「新社会兵庫」 10月14日号
 先日、加西市の北条鉄道に乗る機会があった。さわやかな秋晴れの日。まだ刈り入れが済んでいない黄金色の田んぼが広がり、優しい色のコスモス畑が目に飛び込んでくる。畦道にはまだ彼岸花の列が残り、家の庭先には実だけを残した柿の木……、すべてが空の青さに映えていて、窓から秋の田園風景を満喫した▼町なかでも、彼岸花を見かけ、金木犀の香りがどこからともなく漂ってくると秋を感じ、自然な季節の移ろいに心も和んだ。10月ともなれば秋も本格的。秋という季節には、寂しささえ感じてしまうほどにしっとりと優しい空気がある▼だが、優しいだけの季節も、自然もない。突然、自然の猛威が襲う。集中豪雨による土砂崩れ、火山の噴火、続けざまの大型台風の襲来……、そして、忘れもしない大地震に津波。いやでも自然の恐怖を突き付けられ、畏怖の念を抱かされる▼とにかく最近は大規模な自然災害が頻繁化しているように感じる。防災対策、防災意識も問われよう。当然、防災訓練は大いに必要だ。だが、この防災訓練に最近は米軍の参加が目立つ。8月末の兵庫県の防災訓練に続き、今月の和歌山県の防災訓練には米軍のオスプレイまでが参加する。必要なのは軍事訓練ではない。
介護保険制度
危惧される「介護難民」の急増と事業者への打撃
 介護保険法が1997年に成立、2000年4月から制度が施行された。健康保険、年金、雇用保険、労災保険に続き創設されたのが介護保険である。必要になると新制度がつくられるパッチワークのような福祉国家でもあるが、この介護保険制度は、今年6月に成立した新法によって創設以来、最も大きな改悪が行われる。
 介護保険制度が必要とされた背景は、世界トップの超高齢社会の到来と家族介護の限界にあった。日本の高齢化率は施行時17・4%であったが、昨年10月1日現在の総務省「人口推計」によると25・1%となっている。さらに約40%まで上昇する見通しにある。
 戦後の3世代家族による子育てや老親介護などの家族機能が、核家族、夫婦世帯、単身世帯の増加により縮小してきた。縮小した家族機能を代行するものが福祉国家であるが、社会保険という国民の共同連帯の理念により介護保険制度が誕生した。家族介護から介護の社会化へ、が制度の主眼であった。
 今回の見直しの始まりは、2年前に成立した「社会保障・税一体改革関連法」「社会保障制度改革推進法」である。これらを踏まえた社会保障制度改革プログラム法では「自助努力を喚起させる仕組み」「住民相互の助け合いの重要性」などが強調された。そして、今年6月に成立した「地域医療・介護総合確保推進法」で介護保険制度の改悪が打ち出された。
 その背景と主眼は次の通りである。団塊世代が後期高齢者になる2025年には、現在4972円である全国平均介護保険料が8200円と推定される。これでは負担できない。背景である入口はお定まりの財政・コスト論、改悪である出口は介護サービスの重点化・効率化である。その改悪の趣旨は、介護の社会化という公助による高齢者の自立支援から、共助という色合いの強い地域包括ケアシステムの構築という地域支援による介護に移行すると考えられる。医療分野でも総医療費の抑制のために病床削減により入院医療から在宅医療にシフトしているが、介護分野も同様に施設介護から家族による在宅介護には回帰できないので地域が支える介護に移行する。
 大きな問題のひとつは、高齢者を支える地域包括ケアシステムとは何かである。厚労省案では、医療と介護の連携、認知症対策、地域ケア会議、生活支援サービスなどを列挙している。地域のNPО、協同組合、元気な高齢者が介護の必要な高齢者を支援する。ここでの重点化・効率化策が2点ある。要支援1・2の介護予防給付事業のうち訪問介護(ホームヘルパー)と通所介護(デイサービスセンター)が介護保険から自治体の地域支援事業に移行する。この介護報酬単価は自治体が独自に決定する。特別養護老人ホームへの入所者を原則要介護3以上に限定する。
 もうひとつの問題は、保険料や利用者負担など費用負担である。保険料が高齢化の進展で大きく伸びるので、一定の年金収入以下の場合は保険料を軽減する。軽減した部分に消費税を投入する。ここでも重点化・効率化が2点ある。高齢者の所得上位2割ぐらいを被保険者の利用料を1割から2割負担とする。低所得の施設利用者の食費・居住費の補足給付の要件として資産1千万円未満とする。
 新たな制度への移行は来年4月から3年間の経過措置があるが、財政問題から給付の制限とほぼ負担の増加という内容である。今後は、法改悪にもとづき各自治体で具体的に地域包括ケアシステム(地域支援事業)や予防給付の介護報酬単価が策定される。
 この見直しで、要支援者への給付や特養利用の制限など保険料は払っても十分な介護サービスが受けられない「介護難民」が急増するのではないかと懸念する。地域包括ケアシステムなど言葉はきれいだが、誰がどう支えるのかの具体性が乏しい。要支援者の予防給付における介護報酬単価は自治体が独自に決定するが、財政面から単価が引き下げられる場合も想定される。介護労働者の雇用や処遇、介護事業者の経営に大きな打撃も考えられる。
 「重点化・効率化」を柱とした介護保険制度の見直しを進める自治体に利用者、市民、介護労働者、介護事業者の要望や意見をつき付けていく運動が強く求められていれる。
菊地憲之(ひょうご自治体労働運動研究会)
子どもの貧困・・・
 年金、介護、ひとり親、障がい者、子どもの貧困……、日常生活の中にある様々な課題につて学ぶ場を持った。それぞれのテーマに詳しい方々にお話ししていただき、課題の現状、実態がよく理解できた。しかし、その先が見えてこない。“壁”にぶつかったような思いを抱いた人も決して少なくはなかったと思う。その場では、「だから、小林さんに頑張ってもらおう」チャンチャンということで納まったのだが……。
 中でも、最終回のテーマ「子どもの貧困について考える」は、野宿者ネットワーク代表の生田武志さんのお話だった。今の子どもを取り巻く現状、実態を聞かせていただき、重い気持ちに終わったのは決して私だけではなかっただろう。これが現実、しかも氷山の一角。参加者の1人、ある母子家庭の女性が「身につまされる。私が倒れたら子どもたちはホームレスになってしまう」と、精一杯生きている日々を振り返ってか、涙ながらに訴えた。
 16・3%―子どもの貧困率
 子どもの貧困率が発表された。平均的な所得の半分以下で暮らす18歳未満の子どもの貧困率は16・3 %。子どもの6人のうちの1人が貧困状態にある。中でも、ひとり親家庭の貧困率は54・6%、2人のうちの1人だ。母子家庭に至っては84・8%。これらの経済的貧困状況は、就学援助率の増加にも顕著に表れている。
 今、神戸市内の子どもたちの就学援助受給者は、4人のうちの1人、区によっては2人のうちの1人、しかも年々それは増加している。その主な要因は、「企業の倒産やリストラ等、経済状況の変化によるもの」「離婚等によるひとり親家庭の増加、児童扶養手当受給者の増加」だと言われている。
 ちなみに、昨年8月の生活保護基準額の切り下げをきっかけに、連動しているいくつもの制度のうちの一つ、就学援助受給の対象から外される子どもが出てくる可能性がある。見逃さないようにしなければならない。
 子どもの貧困は経済的貧困だけではない
 生田武志さんは話の中で、対照的な人物、事例を採りあげた。覚えておられるだろうか、池袋や秋葉原で無差別殺傷事件を起こした若者たち。もう一人は『ホームレス中学生』で話題を呼んだ若者。彼らはほぼ同年代。しかし、殺傷事件を起こした若者たちは、家族だけでなく、学校、地域、行政からネグレクトされた。その一方で、ホームレス中学生は、父親から「解散!」宣言されたものの、地域、行政、学校から手を差し伸べられた。この境遇の違いは何なんだろう。子どもの貧困は、経済的貧困だけでなく、関係性の貧困、つまり“つながり”の貧困だとも言える。
 子どもの貧困、ひとり親の貧困、そして連鎖、そもそも「貧困」とは……、なかなか複雑で十分に整理しきれていない。しかし、ひとり親の生活を心豊かにするために、いま私たちは何ができるのだろうか。困窮するひとり親家庭問題に取り組んでいきたい。
小林るみ子(神戸市会議員)
4度目の面談を関電神戸支店に申し入れ
 熟年者ユニオン(今村稔会長)は第15回総会(4月25日)後の5月19日、関西電力神戸支店と3回目の面談を行った。西はりま熟年者の会からの参加者も含め8人が参加した。関電側は3人。1時間40分の面談だった。
 以下、その内容を紹介したい。
 「ヨウ素剤を関電として用意しているか」との質問には、「事故を起こさないというスタンスは変わっていない。兵庫県が出したシミュレーションは知っているが、県との突き合わせはしていないと思う。会社としてヨウ素剤は用意していないと思う」との回答だった。また、「広域避難問題を神戸市と話し合っているのか」の質問には、「滋賀県とは協定を結んでいるが、神戸市とは結んでいない。安全協定については兵庫県からの話はない。こちらも積極的にもなっていない。自治体からの要望があれば対応していく」と回答。さらに、「原発立地市以外と、再稼働は認めないという安全協定を結ぶことは受けられない」との回答で、再稼働の姿勢は崩さないことが明らかになった。私たちからは「昨年は沖縄と北陸が黒字。北陸は水力発電が多い。原発が無いところが黒字になっている。関電は、原電など電気をつくっていない会社にトータル1千億円を払っていて、関電の赤字とほぼ見合う。東北は値上げによって黒字。誰が見てもおかしいことがされている。結局、原発が無い方が黒字になると考える」と主張し、「素人が考えてもおかしいと思うが、いかがか?」と質問した。これに対しては「いかがかと言われても……」との回答で、つい私たちも笑い声をもらしてしまった。
 直後の21日、大飯原発差し止めをめぐる福井地裁の判決では、原告側の主張が認められ勝訴。しかし、関電は翌日に控訴した。
 9月のサンドイッチマンデモで再度、関電に申し入れを行った。年内に4回目の面談ができると考えているが、面談参加希望の方はご連絡を。
 10月17日には「丹波黒豆狩り日帰りバスツアー(参加費4500円)」を計画している。また、11月8日には姫路で兵庫県高齢者団体連絡会主催の第3回学習会も計画している。
横林賢二(熟年者ユニオン事務局長)