「新社会兵庫」 9月9日号
 「女性は子どもを産む機械」と失言して世間を騒がせた大臣がいたことを皆さんはご記憶だろう。その失言を証明しようとしたかのような事件が伝えられている。真相や詳細は不明であるが、自分の子どもを1年間に何十人も残したいと望んだ、資産家の息子と称する男が、多数の女性に代理出産させ、タイやその他の国で問題になっている▼奇怪な出来事であり、犯罪の臭いを嗅ぎ取っても不思議ではない。将来の人身売買も疑われる。そうであるとすれば、普通考えられる人身売買のレベルをはるかに越えて「人身商品の生産・販売」である▼人間の尊厳、生命の尊厳という考えは、カネやモウケの前にかけらもない。たとえ自分の子どもが欲しかったとしても、多数の女性の代理出産によってというのは、おぞましい限りであり、その子たちをどう育てるかという考えは、とんでいるに違いない▼生命の誕生と人間の生育には、カップルの深い愛情とやさしい社会の支えが必要不可欠である▼しかし極端な話だからと安心してはいられない。「企業が活動しやすい日本」というかけ声の下に、人間性の浸食は広がっている。少子化問題も女性問題も根底に「人間」を据えることを忘れてしまっている。
経ヶ岬・Xバンドレーダー基地建設反対運動の強化を
 近畿で唯一の米軍基地となるXバンドレーダー基地の建設が、京丹後市・経ヶ岬でこの5月から強行されている。Xバンドレーダーとは米軍のミサイル防衛システムの一翼を担うものだ。北朝鮮の弾道ミサイルに対応するものとされ、ミサイルの発射を探知、追尾してイージス艦などにデータを送るもので、1千km以上先の物体の動きを捉えることが可能だ。今回の配備は、青森県つがる市に次いで全国で2基目になる(米国以外で5基目)。
 昨年2月の日米首脳会談でこのレーダー設置が発表されて以来、防衛省は丹後半島の突端、経ヶ岬の土地を買収、形だけの説明会を経て、今年5月27日に工事着工を強行した。今後、10月にはレーダー本体を搬入、12月には運用を開始する予定だ。
 これに対し、京都府知事や京丹後市長が基地の受け入れを表明するなか、地元の宇川地区では「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」が結成され、十数回の地域ビラ配布や署名活動を行い(今年3月)、住民の過半数が反対の意思表示を行っている。また、近畿の平和市民団体で構成する「米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会」も結成され、今年4月、400人を結集して地元での反対集会を成功させた。デモの際には多くの住民が道端で迎えてくれた。
 そもそも基地建設場所は丹後天橋立大江山国定公園内にあり、美しい海岸線で有名な山陰ジオパークの一角でもあり、風光明媚で貴重な自然景観を有している。また、基地とフェンスだけで隔てた清涼山九品寺には丹後三文殊の一つ「穴文殊」などの貴重な文化遺産がある。しかし、基地建設にあたって、これまで米軍がどのような環境影響調査を行ったかは明らかにされていない。周辺地域への騒音、海への排水による水質汚濁、レーダーから発生する電磁波の人や生態系への影響などが懸念されているが、防衛省からは未だに説明がされていない。それどころかレーダーの出力情報は米軍の軍事情報であることを理由に公表されていない。さらに、海域半径600mは漁業禁止、および空域6km円柱領域は飛行禁止となり、住民の生活は被害を被り、基地が建設されれば基地内の住宅に22人の米兵が居住し、それ以外に警備や技術者などの要員160人が市内に居住する。日米地位協定によって犯罪や事故を起こした米兵は日本の警察は身柄の拘束もできない。実際、先にレーダーが設置されたつがる市では米兵による交通事故や傷害事件も発生している。
 安倍政権は7月、集団的自衛権行使容認の閣議決定を行ったが、これによって米国向けに発射されたミサイルを日本のミサイル防衛システムで迎撃する可能性は極めて高くなった。このようなレーダーを設置すること自体が北朝鮮や中国に対する挑発となり、東アジアでの緊張を高めることになる。レーダー基地が建設されれば、日米共同軍事作戦の最前線基地になることは明らかだ。有事には最初の攻撃対象となるのではと住民の不安も高まっている。レーダー基地の隣にはイージス艦が配備された舞鶴軍港があり、その南には福知山の陸上自衛隊基地、そしてオスプレイも参加したあいば野日米共同訓練基地もある。これらの一体運用で、日本海に面した一大軍事要塞が完成することになる。
 Xバンドレーダー基地の建設は地元のみならず、近畿に住む人の平和と安全、安心を脅かす重大な問題だ。一方、沖縄では辺野古で7月、米軍普天間飛行場の代替施設建設工事が強行された。国はキャンプ・シュワブ沿岸の米軍提供水域を大幅に拡大し、「提供水域に入って基地建設を妨害するものは容赦なく逮捕する」と、反対運動に恫喝をかけている。さらに、キャンプ・シュワブ正門前には、住民の座り込み行動ができないよう、鋭い突起のある鉄板が敷き詰められた。しかし、これにも屈せず、連日住民による抗議行動が行われている。この沖縄の闘いに連帯しながら、Xバンドレーダー基地建設反対、集団的自衛権行使反対、戦争できる国づくり反対の運動を一層強めていこう。
 10月のレーダー搬入を前に、9月13日には「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」事務局長の永井友昭さんを招いて「京丹後・米軍Xバンドレーダー基地に反対する兵庫集会」が、憲法を生かす会・ひょうごネットの呼びかけで開かれる。また、9月28日には、京丹後市で「]バンドレーダー搬入反対!全国集会in京丹後」が開催され、兵庫からもバスでの参加を計画している。多くの皆さんの参加を呼びかける。
中村伸夫(憲法を生かす会・ひょうごネット事務局)
まごまご日記
 夏休みに入って、娘の小学5年の次女が千葉から9日間、近隣に住む息子の5歳の長女は7日間の滞在予定でわが家へやって来た。5歳児さんは「いとこのおねえちゃんとお泊りする」と言って初めての一人だけでのお泊りである。いつもは3人だけのひっそりとした老人世帯は大賑わいだった。
 危機は初めてのお泊りの夜にやって来た。楽しそうにはしゃいでいた5歳児さんが「お母さんのところがいい」と泣き出した。小5の孫が不安そうな目を向ける中、じいちゃんは説得にかかり、ばあちゃんは「ねんねするまでトントンして」とせがまれ添寝をすることに。5歳の孫は、日中は元気よく遊ぶけれどヒグラシが鳴く夕暮れ時になると大粒の涙がこぼれるようになり、5日目に自宅へ帰って行った。
 小5の孫は気を使いながらも、初めての小さい子の世話を楽しんだ様子だ。それにしても彼女の家事能力の高さには驚かされた。ご飯炊き、計量器や包丁の使い方、調理用語もほぼわかっていて愉快に「調理実習」ができた。ママと一緒によく料理をしているのだろう。ボタン付けも得意だ。
 私はフルタイム労働者でいつも忙しく、子どもとたまに料理することはあっても、普段は台所に子どもが来ると「足手まといだから」とはさすがに言えず、「危ないからあっちに行ってて」と言ったものだ。子どもと一緒に眠ってしまうことはあっても、眠るまでトントンしたことはたぶん無かっただろう。
 2人のママは、身も心も磨り減らしながら長時間労働に駆り立てられる夫を支え、家事・育児の一切を引き受けてきた。まさに「政府、財界が期待する女性像」そのものだが、子どもたちとはいい時間を過ごしてきたようだ。
 ママ達はそれぞれ下の子が10歳、3歳になったのを機に政府の労働力政策に追い立てられるようにパート労働者として働き始めた。会社から「年収103万円以下、雇用は最長4年」と言い渡され、「結局私たちは便利な駒なのだと思うわ」とつぶやいている。働くことを通して自分自身の社会の窓を手にした2人のママに「どっこい、しぶとく生きるのよ!」と声援を送っている。
 集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、こんなにも簡単に憲法の平和主義を覆すのかと怒りでいっぱいだ。愛らしい孫の世代に武器を取らせ戦争で人を殺し、自分が死ぬようなことをさせてはならない。今春訪れた沖縄のひめゆり平和祈念館に掲げられたあどけない少女たちの写真が思い起こされ、戦跡で見た地下壕やトーチカに引きずり込むようなことがあってはならない、そのために今、自分にできることをしなくてはと強く思う。戦争は悪、平和は幸せな暮らしの大前提だ。
(R・F)
初の団体交渉を機に飛躍へ
 但馬ユニオンの結成から4年が経過した6月14日、初めての団体交渉を経験した。交渉の相手は豊岡自動車教習所(豊岡市)。元は豊岡市営の教習所だったが、2004年に民営化された。親会社(本社)は播磨町にある東播自動車教習所だ。
 Aさん(37歳)は教習指導員として勤務しているが、労働条件は悪く、基本賃金は15万8千円で入社以来そのまま。繁忙期(3月、8月)は1カ月余り1日も休みなく働かされている。しかも、有給休暇が何日あるのかさえ周知されていない。始就業前の車の清掃等では暗にサービス残業を強要されたりする。こんな現状に職場では不満が鬱積し、離職する人が多い。
 Aさんには職場で話を聞いてくれる仲間がいるが、職場の様々な問題について必ずしも考え方や解決の方向(ユニオンへの加入等)については一致していなく、その点にユニオンで闘うことの難しさがあった。ただ会社のやり方や労働条件には大きな不満を持っている。
 会社の方針や管理者の不当な発言に意見を出すAさんやその仲間は会社にとっては煙たい存在だ。そこで、会社はその中のAさんに的を絞って職場からの排除に乗り出した。
 4月17日、所長から「班長から注意を受けたことはちゃんと改善しているのか」、「今後は1段階のみを担当してもらう」と言われ、最後に「それでもダメな時は居場所がないぞ」とまで言われた。Aさんは何よりも雇用不安を感じたので、ユニオンの力を借りて闘う決意をした。
 Aさんの決意を受けて5月1日、ユニオンは要求書を提出し、6月14日に交渉を行った。交渉では就業規則や36協定、有休、パワハラの問題について追及したが、決してユニオン側の思うようには進まなかった。会社側は、とぼける、嘘を平気で言う等々、証拠がなければ何でもOKのような態度だ。しかし、Aさんの職場でのメモ化活動が大きな力を発揮したことは間違いない。また、思った通りにはいかなかったが、要求づくりから交渉まで討論し意思統一しながら臨んだ。私自身も要求書づくりや交渉の準備のために労働基準法を学び直した。
 こうした闘いをすることによって、組織は強く、大きくなっていくことを実感している。これを機会に大きく飛躍したい。
岡田一雄(但馬ユニオン委員長)