“安倍流”との対抗力の構築へ地域からの共同戦線づくりを
総選挙結果から問われているもの
新社会党委員長 松枝 佳宏
第47回総選挙は前回(2012年)に続き、改憲を進める安倍政権に「3分の2」勢力の保持を許してしまった。自公連立合意の一つに「憲法改正に向けて国民的議論を進める」が掲げられ、いよいよ明文改憲が日程にのぼる。
資本主義に未来はあるのか 経済が問われた
大上段に振りかぶるようだが、今日、日本も、世界も、大きな岐路を迎えている。根底には、今後、資本主義がどうなっていくのか、行く末が見えないことがある。さらに資本主義に代わる社会主義を含め、新しい社会の未来像が見えず閉塞感が強い。トマ・ピケティ『21世紀の資本』、水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』が話題になっているが、そこにあるのは「資本主義の未来に対する悲観」という。私は、今回の総選挙がアベノミクスをはじめ「経済」が争点になったのは当然だと思う。どう経済を立て直すのか、世界が、各国が、それぞれ必死になっている。成熟しきった先進国、台頭する新興国、さらには長いこと欧米に支配され収奪され続け今なお苦闘する国々。グローバル競争が激しくなる中で、それぞれの国の支配層だけでなく民衆も「どう生き延びていくか」、内部矛盾を抱えながら模索しているのだ。激動する世界情勢である。その方向も各国バラバラで、その日本版が安倍流(アベノミクスと「アベニズム」)だろう。それは、激動する世界情勢の中で日本資本主義が生き残るには、「強い国家」と「強い企業」が必要で、「働く者は我慢せい、文句言うな、そのうちトリクルダウンでよくなる」というものだ。安倍流経済成長神話に誘導された人も多い。
安倍の思惑通りの解散・総選挙とその結果 準備も迫力も欠く野党
それにしても、やはり体制側は準備万端怠りなしだ。「大義なき選挙」という大キャンペーンが張られた。政治不信、議会不信、そして政党不信だけでなく、選挙そのものに不信を煽った。『読売』は《「ニッポン無責任男」「首相はつらいよ」の安倍首相監督作品、構想何年?! 製作費631億円。安倍さんの安倍さんによる安倍さんのための、自民党がおくる空前のスペクタクル! 監督、脚本、演出、主演…オレ(アベ)!》と1面イラスト入りである。
結果、戦後最低の投票率52・66%、有権者のほぼ半数が棄権。結局、様々な権益集団とつながりが強い政権与党の「圧勝」をつくり出したのだ。その現実は、自民党は小選挙区では得票率48%で議席の75%を確保し、比例得票率33%で絶対得票率を計算すると20%にも満たない、有権者5人に1人の支持で政権に就いたのだ。誰が演出したのか、根元から民主主義が崩れていく。日本社会の危機である。
それと対決する野党はどうか。「大義のない選挙」とはいえ、総選挙は安倍暴走政権に退陣を迫る機会でもあった。だが、『朝日』の調査によると、自民党の勝利の理由は、「安倍政権の政策が評価されたから」はわずか11%、「野党に魅力がないから」が72%と圧倒的である。改革を訴えながら政権を取ったとたん、財界や官僚に近づき、自民党並みになった民主党をはじめ、第3極の流れは自民党亜流で信用されていない。
要するに、自公政権に対する左派・護憲派の姿が見えないのだ。共産党の前進は、安倍流を危険視する人々の、「自共対決」で健闘する姿勢への消極的選択だろう。さすが共産党だと評価するが、共産党だけで局面を打開できるだろうか。
岐路に立つ日本社会 私たちはどう構えるか
総選挙で明らかになったことは、もはや民主・連合ブロック、維新など第3極はあてにならないことであり、それに代わり安倍政権と対抗する(左派)護憲ブロック構築の緊急性である。
早速この春、自治体選挙がある。そして来年(2016年)夏には参院選だ。安倍自民党は参院選で、公明や維新、そして民主・改憲派を巻き込んで改憲案を示して「信を問う」という。衆参ダブル選の声もある。この1〜2年が大きな岐路で、どう対抗するかである。
私たちは「沖縄の闘いとその勝利」に学び、広範な共同戦線づくりに着手しようではないか。私たち新社会党は、その軸に社民党も座ってほしいと、比例で社民党を推薦し闘った。社民党は踏みとどまり、政党要件を守り抜いた。ぜひとも護憲共同戦線構築へ一歩踏み出してほしいものだ。
だが今までの経験からいって中央での政党間、団体間の協議は容易ではない。どう突破するのか。私は、憲法を守り生かそうとする人々が、「みんなの問題」として大衆運動の現場から「私たちの候補者」をつくる、そして資金も運動も責任を持つ、各都道府県1人の統一候補を擁立する、それを全国でつなぎ、中央に反映する、―そのような大きな構えが必要だと思う。もう「あなた任せ」ではダメである。そして、何よりも暴走する安倍政権が私たちに闘う舞台、共同を迫る情勢をつくり出してくれているのである。
私は、安倍流を一言でいえば「儲けのためには何でもあり」ということだと思う。今や「公共」の市場化(民営化)が進み、医療、介護、子育て、教育……いわゆる社会権が儲けの対象となり、雇用の劣化が進んでいる。原発推進、武器輸出解禁など、安全、平和=戦争までが成長戦略なのである。しかも、グローバル競争の激化は世界の激動となり、抵抗と抑圧、そして殺し合いと、悲惨な事件が絶えない。
安倍はこの情勢を「強い国家」で乗り切ろうとしている。集団的自衛権の行使、アメリカと一緒に世界で武器を取るというのである。若き自衛隊員が殺し殺される現場へ派遣されようとしているのだ。
「みんな」が考え始めている。そして多くの闘いがある。共同戦線の土台である。反撃の第1段階として、春の自治体選挙は負けるわけにいかない。地域から共同戦線づくりを進めていこう
- 国民をなめたらアカンよ!
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「私の大好きな知人が『普通がええねんでー』と言って、昨年病気で亡くなりました。私はそんな普通の日常を害するものは、絶対に許さない。」と年賀状に書きました。毎日、仕事をすること、ご飯を食べること、寝ることなど、当たり前のことを当たり前にできることがどれほど幸せなことか。
今、毎日のように失業、非正規、生活保護、子どもの貧困、介護問題、生活格差等々、気がめいるような事柄や事件がテレビや新聞で報道されています。また、阪神大震災20年としきりに報道しています。震災直後も、20年も経った今も、どれだけ多くの方が仮設や復興住宅で孤独死や自死されたことか。行政の不備に殺されたのです。震災で助かった命を自ら絶つことの想像できないくらいの辛さ、一人淋しく息絶えていくことの壮絶さ、それらの教訓が生かされることなく、政府、マスコミは東日本大震災後もしきりに“絆“の大切さを言っています。同じ誤魔化し事も繰り返しています。
人と人との繋がりの大切さなんて、言われなくてもみんな分かっています。思っています。(アンタに言われたくない!)大切なのは、繋がれるような物理的な条件があるかどうかです。そんな日常があるかどうかです。そんな条件を政府は作ってきたでしょうか。今も作っているでしょうか。政府は、多くの住民が反対するなか、福島県南相馬市の「特定避難勧奨地点」の指定を解除しました。今も放射能汚染濃度が高いにもかかわらず。また除染活動も終えていないのに。そんな所に安心して帰れる訳がないのに。それで何の“絆”なんでしょうか。
沖縄もしかり、辺野古もしかりです。昨年末に惜しくも亡くなられた菅原文太さんは、亡くなる直前に参加された沖縄県知事選・翁長支援集会で次のようなことを言われていました。「国の役割は、国民を飢えさせないこと。安全な食べ物を食べさせること。そしてもっとも大切なことは、絶対に戦争をしないことです」、「海も山も空気も水もすべて国家のものではない。そこに住んでいる人達のものです」、「それができない人は、沖縄から、日本から去ってもらおう」と。
憲法で保障されているはずの「衣食住」「教育」などの生きていく上での最低条件が平等に保障されていたら、そしてほんの少し余裕があったら、自分以外のことにも気配りができるし、他人を思いやる気持ちも持てます。そんなことは当たり前やないですか。(アンタにそんな気がないくせに!)
安倍政権は、今回の選挙結果を鬼の首を取ったように、国民の多数の支持を得たとはしゃいでいます。最低の投票率、得票率にもかかわらず。しかし、小選挙区の仕組み故に自民党が圧勝です。それを民主主義と言い、さらにとんでもない「アベノミクス」を邁進させると。そして彼の一番の狙いは、「憲法改正」をし「戦争できる国」に仕上げることです。
菅原文太さんが言われたように、そんな人には去ってもらいましょう。日本に住んでいる多くの人達は、普通の日常を望んでいます。
そんな私たちをなめたらアカンよ。私たちはそんなことは絶対に許さないから。
(新原三恵子)
- ゴミ収集への苦情で一方的解雇に裁判へ
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正月、何気なくテレビのニュースを見ていると、1月5日の連合の新年交歓会に榊原経団連会長と黒田日銀総裁が出席したというのでびっくりした。1989年の連合結成以降、毎年、経団連会長や日銀総裁に招待状を出しているが、出席するのは今年が初めてだと言う。
連合は、官製春闘がよほど気に入ったのだろうか。労働組合の誇りをとうとう投げ出してしまったのだろうか。
自民党は、このたびの総選挙で圧勝したが、安倍政権は、「獲得した票数は有権者の4分の1しかない」とか、「全権を委任したわけではない」というような意見にはもちろん耳を貸さないであろう。
労働法制の全面的な改悪が俎上に上がっているが、今後、拍車をかけてくることだろう。現在、ブラック企業が社会的な問題になっているが、労働法制が全面的に改悪されれば、ブラック企業は合法化される。
昨年10月18日、19日に札幌で開催された第26回コミュニティ・ユニオン全国交流集会に参加したが、そこではブラック企業で働く学生達の実態が問題になっていた。ブラック企業でアルバイトをする学生の多くが、労働基準法などの労働法制を知らない。だから、「休みが取れない」「残業手当がつかない」「解雇されても何も言えない」状態でもそんなものだと思わされている。社会に出て行く前の学生達を中心にした労働法の学習会を開く必要があるというものであった。
姫路ユニオンでは、現在、姫路市からゴミの収集を委託されている金田組に働くAさんとBさんの解雇問題について、12月から裁判闘争に入った。
ゴミの入った袋および段ボールを手で持たず、足で扱ったことが商店街の監視カメラに映っており、商店街から苦情が来たため、2人の言い分も聞かずに一方的に解雇を言い渡したものである。
労働組合の意義は、勝利するまで闘うことにある。ご支援をお願いしたい。
森山容光(姫路ユニオン委員長)