「新社会兵庫」 12月9日号
- どこまで姑息で傲慢なのかと思わせるこの男の仕掛けた賭けの結果はどう出るのか。突然の解散劇と短い運動期間のせいで、もう数日後にはそれが明らかになる▼首相自らが「アベノミクス解散」と命名までした異常な解散に、多くの有権者が納得できないと思い、白けを感じた。長期政権への基盤確保の目論見が透けて見えたからである。もちろん、その先には明文改憲の野望がある。「今なら」―アベノミクスの破綻が白日の下に晒される前なら、少々の議席減は覚悟しても、不意打ちの効果もあるという魂胆と打算が働いた。だがそれは、自らの経済政策の行き詰まりを逆に吐露していることでもある▼こんな身勝手な思惑は思い通りにはいかないことを有権者は教えてあげる必要がある。国民に信を問うた以上、この2年間の、憲法無視・立憲主義否定の“安倍政治の暴走”にしっかりと審判を下さねばならない。選挙の争点はまさに安倍政治とその政治手法そのものだ。国民のくらしや声には目を向けず、耳を貸そうともせずに、ただ数の力を頼りに強行してきた秘密保護法、集団的自衛権行使容認、原発再稼の推進、辺野古新基地建設などの問題には、それは誤りだったと烙印を押さねばならない。
- 生きる希望を失わない社会を
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訪問介護の仕事に携わって4年になる。この4年間に、亡くなられた方、施設に入られた方など様々な方々と関わってきた。この仕事を通じて一番に思うことは、利用者の方々との信頼関係が最も重要だということだ。何年経っても新しい利用者さんと接する時は緊張感がいつもあって慣れることはない。最初は人間関係がないので一から作っていくしかない。
いま、90代の利用者さんの在宅介護支援を行っているが、最近は転倒が多くなり、週1回から週3回に変更されることになった。今までは時間(1時間)になると、「もう時間なので早く終わって下さい」と声をかけてくださっていたが、変更されてからは次々と家事を依頼される。「次のお宅に伺う時間なので」と私の方から声をかけなければ終われない状況である。介護福祉士の方と変更の説明に伺った時から不安そうだったが、それまでの生活のリズムからの変更は高齢者にとっては大変影響があるように思う。訪問時に、洗濯や掃除、入浴、買い物など今日の仕事の依頼を伺うが、以前と比べてコミュニケーションが取りづらく、仕事に取りかかるまでとても時間がかかる。元々難聴だが、このところ同じことを何度も繰り返され、認知症の発症も見られる。
普通に考えれば、訪問回数が増えれば利用者の方にとってよりよい介護が進むと思われるが、生活の変化によって不安感など影響が出てくる。介護はそれぞれ支援内容が異なる。利用者の方のこれまで歩んでこられた人生を、できるだけ理解と尊重をしながら信頼関係を作っていくことが大切だと思う。
アルツハイマー病を発症し、グループホームに入所している義姉を月1度程度2年余り訪問している。少しずつ症状が進んでいるが、先日訪問した時、いつもと違った反応を示してくれた。食事に影響しては困るのでおみやげにいつも小さなプリンを持って行くが、それを食べた後、そっと引き出しからお菓子を2つ取り出し、1つを私に手渡してくれた。言葉はほとんど発しないのだが、プリンのお返しに食べてとの姉の思いが伝わってきた。娘たちは母親に会うたび辛い思いをしていたそうだが、この出来事を伝えると、これまでとは少し違った見方をしようと心がけ、以前より気持ちが軽くなったそうだ。
高齢化社会の進展に対応するため介護保険制度の見直しが進められているが、今の介護サービスを維持できるのか大変疑問に思う。支援内容が切り下げられ、サービスを受けるのにむしろ制限が増えるのでは、と危惧する。年を重ねていくと誰でも介護支援を受ける立場になるのは容易に想像できることである。そのための財源は今以上に必要だと思う。
ある利用者の方(90代)は、脱腸の手術で入院が必要になった時、「これ以上長生きしたくない」と入院を拒んでおられた。ご家族をはじめ、私も微力ながら励ましの言葉をかけ、手術を受けられて無事退院された。若者も、高齢者も、すべての人が安心して暮らせる社会を保障することこそが政治の責任だと強く思う。
(T)
- スタッフの相談を聞く姿勢を反省
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11月7、8日の2日間、「ブラック企業・ブラックバイトを許さない全国一斉ホットライン」を開設した。コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク主催で24都道府県37団体が取り組んだ。神戸では、サンテレビと神戸新聞で報道され、2日間で20件の相談があった。かなり多い件数だった。
相談スタッフは延べ10人。相談内容は、労働条件の不利益変更、長時間労働、未払い賃金、パワーハラスメントなどが目立った。
特徴的な事案は、塾講師の契約更新の問題だった。「5年以上は契約更新しない」という契約書にサインさせられた。押印しないと雇用はないと言われたという。情報提供者は他に移る予定らしい。改正された労働契約法は、契約更新を繰り返し5年以降は無期雇用になるという法制度で、その制度を悪用している。これからはこのような事案が増える可能性もある。
他には「パートの問題も取り上げてほしい」というもの。食品関係の店舗に勤務し、これまでは最低賃金が上がれば時給も上がっていた。昨年は時給が780円になり、今年も最賃が上がったので時給アップを期待したが上がらなかった。新人は最低賃金で採用されるので4円しか違わない。期限切れになったおでんを洗って再び使うなど食品偽装もしているという。こういう問題こそ労働組合として対応することが求められると思う。
今回のホットラインで考えさせられたのは、スタッフの相談を聞く姿勢だった。馴れ馴れしすぎる言葉、上から目線の返答、回答の安易さ。電話は相手が見えない分、かなり気を遣い、注意して相談を聞かなければならない。相談してくる人は「藁をも掴む思い」でドキドキして電話してくる。その気持ちになれば、ていねいな言葉遣いを選び、相談者が安心して話せる雰囲気を作ることが求められる。「聞いてあげている」という姿勢は改めなければならない。日々相談を受ける私は、慣れてしまっているのでとくに気をつけなければならない。相談スタッフの養成はもっと基礎から共に学ぼうと思う。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)
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