「新社会兵庫」 4月25日号
- 戦時中、国威発揚、夷狄(いてき)撃滅のため、横文字が排斥されたことは周知の話。例えば野球のストライクは正球とされ、ワンストライクは正球1本と言われた。しかしそんな時でも、パンは生き残ってパンだった。むしろ贅沢は敵だという空気の中で、和菓子の方が目の敵にされた▼ところが、パンよりも和菓子の方が国を愛する心を育てるのに役立つとする御仁が現れた。安倍首相のお墨付きのもとで、右傾化を公然と進めようとする動きが強まっていることに、ゆめゆめ警戒を緩めてはならないが、パンより和菓子を、というのは到底現実のものとは思えない漫画である▼危機はそのようにバカバカしさを伴いながら冷笑をものともせずに迫ってくるのだろうか。憲法や教育基本法に反しなければ、教育勅語を学校で使ってもいいというのも毒は毒と思わなければ飲んでもいいという呆れる論理矛盾であり、日本史に関する無知を“誇る”ものである。1年違いで制定された大日本帝国憲法と教育勅語は一体であった▼大日本帝国憲法を明確に否定した日本国憲法と教育勅語の間には“反しなければ”などという余地はない。だから国権の最高機関たる国会は、教育勅語の否定決議をしたのである。
- 共謀罪―「監視社会」と「共謀罪」は一体不可分
廃案のために市民の総結集を
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安倍政権は東京五輪などを控え、「テロ対策」の名の下、共謀罪の構成要件を改め、「テロ等準備罪」新設法案を国会に提出した。過去3度、廃案になった「共謀罪」と本質的には何ら変わりない。以上のようなことから、法案反対は民進、共産など野党4党はもとより、国会外でも全国各地の弁護士会や刑事法学者が連名で反対声明を発している。何故、ここまで反対意見があがるのか。それは成立すれば、警察など捜査機関による「市民監視」が今まで以上に進行し、やがては、権力を恐れ、市民の間においても互いに監視していくような社会に向かっていくのではないかと懸念されるからである。すなわち、憲法上保障される市民の諸権利が権力によって制約されかねないということともいえる。
法案についていくつか検討していく。
@法案制定の論拠(テロ対策の趣旨も含まれる「国際組織犯罪防止条約」締結のため国内法整備が必要という論拠)そのものが誤りである。条約は2000年、イタリアのシチリア島にあるパルモワの地で署名会議が開催された。シチリアでもわかるようにマフィアによる越境犯罪(資金洗浄・人身取引・薬物や銃器売買等)を国際的に対処していこうという目的の条約である。国連広報センターで「国際テロ対策条約」(核物質防護やハイジャック防止、テロリストによる爆弾使用や資金供与を処罰する等の14条約)が紹介されているが、本条約は含まれていない(2005年、当時の南野法相も国際テロ対策条約ではないと答弁している)。その意味で、テロ対策は国民受けを狙った後付けの理由である。パルモワ会議から20年近く経つが、特段問題もなく、既存の法律で対応できている。したがって、条約締結のための国内法整備は必要ない。ちなみに米国も留保付きで締結している。
A「テロ等準備罪」についてである。この中の「等」とはテロ以外の重大犯罪を指す。適用対象は当初600余とされてきたが、法案では277に絞られている。しかし、対象となる法律を検討するとテロと結びつかないような法律や罪名が含まれる。種苗法、特許法、著作権法の一部改正、地方税法改正、刑法においては背任、横領、強制わいせつ等、これらが組織犯罪とどう結びつくのか疑問だ。
B安倍首相は「組織犯罪集団に対象は限定され、一般人は処罰の対象になり得ない」と答弁したが、前述のような対象犯罪をみると一般人も対象になり得る。また「組織犯罪集団」と政府は強調するが、いかなるものを指すのか曖昧である。法案では「テロリズムその他」重大犯罪を計画する組織的犯罪集団と定義するが、ここでも「その他」とは何を指しているのか不明確である。結局、捜査機関の判断に委ねられている。
C法務省は「正当な団体でも、組織犯罪集団に一変したような場合、処罰対象になり得る」という見解を示した。安倍首相の一般人とは無縁である旨の答弁とは明らかに異なる。結局、安倍首相は法務省見解を追認し、処罰対象を事実上広げた。それでは、この「一変」とは何か。安倍首相が唯一の事例としてあげたのが「オウム真理教」である。教団幹部による凶悪な事件が実行されたが、教団そのものが「組織犯罪集団」かは別問題である。オウム真理教については事実関係をまず確認しておきたい。事件の首謀者や実行犯は教祖及び教団幹部らであるが、一般信者は事件のらち外にあった。その意味では憲法上認められた結社(事件後、宗教法人格は失うも宗教団体)であり「犯罪者団体」というのは失当である。事実、公安調査庁が「組織犯罪を行った危険な団体」として「破壊活動防止法」適用を求めたものの、憲法学者から同法及び同法適用は「憲法違反」であるとの指摘・意見もあり、1997年1月、公安審査委員会は公安調査庁の請求を退けた。したがって、安倍答弁は事実誤認である。ことさら「一変」論が持ち出されてきたのは、市民団体や労働組合などの活動も捜査機関の「判断」によって認定することもあると印象付ける意図もあるのだろうと推測する。
Dそれでは事件を警察はどのようにして立件していくのかについてである。法案では2人以上の相談・合意(電話、メールやSNSなどでも成立)で適用可能とされるが、立件、捜査、摘発、起訴までかなりのハードルがある。考えられるとすれば、対象者に刑の免除をちらつかせ「自首」をさせ、一方を「自白」に追い込む、捜査機関による「違法捜査(捜査令状もなく、盗聴、スパイ潜入等)」を駆使して立件していく。また、事件の「でっち上げ」もあり得るのではないか。
このように、共謀罪については「一億総監視社会」に道をひらくかどうかの岐路に立たされている。この危険な法案を廃案に追い込むため、心ある市民の総結集を願いたい。
鈴田 渉(大阪労働学校・アソシエ講師・憲法学)
- 団結こそ働く者の生きる道
- 姫路市飾磨区の私立保育園が園児に少量の食事しか与えていなかったことから保育園での様々な問題が噴出した。定員の水増し、裏料金表の存在、給食の再利用、園児への虐待、さらには補助金の不正受給などが発覚、認定子ども園の認定が取り消され休園となった。
保育士との間でも、「欠勤や遅刻、早退した月は1万円の減額」「30分以上遅刻で2日間の無給ボランティア勤務」「祝日などで保育士の休日数が園の規程よりも多い月は日数に応じて賃金カット」などの労働条件が“裏契約“として決められていたことも発覚した。
明らかな労働基準法違反である。誰が聞いても「おかしい」と普通は思う。しかし、雇用契約が締結されてしまうと、労働者は「おかしい」と思いながらも雇用主に対してものが言えなくなる。
実際、いまから8年ほど前に姫路の医療法人で起きた労働争議も同様の事件だった。
「辞めさせてくれない」ということから、調べていくうちに、「異常な事務長決裁」「無料勤労奉仕」などの実態があらわになった。その事件解決後も同様の相談が相次いだ。その医療法人は未だに反省をしていないようで、年明けからブログへの書き込みが増えている。
こうした経営者の暴走を食い止めるには経営者を正すしかない。いまの時代、どこの会社も“ブラック“だから辞めても結局は同じなのだ。それなら一緒に働いている仲間と、定年まで働き続けられる会社にすればよいではないか。
神戸ワーカーズユニオンの権田工業分会は、理不尽な経営者に対して5波におよぶストライキで闘っている。まだ社長は姿勢を正していないが、社長の理不尽で不当な行いは、元請にも伝わり、地域で有名となった。また、但馬ユニオン近大分会は、理事長や学長の恣意的で差別的な学校運営に異議を唱えたことから仲間が増え、支援の輪が広がっている。
ユニオンに寄せられる相談の多くは、個別の労働相談だ。しかし、その中にこそ全従業員が抱える共通の問題が含まれている。集まり、話し合い、団結する。労働者の生きる道はこれしかない。
残念ながら姫路の保育士たちの相談に応えられなかった。これを反省し、相談窓口を広げ、もっと情報を発信していかなければならない。
塚原久雄(ひょうごユニオン事務局長)
- 私と労働組合
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私の労働組合との出会いは、高校生の頃です。年末の短期のアルバイト先が倒産し、社長が夜逃げし、ある日出勤したらもぬけの殻でした。そこには社員さんがいて声を掛けられ、「今日は仕事がないから帰っていいよ」と告げられたことを覚えています。
あとから考えると、業務内容も大変おかしなものでした。食品の加工・包装の会社だったのに、私の業務内容は、近くの田んぼで書類を燃やすというものでした。様々な証拠書類などを隠ぺいする手伝いをさせられていたのだと思います。
結局、社長は見つからず、初めてのバイトで給料がもらえないのかと不安だった私あてに労働組合から手紙が届き、その数日後、通帳に給料のおよそ8割が振り込まれていました。あの時声をかけてくれたのは組合の役員さんだったようです。しかし、そのころは初めての給料に感激し、労働組合のありがたさや感謝の気持ちなどはなかったように思います。
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今、私は書記長という立場で職場で組合活動を行っています。私の職場はある程度まともです。それなりに労働組合は活動し、超勤も休憩も年休も本人にその気さえあればしっかり取得できます。しかしその結果、組合に加入するメリットはあまりないし、加入してもしなくても同じだという声が聞こえてきます。また、加入していても、加入しているだけといった人たちが大半で、何か問題が起こっても、組合費払っているんだから、組合が何とかしろよといった人たちがほとんどです。
私自身、初めてのアルバイト経験で会社がつぶれ、労働組合に助けていただいた経験がなければ、就職のときに抵抗感なく組合へ加入することもなかったでしょうし、いまだにお金の無駄と考えていたでしょうし、ましてや書記長として活動することもなかったでしょう。
◇
先日、36協定、勤務時間、休憩・休息について職場で若手役員が学習会を開催しました。法律や職場のルールは知識として必要ですが、法律や協約や就業規則を読めば理解できることです。しかし、それを読む時間や気力がないのが、今の職場です。まとめにこんな話をさせていただきました。
「先日、電通の事件が発生し、最近ではDeNAの著作権侵害問題が世間を賑わせています。今朝のニュースではDeNAの会長が『利益を優先するあまり、コンプライアンスに対する配慮が足りなかった』と発言していました。資本主義社会では企業同士の競争により、生き残っていくためには利益が最優先となり、法律や、社員の待遇などが後回しとなってしまいます。これに比べ、私たちの職場ではある程度法律やルールが守られているのは、労働組合があり活動を行っているからではないでしょうか。会社が利益を優先することと同じく、労働組合が法律や社員の待遇を守り向上していくことを続けていかなければ、いずれ私たちの職場も電通やDeNAと同じような状況となることが予想されます。その時になって後悔するより、いま活動に興味を持っていただき積極的に参加していくことが必要ではないでしょうか。」
引き続き学習し、労働組合の必要性ということを職場で広めていき、労働組合の活性化を図っていきたいと思っています。
(T・F/35歳)
きくち憲之の政策 (新社会党兵庫9区国政対策委員長) ◎時給1500円で生活底上げ!
◎こわすな憲法、守ろう平和と人権!
●主な政策
【憲法・平和】
@安保法制(=戦争法)の発動はさせず、廃止に。
A沖縄の民意を大切にし、基地をなくす。
B自衛隊を災害救助隊に再編。
C共謀罪の新設は許さない。
【労働】
@貧困を生む非正規雇用を正規雇用へ転換し、時給1500円で生活底上げ。
A労働法を改正し、長時間労働をなくす。
Bブラック企業やブラックバイトの根絶。労働者派遣法の抜本的改正。
【社会保障】
@暮らせる年金制度の確立を。
A安心の医療・介護制度の実現。
B保育士・介護士・看護師の処遇改善を。
C空き家を公営住宅として有効活用。
【教育・子育て】
@奨学金制度を改善し、無利子奨学金や給付型奨学金を拡充する。
A授業料の引き下げ・無償化を目指す。
B子どもの権利条約にある「生きる・育つ・守られる・参加する」権利の4つの柱を大切にする。
【公平・公正】
@消費増税は中止。
A所得税の累進課税強化と法人税率の引き上げで所得の再配分を。
Bタックスヘイブンへの対策を強め、富裕税を新たに創設。
- 【安全・安心】
@脱原発社会の実現に向けて自然再生エネルギーへの転換を図る。
A福島の原発事故被災者の完全救済と生活再建を。
B日本の主権を奪うTPPに反対し、食の安全・安心と地域社会を守る。
C地震・豪雨など自然災害被災者への公的支援制度を拡充する。
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