「新社会兵庫」 5月26日号
 欺瞞、姑息……、そして何よりも傲慢。権力の座にある者の常なる手法、習性なのか。それとも、この人の個人的属性なのか▼「戦後レジームからの脱却」を唱え、解釈改憲で日本を戦争する国にし、憲法9条を無きものにしようとする安倍晋三の暴走は、こんな臭気をまき散らかしながら、ついに来るところまで来た感がある▼「平和安全法制」という欺瞞以外の何ものでもない名をつけた「戦争法案」が閣議決定され、国会に提出された。ものごとの本質を明確にするためにもここは敢えてレッテルを貼ろう。国のあり方を根本から変えてしまう戦争法案を阻止するために「総がかり」の運動が今こそ必要だ。大同団結が求められている▼一方、明文改憲に向けた動きも気になる。本丸9条改定の前に国民に改憲の経験をしてもらう「お試し改憲」ときた。「裏口入学」と揶揄された、先の「96条改憲」論議が思い出されるほどまたまた姑息な手口だ▼「素人がたった8日間でつくった」という憲法間の持ち主のこの人には、あと2つレッテルを貼らねばなるまい。「無知」と「無恥」―。本当に彼が知らないと思えるのは戦争と民意というものの怖さだろう。民衆の怒りと力の怖さを教えてあげねばならない。
日米新ガイドライン批判
日米安保の実質的改定でグローバルな日米同盟へ
 日米両政府は4月27日、安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の見直しに関して合意した。18年ぶりに見直された新ガイドラインは、現行ガイドラインの「平時」「周辺有事」「日本有事」という分類を解除、日米協力の範囲を「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」とし、日本周辺に限定した地理的な制約をなくすなど、日米の防衛協力を地理的にも任務・領域的にも大きく飛躍させる内容で、これまでとはまったく次元の異なる戦争態勢づくりになる。その前提には、海外での武力行使に道を開く、昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定があり、5月14日に閣議決定され、国会に提出された一連の「戦争法制」と表裏一体をなすものだ。
 日米防衛協力指針はこれまで2回策定されてきた。第1回目は東西冷戦を背景に、1978年に策定された。旧ソ連の日本侵攻を想定し、有事には自衛隊と米軍が共同作戦をとるというもので、防衛協力の対象とする主な範囲は日本国内とし、極東有事については「米軍への日本の便宜供与のあり方を相互に研究する」という記述にとどまっていた。その後、北朝鮮による核開発疑惑などの新たな情勢に対応するためとして、1997年に2回目のガイドラインが策定された。この改定では日米の協力範囲を「平時」「周辺有事」「日本有事」に分類。この改定を踏まえて2年には年には、米軍への後方地域支援を可能にする「周辺事態法」が成立、対米支援は1978年策定ガイドラインより日本周辺での有事に重点が置かれ、周辺事態には一定の地理的制限があるとされ、自衛隊の活動範囲は「後方地域」「非戦闘地域」に限っていた。
 ところが今回の改定は、米国防長官が「日米同盟を一変するものだ」と語ったように、日米安保条約の事実上の改定と言えるほどの内容になっている。しかも、ガイドラインは単なる行政協定であって、2プラス2と言われるように、日本側は外務大臣、防衛大臣が署名すればいいというもので、内容的には本来安保条約を改正しなければいけないものであるのに、国会で議論しないままに、行政協定で安保条約を実質的に変えるという国民不在の行為である。
 その内容はというと、新ガイドラインは今までの「平時」「周辺有事」「日本有事」という分類を撤廃し、日本の集団的自衛権行使容認を背景に新たに、@平時A日本に重要な影響を与える事態B日本有事C他国有事の4段階において日米の役割分担を明記している。その大きな特徴は、「切れ目のない」というキーワードが何回も登場するように、「平時」から「有事」までの「切れ目のない」、また地理的にも任務・領域的にも「切れ目のない」全世界的な戦争での日米連携をうたっている。まさにいつでも、どこでもシームレスに米国の戦争に参戦することができる内容だ。
 また、5月14日に閣議決定した戦争法制の核心部分を先取りしたのも特徴である。戦争法制で示された、他国への武力攻撃事態が発生し、日本の存立が脅かされる事態=「存立危機事態」では、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」(=集団的自衛権の行使)として弾道ミサイルの迎撃や、強制的な船舶検査などが盛り込まれている。さらに、今までのガイドラインにはなかった日本での大規模災害でも戦争マニュアルが適用される。その中で、米国は自国の基準に従い日本の活動への支援を行うとし、さらに米軍は日本での災害関連訓練に参加することも示された。また、新たに宇宙及びサイバー空間における協力も記述され、宇宙にまで防衛協力範囲を広げたのも特徴だ。さらに、これまで有事対処に限られていた日米の調整機関(同盟調整メカニズム)を平時から稼働させることも示された。まさに日米2国間による線の協力を、「日本周辺」から地球規模の面に広げ、さらに宇宙という空間にまで3次元的に、またシームレスに軍事協力を行う新ガイドラインと言える。
 まるで、新ガイドラインと戦争法制が憲法の上位にあるような既成事実づくりは許されない。戦争法制の廃案に向け奮闘しよう。
中村伸夫(憲法を生かす会・ひょうごネット事務局)
教えてあげよう
 4月29日、毎月行っている「憲法を生かす会・垂水」の街頭宣伝行動を垂水駅東口でしていたときのこと。30分ほど経ったとき、右翼の街宣車がたまたま通りかかった。黙って通り過ぎるのかと思ったら、私たちののぼりが目に留まったらしく、引き返してきて大音量でがなり始めた。駅前の道路は狭い片側1車線。真っ黒い右翼の車4台が連なって動かないので、後続車が溜まって渋滞状態になった。後ろの車は怖いのか、クラクションも鳴らさず、じっと並んでいる。見物人も遠巻きに眺め、騒然とした雰囲気のなか、ついにパトカーや警察官がやってくる騒ぎになった。
「なにが憲法記念日じゃあ」
「お前らみたいなんがおるから日本が馬鹿にされるんじゃあ」
「共産党か、社民党かあ、どこの手先や。中国か朝鮮かあ」
「アメリカに押し付けられた憲法なんか変えなあかんのじゃあ」
「憲法を生かすとはどういう意味やあ」
「あほかあ」
「道路使用許可書見せんかい」
 10分、15分、やがて4台から屈強な男たちが20人くらい降りてきていちゃもんをつける。手を出した方を拘束するのか、警察官が中に割って入ってくる。
「言わんかい、憲法を生かすっちゅうのはどういう意味や。教えてくれやあ」
「言われへんのかい、そんなんでようやっとんのう」
「お前らが止めるか、わしらが帰るか、どないすんねん」
 教えてあげようじゃないか。戦争をしないという9条だけでなく、憲法には平和的に生きる権利、人間らしい生活を保障される生存権がうたわれている。だから、暮らしを根底からくつがえす恐れがある原発は一刻も速く廃炉にしていこうとか、非正規労働のような不安定な雇用、ブラック企業のような働き方をやめさせようとか、憲法に書かれた人権尊重を理念だけにせず、実際に生きたものにしていこうということよ。刑法や民法などは、社会生活に必要なルールを定めてそれを破れば罰せられる、為政者が国民に守らせるもの。それに対し、憲法は為政者が権力のままに政治を行わないよう縛りをかけたもの。国民が為政者に守らせるもの。近代の立憲主義という人類の英知の到達点として日本国憲法がある。押し付けられて困っているのは憲法じゃなくて米軍基地でしょう。中国が領土を侵しているというけど、それは日本の挑発に乗っただけ。実際に沖縄や基地周辺住民の生活権を侵害しているのはアメリカでしょう。人に迷惑をかけることによってしか注目を集められないあんたらのやりかたが支持されると思ってんの?
 山ほどの言いたいことを飲み込んで「5時までの予定やからね」とだけ言ってビラまきを続けた。いつもと違ってビラは全部はけたし、「憲法を生かす会、憲法を生かす会」と連呼してくれたおかげでいい宣伝になった。何か言いたそうにしている私に対して、「大人の対応をしましょう」と言って守ってくれた私服の警官に「あんた右翼?」と聞いてしまった。だって人相が悪かったんだもの。区別がつかなかったのよ。
(M・M)
世代交代のための活動家の育成が急務
 今回は芦屋地労協とユニオン活動についての報告をしたい。
 わずか数十人のユニオンあしやから芦屋地労協の主要な役員任務に3人の組合員(60歳以上)が就いている。だがこれは、ユニオンあしやが芦屋地労協の運動を支えていると言うよりも、世代交代ができていないことの方が問題であると思う。 このような状況の中で、ユニオン運動と地労協の運動がどのように結びついているのか。労働相談については、地労協常任幹事会で、各労働組合に労働相談のビラを配布する程度で終わっている。労働相談のなにかの行動にかかわってもらいたいと思っているが、地労協傘下の組合は、ほとんどの組合が役員は1年交替で、1年を超えて地労協運動を担うということがない。その結果、活動家が育ってこない。任務に慣れた時にはもう交替と、こんな現状が続いている。地労協の事務局では、現状を少しでも克服するため、常任幹事会の案内文書、動員の要請などはできるだけ郵送だけに頼らず、組合事務所や職場に足を運び交流を心がけている。その結果、動員体制は良くなっている。
 毎年5月末に地労協の交流学習会を行っている。一昨年は各組合の春闘の取り組みの報告、昨年は武庫川ユニオンの小西純一郎書記長から公契約条例の取り組みを講演してもらい、今年は尼崎地区労働組合人権平和センター議長の酒井浩二さんに尼崎地区労の活動について講演してもらうことを予定し、地労協内の労働組合の交流を深めている。
 昨年8月31日、県の合同防災訓練が潮芦屋フリーゾーンを会場に実施され、これに在日米軍が参加するという事態が起きたが、芦屋地労協としては、防災訓練への米軍参加に反対する行動を呼びかけ、2つの市民団体とともに実行委員会を構成、前日の抗議集会と当日の抗議行動を共同で取り組んだ。両日で県外からの参加を含め550人が集まることができた。
 この共闘を経験してみて、今後、市民団体との共闘や反戦・反基地・反原発の運動を地労協としてもさらに前進させていこうと考えている。
 また、たいへん難しい課題だが、ユニオン運動、地労協運動の世代交替を考えた活動家の発掘・育成が求められている。
旭 茂雄(ユニオンあしや副委員長)