「新社会兵庫」 10月27日号
- ユネスコが南京大虐殺関連の資料を世界記憶遺産に登録した。「記憶遺産」というのは安倍首相の「ポツダム宣言」ではないが、詳らかには知らない。それでも調べてみると、水脈子が比較的関心をもつ分野では『共産党宣言』草稿や『資本論』初版第1部、『アンネの日記』、さらに山本作兵衛の筑豊炭鉱の記録画などがあるようだ▼「記憶遺産」という形式はともかく、これら人間の歴史がどこかに保存されるのは当然だろう。南京事件関連の資料がそこに含まれるのもごく自然だ。今回登録された全11点の関連資料は、当時を撮影したオリジナルフィルムや写真、日記、証言、軍事法廷での証言や証拠と判決文正本などいくつかのジャンルにわたっているが、それこそ膨大に残されている歴史資料のごく一部でしかない▼さて、南京大虐殺否定論が教科書にも影を落とす日本、さっそく菅官房長官は日本のユネスコ分担金や任意の拠出金の停止・削減を表明し、自民党外交部会は拠出の停止と登録撤回を決議した。虐殺否定論は日本だけでしか通用しない。「慰安婦」問題と同様、この問題は、政府や自民党が騒げば騒ぐほど彼らの歴史認識の危うさを際立たせ、世界中からの非難が高まらざるを得ない。
- マイナンバー制度は実施先送りと全面的見直しを
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マイナンバー制度の問題点あれこれ
マイナンバー法が10月5日に施行された。マイナンバー制度は、乳児から高齢者まで住民票のある人全員に、原則、生涯変えられない12ケタの番号をつけ、その人の納税や社会保障給付等、大量の個人情報を国が管理しようとするもの。「自治事務」とされた住基ネットとは違い、「法定受託事務」とされたマイナンバー制度は、まさに国策そのものだと言える。
10月中旬から12月にかけて、全世帯に「簡易書留」で通知が配達され、来年1月から「マイナンバーカード」が発行されると言われているが、神戸市の場合、とりわけ震災後人口流動が激しく不着(不達)率は10%と想定されている。「簡易書留」なので、昼間不在世帯には手渡されず、東日本大震災の避難者や長期入院・入所者、DV・児童虐待被害者は、事前に自治体に届け出ない限り(9月25日で終了)届かない。DV・児童虐待被害者は、届け出をしていなければ、加害者に通知が届く恐れもある。
また、日本年金機構の情報流出問題でセキュリティ強化が課題となっている最中に始まるマイナンバー制度に約6割の自治体が「安全策に不安を抱いている」と言う(共同通信)。「問題はない」と答えている神戸市も例外ではないはずだ。個人情報漏えいだけではなく、国民の基本的人権であるプライバシー権侵害、完全に防ぐのは不可能と指摘されている“なりすまし”等、多くの被害が出てくるのは必至だ。
こんな危険性を抱える制度でありながら、内閣府によると、マイナンバー制度について「知らない」と答えた国民が約6割近くあり、国民への周知は決して十分とは言えない。
また、大阪の中小企業を対象とした調査では、「マイナンバー制度への対応をすでに実施または計画段階」の企業は全体の約3割に留まり、約7割に近い企業ではマイナンバー制度の準備が未だに進んでいない実態が浮き彫りになった。その理由は、「どう対応すべきかわからない」が約8割で、時間・人手・資金の不足が理由としてあげられている(『大阪信用金庫』15年8月)。場合によっては、労使問題に発展することもあり得る。
このように国民・企業への周知や自治体の不十分な対応のもと、マイナンバー制度は導入・運用され始めようとしているが、このままだとスタートと同時に大混乱が予想される。しかも、その場合の責任の所在も明らかではなく、結局は、不着(不達)後の処理も含め、自治体が責任を負うことになるのだろう。
そもそもこの制度は、国の行政手続きに利用しようとするものだが、それにより、本人の承諾もなく番号がつけられ、生涯管理し続けられることの拘束感、不快感、不安感が、国民の中に根強くある。私は、この制度そのものに反対だが、現段階で混乱を避けるためにも、まずはマイナンバー制度の導入の先送りと全面的な見直しをするべきだと思う。
住基ネットと同様の道を歩みかねない
10年以上前になるのだろうか、住基ネット導入の折、反対運動が展開された。導入時に約400億円、運用に約130億円のコストがかかる住基ネットは、現在、普及率は約5%。あれは一体何だったんだろうと思ってしまう。今回のマイナンバー制度も約2200億円の国の予算に加え、各自治体の持ち出しや民間の経費等々で、社会全体では1兆円を超える相当な額になると言われている。これだけの膨大な経費をつぎ込むマイナンバー制度は、国民にとって若干のメリットはあれ、大半はデメリットばかり、必要としない制度だと言える。国民が丸裸にされるだけで、これもまた住基ネットと同様の道を歩むことになりかねない。反対運動に取り組めないまま、制度の成立を許してしまったことが悔やまれてならない。
最後に…
全世帯に届く「簡易書留」は、単なる通知で「マイナンバーカード」ではない。ただ捨ててしまうと、再発行の手続きが面倒である。それを拾った人が“なりすまし”に利用することも考えられるので大事に保管しておかなければならない。「マイナンバーカード」は、来年1月から、希望者は市役所(区役所)へ行って発行申請をするが、発行はあくまでも本人の希望であり、強制ではない。「マイナンバーカード」は、発行されなくてもほとんど日常生活に不便はない。
小林るみ子(神戸市会議員)
- やり場のない思いを政治に
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巷で話題の武藤貴也衆議院議員を選出した滋賀県近江八幡市で育ち、就職を機に神戸に越してきました。
私が社会の問題に関心を持ったのは小学5年生の時に経験した環境体験学習でした。滋賀県では県内すべての小学生が学習船「うみのこ」に乗船・航海し、宿泊をともなう教育を実施しています。郷土への理解や対人・協調関係を養う「ふれあい体験学習」のほか、琵琶湖を教育の場所として、水質の調査などの体験学習などを行っています。この経験から、将来は「琵琶湖博物館の館長さんになる」という夢を持ちながら、紆余曲折を経て現在に落ち着きました。
さて、話題がガラッと転換しますが、最近気になった書籍があります。『若者はなぜ「決めつける」のか』(長山靖生著、筑摩書房)という著書で、過去20年の若者の変遷を追った1冊です。そこには、ありがちな若者を非難するような内容ではなく、行き場のない社会の中でどうやって生活していくか、また、若者が決めつけざるを得なくなった社会の状況について書かれていました。
著書の中で、若者を「決めつけ」に走らせた要因には、世の中に蔓延する「決断主義」があると筆者は述べます。2001年に小泉政権が誕生、問題の単純化や二者択一を迫る手法で、世の中は時流に乗せられ、一気に「決断主義」へと進んでいくと指摘しています。
私は1989年生まれで、生まれた頃にはバブルが弾け、小学校から中学校に入ってすぐゆとり教育が始まって、高校では履修漏れやらなんやらで入試も卒業もバタバタ。就職活動を始める頃には、リーマン・ショックで就活氷河期を経験する世代になります。
私は運良く、これまでわりと順風満帆な人生を歩んできましたが、私の周りには今なお不安定な生活を余儀なくされている友人はたくさんいます。
ヘイトスピーチはあってはならないことだと思いますが、やり場のない怒りが外に向かう原因を当事者だけの責任にするのではなく、なぜそのような環境が生まれてしまったのかを考えなければならないかなと思います。
自民党だけでなく、野党の責任も重いです。今の政治が不満でも、政権交代可能かつ第2自民党ではない政党が見当たりません。これで「選挙に行って政治を変えよう」というのもなかなか酷い話かなと思います。
文句ばかりで申し訳ございません。それでも政治には期待したいです。3食美味しいご飯が食べられて、いのちが軽んじられない当たり前の社会の実現のために。
(吉野冬詩 26歳)
- コミュニテイ・ユニオン全国交流集会に参加
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9月26、27日の2日間、愛知県刈谷市で第27回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が開かれ、70を超えるユニオンから約400人が一堂に会して交流を深めた。兵庫からは30人が参加した。
私は3年ぶり、京都集会以来の参加だった。
1日目は、5つのユニオンからの特別報告と、「社会的危機と対峙する労働運動」というテーマで、中西雄二弁護士と大内裕和中京大教授から講演を受けた。大内教授の講演はメリハリの利いた迫力ある内容で、具体的な資料を提示しながらブラックバイトの実態と、その背景から貧困が戦争へと結合する問題点を指摘するもので、大いに共感できた。
夜の歓迎レセプションや県レベルの交流は各地で奮闘する仲間に接するだけでも元気が出てくる。
今回、休憩時間を利用しての争議報告会で、東京東部労組の組合結成(メトロの売店の女性たち)とそのたたかいのDVDには強い感動を覚えた。ごく普通の「おばさん」が、たたかいの中でたくましく変わっていく過程に、労働者のすごさを感じたのは私だけではなかったと思う。
2日目は、トヨタの足元で、パワハラ、非正規雇用、労働法制改悪など14の分科会で交流が行われた。私は、「憲法・安倍U」に参加。各地で戦争法案反対の闘いに取り組んだ仲間に学んだ。
今回、東海ブロックから多くの外国人労働者が参加したのが特徴的だったが、労働運動のグローバル化について考えさせられた。
最後に、「安保法制に対する闘いの広がりは、新たな政治・社会運動の可能性を示している」とする集会宣言を採択。来年の広島での開催を確認して無事終了した。
戦争法成立直後の交流集会であったためか、政治性を強く帯びた集会だったと思う。
学生層にまで広がった貧困問題。労働運動の課題は大きいが、ユニオン運動が、労働運動と社会を変えていく原動力となることを予感させる全国交流集会だったのではないかと思った。
大野克美(あしやユニオン)
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