「新社会兵庫」 11月24日号
- 気がつけば、もう目の前に“師走”の二文字。否応なく1年を振り返る時期になった▼平和のための活動に尽力されている宝塚の大林寺をお訪ねした際、ご住職の思いを込めた言葉が境内掲示板に貼られていた。「あせらずに、あきらめずに、ひたむきに」「夢破れた時は、新しい夢の始まりだからね」▼いろいろな事があったが、解釈改憲を強行する安倍内閣に対し、多くの人達が自分の思いとして「反対」と声にし、行動し続けたことは誰の胸にも焼きついた。しかし、安保関連法は強行採決の連続で成立し、むなしさも残る。しかし、今も国会前で、地方の街頭行動で、あきらめない行動が続いている。ご住職の言葉は、各地で各人が続ける行動へのエールであり、ご自身の決意でもあるだろう。共有する思いでもある▼ラップのリズムが従来のシュプレヒコールにとって代わり、壮年組にもパワーを広げた。形にとらわれず自分の気持ちを発言する街頭行動も生まれてきた。私の周辺でも、職場などへの配慮も無視できないが、それでも発言してみようとする若年者が出現している。表現方法は変化してよい。新しい夢の実現、「戦争法廃止」を彼らとともにあきらめず追い求める来年にしていこう。
- 辺野古新基地建設 民意無視の強権政治と沖縄差別を許すな
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沖縄の民意を無視し「本体工事」強行へ
10月29日早朝、名護市辺野古ではまたもや怒号が飛び交う中で政府による「本体工事」の着手が強行された。
辺野古新基地建設をめぐっては、1995年の米兵による少女暴行事件を機に、基地の整理・縮小などを求める沖縄県民の大きな運動の力で普天間飛行場の全面返還が日米両政府によって合意されて以降、さまざまな経緯をたどってきた。政府は、辺野古への新基地建設を普天間飛行場の移設としているが、建設計画などから見てけっして移設ではなく新たな基地建設であることは明らかである。沖縄県民の思いを踏みにじり進められる政府による新基地建設の強行は絶対に阻止をしなければならない。
国の横暴に沖縄県は徹底的に対抗措置
10月13日、翁長知事によって、仲井真前知事が2013年12月に行った埋め立て承認に「法律的な瑕疵があった」としてその取り消しが行われた。しかし、沖縄防衛局は行政不服審査制度を利用し、審査請求と執行停止を申し立てた。これを受け、10月28日に国交相が埋め立て承認取り消しの執行停止を行った。
これに対し沖縄県は、行政不服審査制度は個人や民間事業者に対する不利益な行政処分からの救済を目的としたものであり、「国交相が政府の辺野古移設の方針に反する判断を下すことは不可能。判断権者に公正・中立という行政不服審査制度の前提が欠落している」「沖縄防衛局長を私人と同様の立場にあると認めたことは明らかに誤っている」などとして、11月2日に国・地方係争処理委員会に不服審査を申し出た。
また、10月29日には国交相から、知事の代わりに埋め立て承認の取り消しを撤回する「代執行」の勧告文書が沖縄県に届けられ、沖縄県が勧告に従わないことから11月9日には指示文書を出したが、県がこれも拒否すれば国は沖縄県を提訴するとしている。
沖縄県と政府は、これらの処分をめぐって双方が法廷闘争に入ることは確実となった。また、沖縄県は、承認時の留意事項である事前協議を行わなかったことから埋め立て承認の撤回も検討している。
問われる地方自治と民主主義
今回の一連の政府の対応は、まさしく地方自治の否定であり到底認められるものではない。行政不服審査制度の悪用には、国内の行政学者93人が反対声明を発表するなど政府の横暴は明らかである。沖縄県民が示す民意を一顧だにせず、「公益」という名で強権発動を続ける政府の姿は、民主政治の否定でしかない。
工事が強行された10月29日、佐賀県では普天間飛行場所属のMV22オスプレイの佐賀空港での訓練移転計画を取り下げることを中谷防衛相が明らかにした。その理由を、地元と米国の理解が得られないとした。菅官房長官に至っては、「知事など地元からの了解を得るのは当然」と述べており、沖縄に対する対応と真逆の姿勢が明らかとなった。
また、政府が、名護市の久辺3区(辺野古、豊原、久志)に対して防衛省の振興費を直接交付する方針であることが明らかとなった。国が自治体を通さずに財政支援することは地方自治への介入にほかならない。札束で住民を牛耳ろうとしている政府の姿は民主主義とは程遠いものである。
このような、沖縄県だけを標的にした強権政治の姿は、沖縄だけの問題にとどまるものではない。日本の地方自治と民主主義の堕落であり、全国で反対のうねりを作っていかなければならない。
全国からの反撃を
マスコミは、本体工事着工と大々的に報道しているが、実は正確ではない。本体工事を進めるための作業ヤードや仮設道路の整備へ準備が始められただけであり、本格的な工事にはまだ入っていない。
ゲート前では必死の抵抗が続いている。しかし、10月29日以降は警察権力の横暴も激しさを見せており、警視庁機動隊が120人規模で派遣されるなど異様な状態となっている。
非暴力の抵抗を続ける現地を勇気づけられるのは全国からの支援であり、沖縄を孤立させない全国闘争が求められている。兵庫の地でも創意工夫したあらゆる支援を進めよう。
森 哲二(平和運動研究会)
- 無言館
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そこは信州の山中にひっそりと佇み、訪れる者に祈りと不戦の誓いを胸に刻ませる白亜の教会のような建物だった。戦没画学生の絵を保存展示し、その無念さを次世代に伝える「無言館」だ。
まだ紅葉していない木立に囲まれた白い壁の小さな木の扉を開けると、静寂と淡い光に包まれた壁には、様々な大きさと手法で描かれた若者達の思いの溢れる作品が並んでいる。自画像の下には彼の生きた証と享年が記されている。いずれも20代、30代の絵を愛した才能ある若者のまま、遠い戦地で散り、或いは病に冒され亡くなっている。
同年代の自分の息子と重なり、愛する息子を奪われた母たちはどんなに辛く悔しかったかを思い、胸が苦しく涙が出た。
私がとりわけ惹かれた裸婦があった。まっすぐに前を見つめる澄んだ目の、青みがかった裸婦像。私にはその目は静かな怒りにも見えた。その下にはこう記されていた。「外では日の丸の小旗を打ち振る音がしている。『あと5分、あと10分、この絵を描かせていてほしい。戻ったら続きを描くから』とモデルの恋人を残して出兵した彼は戻らなかった」と。この才能ある日高安典さんは1945年4月19日、フィリピン・ルソン島で亡くなっている。享年27歳。どんなに無念だったろうか!残された彼女はどんなに辛く悲しく、この絵を抱いてその後の人生をどう歩んだのだろう。
大好きだった祖母を丁寧に描いた画もあった。その目は私には「何故、この子が居なくなってしまうのか?」と途方に暮れているように見えた。
妹さんが戦時下で守り抜いた絵や阪神・淡路大震災の中から救い出した絵などもあり、御家族の無念の思いもたくさん詰まっている絵ばかりだった。
戦地から家族への手紙や絵入りのハガキ等もガラスケースに展示してあり、絵の好きな普通の青年であることが伺え、国家(結局は支配層の人間)が起こす戦争は、この普通の民を道具としているのだとよく分かり、怒りが湧いてきた。この怒りは「絵筆の碑」の裏に刻まれた説明書きを読んで、更に危機感を伴った。
3メートルほどの白い壁に90本もの様々な絵筆が埋め込まれていて、その右隅に赤いペンキの汚れがある。裏の説明書きには「2005年6月18日、実際に『無言館』の慰霊碑にペンキがかけられた事件を『復元』しました。『無言館』が多様な意見、見方のなかにある美術館であることを忘れないためです」と刻まれていた。
10年後の今日、戦争法を強行採決し、アジアの人々を蹂躙した事実さえねじ曲げようとする安部政権、アジアで政治的・経済的に優位に立つためには戦争も是とする勢力が確かに存在する。「世界平和のため」という安部政権の甘言に騙されず、危険な動きを封じなければならないと思う。
(まちこ)
- 配車をめぐるイジメ
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今、はりまユニオンが交渉している案件は、ハンドル労働者が配車での不利益な扱いを受けて社長に抗議した時に暴言を吐いたとして解雇だと言われた件である。解雇はその後撤回されたが、いまだにイジメを受けて給与が少なくなっているとユニオンに相談に来られた。ユニオンに加入し、賃金・労働条件・就業規則などの提示と仕事の割り振り(配車)の公平を求めて会社に要求した。
第1回交渉で、古い就業規則はあるが労働基準監督署には届けていないことや退職金制度がないことが判明。古い就業規則に替えて新しい就業規則は現在作成中で新たな雇用契約書を提示してきたが、その内容は、60歳定年でその後は嘱託社員で有期雇用とする内容だ。これまで古い就業規則には60歳定年とあっても、実際には60歳以上でも雇用契約の期間を定めずに正社員として雇用してきたのを有期雇用(嘱託社員)にするというのである。現在は正社員であるのに嘱託社員にすることは大きな労働条件の変更であり受け入れることはできない、現在66歳の人も正社員として働いていて、定年制は実質ないのではと反論した。5月から配車担当者による不利益な扱いを受けて給与が減っているというイジメもあり配車を公平にするようにも要求した。
2回、3回と団体交渉を行い、配車における不利益については社長が配車係に話をして解決に向けて努力する、定年制は60歳を65歳に、賃金・労働条件については運用も含め現在の条件を守るという回答があった。ユニオンとして検討中だが、いまだに配車担当者の態度が改まっておらず、現在も交渉を継続中である。粘り強く進めて行く。
労働相談ではハンドル労働者からの相談が多くあるが、賃金体系が複雑でいろんな歩合手当てによって月々の給与が決まり、給与の多くが歩合手当てのため、配車担当者の配車によって月々の給与が決まるという要素が強くある。そのため差別的いじめが起こりやすいのではないかと思う。
これからも相談者に対し誠意を持って対処し、ユニオン運動を頑張っていきたい。
横山良介(はりまユニオン委員長)
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