「新社会兵庫」 11月28日号
 なんの反省もなく権力にしがみつく人、そこにまつわりつこうとする人には、立憲主義の理解は難しいらしい▼ここ2、3年来、憲法の本旨は、権力が国民を支配しようとするところではなく、国民が権力を縛るところにある、という立憲主義が広く強調されるようになっているが、それを理解できない石頭ぶりを安倍政権や与党が暴露している。立憲主義は、民主主義の要諦であって、憲法では立法府を行政府より上位として、「国会は、国権の最高機関」と定めている▼わが国では、国会審議のほとんどは、行政権力が提出する法案や予算案などを¥立法府が審議するというかたちをとっている。それによって行政権力に対する規制が担われるわけである。内閣は議案を提出する前に、与党と完全に一致するまで議論と重ねる。審議はすべて終了しているわけである▼共謀罪が審議される直前に、金田前法相は恥ずかしげもなく、提出準備(与党との協議)が済むまでは、事前協議は待ってくれと口走った▼野党の審議・追及こそが、行政権力の規制に値いするものである。質問時間配分の問題は、審議権抑奪問題である▼実際の質問時間は政府の答弁によって半分は費消されていることを付け加えておこう。
障がい者と健常者が共に生きる社会とは・・・
「津久井やまゆり園」は今
 2016年7月26日未明、相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で元職員による計画的殺傷事件が起きた。暗闇の中、入居者はさぞかし怖かっただろう、19人の生命が奪われ、27人が重軽傷を負った衝撃的な事件だった。しかも、加害者は、まるで殺傷事件を正当化するかのように「障がい者はこの世に不幸をもたらす」と平然と言ってのけている。この事件は、尊い生命が一瞬のうちに奪われたことの悲しみとともにいくつもの課題を私たちに投げかけた。その一つが、ともに生きる社会とは…である。
 1964年に創設された「津久井やまゆり園」は、当時、受け入れ先のない障がい者とその家族に援助の手を差し伸べる画期的な施設として注目された。その後、「社会で暮らすことが難しい障がい者はコロニー(大規模な入所施設)に“隔離”するべき」という国の新たな人口政策(優生思想)を背景に、全国コロニー整備計画が動き出したのである。その先鞭になったのが「津久井やまゆり園」だった。
 あの殺傷事件から1年4カ月を経た。「津久井やまゆり園」は今、どうなっているのだろうか。残された入居者は今、どうしているのだろうか。家族会は「元の場所に同じ規模の施設を」と主張し、外部の障がい者団体は、“隔離”ではなく「施設解体・地域移行を」と主張している。未だにその結論は出されていない。
自分自身の存在を主張し続ける
 今年6月、長田区のNPO法人「ウィズアス」に事務局を置く「障がい者の声を届ける会(以下、届ける会)」の誘いで、私はJR新長田駅近くの住宅街の一角を訪ねた。この日、集まった重度障がい者は、施設や親元から自立し、地域で一人暮らしをしている。神戸市は、彼らに1日上限15時間のケアプランを提示している。しかし、その時間帯は細切れで、ヘルパー不在の空白時間帯がある。自ずと彼らは自身を制度に合わせざるをえなく、非人間的な生活を強いられる。とりわけ、ヘルパー不在の深夜帯はトイレに行きたくても我慢するしかない。喉が渇いても水を飲むこともできない。転んだら、朝まで転んだまま。痰が詰まることも、体調が急変することもある。神戸市は「生命に関わる危険性はない」と言うが、どうして「危険性がない」と言えるのだろうか。神戸市は、Aさんの安眠のためにと、おむつの使用を勧めた。若いAさんは泣きながら拒否したという。さぞかし悔しかっただろう。このパターン化されたマニュアルがどれだけAさんの心を傷つけてしまったことか。Aさんの尊厳が踏みにじられたのである。
 8月、ことのほか暑かったこの夏、「届ける会」はJR新長田駅前で、重度障がい者の24時間ケアを求めて署名行動に取り組んだ。10月、短期間に集まった3547筆の署名を市長選挙の真っ最中に神戸市に届け、1時間にわたって直接、実状を伝えた。彼らは自分自身の存在を主張していかなければ生きていけないからである。
ともに生きる社会とは……
 西欧では1970年代から「地域移行」が進められてきたが、日本では21世紀に入って国の方針が大きく転換し、ようやく「地域移行」が法定化された。その法の中には、「地域移行とは、住まいを施設や病院から単に元の家庭に戻すことではなく、障がい者個々人が、市民として自ら選んだ住まいで安心して自分らしい暮らしを実現することを意味する」と謳われている。しかし、地域に、生活の場としての小規模なグループホームやシェアハウスが絶対的に少ない中、結局は家族依存を避けられないのが現状である。コロニーに“隔離”するのでもなく、老障介護…高齢の親に介護を背負わせるのでもない「地域移行」が求められる。
 “隔離“は、障がい者に対する理解を遠ざける。障がい者と健常者がともに学び、ともに働き、ともに暮らす……ともに生きる社会であれば、お互いの理解が深められ、自ずと優しさが生まれてくる。そうであったならば、「津久井やまゆり園」事件は起きなかっただろうし、「障がい者はいなくなれば良い」と考える加害者は生まれてこなかったのではないだろうか。「津久井やまゆり園」事件は、私たちに問いかける。  
小林るみ子(神戸市会議員)
地労協運動支えるユニオン
 ユニオンあしやのメンバー3人が、芦屋地労協の事務局長、事務局次長、財政担当という主要な任務に就いている。
 例年10月、芦屋地労協は芦屋市に要求書を堤出しており、主に公契約条例制定へ少しでも前進させる思いで頑張っている。芦屋市関連で働く労働者は時給1500円を、との要求や、指定管理者、民間委託業者で働く労働者の最賃割れの点検、雇用の確保、委託業者変更時に不利益変更をしないことなども求めている。
 公契約条例は、国の定める法律でやるべきことだと芦屋市は回答するが、公契約が制定される条件は何かと問うと、近隣他市の情勢をみると市側は答えた。近年、尼崎市は公共調達基本条例を制定、宝塚市、篠山市は公契約条例策定審議会などで論議がされ、情勢は公契約条例制定へ前進していると言える。
 芦屋地労協は公契約条例制定に向けたプロジェクトチームつくり、勉強会を始めている。そして、芦屋市との交渉窓口である地域経済課と2〜3カ月に1回程度、話し合いの場を持つことを決め、労働実態調査アンケートを取って経営改善と労働環境改善を求め、年次有給休暇、勤務時間、退職金制度、社会保険制度の有無、特別休暇、1日の平均勤務時間、就業規則を設置し従業員に示しているかなどを調査している。このような取り組みから非正規と正規の格差是正、賃金の底上げをめざしたい。
 また、毎年5月1日(1日が土、日、祝日であれば後日の平日)に反戦メーデー、10月には国際反戦デーを開催している。それには連合と労連傘下の労働組合や市民団体も参加し、市役所前で集会をした後、JR芦屋駅までデモ行進を行う。今年は200人が参加した。さらに、例年5月末日には交流学習会を実施している。今年は川元志穂弁護士を招き、「共謀罪ってどんなもの?」をテーマに講演してもらい、34人が集まった。
 今後も地域の労働組合の活動家がユニオン運動に少しでも係わり、ユニオン運動と地域の運動が前進できるように頑張る。
旭茂雄(ユニオンあしや副委員長)
アンガーマネージメント
 先日、東京の有料老人ホームの男性介護職員が83歳の女性を風呂で溺死させた殺人容疑で逮捕された。何度も布団を汚し、「いい加減にしろ!」と思ったという。高齢者虐待の最たるものである介護職員のこういう憂うべき事件は増えている。厚生労働省の2015年度調査によると養介護施設従事者による高齢者虐待の相談通報件数は全国で1640件で、そのうち大阪府が222件、兵庫県が148件と上位を占めている。そして、虐待の発生要因として最も多かったものは、@教育、知識、介護技術等に関する問題(65%)、A職員のストレスや感情のコントロールの問題(27%)となっている。
 先の布団を何度も汚した高齢女性も汚したくて汚した訳ではないだろう。介護技術や知識が不足しているので対応方法が分からないのか、或いは夜勤時等、人手不足で目が行き届かないために失禁を繰り返したのかもしれない。認知症高齢者なら何度も同じ事を繰り返して言ったり、淋しさのためにナースコールを押し続ける人もいるし、介護職員のストレスは大きい。有料老人ホームに入れる高齢者はある程度、経済的に豊かな人が多いので、処遇の悪い自分の賃金と比べて妬みがあったかもしれない。施設職員だけではなく、在宅サービスのホームヘルパーも同様に様々なストレスがある。
 高齢になると、脳の前頭前野が衰えて怒りっぽくキレやすくなることがあり、また思い込みや記憶の勘違いが増え、不都合な事は何でもヘルパーのせいにされたり、泥棒扱いをされることもある。不条理な事でこちらが謝らないといけないこともある。認知症等の病気や対処方法等の知識を持っていても、気持ちのよいことではないのでストレスは溜まる。  これらのことは介護する家族にも当てはまる。私も認知症の母の介護をしているが、夜間に1時間ごとにトイレに起こされる日があり、介護のプロとして業務上では禁句の「またトイレ?!いい加減にして」と言ってしまう時がある。
 仕事上の訪問先は老老介護のお宅もあり、ご主人が認知症の奥さんにきつい物言いをされているのを目にしたり、夫婦喧嘩や親子喧嘩の間で戸惑ってしまうこともある。
 介護する方もされる方も、一人一人が違う介護の世界は本当にストレスが多い。そのわりにご承知の通り、待遇がたいへん悪い。本来、その怒りは経営者や制度を作った国に向かなければならないのだが、溜まったイライラが閉ざされた空間で「怒り」となり、歯止めが効かなくなって相手に向かってしまった時、悲劇が起こる。
 今、介護職現場で「アンガーマネジメント」という怒りの感情をコントロールできるスキルを身につけようとする動きが広がっている。怒りの対処療法は様々だが、まず冷静になり、怒りの原因を知り、相手にきちんと気持ちを伝えることが有効な方法だ。
最後にテクニックとして少し紹介するので必要な人は活用してほしい。
@怒りを6秒やり過ごす(怒りのピークは長くて6秒)。
A怒りの記録をつける(自分を客観的に見つめる)。
B“I(アイ)“メッセージで伝える(主語を「私」にし、相手を責めずに自分の気持ちを伝える)。  
(菊地真千子)