「新社会兵庫」 12月8日号
 辺野古新基地建設をめぐり、翁長知事が埋め立て承認を取り消したことに対して国が知事の承認取り消し処分を撤回するための代執行を求めて提訴した裁判の口頭弁論が2日に始まったが、その提訴を受けて翁長知事が会見で語った言葉が重く印象に残る。「県民にとって“銃剣とブルドーザー”による強制接収を思い起こさせるものだ」(11月17日)▼キャンプシュワブのゲート前の座り込み排除のために警視庁機動隊100人余が投入されたことへの地元新聞の記事も同じ文脈で印象的だ。「明治政府の琉球処分官が、軍隊と警察を率いて来琉した姿と重なる」(11月3日)▼それらに感じられる、とてつもないやりきれなさと、深い怒りが歴史に重ねられている。安倍政権による沖縄差別、そして、民意無視・強権むき出しの辺野古新基地建設強行は断じて許されるものではない▼そんななか、歌手の加藤登紀子さんと古謝美佐子さんが11月29日、ゲート前のテントを訪れ、歌でエールを送った。大きな励ましとなったことだろう▼キャンプシュワブのゲート前では毎日、非暴力の抵抗闘争が続けられている。偏に本土の連帯が問われている。戦争法反対、辺野古新基地建設反対は安倍内閣打倒への一体の課題だ。
公契約条例
県下全自治体での条例化へ第一歩の自治体要請行動
 この数10年ほどの間に、各地域ユニオンでは自治体業務に従事する委託先労働者の雇用や賃金・労働条件をめぐる問題に直面し、ストライキを含む闘いが繰り返し起こってきた。また、学校給食などを民間委託にすることから、自治体で働く非正規労働者の雇用や身分をめぐっても闘いが繰り広げられてきた。
 こうしたことから、「安かろう、悪かろう」の競争入札ではなく、「地域社会を活性化し、働く人たちを幸せにする」総合評価制度を柱とする入札制度への改革と、労働条件にまで踏み込んだ公契約条例の必要性を痛感してきた。
 「兵庫県パート・ユニオンネットワーク」は、昨年三木市で、今年は加西市と加東市で公契約条例が制定され県内でも条例制定の動きが活発化していることから、今年の10月末から11月にかけて各自治体に対して公契約条例制定に向けた要望書を提出し、その実現に向けた第一歩を踏み出した。

■全国的な動き
 公契約条例の制定をめぐっては、全建総連や全港湾で先駆的な取り組みが始まり、2001年に東京都東大和市で公契約条例の制定を求める議会請願が採択されたのをきっかけに本格化した。各地方議会での意見書採択も42都道府県、874議会で896件の意見書が採択されている(2013年1月16日、全建総連調べ)。
 2009年9月、全国で初の条例が制定された千葉県野田市を皮切りに、川崎市、多摩市、相模原市、国分寺市、渋谷区、厚木市、足立区、直方市、千代田区、三木市、我孫子市、草加市、加西市、加東市、高知市で賃金条項を含む条例が制定されてきた。また、新宿区、佐賀市、流山市、富士見市では要綱が策定され、山形県、江戸川区、前橋市、秋田市、長野県、四日市市、奈良県、世田谷区、岐阜県、岩手県では、理念型と言われる条例が制定され、30の自治体で何らかの形で公契約条例がつくられている(全建総連調べ)。

■求められる公契約条例
 国や自治体財政が厳しさを増す中、競争入札が広がるとともに、年々事業量が減少して仕事の奪い合いが続いてきた。過酷なダンピングが繰り返され、委託先の労働者は「賃金が安すぎて生活ができない」「会社が入札に敗れたため解雇になった」など、様々な公正労働にかかる問題を引き起こされてきた。ある市では、民間委託になった学校給食現場で、あまりにも賃金が安いためにベテランが全員退職し、調理員が全員変わってしまったことから「給食がおいしくなくなった」との苦情が寄せられるなど、熟練労働者に蓄えられてきた仕事のスキルや経験・ノウハウが流出し、住民サービスの低下につながる事態も生じている。また、復興事業やオリンピック景気に沸く公共工事だが、この間の過酷な単価切り下げで、それを担う職人が大幅に減少し、人手不足・後継者不足という事態をも招いている。
 こうしたことから、社会的に有用な公共性が高い事業者を優先し、関連法令を遵守せず現場労働者にダンピングのしわ寄せを押しつける「不良事業者」を排除することを通じて、それを担保する公契約条例の制定が求められてきた。

■取り組みの成果と課題
 「兵庫県パート・ユニオンネットワーク」の対自治体要請の取り組みを通じて、各自治体からは「知らない」「機は熟していない」「入札制度の改革が先決」「情報を集めている」「条例制定に向けて委員会を設置」など対応が様々だったことが明らかになったが、その多くは「これから他市の状況を見ながら」という段階であった。まさに第一歩を踏み出したということである。
 具体的に条例制定に動き出している自治体もいくつかあったが、それは当局主導だ。そこに私たちがこれまでの経験を通じて明らかとなっている具体的な内容が盛り込まれるようにすることが重要であり、地域の労働組合や業界団体、市民や議員と連携して各地で運動体をつくり、署名活動や街頭宣伝などの具体的な取り組みを通じて、市民の関心を高めていくことが求められている。

塚原久雄(兵庫県パート・ユニオンネットワーク)
済州島を歩く
 11月、韓国・済州島へ行ってきた。かつては流刑地とされ、今は風光明媚な観光地として有名な島だ。周囲400キロの丸い形をした島で、ほぼ中央にこの島のどこからでも望めるという漢羅山(ハルラサン)が位置し、この火山島の噴火によってできたオルムとよばれる円錐状の火砕丘が広野の中に点在してとても美しい。あいにくの天気で漢羅山を歩くことはできず、その頂上を仰ぐこともかなわなかった。なだらかな稜線をたどって、雲に隠れたその頂をわずかに想像してみるだけだった。
 その代わり、島の周囲、海岸線に沿ってオルレ道と呼ばれる歩道があり、4時間ばかり歩いてホテルから江汀村(カンジョンマウル)までたどり着くことができた。 ここは韓国海軍の基地が建設中で、2007年から建設計画に反対する激しい闘いが展開されたが、3千日を超した今、ほぼ完成してしまっている。地域住民に金をばらまき分断するやり方、拘束や逮捕を繰り返して反対運動を弾圧するやり方、そしてクロンビ岩と呼ばれる黒い火山岩を爆破し、美しい海を埋め立てて建設するのも、いやでも辺野古を思い起こさせるやり方だ。キャンプシュワブにそっくりのゲートにはひっきりなしにダンプカーなど工事車両が出入りし、表通りに並んだ反対の横断幕は色あせ、籠城テントに人影はない。既成事実化するのが一番手っ取り早いと、強圧的に進める支配者の狡猾さは共通するものだ。
 辺野古もこうなるのではないかと気持ちも沈み、足取りも重く歩いていると、反対のための運動拠点として作られたという簡易集会所のような建物に出くわした。プレハブではあるが、かなりの広さで、4、50人なら入れそうだ。食堂を兼ねていて、大きな鍋や食材が置かれ、このときも何かが湯気を立てていた。ひとりの男性が出てきてくれて、開口一番、「基地は造られても平和運動は終わらない」と、経過や現在の状況を話してくれた。今は反対運動は非合法化され、活動家は近づくことさえできないという。それでもキリスト教信者のミサとして毎日、ゲート前で集会を続けて反対の意思を表し続けているそうだ。この建物も工事が始まってから建てられたものだという。反対派の人の私有地だから撤去されることはない。隣の庭でピーナッツを乾かしていたハルモニはその土地の住人かと思われた。晴れ晴れとした表情で私たちにあいさつをしてくれて心がなんだか軽くなったようだ。「座り込み○○○○日」の表示看板をよく見ると、3109日となっている。2007年4月26日、闘いの始まった基地誘致決定の日からカウントされ続けているのだ。
 この済州島には「4・3事件」という長く封印されてきた、島民の民主化を求める運動への弾圧虐殺事件があった。今は大きな美術館のような立派な平和記念館が建てられ、犠牲者たちを顕彰し未来への誓いとしている。
 事実は決して曲げられないし、必ず歴史は正される。それを実現するのはあきらめずに運動を続けていく意思の力だ。そう、落ち込む必要はないし、そんな時間はないのだ。

(門永三枝子)
不当解雇撤回の裁判闘争を勝ち抜きたい
 去る10月22日、神戸地裁姫路支部で金田組の解雇をめぐる地位確認裁判の証人尋問が行われた。
 ゴミ収集業者の金田組といえば、姫路市民のほとんどが知っているが、そこで働く2人の従業員が、深夜のゴミ収集作業でゴミを足で扱ったというだけで解雇になった。その模様が商店街のモニターカメラに写っており、商店街から苦情が来たのだという。
 2人は姫路ユニオンに加入し、団体交渉も行ったが、金田組は解雇撤回には一切応じなかったため裁判で争うことになった。
 第8回の期日を迎えたこの日の証人尋問には阪神間などからも大勢の仲間が傍聴支援に駆けつけてくれた。
 法廷には当該の2人と金田組からは社長が出廷した。まず、2人の証人尋問では、なぜゴミを足で扱わざるを得なかったのかを証言した。もちろんゴミを足で扱う行為は良いことではないが、2人ともそれぞれ事情があったことを説明し、そして、そのことによって、仕事と収入が途絶える解雇という処分は余りにも不合理であることを訴えた。
 一方、金田組社長の証言は、自分が大きくしてきた金田組という会社に対して、商店街から苦情を受ける原因となる行為をしたのだから、クビは当然という内容に終始した。
 また、この証言の中で、それまでの2人の仕事ぶりは、問題が無かったどころか、高く評価できる内容であったことも明らかになり、解雇の理由が「ゴミを足で扱った」ということだけだということもはっきりとした。つまり、自分の大切な会社が苦情を受けたことでカッとなり、問答無用で解雇をしたことが明白となった。
 さらに、従業員を解雇するというような「大問題」にもかかわらず、社長は商店街や姫路市に対して謝罪さえしていないことも分かった。
 12月17日には結審し、来年初めには判決が出る予定だ。地域での幅広い運動をさらに強め、2人の職場復帰を勝ち取っていきたい。

森山容光(姫路ユニオン委員長)