「新社会兵庫」 03月27日号
 ここにきて森友不正事件が大きく動き、財務省決裁文書の改ざんを炙り出した。この問題、たんに公文書の偽造というにとどまらない民主主義を根底から否定するような政治の歪みを見せつけている▼もとはといえば、すべてが安倍首相に端を発していることは明らか。誰もがそう思っているけど、自民党内にはそれを口にする議員がいない。聞く範囲では元閣僚のMくらいか。今後の展開は予断を許さないが、安倍が窮地に立たされていくことは否めないだろう▼それにしても、この間、国民の前に現れた麻生某、「(改ざんは)理財局の一部がやった」「佐川が…、佐川が…」と、見苦しい。また評判を落とした▼執筆と発行のタイムラグでしっちゃかめっちゃかになりそうだから取り上げるのは避けようと思っていても、森友のことを書きだしたら止まらない▼ただ思うのは、野党はどうして国会内だけでやろうとするのだろう?韓国のろうそく革命はもちろん、銃乱射事件のアメリカの高校生だってフロリダで、ワシントンで規制に消極的な政府を議会外で突き上げる。首相の犯罪を糾弾し、政権が退陣しないならば毎週50万人のデモを続けるくらいの運動が呼びかけられても不思議ではない。
介護保険制度 露呈する総合事業の運営難
          公費による介護保険制度に
 「高い保険料をむしり取って、サービスを使わせない介護保険は詐欺だ」と大きな声で訴えた。2016年10月15日に結成した「安心と笑顔の社会保障ネットワーク」(通称「安心ネット」)の記念講演で語った日下部雅喜さん(大阪社保協・介護保険対策委員長)の言葉である。
 2000年4月から始まった介護保険制度は、「高齢者の尊厳の保持と日常生活の支援」をめざし、家族介護の限界を克服する「介護の社会化」を主眼としてスタートした。
 2015年度から3年間の第6期事業計画には、2013年12月に成立した社会保障制度改革プログラム法で強調された「自立・自助・相互扶助」の考え方が反映された。団塊世代が後期高齢者に移行する2025年を念頭に、施設介護から在宅・地域介護への転換が図られた。特養への入所が原則、要介護3以上に制限され、要支援1、2の介護予防サービスは介護保険から自治体の総合事業に移行し、保険料や利用時の自己負担が引上げられることなどである。
 「安心ネット」は2016年11月、神戸市などに対して昨年4月から始まった総合事業への移行について申し入れを行った。とくに基準を緩和した訪問介護では、介護福祉士などの資格を持たなくとも短時間研修を受けた無資格者が介護サービスを担い、介護報酬は現行の8割水準という問題点を指摘し、従来通りの現行相当サービスを基本にするよう要求した。
 この総合事業は、全国的に劣悪な処遇による人手不足、大手介護事業の撤退など運営が困難になっている。神戸市では生活支援訪問サービス(緩和型訪問介護)への移行はわずか4%で、無資格者の研修修了者223人のうち23人しか雇用につながっていない。介護報酬の引下げにより、採算が見込めない介護事業者が撤退したのが大きな原因である。サービスが受けられない利用者も生まれている。営利を見込めない介護事業者の撤退という介護サービスの「商品化」の問題点が浮き彫りになった。
 今年4月から始まる第7期事業計画では「介護予防・重度化防止のための保険者機能の強化」という考え方から「自立支援」型の介護保険運営が目標にされている。
 「安心ネット」は昨年11月、大東市介護保険総合事業の現地調査の取り組みに参加した。「保険者機能の強化」とは、介護保険から「強制的」に卒業させ、自立を促進させることであることが明らかにされた。これでは高齢者の尊厳が守れるはずがない。大東市では総合事業が一昨年4月から開始されているが、市独自の『元気でまっせ体操』による筋力回復で、要支援サービスを利用する高齢者を介護保険から追出している。大東市は今年度の介護給付費を2・5億円削減できると「自慢」する。
 厚労省は介護給付費の高騰を抑えるために、通所介護、訪問介護などで自立支援に取り組む事業者に成功報酬を加算する。また、自立支援や介護度の改善で成果を上げた自治体や事業者を支援する交付金制度として来年度は計約200億円を予定している。「保険者機能の強化」とは、自治体間や事業者間に自立支援や要介護度の改善という競争原理を導入するものである。しかし、介護保険制度は身体機能が低下しても安心して暮らせるためのもので、自立の押し付けは制度の趣旨に反するものだ。
 「老後の安心」を支える社会づくりに向けて、「詐欺と言われない」ような介護保険制度の改革を真剣に考える時だ。全国で100の自治体で総合事業の運営難が指摘されているが、介護サービスを民間市場に全面的に開放していることが大きな問題である。営利を前提にした介護サービスではなく、公共の福祉という行政責任を基本とした介護サービスに転換する必要があるのではないか。
 65歳以上の介護保険料が、来年度から神戸市では制度発足時の2倍を超える6260円となる。介護「保険」制度だから、保険料や 利用料の負担を支払わなければ、介護サービスは受けられない。介護保険財政は公費と保険料で折半しているが、高齢者の急増による保険制度の限界は明らかだ。保険制度ではなく、公費による介護「保障」制度に転換していくべきではないか。 
菊地憲之(安心と笑顔の社会保障ネットワーク代表)
20周年祝うにふさわしい組織作りを
 あかし地域ユニオンは2月10日、第20回定期大会を開催した。ひょうごユニオンをはじめ県下のユニオンから連帯と激励のあいさつをいただいた。あらためて感謝するとともに、引き続き連携を強め、助け合って闘いを強化したい。
 あかし地域ユニオンが考え、強化すべき課題はいくつもある。活動方針には「組織力・団結力・闘争力・学習力を高める」と多くの言葉を並べてあるが、実情はなかなか難しい。第1に、「1人分会組合員を激励し、日常的な活動への参加」を呼びかけ、組織の力・団結の力を強めたい。複数の組合員がいる職場では、ユニオンとの連絡や打ち合わせも十分で、定期的に会議も持たれ、会社との団体交渉も可能である。しかし、1人だけの職場ではそれも難しい。当初の問題が解決した後は、組合員ではあっても連絡を取り合うことも少なくなり、ユニオンの活動に参加することも難しい。相談の途上ではあるが「激励し、参加を」呼びかける活動を強めたい。
 第2に、学習することを大事にしたい。方針には「法律を守らず横暴な企業・経営者と対決する」と書いた。昨年の闘いでは、トラック運転手の未払い残業代、会社の差別的言動に対する労働委員会あつせん申請、偽装請負労働者の労災認定、そして無期契約前にしての解雇事件などを闘い、当該組合員の決意と交渉担当者の頑張りもあっていくつもの成果を収めている。
 あかし地域ユニオンが行っているスタッフセミナーは、これらの交渉に備えるためでもある。しかし、それ以外の学習は、方針にはあるが難しいのが現状である。「知は力」であることを確信して、多くの組合員が参加できる集まりを考えたい。
 あかし地域ユニオンは、来年2月に結成20年を迎える。今日までいつもその中心にいた西山和宏委員長がこのたび退任された。まだ何の相談もしていないが、20周年を祝うにふさわしい、あかし地域ユニオンの組織と運動づくりに全力を上げたい。
金平博(あかし地域ユニオン委員長)
気になる外国人労働
 以前から、ふたつのことが気になっていた。ひとつは、東南アジアから日本へ介護士や看護師になるために送り込まれてくる女性たちのことだ。最初はフィリピンとインドネシア、次いでベトナムが、日本と2国間協定を結んで始まった。
 彼女たちは母国で日本語の初歩を学んでから来日し、病院等で補助的な仕事をしながら勉強して介護士や看護師の試験を受けるらしい。それも、日本人が受けるのと同じ専門用語だらけ、漢字だらけの難しい試験だ。合格して資格を取得したら日本に残って働けるが、2、3年の間に試験に通らなかったら母国に帰される。現在は少し改善されているようだが、これではほんの少数のものすごく優秀でものすごく努力した人しか日本で介護士や看護師になれない。
 母国で看護師として働いていた人もおり、選抜されて来日した人材が生かされる制度ではない。大多数の人が試験に合格せずに母国へ帰るのなら、勉強がすべて無駄になる。本音は、現場で補助的業務をになう労働力が欲しいというだけなのか。
 最近、日本はいよいよ深刻な介護人材不足に陥った。そこで、2国間協定のようなまどろっこしいことをしないで、技能実習生制度を介護分野にも広げることになった。
 気になっていたもう一つがこの技能実習生だ(昔は研修生と言った)。残業代を払わない、逃げ出さないようにパスポートを取り上げる、狭い宿舎に閉じ込めてなおかつ寮費として給料から多額を差し引くといったとんでもない話ばかり聞こえてきた。技能実習生については、その後の法改正等の対策により少しは改善が見られていると思う。
 私は日本語教師として週3回、日本語学校で働くかたわら、来日したばかりの実習生たちが4週間の研修を受けるセンターでも教えている。母国で数か月日本語を勉強しているとはいえ、すぐに日本人と日本語でコミュニケーションがとれるわけではない。私たちは、もうすぐ現場に出る実習生が日本語で意思疎通ができることを目標に会話重視の授業をし、生活指導の先生方は日本の生活習慣やごみ出し等のルールを教え込む。最低賃金等について学ぶ法令講習も必須で、通訳付きでおこなわれている。
 これらの研修は企業が費用を負担しており、人材不足の中小企業にとって技能実習生は金の卵に近い。女子は縫製工や精密機器の製造、男子は溶接工や建設関係など。地方へ行けば農業・漁業の現場に実習生の姿がある。日本人の若者がなかなか集まらない低賃金の職種で、「収入が増えるからもっと残業したい」と働き続けるアジアの実習生たちは貴重な人材である。
 一方、大学や専門学校への進学を目指す日本語学校の学生たちも、高い授業料や生活のためにアルバイトをしている(法令で週28時間以内と定められているが、実態はどうだろうか)。あまり日本語ができない子たちは弁当工場や市場での肉体労働、清掃などの仕事をし、日本語が上手くなるとコンビニや居酒屋で働く。日本語教師になるまでは全然見えていなかったが、膨大な量の労働が外国人の若者たちによって担われている。
 すでに日本経済は外国人労働に依存しているし、今後、介護分野等でそれはますます顕著になるはずだ。きちんとした雇用関係と労働に見合った報酬、日本に定住してもらうための制度を整え、同じ日本に住む市民としての権利が守られることを切に望む。
(H.N.)