「新社会兵庫」 2月28日号
 狂想曲第1番「トランプと安倍」。内容はともかく、ド派手な音響、それも金属打楽器がやたら耳につく▼第1楽章「共同声明」。「尖閣、尖閣」とがなりたてる安倍の声以外は従来から聞き馴らされた音律ばかり。ボロを出すような余計なことは言わないでおこうという自信のなさか。ボクちゃん100点と喜ぶのは大甘だが、超低音階で「隠れ作曲者が辞任」という曲調が込められていたのを聴き取ることはできなかったのか▼第2楽章「別荘とゴルフ」。首脳間の緊密度を高めるためにプライベートな招待を演出するのは従来もあったこと。しかし今回テレビに映し出された別荘は、別荘というよりも宮殿、「不動産王」と「王」の字がつく人だけのことはある。しかも、迎賓施設などの公的なものではなく、あくまで私的なものである。2人とも超ド派手なところでプライベート・タイムを過ごすことに国民の眼は気にならなかったのか。ちょっとやり過ぎではとトランプに注意する才覚は安倍にはなかったのか▼中味がなければ入れ物でという気持ちになるのはわかる。トランプの大統領の資質が疑われれば、安倍は選挙で選ばれた人だからと保証するが、これは選挙で選ばれた人のすることか。ド派手の軽さよ。
まやかしの「働き方改革」でなく、真の「働き方改革」を
■アベノミクスの破綻と「働き方改革」の登場
 2012年末の総選挙に勝利して再び政権の座についた安倍首相は、「戦後レジームからの脱却」として「積極的平和主義」を掲げ、軍事的にも国際貢献を担うとする一方、デフレからの脱却を目指して「アベノミクス」と称する経済成長戦略を発表した。官邸のホームページでは、「『どれだけ真面目に働いても暮らしがよくならない』という日本経済の課題を克服するため、安倍政権は、『デフレからの脱却』と『富の拡大』を目指しています。これらを実現する経済政策が、アベノミクス『3本の矢』です」と紹介されている。
 ところが、この4年間、「異次元の金融緩和」や「機動的な財政出動」など6本もの矢を放ってきたが、景気が回復するどころか、デフレからも脱却すらできずにいる。大企業や一部裕福層に莫大な富をもたらしたが、真面目に働く労働者の暮らしは増税による負担増が重くのしかかり、格差と貧困問題をより深刻化させている。それは、経済政策の基盤を「企業の成長」にしているからである。
 「企業の成長」が経済成長に結びつかないため、突如「1億総活躍」に転じ、高齢者も女性も労働力として労働現場に“駆り出す”「働き方改革」が登場したのだ。そこでは、“長時間労働の規制”や“同一労働同一賃金”など、一見労働者に耳障りのよい言葉が使われているが、これらはアベノミクスの失敗を隠し、労働者の窮状に応えるかのように装いながら、格差の固定化を正当化することを目論むものである。そして、正社員の賃金・労働条件を非正社員に近づける“低位平準化”で格差を埋めようというのである。
■労働時間の上限規制―問題点と矛盾
 電通や関西電力、三菱電機でも過労死問題が起きたが、日本の長時間労働は深刻だ。過重労働が原因の脳・心臓疾患、精神疾患の労災申請件数は年々増加しており、「karoshi」は国際的にも知られる社会問題となっており、時間外労働の上限規制やインターバル規制が必要となっている。
 ところが、政府が検討している時間外労働の上限は、原則「月45時間」「年間360時間」としながら、繁忙期に対応できるよう6カ月は例外を設け、「月最大100時間」「2カ月平均80時間」の時間外を認めようとしている。これは過労死認定基準を超える水準であり、これが法制化されれば、過労死が合法化される恐れがある。
 しかも、いまも国会で継続審議となっている労働基準法改正案では「高度プロフェッショナル制度」の導入が目論まれている。これはホワイトカラー・エグゼンプションであり、しかも労働時間という概念をなくす「脱時間給制度」(日経新聞)である。
 政府は、労働時間規制を緩和する制度を準備しながら、それに矛盾する上限規制を設けるというのだ。
■同一労働同一賃金
 正規雇用者に仕事を教えることもある非正規雇用者は、ボーナスの支給はほとんどない。定期昇給や通勤手当・退職金もなく、社員食堂も使えないなど、あまりにも不合理な格差が当たり前のように存在する。同じ仕事をしているのに、なぜ軽く扱われ、人として扱われないのか。だからこそ、私たちは非正規雇用者の労働条件を、正規雇用者の労働条件に近づけるよう求めている。
 しかし、政府の方向性は、「正規雇用者の雇用が流動化すれば、待機失業者が減り、若年労働者の雇用も増加すると同時に、正規雇用者と非正規雇用者の格差を埋めることにもなる」(産業競争力会議民間議員・長谷川閑史氏)との言に象徴されるとおり、まさに低位平準化で格差を埋めようというものである。
■私たちが求める「働き方改革」
 また、その他にも解雇の金銭解決制度導入も目論まれている。
 政府が掲げるいずれの制度も、企業が成長するために(=儲けるために)不安定で低賃金の労働者を生み出す制度にするものだ。
 1日8時間、1週40時間は労働基準法の原則である。なぜ、低賃金をカバーするために残業やダブルジョブ、トリプルジョブをしなければならないのか。1日8時間で生活ができる賃金・労働条件、雇用不安のない働き方は贅沢なのか。労働実態に基づく課題から、私たちが求める「働き方改革」を対峙させ、労働者の「分断と対立」から「団結と連帯」を取り戻さなければならない。
塚原久雄(ひょうごユニオン事務局長)
初めて経験する外国人労働者の闘い
 昨年7月、「技術」の在留資格を持つ外国人労働者Yさんから相談があった。外国人労働者からの相談は初めての経験であった。
 Yさんは2014年3月にベトナムから来日、加西市の会社で1年契約の有期雇用で働いている。雇用契約書では「基本給は19万5千円」となっているが、会社は19万5千円の中に定額残業代4万円(40時間分)、住居手当2万円が含まれていると言い、基本給13万5千円で、毎月40時間の残業をさせていた。また、仕事も契約書では技術(商品研究・開発、技術開発・指導)となっているのに、現場で機械のオペレーターをさせている。
 会社には約10人の専門的・技術分野の在留資格を持つ外国人労働者がいるが、全員が定額残業代になっている。しかし、大部分の日本人労働者には定額残業代はない。外国人労働者には同じ仕事をしている日本人と同等の賃金を払わなければいけない。そこで見かけ上は同じような賃金額にして、定額残業代を使って実質的に低賃金で、違法な単純労務をさせていると思われる。
 たまりかねたYさんは、昨年6月と7月に1人で会社に対し改善を求めた。すると会社は、働き方が気に入らないのなら次の契約は更新しないと文書で脅してきた。
 ユニオンに相談があってから、何度も話し合いを重ね、やっと11月になって闘う決心がつき、会社に定額残業代の廃止を求めて要求書を出した。
 現在、3月6日の契約更新日を目前に控え、団体交渉を進めているが、会社は定額残業代を40時間から15時間に減らすが、廃止はしないと言っている。
 外国人労働者は永住者を除き、在留資格以外の職に就くことはできない。不当な雇止めであっても職を失えば、3ヵ月以内に次の仕事が見つからないと在留資格が失効する。闘っているうちに帰国ということが容易に起こりうる。悩みながらのたたかいが続いている。            
塩谷明(はりまユニオン書記長)
22歳が見た借り上げ復興住宅
 「若者のひろば」というコーナーとのことで、「若者」目線の本を書いていることを紹介させていただきます。その名も、『22歳が見た、聞いた、考えた「被災者のニーズ」と「居住の権利」―借上復興住宅・問題』です。借上復興住宅問題とは、阪神・淡路大震災後、自治体が民間から借り上げ、復興公営住宅の一部として今でも被災者に提供している住宅について、「20年の契約期間が満了する」という理由で、自治体が入居者に転居を迫っている問題です。
 阪神・淡路大震災のとき1歳だった私は、大学進学で神戸に来て、ボランティア活動のなかで「借上復興住宅問題」を知り、卒業論文のテーマにしました。借上復興住宅の入居者の方たちは高齢者です。「なぜ若者が関心を持っているのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「明日の私にも関わりうる問題」、「もっと若者にも知ってもらいたい」という思いで、社会人になってからもできる範囲で活動を続けています。
 また、借上復興住宅問題を通して意識するようになったもののひとつが、政治です。神戸市や西宮市は、退去に応じなかった入居者に対し、明け渡し訴訟を起こしています。神戸市の場合、市営住宅の明け渡し訴訟は市長の専決処分で起こすことができ、提訴に市議会の議決は不要となっています。
 また神戸市は、「神戸市営住宅条例の一部改正(案)」に対してパブリックコメントを募集しました。提出された750件余の意見はすべて条例案に反対するものでしたが、神戸市はこれらを無視して議決し、2016年1月から施行しました。
 私は、いくら署名やパブリックコメントが出されても、市長が考えを改めない限り政策は変わらない状況なのだと気づきました。ただ、市長を選んだのも市民です。私は借上復興住宅問題を通して、選挙の大切さを実感しました。多くの人の努力によって私たちにも与えられた意思表示の1票を大切にしたいと思います。
 恥ずかしながら、借上復興住宅問題について考えるまでは、政治も選挙も興味がありませんでした。この問題を通して、ほかにも住まいやコミュニティの大切さなど、多くのことを知りました。つまり借上復興住宅問題は、様々な課題を凝縮しているとも言えると思います。
 「本」では、私が「見て」、「聞いて」、「考えた」ことを、友人のイラストを挿し挟みながら書いていますので、読んでいただけたら幸いです。
市川英恵(23歳・団体職員)


▼市川英恵さん著、兵庫県震災復興研究センター編『22歳が見た、聞いた、考えた「被災者のニーズ」と「居住の権利」―借上復興住宅・問題』(A5判104頁 1200円+税)は、クリエイツかもがわから3月17日に発刊されます。【編集部】


きくち憲之の政策
   (新社会党兵庫9区国政対策委員長)


 ◎時給1500円で生活底上げ!
 ◎こわすな憲法、守ろう平和と人権!

●主な政策
  • 【憲法・平和】
    @安保法制(=戦争法)の発動はさせず、廃止に。
    A沖縄の民意を大切にし、基地をなくす。
    B自衛隊を災害救助隊に再編。
    C共謀罪の新設は許さない。
  • 【労働】
    @貧困を生む非正規雇用を正規雇用へ転換し、時給1500円で生活底上げ。
    A労働法を改正し、長時間労働をなくす。
    Bブラック企業やブラックバイトの根絶。労働者派遣法の抜本的改正。
  • 【社会保障】
    @暮らせる年金制度の確立を。
    A安心の医療・介護制度の実現。
    B保育士・介護士・看護師の処遇改善を。
    C空き家を公営住宅として有効活用。
  • 【教育・子育て】
    @奨学金制度を改善し、無利子奨学金や給付型奨学金を拡充する。
    A授業料の引き下げ・無償化を目指す。
    B子どもの権利条約にある「生きる・育つ・守られる・参加する」権利の4つの柱を大切にする。
  • 【公平・公正】
    @消費増税は中止。
    A所得税の累進課税強化と法人税率の引き上げで所得の再配分を。
    Bタックスヘイブンへの対策を強め、富裕税を新たに創設。
  • 【安全・安心】
    @脱原発社会の実現に向けて自然再生エネルギーへの転換を図る。
    A福島の原発事故被災者の完全救済と生活再建を。
    B日本の主権を奪うTPPに反対し、食の安全・安心と地域社会を守る。
    C地震・豪雨など自然災害被災者への公的支援制度を拡充する。