙戦はというと全国を駆け巡り街頭で演説をすることが、委員長選の戦術だという▼党代表を決めるのにこうしたやり方がよかったかどうか評価は別として、現在の新社会党は残念ながらこうした議論の余地と力がない。当面、もうかなり遅れてしまってはいるが来春の統一自治体選やその他の選挙への候補者の擁立を確実に行っていくことから始めていくべきではないか。
命の水を儲けの手段にするな
     「水道法一部改正案」の危うさ
 「水道法の一部改正案」―。『新社会兵庫』の読者の皆さんなら「知ってるよ」「聞いたことはあるよ」と言われるだろう。しかし、国民の大半は「知らない」と答えるのではないだろうか。
 7月22日に閉会した第196回通常国会。森友・加計疑惑に端を発し、財務省の文書改ざん・虚偽答弁など次々に国民に対して嘘を重ねてきたことが発覚した。また、多くの反対を無視して、働き方改革法案やカジノ法案を強行採決した中でこれは動き始めた。 
 知らないうちに可決直前に
3月7日、安倍内閣は「水道法の一部改正案」を閣議決定し、国会に提案している。「水道法の一部改正案」は、世間の注目がロシア・ワールドカップとオオム死刑囚の刑執行に集まり、さらに6月18日に発生した大阪北部地震の直後の6月27日に審議入り。衆議院でたった8時間の審議で、自民・公明・維新・希望の党の賛成多数で可決し、参議院に送られた。参議院では審議未了で廃案となったが、次の国会での成立が予想されている。  
 何が目的なのか
法案の柱は2点。1つ目は広域連携の具体的進め方、2つ目は公共施設等の運営権を民間事業者に設定できる仕組みの導入である。
 簡単に言うと、1つ目は人口減少が進む中で、中小の市町村では水道施設の更新ができず、事業の継続が危ぶまれている。それを県が主導して、市町村の枠を超えた事業体に移行しやすいように協議を進めなさい、ということだ。2つ目は水道事業を、施設は各地方自治体が保有するが、運営は民間事業者ができるように定めようということである。
 広域化の動きはもうずいぶん進んでいる。22都道府県で協議会が設置されて、具体的な協議が始まっている。水不足や水質の悪化による用水事業の相互乗り入れも具体化している(西宮市や明石市と阪神水道企業団や神戸市)。
 しかし、今回の「水道法の一部改正案」の最終目的地は2つ目にあると思われる。これまでの水道事業の民営化の動きを追ってみよう。
 大阪維新と安倍政権は同じ?
 遡ると、2008年当時の橋下大阪府知事登場以降、水道事業の「府市統合協議会」が開始・決裂。2011年12月に、大阪市長となった橋下市長は水道事業について大阪広域水道事業団の統合を提案するも、維新以外の会派の反対で否決。
 他方の動きとして、2012年6月、安倍政権が発表した「第3の矢」と称する成長戦略で「2016年までに空港・道路等を含めて、水道・下水道事業の各6事業の民営化」を盛り込む。そして、2013年4月、麻生大臣は、G20での講演で「日本の水道をすべて民営化する」と発言。それと軌を一にしたように、2013年11月、橋下市長が「水道事業民営化について(案)」を提示。その特徴は、(1)上下分離方式の採用、(2)公共施設等運営権制度の活用、(3)契約期間30年、という内容。施設は自治体のものだが、運営は30年という長いスパンで民間事業者に任せるというもの。その後、「大阪都構想」の混乱、住民投票での否決を経て、2017年の市会で継続未了・廃案となった。
 ところが、吉村大阪市長は直ちに「国会で審議中の改正水道法を利用した民営化プラン」を再構築すると表明している。
 こうした経過を見れば、今回の水道法の改正案はカジノ法案よろしく、大阪維新の後押し(取込み)を狙いながら、いのちの水を市民や国民の手から奪い、儲けの手段にしようというものである。
 世界の流れは再公営化
 ヨーロッパでは20世紀に入ってから、水道事業の民間化が広く行われた。これらの運営会社は世界に進出し「水メジャー」と呼ばれている。3大企業がフランスのスエズ、ヴェオリアとイギリスのテムズ・ウォーターで、日本にも進出してきている。
 この15年間、世界の水道事業に大きな変化が起こっている。パリ、ベルリンをはじめ、水道事業が再公営化された事例は、35か国180件を超えている。水質の悪化、施設更新の遅れ、水道料金の高騰などが理由だが、事業を独占的に行える企業が、儲けを優先すればこうなるのは必然である。
 世界の例に学び、多くの人に「水道法の一部改正案」の危険な狙いを知ってもらいたい。
信岡修造(神戸 水道人)
夜勤労働の仮眠や休憩問題で反省
 夜勤の休憩時間の確保について取り組んでいる。
 Aは障がい者福祉の入所施設、Bは高齢者の施設である。Aは17時に出勤し翌朝9時までの勤務、Bは16時に出勤し翌朝9時までの勤務。Aは16時間、Bは17時間勤務となるが休憩時間が確保されていない。
 Aは各階1人配置のため、休憩で交代できる職員がいない。Bは1人勤務のため交代できない。Bは認知症の高齢者がいるため、徘徊や転倒などの恐れがあり、目を離すことができない。
 労働基準法では「労働時間6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分の休憩」が定められている。休憩させていないことは法違反になる。Aに対しては問題を指摘し改善を求めてきたが、改善されないままだった。退職者が休憩できなかった時間を請求したことで、法人は全職員に対し、2年遡り手当を支給することになった。ただし、手当を上げても、割増賃金を支払っても、休憩できてないことに変わりはない。
 他社で働いていた職員から話を聞くと、夜勤中2〜3時間程度の休憩を取れていたという。積極的に改善すれば休憩時間は確保できる。法人の怠慢であることがわかる。
 夜勤従事者の健康へのリスクは大きい。WHOは、体内時計を乱す交代勤務と発ガン性のリスクについて関連性があることを10年以上前に発表している。これを受け、デンマークでは20年以上交代勤務に従事し、乳ガンを発症した女性労働者の労災を認めたという。
 医療・介護福祉のほか、コンビニや飲食関係などで24時間勤務が広がっている。私は夜勤について軽く考えていたのかもしれないと反省している。深夜に働かなければならない仕事があることは事実だが、負担の軽減、仮眠・休憩時間の確保など、積極的に要求していなかった。
 Bとは交渉を進め、夜勤従事者の負担軽減措置を実施し、Aとはこれから交渉を始める。 健康はお金で買えない。長時間労働が問題視されている今、夜勤の労働についても真剣に向きあわなくてはならない。どんな法律があるのか、仮眠場所の整備、休憩場所の確保、夜勤中でもできる健康管理の方法など、できることがあるはずだ。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)
川柳は心の言葉
 最近、川柳を詠んでいます。川柳はたった17文字の、世界で最も短い文芸ですが、だからこそそこに込められた詠み人の思いを読み手が想像を膨らませて共感できるのです。
 作り始めたきっかけは、以前に被災地メーデーで出したメーデー川柳〈被災地の思いをつなぎ二十年〉等が参加者の拍手で選ばれたりしたことです。
 それから全国の医療福祉生協の情報誌『コムコム』の川柳欄に時々投句していたら優秀作品一席に〈素を生きる卒寿の言葉沁み透る〉を選んでいただきました。
 気を良くした私はそのことを何気なく、ヘルパー訪問先の80歳を超えた女性に話すと、彼女は神戸新聞文芸欄の俳句や川柳に投句されていて、たびたび選ばれて月曜の朝刊に載っていることを知りました。ユーモアがあって可愛らしい句なのです。文箱の古い葉書に足らずの切手を貼って毎週欠かさず丁寧に投函されているその方の目標は特選になることで、80歳を過ぎてなお目標や生き甲斐を持てることは素晴らしいと思えました。
 それで私も神戸新聞に投句を始め、選者の八上桐子先生にたまに撰っていただけるのですが、彼女にはまったく及びません。やはり心に余裕がないと佳い句は浮かびません。毎月お題が出て『丁寧』の時に〈丁寧な組み木細工が息をする〉が、『象』の時に〈象はただ気高くあればそれでいい〉が載りました。私は主に通勤で駅まで歩きながらお題を考えます。運動しながら頭を使うと認知症予防にもなるので一石二鳥です。
 それからいろんな意味で先輩である門前喜康さんに勧められて時実新子先生が始められた『現代川柳』で誌友として勉強させていただいています。
 その中で『人間の目・社会の目』という時事川柳のコーナーがあり(元朝日新聞記者・佐伯善照選)、〈南北のハナを咲かせて春が来る〉〈「臣民」はもと来た道に行くもんか〉を撰っていただきました。
 昭和初期には〈手と足をもいだ丸太にしてかへし〉と詠み、反戦を貫き通した石川県出身の川柳作家・鶴彬(つるあきら)という人もいます。
 俳句と川柳の主な違いは、俳句は自然を詠み、川柳は人間や社会を詠みます。喜怒哀楽を詠む心の言葉です。俳句には季語がありますが、川柳には無く、次の3つの要素があります。@うがち(穿ち) →ウィット・機知にとんでいるAおかしみ(滑稽) →ユーモア(良質な笑い)Bかるみ(軽み) →ペーソスにとんで洒脱である。
 「川柳」は、江戸時代に柄井川柳 (からいせんりゅう) という人が庶民に広めたもので、俳句とは兄弟のようなものです。辞世の句は〈木枯らしや 跡で芽をふけ川柳〉
 川柳は、先ずあったこと、思ったことを、素直に17音字にすることから始めればよいのです。みなさんも生活の中のちょっとしたことを17音字にしてみてはいかがでしょう?                        
(菊地真千子)