「新社会兵庫」 4月8日号
- 猪瀬前都知事の5千万円借入金問題は、罰金50万円の略式命令でひとまず法的な決着がついた。被害者感情に配慮した重罰化という最近の刑事裁判の傾向にはいささかの疑問を禁じ得ないが、「罰金50万円」はないだろう、と率直に思う。これも「被害者感情」に近いものなのか?▼そして今度は、みんなの党の渡辺喜美氏だ。化粧品会社の社長に、「酉の市」で大きな熊手を買うのに8億円を借りた。知事選に出るのに生活が不安で5千万円、「酉の市」で買い物をするのに8億円。政治、あるいは政党の劣化がいわれて久しいが、似たり寄ったりの言い訳は面白い。本人が口にするのは、たとえ苦し紛れでも、こんな弁明がまかり通る、切り抜けられるかもしれない、と思うからだろう。かれらの劣化を物語っている▼問題はこの劣化の背景である。ぽっと出の世襲議員がマスコミの脚光を浴びて党首に納まる。みんなの党でいえば年間20億円(13年度)の政党助成金を自由に差配でき、小選挙区の候補決定には絶大な決定権を及ぼすことができる。要するに政党助成金制度と小選挙区制―、民主主義を破壊する、この新自由主義に親和的な制度(『世界』14年2月号、中野晃一)が、劣化の背景にあるのではないだろうか。
- 2014春闘
賃金は闘い取るもの 労働運動の原点に戻ろう
-
2014年春闘は、政府が賃金の引き上げを財界に要請するという異常な事態の中で推移し、3月12日、大手組合で一斉に回答が示された。連合の3月14日集約によると、6491円(対前年比1218円増)、率で2・16%(同0・42%増)という回答内容であった。この回答に連合の神津事務局長は「いいスタートを切った」と評価するコメントを出した。
今年の春闘は始まりから異例であった。4月からは消費税が8%に引き上げられる。安倍政権は4月以降の景気低迷を危惧し、復興特別法人税の前倒し廃止などを準備し、財界に対して賃金の引き上げを要請した。甘利経済再生担当大臣は「業績が改善したのに何もしない企業は非協力的だ」と圧力までかけた。その結果が6年ぶりのベースアップとなった。
マスメディアは「官製春闘」と揶揄した。これに対し、連合の神津事務局長は「この言葉には様々な意味で、心の無さを感じます。労使の真摯な交渉をコケにしている。……最もいけないのは、この言葉が、この春闘という取り組みを『人任せ』のものと錯覚させることです」と批判した。しかし、事務局長の批判は的外れだ。
春闘に限らず日本の労働運動からストライキが消えて久しい。半日以上のストライキ件数は1974年には5197件で参加人員は350万人であったが、その後、急速に減少し、2011年では28件、参加人員1674人となっており、日本の労働運動からストライキが消滅してしまったといって過言ではない。団体交渉を経験した人なら誰でも分かると思うが、ストライキを配置しない団体交渉は無力だ。
「官製春闘」という言葉は「人任せ」と錯覚させると連合事務局長はご立腹のようだが、春闘が「人任せ」となっているのは錯覚ではなく事実だ。労働運動の指導部が組合員の出番を奪ってきた結果だ。
かつての春闘は賃金論の学習から始まった。マーケットバスケット方式で賃金引き上げ要求を一人ひとりの組合員が考えることを促してきた。組合員アンケートが実施され、スト権投票を行い、ストライキを背景に団体交渉で賃金の引き上げを迫っていった。賃金は労使の力関係で決まる、賃上げは闘い取るものだ、と教えられた。
しかし連合は、賃金引き上げは経済整合性で決めるとして闘いを放棄してきた。春闘が「経済成長任せ」であれば組合員の出番はない。「人任せ」「経営者任せ」にしてきたのは他でもなく連合指導部であったことを反省するべきだ。
2014年春闘は、このままでは安倍政権の介入で辛うじて僅かなベースアップを実現したにしかすぎないという結果になってしまう。「いいスタートを切った」などと、のどかなことを言っている場合ではない。春闘は政府にお任せすることで、労働組合は必要ないという認識が一層深まる春闘になろうとしている。
大手の春闘は終結したが、地場、中小の春闘はまだこれから粘り強く闘われることになる。私の所属する武庫川ユニオンの春闘も始まったばかりだ。大手で作られた賃上げ相場を越えられる力はないだろうが、粘り強く闘う決意だ。闘う決意があれば闘いの武器は作り出すことができる。諦めず、持てる力を発揮していこうと思う。
日常的に労働運動がないのに春闘だけで成果を出すことはできないことは誰でもわかる。アベノミクスの目指す労働法制の改悪は、解雇自由、労働時間規制の撤廃、人夫出し業(労働者派遣業)の合法化、つまりブラック企業の合法化である。2014年春闘は、賃金引き上げだけではなく、働く者の将来を左右する労働法制改悪反対や、解釈改憲阻止、脱原発、沖縄・辺野古基地を許さない闘いなど課題は山積だ。春闘は終わらない。連合が「官製春闘」という言葉に不快感を覚えるのであれば、組合員と共に闘う方針を出すときだ。安倍政権は闘おうとしない労働組合を挑発するかのように次々と私たちの前に課題を準備してくる。
働く者の権利は闘いの中でしか実現できない。まもなくメーデーを迎える。私たちは労働組合運動が「官製春闘」から脱却し、「闘うホンマモンの春闘」へ舵を切れるかどうか大きな岐路に立たされていることを肝に銘じ闘い抜こう。
小西純一郎(ひょうごユニオン委員長)
- 日常の大切さ
-
昨年の11月中頃からついこの間の3月中頃までの4カ月間、1才過ぎの孫とそのお母ちゃんが我が家にいました。お母ちゃんの体調が悪くなり、その治療のためにです。孫の世話は、私こと、ばあちゃんと夫のじいちゃんでほとんど毎日していました。
孫は毎日ご機嫌で起きてきます。朝から元気もりもり、食欲もりもり。食べたら遊び、しばらくしたらウンチをして、また遊び、昼ご飯を食べて、昼寝して、また遊び、夕食を食べて、お風呂に入って、また遊んで、寝る。 ほぼ毎日が、この繰り返しでした。お天気のいい日は、必ず1日1回は外の公園に連れて行かないとご機嫌が持ちません。だから雨の日や寒い日は大変でした。そんな日は、ずいぶんアンパンマンDVDにお世話になりました。とてもかわいいのですが、この日常に付き合うのは、とてもエネルギーのいることでした。
不思議なことに、自分の子供たちもこうやって育てたはずなんですが、そんなしんどさや大変さはあまり覚えていません。 仕事をして、子育てをしてということが日常だったからだと思います。もちろん、その過程にはいろんなことがありましたが、その時はその日常を成り立たせ、守るのに必死だったんだと思います。
でも、私たちが経験した阪神・淡路大震災の時は、その日常が壊され、長い間大変でした。我が家も大変で、3人の息子たちのうち小学生の次男、三男は2カ月、須磨の名谷に住んでいる姉の家に預かってもらい、学校も転校しました。幸いにも3月末には家族全員そろって我が家に住めることになりました。アスベストが舞っていたかもしれませんが、元の場所に戻ることができました。もちろん、いろんな事情から戻れなかった方もたくさんおられました。震災後19年経った今も、問題が解決したわけではありません。
福島の原発の被害にあわれている方々はどうでしょうか。天災だけではなく、人災による放射能汚染で目に見えない被害を被らされています。3年経った今も、何ら解決はしていません。それどころか新しい問題が次々と噴出しています。
25年前のチェルノブイリ原発事故でさえも放射能汚染被害は今もなお続いています。それにもかかわらず、政府は「除染」というごまかしで帰そう、帰そうとしています。とくに子供たちを抱えている人たちは、不安で仕方がありません。今も汚染情報、被害状況をひた隠しです。
当たり前の人々の日常を奪ったということは、とても犯罪的であり、とうてい許されることではありません。
またさらに、安倍政権は戦争ができる国にしようと必死です。憲法の改悪に必死です。戦争が始まったら、真っ先に国民の日常が破壊されます。
私は、孫の世話をすることで、忘れかけていた「日常の大切さ」を改めて気づかされました。私たち国民は、何か特別なことを期待しているのではなくて、「食べる。働く。遊ぶ。寝る。」の暮らしが普通にできることを望んでいるだけです。そのことを破壊するモノは、絶対に許せません。
(N)
- 歯がゆくても一緒に考え、一歩前進したい
-
但馬ユニオンは今年の3月26日で結成4年を迎えた。これといって優れた点はないが、強いて言えば毎月欠かさず定例会議を開いてきたことぐらいである。
そんなユニオンだがいくつかの課題がある。その一つに、組合員をいかに闘いに立ち上がらせるか、悩んでいる。闘い方はさまざまなので一概には言えないが、会社側に向かっていく気迫が弱いように思える。事は自分自身の「命と生活」が懸かっているにもかかわらず、である。
A職場の組合員は、会社側のパワハラで職場から排除されようとしている。そんな中で複数の仲間とは話ができる関係にはあるが、その仲間からユニオンによる交渉はギリギリまで辛抱するように言われている。
B職場では、会社の業績が悪くなったので30人ほどの削減をするとして、全員を対象に個々面接が始まった。会社は組合員に、「あなたは給与に見合った仕事ができていない。あなたは会社にどのような貢献をしてくれるのか」と、暗に自主退職を迫ってきた。
この2つの職場に共通いているのは、@サービス残業や残業代の未払いがあり、労働基準監督署に訴えたこと。そして、臨検が実施され、是正勧告や指導事項が示された。A職場の周囲の仲間にユニオン加入を進めてきたが、実現していない。B会社側に交渉の申し入れができていない―である。理由は、「解雇を迫られるまでは我慢する」、「周囲の仲間が離れていかないか不安だ」(A職場)。「目立つことが苦手。同じ退職をするなら有利な条件で、会社と揉めずに辞めたい」とのことである(B職場)。
労基署に足を運んだことは「一歩前進」として評価したい。しかし、せっかく職場の労働条件を良くする機会を得たのに、職場は改善されない。会社は誠実に是正、指導勧告を履行しようとしない。悔しくてならない。交渉を申し入れ、組合の存在を認知させていれば職場は少しは変えられたと思う。但馬人は温厚で辛抱強く、争い事を好まないとよく聞かされたが、事は人の命と生活が懸かっている。まぁ、嘆いているだけでは何も変わらない。今後とも経験と学習を積み重ねてユニオン運動を前進させたい。
岡田一雄(但馬ユニオン委員長)
|