「新社会兵庫」 04月10日号
 「信なくば立たず」。為政者と民の間に信頼関係がなければ、政治は成り立たない、という論語の言葉である▼なんと、これが民の信頼を裏切り続け、立つどころかヨロヨロ状態の安倍首相の座右銘であるというから驚く。「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法第15条2項)、つまり国民の奉仕者であって、安倍首相の奉仕者であってはならないと憲法に規定されている財務官僚が、改ざんした公文書を、これまた国権の最高機関と憲法に規定されている国会に提出し、欺瞞しようとした前代未聞の大事件を引き起こした▼首相に対する忖度競争がもたらした腐敗である。圧倒的な国民が「安倍さんに限ってそんな」と考えるならば、信ありて立つであろうが、「安倍もいよいよアウトだな」と思うならば、「信なくば立たず」どころではない。座右銘による圧死である。「信」を「晋」と読み違えて「晋なくば立たず」と開き直るほど破廉恥か▼問題は、「俺は知らなかった(知らぬはずはない!)」と言い逃れを図るレベルではない。目先の小細工が、政治への信頼を見るも無残に崩壊へと導いている波動をしっかり読みとり、総辞職・退陣こそが民主主義を守る唯一の道である。
安倍「働き方改革」をくじこう
 安倍首相は今通常国会を「働き方改革国会」と命名し、裁量労働制の拡大や究極の裁量労働制である高度プロフェッショナル制度など労働時間規制の撤廃を進めようとした。裁量労働制の拡大への理由の一つとされた労働時間調査のデータがでたらめであることが明白となり、とりあえず裁量労働制の拡大は見送られた。財界からは失望の声が出されたが、財界の失望にこの法案の本質が見えている。国会は「財務省の公文書改ざん」問題で流動的ではあるが、安倍政権は働き方改革の成立に執念を燃やしている。
 残業時間の規制強化だと月100時間未満や年間750時間は、「過労死促進法」と言うしかない。
 武庫川ユニオンでもそうだが、全国的に労働相談でメンタルに関わる相談が多いと言われる。現在関わっている相談をいくつか紹介する。
 Aさん。ずっと長時間労働が続いていた。年末年始の休暇が終り、初出で社長の新年のあいさつを聞いた途端に、動機が激しくなり、現在休んでいる。彼は中小の鉄工所の労働者だが、月に60時間から80時間の残業を継続しており、働き続ける自信を失い、目の前が真っ暗になったという。
 Bさん。固定残業制度で何時間働いても残業手当は同じ。上司は「お前の仕事の仕方が悪い」と言うだけ。病院の診断書を出して休業を申請しても、「出てこい」と言われる。 Cさん。突然、残業や休日出勤を命じられる。断ると、仕事を教えてもらえないなどの嫌がらせ。もう体がもたない、などなど……。
ユニオンに相談に来る人の年収水準は高プロ制度(1075万円)の水準の人はいないが、たとえ年収が高くても無制限で働き続ける人生は厳しい。安倍首相には裁量労働で保育園に迎えに行くなどという姿はあろうはずはない。
 「働き方改革」の反対運動は、運動路線の問題ではないだろう。大手企業の労働者がまず直面する問題のはずだ。労働法制改悪反対の全国キャラバンも取り組まれる。すべての労働組合、労働者が全力を上げる時だ。  
小西純一郎(武庫川ユニオン書記長)
“地球の子ども”の教育を受ける権利
 1995年1月17日。寒さと恐怖に震えていたあの日あの時、灘区南部の住民は、中央区との境にある「東神戸朝鮮初中級学校(当時)」に避難し助かった。今まで近くて遠い存在だった朝鮮学校が、それを機に、より近い存在となった。その朝鮮学校は地震で全壊。国からの支援は半額補助、残りは保護者負担に。日常的にも、「一条校(*)」でないために国からの支援が少なく、再建は容易ではないことを知った。
 急きょ、「朝鮮学校を支えるおんなたちの会」(山村ちずえ会長)を立ち上げ、2年間24回にわたって、兵庫県下の朝鮮学校再建カンパのお願いの街頭行動に取り組んだ。当初は私たち日本人だけの行動だったが、徐々にオモニたちも増え、自ずと連帯感が生まれた。集まった署名8,000筆は、国・兵庫県・神戸市に提出。また、街頭でのカンパ金と「ハラボジ・ハルモニ人形」(写真)販売等の収益で集まった約1,000万円が朝鮮学校再建のための費用となった。熱く燃えた日々が今となっては懐かしい。
 長い間、朝鮮学校は「一条校」でないためにどれだけ差別されてきただろうか。日本の学校周辺には当然のようにあるグリーンベルトや信号機がない。通学定期券もなく、大学も門戸が閉ざされていた。少しずつオモニと一緒に道を開いてきたものの、今なお差別は残されたままだ。
 その一つ……。高校授業料無償化で朝鮮学校は対象から外された。「私たちがなぜ差別されるのか、なぜ否定されるのか」と、朝鮮高級学校の生徒たちは、毎月、JR元町駅前での署名行動を通して訴え続けている。
 さらに、アベ政権による北朝鮮バッシングの最中、「兵庫県外国人学校振興費補助」が大きく減額された。「文科省検定教科書(5教科)を使用しているか否か」「教員の3分の2以上が日本の教員免許を有しているか否か」等、これらの支給要件をクリアしていないことを見越した上での朝鮮学校を標的にした学校潰しと言わねばならない。
 今、「外国人学校協議会」「日朝友好兵庫県民の会」「アイ女性会議兵庫県本部」「朝鮮学校を支えるおんなたちの会」等の市民・支援団体がそれぞれに兵庫県や神戸市に申し入れ、懇談の場を持っている。あくまでも教育の現場に政治的なものを持ち込むべきではないと。
 国籍を超えた“地球の子ども“の教育を受ける権利を保障するためにこれからも寄り添っていく。
*「一条校」とは……学校教育法第1条に定められた学校の総称。幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校
(神戸市会議員 小林るみ子)