「新社会兵庫」 7月28日号
 「国民なめるな」―このコール、とくに戦争法案の強行採決以降のデモでよく使われだした▼当然だろう。それほど安倍政権はあからさまに国民を愚弄し、侮辱してきた。「国民の理解が進んでいない」と言明しながら、その直後の強行採決。そして、この暴挙のあとは「審議は続く。丁寧に分かりやすく説明していきたい」だと。空疎な言葉の響き以上に、邪悪な目算を強く感じる。「国民はどうせ時間が経てば忘れてしまう。怒りも収まる」と踏んでいるのか▼その一方、新国立競技場の建設計画は、高まった批判を前に計画の白紙見直しを打ち出した。曰く「国民から大きな批判があった」―。ならば、安保法制はどうだ、辺野古新基地はどうだ、原発再稼働は……。これらはどんなに国民の大きな異議があろうと無視、強行を決め込んでいる。「国民なめるな!」▼だが、強行採決も、計画見直しも、実は追い詰められているからなのだ。安倍政権は窮地に陥り、焦っているのだ。支持率が急落している。なめられた国民の反撃はこれからだ。強行採決の7月15日は、奇しくも祖父岸信介が退陣した日であった。その因縁にあやかるわけではないが、その日を安倍内閣の終わりの始まりの日としよう。
戦争法案 あくまで廃案めざそう たたかいはこれからだ
 安倍政権は7月15日、憲法学者や元内閣法制局長官らからも憲法違反の立法と指摘・批判され、また圧倒的多くの世論が今国会での成立に異議を表わしていたにもかかわらず、安保関連法案=戦争法案を衆院特別委で強行採決、翌16日には衆院本会議でも強行採決・可決を行うという暴挙を行った。
 まず、この暴挙に満身の怒りをもって糾弾、抗議する。
 今国会の会期を異例の95日間も延長し、衆院での再議決を視野に入れて突っ走ってきたその線上にあると言えばそれまでだが、異論をまったく受け入れず、自らの主張をただ国会での数の力をもって押し通すという強権的で傲慢な政治手法そのものに政治の劣化と民主主義の深刻な危機を感じる。
 だが、わたしたちは、安倍政権が思い描くレール上のいわゆる「60日ルール」でこの違憲の法案が成立してしまうことを絶対に許さない。あきらめることなく、参議院であくまでも廃案にすることをめざして、さらに運動を強める。国会の大幅な会期延長は、その分、反対運動の広がりをつくる条件となる。今回の暴挙が安倍政権にとっては致命的な誤りの選択だった、と後悔させるような状況を今からつくっていかねばならない。その意味で、たたかいは今からだ。たたかいはこれからだ。今からでも私たちの運動次第で、戦争法案を廃案にすることは可能だと考えよう。安倍政権は、圧倒的に多くの国民を「敵」に回してしまったのだから。
 この間の各種の世論調査でもそのことが端的に示されている。内閣支持率の急落が著しい。強行採決後、支持率はいちだんと低下の幅を大きくしている。朝日新聞社の最新の世論調査(7月18、19日の両日実施)では、安倍内閣の支持率は37%(前回=7月11、12日実施は39%)、不支持率は46%(同42%)だ。同日の産経新聞社とFNNの合同調査は支持率39・3%、不支持率52・6%だった。 暴挙への国民の怒りで支持率を安倍政権が立ち行かなくなるほどまでに落とせるか否かが、これからの勝負となる。
 安倍政権にとっては、今後の、とくに8月の政権運営の見通しは決して明るくない。場合によってはさらに大きな批判を招くことになるかもしれない不安要素を抱えている。戦後70年の「首相談話」問題、川内原発の再稼働問題、辺野古新基地建設の埋め立て承認の取り消し問題などがそれだ、と指摘する識者もいる。 そして、そのためには私たちは、「日本を戦争する国にするな」「憲法9条を壊すな」と、戦争法案反対の声をさらに広げていくことだ。
 その際、今回の運動にはこの間にはなかったような、さらには今後に展望を開くようないくつかの運動上の特徴が見られることに改めて注目をしたい。有利な力となるだからだ。
 何よりも、憲法9条への危機感を土台にして運動が広がっている。共同も広がっている。
 その第1は、「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」の立ち上げと運動の呼びかけの広がりである。戦争をさせない1000人委員会、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国ストップ!憲法を守り・いかす共同センターの3つの運動団体が結集して、党派・潮流を超えた行動をつくりだしてきた。そんな影響もあろう、各県・各地区でも名前や形態こそ違え、党派を超えた共同の集会やデモが企画されている。兵庫県でも明石で戦争法案成立阻止の実行委員会がつくられ、芦屋でも実行委員会形式で集会・デモが企画されている。
 第2は、各界・各層の運動への活発な参加である。例えば、さまざまな専門分野の学者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」は7月20日、「強行採決は国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊だ」などとする1万1279人の共同声明を発表した。
 第3は、若者や学生たちの運動であろう。SEALDsという学生組織などの運動は斬新で大きな影響力を発揮しつつある。
 こうした運動の盛り上がりを持続し、さらに大きく広げることで参議院での廃案をめざす運動は精一杯展開できる。当面の決着は9月下旬までの今国会での成り行きである。だが、それでも終わらないと構えるほかないたたかいである。安倍・自公政権は倒さねばならない。猛暑のなかだが、政権を寒くさせるような運動の盛り上がりをつくろう。
上野恵司(憲法を生かす会・ひょうごネット事務局)
後方支援のつもりが・・・・・・
 先日、新聞にこのような記事がありました。「後方支援のつもりが前線に立たされて。ブラックバイトで身を削る若者達、コンビニや飲食戦線への学徒動員」。
 「後方支援」「前線」「学徒動員」……、若い人たちにはなじみの無い言葉が並んでいます。戦後生まれの私も、肌で感じた経験を持ちません。でも、今の日本の状況が、「後方支援」と言われながらいつの間にか「前線」に立ち、若い皆さんを再び駆り出すのではないかと不安です。もちろん、ブラック企業のバイトのことではありません。
 数年前、私はある映画を観ました。「大いなる陰謀」(邦題。ロバート・レッドフォード監督―大ファンです)で、監督本人も出演しておられました。メリル・ストリープ、トム・クルーズと大スターの競演。私にとってはそれだけでも魅力的なのに、内容もとても考えさせられるものでした。
 映画は、アメリカのある大学。歴史学の授業、教授と学生達の議論。現状の中で何をすべきか?と問われ、自分達は行動するつもりだ、それは正義・大義のために志願兵として戦場に赴くことだと決意するヒスパニック、アフリカ系の2人の若者達。もしものことがあったらと教授は止める。でも一方で、彼らは帰ってくれば大学院進学と授業料免除を受けられるという大きな希望が支えになっていることもまた、映画の中では伝えています。他方、歴史学の授業をサボり「世の中、何も変わらない」と関わることを避け続ける優秀な白人学生。楽な生き方へと流されつつあることに「君は、何か行動を起こしたか?」と教授が迫ります。
 アメリカはイラクでの戦いが泥沼化する中で、アフガニスタンで勝利をと焦ります。その作戦に、「世界がより良い方向に向うのなら行動を」と志願した先の2人の若者が巻き込まれて行きます。そして、非情な結末が待っていました。モニターで見ていた指揮官が「作戦終了」を告げます。これらの作戦の情報を、上院議員がベテラン女性記者を呼びリークし、好意的な世論作りを謀っていました。「なぜ今、それを実行する必要があるのか……」という彼女に「作戦の達成に手段を選ばない」と繰り返す議員に疑惑を感じ、報道することに踏み切れないでいます。増え続ける戦死者の一つ一つの十字架……。
 これらの場面が、映画の中では交互に入れ替わり、同時進行します。カリフォルニアの大学教授の部屋、ワシントンD.C.上院議員の執務室、作戦が開始されるアフガニスタン、テレビ局報道の現場。
 終わりを感じさせない映画でした。これがラストシーンだということを感じさせない映画でした。「つづく」歴史を今を生きている私たちがどうするかだろうと考えさせられました。
 最後に、この映画の原題は「Lions For Lambs」―戦争とは「猛々しく前線で戦う若者達はライオンだが、指揮官達は子羊のようなものだ」―。
(H)
解雇通告へ裁判決意
 私は豊岡自動車教習所(豊岡市)に勤務していますが、現在は自宅待機中です。昨年の7月21日以降、病気で休職し、今年3月21日付で主治医の職場復帰可能の診断書を会社に提出、復職願も提出したのに職場復帰の許可が出ていません。
 第3回交渉(3月7日)で4月に会社指定の医師の診断を受けることになり、その結果、職場復帰に支障はないとの診断書が出されました。ところが、会社は方針を変え、主治医と会社指定の医師による診断を否定し、サードオピニオンを求めてきました。私は、会社が「会社に都合のいい診断」が出るまで求めてくるのではないかと思いました。
 さらに問題は、3月21日以降、傷病手当金をもらえなくなり無収入の状態が続いていることです(職場復帰可能の診断書があるから)。
 会社は、第3回交渉ではユニオンの要求(復帰後のカツラ等の着用や定時退社等)を認める回答をしてきましたが、第4回以降は、私の能力や資質を問題にして仕事に就く場所がないとの回答に終始しており、前回交渉の確認を反故にする態度です。第5回交渉(5月17日)、第E回交渉(6月14日)では要求に対して、「前向きに検討する」と回答しておきながら、会社の回答は、「私傷病休職期間を8月20日まで延長する」(6月20日付)としながら、「8月20日までに休職の事由が消滅しなかった場合には、就業規則により退職となります」(7月2日付)との文書回答でした。これではいくら交渉を積み上げて話し合いをしても解決することは難しいと思います。
 この一連の問題で何度か労基署にも相談に行きましたが、「会社が求める診断に何回までという規制はない。賃金保障も会社に責任はない」との回答でした。労働法は働く者、弱い立場にある者のためにあると思っていましたがザル法になっていると思います。その法を悪用する会社への怒りも湧いてきました。
 この1年、何とか交渉で解決することを願っていましたが、「退職=解雇」を通告されましたので裁判闘争等をも視野に闘う決意をしています。
田中秀和(但馬ユニオン)