「新社会兵庫」 12月23日号
- 当欄の記事にも入稿の締切があり、それが刷り物になるまでにはまた一定の日数を要する。ある程度先が見えているものの、実際には結果はまだ出ていない。あくまでも推測ということになるから、確かなことは書けない。そういうイライラする時期というのがある▼さて今回の衆議院の解散。不勉強でどういう議論があるのかよくは承知していないが、解散が総理大臣の専権事項だとされることにはずっと違和感を覚えていた。首相が任意に議会を解散できる、「7条解散」といわれても、内閣の助言と承認を得て衆議院を解散する天皇の国事行為を定めているだけであって、首相が好き勝手に解散できるとは書いていない。議会自らが解散できる権能を有しているのか議論もあるのだろうが、解散についての明示規程は「第5章内閣」の第69条のみだ▼小泉の郵政解散もそうだったが、今回の安倍の解散も、もちろん大義もなければ筋も違う、屁理屈の党派的利害による暴挙であり、憲法とは違背する所作だったのではないだろうか▼それを「総理の専権事項」という俗論で容認してきた国会や学界・ジャーナリズムの無為は批判されてしかるべきだ。われわれ自身のある種の自己批判も込めて、そう思う。
- 厳しい「ひとり親」家庭の状況
心豊かに子育てできる環境を -
「ネット託児」問題の背景
様々な事件が頻繁に起きる昨今。今の世の中のスピード感は、“意外な出来事”でも、次の瞬間には“よくあること”にしてしまう。そして、いつの間にか“慣れ”てしまう。だが、これほど怖いことはない。
覚えておられるだろうか、あの痛ましい事件を引き起こした「ネット託児」。以前、「憲法25条の危機」のテーマでこの欄に書かせていただいたが、ネットのベビーシッター仲介サイトを通じて行う「ネット託児」の存在をこの事件ではじめて知った人も少なくはない。安い保育料、高い利便性、何か事故が起きない保障はないというリスクを承知で頼らざるを得ない利用者の置かれた現実、行政のチェックの目が行き届かない中ではびこった「ネット託児」。事件直後、母親へのバッシングが続いた。
しかし、母親ひとりを悪者にして済む問題ではないことは明らかで、この事件の背景には、この国のお粗末な雇用施策や社会保障がある。その結果、経済的な貧困はもちろん、関係性(つながり)の貧困から時間的・健康的・住まいの貧困等々(岩波新書・赤石千衣子著『ひとり親家庭』から)が生じる。そして、それらを一手に抱え込んでいるのが「ひとり親」家庭、とりわけ母子家庭だ。
働いても、働いてもなお厳しい母子家庭
その現状を見てみたい。『2011年全国母子世帯等調査』によれば、母子家庭の場合(カッコ内は父子家庭)、家庭数は約124万世帯(約22万世帯)で増加傾向にある。「ひとり親」になった理由は、離婚80・8%、死別7・5%(離婚74・3%、死別16・8%)で離婚が大半だ。就労状況は、正規社員39・4%、非正規社員47・4%(正規社員67・2%、非正規社員8・0%)で、母子家庭は様々な理由で非正規社員が多く、平均年間就労収入は約181万円(約360万円)、母子家庭の経済的厳しさがよく分かる。また、母子のみにより構成されている母子家庭は、約76万世帯(約9万世帯)で全体の半分を超える。この枠内の「ひとり親」家庭が経済的にも精神的にも一番厳しい状況に置かれているのではないかと推察する。
「ひとり親」は、母子・父子、離婚・死別、親と同居・別居、非正規・正規によって置かれている状況は千差万別だ。一概に「ひとり親」は……と、一括りできるものではないが、総じて「ひとり親」はどんなに懸命に働いても食べることだけで精いっぱい、とてもとても子どもの教育までは回らないというのが現状である。そして、それは貧困の連鎖を生む。
ちなみに直近の子どもの貧困率は16・3%。親が失業中、非正規社員、「ひとり親」であること等々で6人のうちの1人が貧困状態にあることが明らかになっている。さらに、貧困率は、「ひとり親」に絞れば55%、母子家庭に絞れば85%に近い。だからと言って「助けてくれ」と声を上げられない。「自分で選んだ道だろう」「我慢すればよいのに」等々、離婚そのものを非難されることで声を上げることすらできない状況に置かれている母親も多いのではないだろうか。
「ひとり親」でも心豊かに子育てできる環境を
いま神戸市は、「ひとり親」家庭の子どもを対象に学習支援を行っている。しかし、このような対処療法だけでは根本的な解決にはならない。また、「ひとり親」家庭への社会保障・支援施策はあるにはあるが、決して十分とは言えない。
一方、雇用施策は、根底に非正規労働問題をはじめ、男女の賃金格差、未だ根強い性別役割分業が横たわっているなかで、これらの課題を解決しない限り、低賃金で不安定な働き方を強いられる。
私は、仕事がら離婚相談が多いのだが、安易に離婚を勧めるつもりはない。しかし、意に沿わない道を選択することのないように、「ひとり親」でも心豊かに子育てできる環境を整えることが今求められているのではないかと思っている。親も子どもも皆が幸せになるためにも、微力だが「ひとり親」問題にこれからも取り組んでいきたい。
小林るみ子(神戸市会議員)
- みんなで勝ちとった格差縮小
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芦屋市の学校給食は、本当にきめ細やかでおいしい、誇れる給食と言われています。アレルギー対応も、一人ひとり名札を付け、他の子どもたちと同じメニューでの除去食を作っています。
調理師さんの責任は重く、でも、「子どもたちの笑顔を見るために頑張っている」と話されています。その給食を担っている調理師さんは、各小学校に正規職員3人と臨時職員が2人ないし1人配置されています。臨時職員と言っても、まったく正規職員と同じ責任をもち、同じ仕事をしています。しかし、臨時調理師さんは8月に雇用中断され、学期雇用という不安定雇用の上、年収は200万円前後、何年働き続けていても年休は1年目の10日しかなく、他の休暇は何も保障されていませんでした。
8年前に臨時職員労働組合を結成し、同じ芦屋市で働く私たち嘱託職員の2単組と力を合わせ、「正規職員との格差を縮め、働き方に見合った賃金、労働条件を!」と訴え続け、運動をすすめてきました。
3単組で運動をすすめる中で、正規職員との格差はもちろん、非正規間(嘱託と臨職)にも大きな格差があることを思い知らされました。
私たちがこだわったのは、正規職員との格差是正、そして、非正規間の格差は今以上には絶対に拡げさせず、共に正規職員に近づけるということです。
臨時の職に就く臨時職員となっているため、雇用中断を取らされながらも恒常的に働く臨時職員の賃金、労働条件を改善させる道は、決して楽なものではありません。しかし、私たちは、嘱託が上がれば、必ず臨職も上げる、嘱託にある休暇は臨職にも保障させるということを一歩一歩積み上げてきました。
同時に、臨時調理師のように、恒常的に働く臨時職員を嘱託職員に(本当は、正規職員に…、ですが)するよう求めてきました。芦屋市は、正規職員だけでなく、嘱託職員すら増やさないという姿勢を崩しませんでした。臨時調理師さんたちは、組合結成以来8年間、「せめて嘱託職員に!」と訴え続け、このたびやっと、芦屋市も臨時調理師の働き方が、臨時ではないことを認め、嘱託職員にすることを回答してきました。まだまだ課題はありますが、本当にうれしい瞬間でした。
格差社会と言われている今、私たちは格差があることに慣らされてしまってはいないでしょうか?自治体の中だけ見ても、正規職員、嘱託職員、臨時職員、派遣職員、また、指定管理者や民間で働く職員が同じ職場に混在しています。賃金、労働条件が高いほうから低いほうへ流れないよう、団結しにくい状況がつくられてはいますが、みんなで力を合わせ、底上げをする運動が求められていると思います。
(森口知子)
- 労基違反の企業を許すな
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秋の労働相談ホットラインでの1件。クリーニング工場で昨年2月からパートで勤務し、同年5月には正社員になり、リーダー的な立場で備品管理やアイロン掛けなどあらゆる作業を行ってきた。勤務時間が1日11時間で3時間残業、週6日勤務の厳しい労働を強いられた。残業代は定額で1カ月2万円ポッキリと、きちんと払ってくれない。
そこで労働基準監督署に相談し、臨検に。労基署は会社に対し、@就業規則の提示A就業前の時間外手当の支給Bタイムカードの押し忘れによる欠勤扱いで5時間だけの有給扱いの違法性C残業代が1カ月2万円の固定によるオーバー分の不払いD昼休み1時間休憩を30分程度への改善Eパートの残業代が規定の25%増しでないことF時間外協定の有無、と7項目の改善命令を出した。
職場の人は喜んだが、残業代差額はわずかしか支払われず、誰が労基署に行ったかと“犯人探し”が始まり、相談者ということになった。
今年の7月から腰を痛め、定時で帰るようにしたところ、正社員からパートにさせられ、給料も3分の1にさせられた。会社と話をしたが納得のいく返事がなく退職を決意。法テラスの弁護士にも相談したが、費用や時間的なこと(次の仕事探し)などで悩み、ユニオンに相談に来たのだ。
私たちは、組合員になってもらえば会社にあなたの要求をぶつけ、交渉して改善も可能だ、退職を引き延ばして頑張ってみてはとアドバイスしたが、その後、返事はない。このように労基法違反の企業が余りにも多く、労働者は泣きを見ている。
9月の加古川、西脇労働基準監督署との交渉で残業時間の付け方について質問をした。「基本は分単位。賃金計算のとき1カ月まとめて30分単位で切り上げか切捨てはできる。問題は労働時間がどこまでかということ。会社が残業を15分、30分、1時間と命令したらその時間内できちんと仕事を止めさせないといけない。それをせずに命令した時間以上に働かせた場合は、実際に働いた時間を残業時間として付けないといけない」ということだった。残業をさせておいて15分、30分単位で切り捨てるのは違法だということだ。
横山良介(はりまユニオン委員長)
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