「新社会兵庫」 06月26日号
 国政選挙などで男女の候補者数をできる限り均等にする努力義務を政党や政治団体に課す「政治の分野における男女共同参画推進法」がようやく成立した。ただし、罰則規定がない理念法で、各政党・団体に「自主的」な取り組みが委ねられる▼世界の国会議員が参加する列国議会同盟が3月に発表した各国の女性議員割合のランキングで、日本は193カ国中158位。候補者を均等にする努力義務をどれほど真剣に取り組むことができるか。統一自治体選挙、参院選が行われる来年に向け本気度が問われることになる▼しかしながら、政治の分野だけが大きく男女平等が進んでいなかったのではない。個々人ではなく家族単位で組み立てられた諸制度の下、財産・結婚・働き方等々差別的な扱いが続いてきた。根強い男女の役割分担意識によって、家事・育児・介護の多くが女性の責任として負わされ、管理職の女性割合は極めて低い▼自立の基盤が弱く、リーダーとなる訓練も機会も少ないことが意思決定の場への女性の参画を阻害してきたのだ。この機会を生かし見直しを進めよう。女性たちが生きやすくなれば男性たちも生きやすくなる。憲法を活かしきる道がここにもあると言えるだろう。
アジアの平和へ 日本の軍事大国路線にストップを
 4月27日の歴史的な南北首脳会談につづき、史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで行われ、会談後には米朝関係の改善をめざす共同声明が発表された。声明では、「新たな米朝関係の樹立が朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると確信し、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を推進することができる」として、@新たな米朝関係を樹立するA朝鮮半島の恒久的で安定的な平和体制を構築するために共に努力するB4月27日の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを約束する、などの4点の合意が表明された。
 朝鮮半島の平和と統一への扉を開く画期的な内容である。つい数か月前には、政治的駆け引きがあるとはいえ、挑発的な言辞の応酬で戦争の危機すら感じられる厳しい緊張関係があったことからすると歴史的ともいえる情勢の転換と言えよう。まずは、このことを心から歓迎し、支持したい。
 だが、この共同声明については、「非核化の具体的な時期や手法がない」「朝鮮戦争の終結宣言には至らなかった」、「トランプ大統領が譲歩しすぎで危険だ」、とりわけ国内では「拉致問題への言及がない」など、不十分な内容だとして否定的な評価が多い。日本のマスコミもこぞって評価が低く、警戒的だ。
 だが、そんな評価はむしろ主観的すぎて現実的でないと言えよう。これまでの両国間の関係を考えれば、これほどの歴史的な課題の解決は一気呵成にすすむものではなかろう。たとえ今後、紆余曲折があったとしても、時間はかかっても、今回灯された希望の実現に向けて、当事者国はもちろん、関係諸国も努力を重ねていくべきだ。その出発点を合意できたということに歴史的な意義がある。
 私はとくに、「板門店宣言を再確認し」という点に強く注目したい。改めて板門店宣言を振り返ってみる。同宣言では、「現在の休戦状態を終わらせ、確固たる平和体制を樹立することは、もはや先送りできない歴史的課題だ」として、@いかなる形態の武力も互いに使用しないという不可侵合意を再確認し、厳格に順守していくA段階的に軍縮を実現していくB北と南は休戦協定締結65年となる今年、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築するため、南北米3者、または南北米中4者会談の開催を積極的に推進しC南と北は、完全な非核化を通して核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した、とうたっている。朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の終結は鮮明にうち出されており、米国も今回このことを再確認したということだ。もちろん、具体的な取り組みは今後の交渉と実行に委ねられていくことになるが、すでにこれまでにない両国の対応は注目に値しよう。北は、核と弾道ミサイルの実験の停止、拘束された米国人の帰還、核実験場の廃棄などに着手しており、米側も交渉中の米韓合同軍事演習は中止することを明らかにしている。
 こうなると、今こそ日本の外交の姿勢が大きく問われてくる。これまで通り、日米同盟一辺倒でアメリカに追随しながら、硬直した敵視政策をそのままに、北朝鮮への「最大限の圧力」で対応するというのであれば、新たな情勢に背を向けていると言わなければならないし、外交上の成果も得ることはできまい。日本だけが世界の情勢に取り残されていくことになるだろう。今こそ日本は東アジア、朝鮮半島の平和に向け、積極的に北朝鮮との対話を求め、向き合っていくべきだ。
 だが、安倍政権の姿勢はどうだろう。私たちは、この情勢の一方で、日本の安保政策の大きな変更が行われ、「専守防衛」の「原則」から大きく踏み出す、いっそうの軍事大国化への動きが進んでいることに注目し、警戒しなければならない。本紙の「改憲の動きをウォッチング」(今号と前号)でも指摘、批判しているが(紙幅の都合上、内容についてはそちらを参照してほしい)、今年の年末にも予定されている「防衛計画の大綱」と中期防衛力整備計画(中期防)の改定の問題だ。6月初め、自民党は政府に、海上自衛隊護衛艦の「空母化」などを内容とする提言を行った。憲法9条の改悪を先取りするこの軍事大国化への道は何としても止めなくてはならない。                     
上野恵司(平和運動研究会)
年休の趣旨に反する『皆勤手当』
 6月1日、年休制度の趣旨に反する「皆勤手当」制度の問題で、但馬労働基準監督署に申告をした。
 ユウキ産商に勤務する組合員のIさんは会社による「賃金差別とパワハラ」問題で団体交渉を3回開いてきたが、その中の一つに「皆勤手当制度」の是正を求める要求があった。年休を月に3日取得すると「皆勤手当」の1万円が0円にされるのだ。これについて、会社や代理人弁護士は以下のように回答してきた。「皆勤手当が権利として認められている場合には、その支給を有給休暇日数により制限することは労働基準法違反となりますが、……当社においては、就業規則等に皆勤手当の規定はなく、会社での年間勤務日数が一定以上の従業員に対する褒賞制度として位置付けております。……現行の制度運用が法律に反するものではないと認識しております」。
 ユニオンとしては、就業規則云々ではなく実態として皆勤手当制度が運用され支給されているにもかかわらず、年休を取得(月3日)すると減額(1万円が0円に)するという不利益が生じていることを問題にし、労働基準法第136条(年次有給休暇を取得したことによる不利益な取り扱いの禁止)に違反していると主張してきた。団体交渉では、会社と弁護士は話をすり替え、年休の趣旨については一言も語らず、議論にならなかった。
 Iさんは、ユニオンの主張によって会社が「それなら皆勤手当制度を廃止します」と言い出さないか、そうなると職場の人から「お前がいらんこと言うからだ」と怒られると、少し心配していたが、ユニオンの主張は「年休制度の趣旨を守れ」ということだと再確認した。
 こうしてIさんは勇気を出して団体交渉からさらにすすんで但馬労働基準監督署に申告することになった。労基署の対応は親切で、本人からの聞き取りと団体交渉の資料や証拠書類(賃金明細)の提出を求めてきた。
 今後、労基署は調査の上、ユニオンに報告すると説明があった。会社の回答と対応次第では再度、団体交渉を要求していく。  
岡田一雄(但馬ユニオン委員長)
“ブラック”への反撃
 今、私は労働争議を闘っている。
 昨年、若者正社員チャレンジという東京都の就職支援事業(実態は都が「しごと財団」に委託し、さらに「しごと財団」が「旧インテリジェンス」や「アデコ」といった民間の人材派遣企業に丸投げ)によって紹介された企業に就職した。
 しかし、そこは典型的なブラック企業だった。研修中は朝8時から終電(23時45分くらい)まで働き、研修後は客先(現場)に常駐(実際は4次請けなのに3次請けの形で入らされ、また現場入場前の面談では、偽装したスキルシートの提出を命じられた)、現場での仕事が終わると、派遣元に戻り、そこで終電まで業務をさせられた。月の残業時間は100時間超えで、休日出勤も強制され、手取りは12万円前後。また、上司からは「お前のしゃべり方イラつく」「そんなこともできねえのか」「なめてんのか」などといった酷いパワハラを受け続けた。
 心身ともにボロボロになり退職した。そして未払い賃金請求の文書を送ったところ、ブラック企業側はすぐさま弁護士を介してなめきった文書を送りつけてきた。弁護士は、私が定時後に社内で行なっていた作業は「能力向上のための自主学習であり、会社として残業の業務指示は出していない」という回答を出してきたのだ。
 労基署に相談し、様々な資料を提出したが、結局、確実に賃金未払いとして指導できるのは2万円弱とのことだった。行政の力だけでは限界を感じ、信頼する友人たちにすすめられ、ユニオンに加盟した。ユニオンの仲間たちとブラック企業の社長に団交申し入れ書を渡しに行き、翌月1回目の団交を行った。30歳の坊ちゃん社長は平然と嘘八百を並べたてた。いま、ブラック企業側の嘘を暴くための資料を再度集め、文書をまとめ、次回団交に向けて協議中である。
 自身の争議をとおして、改めて資本主義の暴虐性、獰猛性、狡猾性を実感した。どれだけ費用をかけずに労働者から労働をむしりとるか、どうやって労働者を自らの支配下に置くかということだけをブラック企業の経営者は考えている。自分が辞めたら同僚が余計大変になるような状況を常につくりだし、それでも労働者が黄信号を出したら、「みんなお前のためなんだ」と懐柔する。
 ブラックな職場で酷い目にあっている人は多い。しかし、多くは酒を飲んで不満をもらすだけであったり、延々とアニメを見たりゲームをやり続けたりといった消費行動に逃避し、闘うことを放棄してしまっている。確かに圧倒的な力の差のある敵に立ち向かってゆくことは並大抵のことではない。しかし、自らが立ち上がれば、その闘いを支えてくれる仲間は必ずいる。それが地域のユニオンだ。御用組合だけが労組ではない。受動的な労働者、動物的な消費者から主体的な生産者へ。我らは無力な民ではない。支配的な価値観を拒絶し、打倒し、新たな価値を、真の文化を創出する無限の可能性を秘めた生産者だ。されど、個々人によるその自覚と決起がなければ、単なる割りばし。用済みになったらゴミ箱行き。逃走は無意味だ。闘争にしか道はない。今こそ反撃の狼煙を高くあげよう。奪われたものを取り返そう。私も団交に勝利するまで、闘い続けることを宣言する。
(東京・鶴見太郎/28歳)