「新社会兵庫」07月10日号
- ふだんはJリーグの試合など見向きもしない人でも、ワールドカップともなれば、ついつい深夜でもテレビを見てしまい、応援にも熱が入る“にわかファン”が急増する。恥ずかしながら、そう言う筆者もその1人だ。それが、先日のコロンビア戦のように日本代表が番狂わせともいえる勝利を飾り、ついには決勝トーナメント進出を決めたとなればますますヒートアップするのも当然だろう▼そんな騒ぎの陰できっとひそかにほくそえんでいる人たちもいる。国内の話題がサッカーに集中し、そのおかげでテレビや新聞の扱いがずいぶんと小さくなって“救われた”人たちだ▼そのひとりが、加計孝太郎・加計学園理事長だろう。疑惑の渦中にありながらこれまでいっさい表に出てこなかった人物が、敢えてなのか、日本代表のワールドカップ初戦の日に急きょ初の記者会見を行い、安倍首相との面会を「記憶にも記録にもない」と、そのことだけは断言してわずか25分で切り上げた▼もうひとりは安倍首相自身、いや安倍政権そのものか。日本代表が決勝トーナメント進出を決めた翌日、喜びや日本代表が採った戦術の是非をめぐる議論に沸くさ中、「働かせ方改革」関連法案を強行成立させてしまったのだ。
- 「ひょうご働く人の相談室」設立
誰でも気軽に相談できる窓口へ
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このたび、労働相談を専門に活動するNPO法人「ひょうご働く人の相談室」を設立して活動を開始した。このようなNPO法人は東京などでいくつかあるが、兵庫県下では初めての試みで、記者発表してサンテレビ、神戸新聞などでも報道された。
7月4日に設立記念セミナーを実施し、大阪市立大学大学院教授の柏木宏氏から「社会変革における労働組合とNPOの連携」と題する講演と弁護士など賛助会員の専門家から問題提起をいただき、今後の活動を確認し合った。
法人の設立については、ほぼ当初の予定通り登記までこぎつけ、労働組合のほかに、弁護士や社会保険労務士、心理カウンセラーなどの専門家、医療生協や市民活動団体などから広く賛同をいただき、順調な船出をすることができたと思っている。
しかし、実際に悩んでいる労働者のもとに相談室の情報を届けるためにいかに発信力を強めるか、組織的基盤の弱いNPOをいかに継続・発展させるのか等々、スタートから課題はたくさんある。
さて、この議論の直接のきっかけは、一昨年6月のひょうごユニオン定期大会で「社会的信用のあるNPO法人の相談窓口を作ってはどうか」という姫路ユニオンからの発言だった。私もかねてから同じ問題意識を持っていたので、検討会に加わり、行政や労働組合の相談活動の実情を調査したり、東京東部労組の「NPO法人労働相談センター」に勉強に行ったりして検討を重ねた。
一番の問題意識は、ユニオンに相談に来られた人から「どこに相談したらいいか全くわからなかった」「ユニオンや労働組合はなかなかハードルが高い」といった声をよく聞かされることである。労働組合も一生懸命やってはいるのだが、まだまだ、相談したくてもできない人がたくさんいるのだ。
そしてもう一つは、国機関への相談は9年連続で100万件を超えるなど行政への相談件数は高止まりしているのに、ユニオンの労働相談件数が減少しているという問題である。また、労働者の味方とは思えない大手弁護士法人等が派手なコマーシャルで労働事件にビジネスとして参入する事例が増えている問題である。こうしたことが、結果的に労働事件の解決水準を落とし、労働者の権利の低下につながっているのではないかという指摘がある。
こうしたことから、労働者が問題に直面した時に、誰でも気軽に相談できる、社会的信用がある、同時に本当に労働者の利益を第一に考えてアドバイスし,専門家を紹介してくれる相談窓口が必要ではないかと考えたわけである。
さて、しかし、いざ作るとなると、当然、お金や人をどうするのかといった現実的課題があり、予想されたことであるが、厳しい意見も出された。ユニオンの全国的な傾向は兵庫においても例外ではなく、組織・財政問題を議論している最中であるから、それは的を射た指摘でもあるわけである。
私は、「このような状況であるからこそ、新たな取り組みが必要なのではないか」、「いま、兵庫にある人とお金を生かしてやれることをやったら良い」と考えた。議論した結果、お金も相談員などのボランティアも、初めから対象を狭めず改めて広く呼びかけてみよう、活動のウィングを広げる努力をして頑張ってみようじゃないかということになった。
設立にむけて呼びかけをしたところ、案外すんなり多くの団体や個人の賛助を得ることができ、名前も知らない県外の人からも寄せられた。
6月後半からパンフレットの配布を始め、マスコミ報道もあって相談も増え始めている。
ところで、法律ができて20年、全国で5万団体と言われるNPO法人について皆さんはどうお考えだろうか?中にはいかがわしい団体もあり、事実上休止状態の団体や、補助金行政の請負を主とする団体も多く、所詮安上がり行政の受け皿にすぎないという考えもある。私も明確な答えを持っているわけではないが、活動主体のやり方次第で大変有効な社会運動として展開できる可能性があると考えている。少なくとも、手をこまねいてみているだけでなく、挑戦してみる価値はあると考える。
これからどんな航海が待っているのか分からないが、幅広い連携を追求し、活動と組織の継続・拡大につなげていきたいと願っている。皆さんのご理解とご協力をお願いします。
山西伸史(NPO法人ひょうご働く人の相談室理事、事務局長)
- 時代はユニオンを求めている
- ひょうごユニオンは、阪神・淡路大震災の中で取り組んだ「被災労働者ユニオン」の活動が原点となり、1998年3月28日に結成された。「県下に働く人が安心して相談できる拠り所を広げよう」「新しい労働運動を創造しよう」という方針を掲げてスタートした。当時250人にも満たない組合員でのスタートだったため、専従者を置くことも、事務所を維持することも困難だった。そうした中で、知恵を出し合い、工夫をし合い、多くの労働者・労働組合、支援者に支えられて今年、結成20周年を迎えることができた。
20年を振り返ると、県下に地域ユニオンを広げ(武庫川ユニオン、ユニオンあしや、神戸ワーカーズユニオン、あかし地域ユニオン、はりまユニオン、姫路ユニオン、但馬ユニオンの7地域ユニオンが結集)、また、ひょうご労働安全衛生センターやひょうご労働法律センターなど専門機能を有するセンターを結成し、さらには労働組合共闘の中心を担うなど兵庫の労働運動センター再建に取り組んできた。抗議行動やストライキ、裁判・労働委員会闘争も果敢に取り組みながら、ユニオンの闘争力を高める中で問題の解決水準を引き上げる力も作り出してきた。
しかしながら新自由主義経済による規制緩和の波は凄まじく、20年前では考えられないほど法規制が緩和され続けている。そして今、安倍政権による「働き方改革」によって労働時間規制まで破壊されようとしている。
こうした状況は、労働者に団結して闘うしかないことを教えている。と同時に、これまで20年にわたって培ってきたユニオンのネットワークや争議経験が活かされる。
住友ゴム事件やマツヤデンキ事件など、ひょうごユニオンの抱える争議は長期争議となっているが、それを支える仲間と団結、粘り強い闘いが、企業にとっては脅威となっている。
労働者と共に悔しい思いを共有し、涙を流し、闘い、喜び合う労働者の砦として、時代はユニオンを求めている。
塚原久雄(ひょうごユニオン副委員長)
- 趣味の見つけ方
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今年3月で定年になった。40年間働いてきてもう仕事はしないと思っていたけれど、元気なこと、家族に勧められたこと、頼まれたこと。そして一番の理由、主婦が2人もいらないと思ったこと。それで仕事をつづける決意をし、全く別の部署で働いている。
40年も同じ仕事を続けてきたので、定年!となった時はもう少し感慨深いかなと思っていたが、送別会の時もなぜか涙が出なかった。なぜだろうと思った。やり切った感が強かったのか。再雇用で働くから辞めるという実感がわかなかったのか。変な話だが、冷めた人間なのか、と妙に考えた。でも、4月から行き始めた違う部署の仕事が意外と忙しく、そんなことを考える暇もなくなり、以前と同じように仕事漬けの毎日になっている。
そんな時、私よりも数歳年配の女性と話をする機会があった。その女性は、何年も前に仕事を辞めているのだが、「今が一番楽しい!」と目をキラキラさせて話してくれた。体を動かしたり、編み物をしたり、音楽を聴きに行ったりと、趣味がたくさんあり、毎日が充実しているという。そんな話を聞いていて思った。わたしには趣味がない!と。楽しいと思えるのは、孫と遊ぶことだけ。自分だけの楽しみが何もないのだ。その孫とも以前のように会えなくなり、生きがいだったことが奪われたような気持ちになっている。
それならこの機会に自分で楽しみを見つけたらいいのだが、その気がなかなか起こらない。運動してみる?若いころによく行っていた映画を好きなだけ見に行く?物つくり?いろいろと考えてみたが、ぴったりくるものがない。若いころは、定年になったら好きなことをしようと思っていたのに、考えてみたらその好きなことが何もないのだ。だからその女性の話は、自分にない、自分が感じることのない話で、正直うらやましいと思った。仕事以外何もない自分に気づかされたからだ。それは自分が招いたことなので、仕方がないと思うのだが、何もないと思ったらなんともやるせない気持ちになった。やるべきことはたくさんあっても、やりたいことがない。これは性格?いやいや、今までの生活が仕事中心で、休みの時はとにかくゆっくりしたいという気持ちが強く、いろんなことに目を向けてこなかったし、誘われてもなかなか行く気にならなかったからだ。
しかし、数年先には今の仕事も終わる。その時になって、何もない自分にならないためにも、今から趣味探しをしなければいけないと思っているのだが、さてこの漬物石よりも重くなった腰が上がるだろうか。
(H)
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