「新社会兵庫」 10月28日号
- 9月末には米軍のXバンドレーダー基地建設に反対して丹後半島経ヶ岬に、10月初めは中国電力の上関原発(長島)に反対し、上関の自然を守ろうと山口県上関町に行く機会があった▼上関室津からは「上関の自然を守る会」の調査船「きぼう号」で、心配された台風18号の間隙を縫って祝島に渡ることもできた。島をめざす船の右舷にはオスプレイ、といっても海兵隊のMV22ではなく本物のオスプレイ、ミサゴのことだが、その飛来も目撃することができた▼経ヶ岬にしても、長島、祝島にしてもほんとうに景観が素晴らしい。沖縄の辺野古や高江もそうだが、なぜこんなところに米軍基地や原発ができるのか。景色の素晴らしさは自然がそのまま残っている。つまり人の手が入っていない。人口の希薄さともイコールなのだろうが、そこに付け込んでとんでもない迷惑施設を構築する。大体が「金目」の話が伴うので、当該地域の人と人との関係は歪められることが往々にしてある。ほんとうに許しがたいことだと思う▼さて沖縄は、辺野古・高江現地での攻防と並行して10月末から県知事選だ。今回は現地に行くことも叶わないが、せめて米軍基地反対の候補のためにわずかなカンパくらいは送りたい。
- 日本軍「慰安婦」問題
改めるべきは日本政府の対応 報道への不当な介入はやめろ -
マスコミでも国会でも、毎日のように朝日新聞が叩かれ、「日本の名誉を傷つけた」「売国奴」と批判されている。しかし、国際的に日本が信頼されないのは、高市総務相や稲田政調会長らが、在特会などと並んで写真を撮り、ヘイトスピーチを野放しにしてきたからではないか。欧米諸国では「ナチズム」に対しては一線を画している。また、安倍首相や多くの閣僚たちの、日本の過去の植民地支配や戦争責任を認めようとしない歴史認識が批判されてきているのだ。
日本軍「慰安婦」問題は、1970年代以降ようやく女性の性の尊厳という視点が世界でも日本でも確立されてくる中で、売買春を許さないという思想が広がり、定着し、戦時性暴力は犯罪であるという認識として取り上げられるようになってきた。それまでは、中曽根康弘氏のように多くの日本人が、軍隊が制度として慰安所を作り管理・運営することに何の疑問も持たなかった。「吉田清治証言」の問題でなく、日本軍と日本政府が反省し謝罪しなければならないことである。
また、「慰安婦問題は知らない。民間の業者がやったことで、日本軍や政府は関係ない」と、歴史も事実も否定する日本政府や日本人に対し、伏せておきたい過去と向き合い、勇気をもって自らの体験を語り始めた女性たちの証言を聞き、私たちは侵略戦争の中での民族差別、女性差別の事実を突き付けられたのだ。
韓国の民主化運動の中で、女性団体が調査を始めて日本政府にも明らかにするよう求め、国会でも問題にされていく中で、先の政府の発言があった。1991年、韓国で名乗りをあげた金学順さんやフィリピン、オランダなど各国の女性たちの勇気ある発言が今日の日本の責任を追及する声に広がったのである。
また、当時の官房副長官・石原信雄氏も、「吉田証言」は「河野談話」作成には使わなかったことをはっきりと認めている。警視庁や防衛庁などの政府機関、国会図書館や公文書館、関係者からの聞き取りなどから事実を認め作成されたものである。
しかも、「知らなかった」と問題としていなかったのは日本人だけだったことも分かってきた。戦後すぐの東京裁判でも強姦や日本軍の慰安所設置が、オランダのハーグ軍事法廷ではオランダ女性たちを慰安婦として連行したことなどが、犯罪として裁かれている。
93年の「河野談話」は、国際的な常識に沿って戦争犯罪、人道の罪を認めたものであり、「日本はこのような過ちを二度と起こさない。当該女性に対し謝罪と補償を行わなければならない」というのが国際的常識の見方である。昨年も、今年も、国連自由権規約委員会や人種差別撤廃委員会で取り上げられ、日本政府の弁明を聞いてもなお「女性への性暴力」の問題として、日本政府に対応を求める厳しい勧告が出されている。この間の日本政府の対応こそが国際的に日本の名誉を傷つけている。
朝日新聞は「謝罪」後、第三者委員会を設け、一見公平な委員と称しながら、日本軍「慰安婦」問題を認めない人々を入れている。また、安倍・自民党を中心にした朝日バッシングは、言論の自由・報道の自由に国家権力が介入しているとしか思えない。このような動きに便乗し、元朝日記者の大学教員に辞任を迫るという不当な攻撃まで始まっている。
9月9日には大阪市議会で「慰安婦」問題に関する適切な対応を求める意見書が可決された。維新の会、自民党による「慰安婦」問題否定は、被害女性の尊厳を貶めるものである。そして、教科書から歴史的事実を排除し、一方的な歴史認識をもとに「正しい歴史認識」を「史実に基づいて記述」をと要求している。
さらに、兵庫県では10月8日、宝塚市議会で、2008年に出された早期解決を求める意見書を撤回せよという決議が14対11で可決されてしまった。
日本政府、安倍政権は日本軍「慰安婦」問題を対韓国政治問題にすり替えず、日本軍「慰安婦」問題の全体を視野に、人権の視点を持って第3次政府調査を行うよう、また、国連人権機関の勧告を実現するよう、私たちは強く求める。
12月には「秘密保護法」が、丁寧な説明も、何が秘密かの限定もなく施行されようとしている。今回の朝日バッシングを、権力が報道の自由・表現の自由に介入し、私たちの「知る権利」を奪い取る一歩にしてはならない。不当な介入を許さず批判の声を上げていこう。
小城智子(I女性会議ひょうご)
- 「奇跡の海」を訪れて
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「この最後の杭が打たれたら、浜には入れなくなってしまう!そう思ったら思わず、『止めて!!』と叫んで杭の上に手を置いたんです」―。「上関の自然を守る会」の高島美登里さんは、原発建設予定地裏の山道を運転しながら、私たちに話してくださった。「ハンマーを振り上げた若い作業員は『俺だってこんな仕事と知らされずに3日間だけ雇われて来ただけや。早く帰りたい!』と言ってね。そんな私たちのやり取りを中国電力の社員は山の上から腕組みして見てるのよ。彼らのことは絶対に許さない!」。
この光景はどこかで見た。そう、映画『標的の村』で、米軍が高江の村民をベトナム農民狩りの訓練に駆り出したシーンと似ている。いつの世も黒幕は手を汚さない。私も許せない。
彼女たちは全国の心ある支援者から資金を集めて、監視小屋として予定地を見下ろす裏山に、文字通りの手作りログハウスを建てた。そこを案内していただいた帰り道のことだ。「憲法を生かす会・垂水」のフィールドワークで訪れる機会を得た。
町まで下りてくると海辺の小学校に立派なドームの温水プールが見えた。2億円の原発マネーで建てたそうだが、維持費が無くて実際は温水にならず、陽も当たらず子どもたちは震えているという。なんという無駄金!他にも8億円の「鳩子の湯」(上関は1974年のNHK朝ドラ『鳩子の海』の舞台である)という風呂屋があるそうだ。
中国電力は32年もの間、札束で町の人間関係をズタズタに切り裂いた。選挙の時には配られるおむすびの中にお札が入っているという。
金をもらってしまった漁師の人も本当は原発なんかできないで、このまま漁を続けたいと思っている。中電の社員が船の上からハンドマイクで「一次産業で食べていけますか!?」と言う映画のシーンが思い出された。だから、彼女たちは食べていけるように、「上関お魚おまかせパック」という新鮮な魚の定期便の取り組みをされている。夜にご馳走になったアワビやサザエやお魚がとても美味しかったので私も申し込むことにした。島民の9割が原発建設に反対し、毎週月曜夜に島内デモ(すでに1200回を超える)を続けている「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の人たちも“原発の金に頼らない島おこし”を頑張っておられる。
台風が近づく波の荒い中、予定地の対面の祝島に船で連れて行ってくださったが、スナメリ(世界で一番小さな鯨)やカンムリウミスズメの話を熱心にする高島美登里さんの目は優しさに溢れていた。神戸では馴染みのイカナゴはスナメリの好物らしい。原発建設予定地の青く美しい田ノ浦は絶滅危惧種の生き物が棲む「奇跡の海」だとよく分かった。
3・11以降、工事は中断したままだそうだ。「祝島島民の会」の女性たちもすでに70〜80歳になっておられる。中国電力と国は一刻も早く建設中止を決めるべきだと思う。
(菊地真千子)
- 子育ての職員自身が働き続けられない保育所
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T保育園は、明石市で園児の鼓笛隊で知られる規模の大きい「名門保育園」である。給食調理員のNさんは、2005年から8年間、正規給食調理員として従事してきた。昨年の秋から産前産後休暇・育児休業にはいったが、園はその間に、彼女に何の相談もないまま、今年4月からの給食業務の外部委託計画を進めた。仲間から知らされた彼女は、このままでは解雇されると心配し、1月にユニオンに相談に来られた。
未払い時間外労働があることも分かったので、ユニオンは、@一連の経過について謝罪し継続雇用すること、A未払い残業代を支払うことの2点を主とする要求書を提出し、団体交渉を実施した。園側は、雇用継続と未払い賃金支払いは確認したが、「謝罪できない」としたため紛糾した。また、「雇用継続する」としながら、外部委託した職場で一体どのように働くのか具体的に説明ができないまま時間が経過した。
7月に、弁護士から「園と業者間で派遣契約を結ぶことにする」と説明があったが、具体的な働き方については説明ができなかった。
9月4日に団体交渉をしたが、園の説明は不明確な点が多いため、文書回答を求めると、何とか文書は出すが、今度は「交渉はしない」と言い出した。「本当は辞めてほしかった」という手前勝手な本音が見え隠れし、ともかく長年働いてきた職員に誠意が感じられない。
Nさんは、請負業者と一緒に仕事をするということに不安を感じながらも、正規職員として働けるなら何とか頑張ってみようと11月からの復職を目指してきた。しかし、10月になって園が「円満退職の条件交渉をしたい」と言い出したため、いま再び紛糾している。
交渉を通じて痛感するのは、子育て支援施設であるはずの保育所において、職員自身が子育てをしながら働き続けられないということ、また、その実態に園が何ら矛盾を感じていないということである。
これまでT保育園では保育士を含めて職員が、子どもを出産しながら働き続けた実績は無きに等しい状態である。
いま、政府は「女性の活躍」のキャンペーンを張っているが、まずはこんな実態を解消することが先決ではないだろうか。
山西伸史(あかし地域ユニオン副委員長)
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