「新社会兵庫」 3月11日号
- 用でもなければ外出は避けたい寒さが続いた。出不精になるのも仕方なし、と決め込んでいたけれど、晴天の日差しはいつの間にか春になっている。寒いからと、つい背中を丸めていると胸が小さくなり視線も下を向いてしまう。元気も出ない。春の日差しは、顔を上に向け胸いっぱいに空気を吸い込みたくなる力を持っているからうれしい。身体同様、頭も硬くなりがちだけれど、新鮮な空気をいっぱい取り込んで、ほぐしたいと思う▼が、大気は有害物質を含むPM2・5の濃度が環境基準を超え、不要不急の外出は控えるよう「注意喚起」が出される始末。確かに、春の朧とは別物のようだ▼ニュースはその飛来物の起点、中国が問題であると伝え、北京などの映像は、高度成長期の「公害」日本社会と同様かと思う。もしそうなら、悲惨な公害病に苦しむ人を隣国で発生させない技術を伝えることは、経験した国の責務であるし、結果、自国の環境を守ることにもつながる▼残念ながら「力を貸し合う」相互の信頼が失われているのが現実の中国との関係と言わざるを得ないが、自国の政権が公害、戦争、直面する原発被災からも学ばず、「帝国日本」を夢見て走ることは、止めることができるはずだ。
- 税制改革
経済成長の神話から脱却を/所得配分の機能回復が必要
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安倍晋三首相は1月24日、通常国会での施政方針演説で「経済の好循環なくしてデフレ脱却はない」と強調。税制改革については消費税8%への引上げと景気の腰折れを見越した5・5兆円の本年度補正予算、復興特別法人税の廃止、法人実効税率(国税と地方税の合計)2・4%の引き下げ、設備投資減税の創設などに言及した。勤労国民には消費増税、企業には法人減税と分りやすい税制改革である。
税制改革は今後も切れ目なく続く。今年末には来年10月から消費税10%に再増税するかどうかの判断も、消費の落ち込みや景気動向から行われる。1月20日の経済財政諮問会議や2月13日の政府税制調査会で安倍首相は法人実効税率の引下げに意欲を示した。
政府税調では「更なる法人減税で企業の負担を軽くして景気が良くなれば、結果的に税収も増えるはず」という首相の肝いりで大田弘子・元経済財政相を座長とした法人課税ディスカッショングループを設置、3月から議論が始まる。法人税率を下げれば、経済成長や海外からの投資の呼び込みにつながるとの考え方からだ。
だが、麻生太郎財務大臣は「法人税率を10%も引き下げれば約5兆円の税収が失われる。財源はどうするのか」と大幅な法人税の引き下げに異を唱えている。國枝繁樹・一橋大学大学院准教授も「税率を下げて税収が増えるという期待は誤り。現時点では日本企業は潤沢な内部留保を抱えており、お金に困っているわけではない」と指摘した。
そもそも税制の役割と仕組みとは何かについて復習が必要だ。税制には基本的に3つの機能がある。
ひとつは、資源配分機能(公共財の提供)である。国防、警察、消防等のサービスや公園、道路、港湾等の社会資本など国の存立基盤や教育、医療など国民生活の保障・維持などが政府の最も基本的な役割となる。
ふたつは、所得再配分機能(貧富の格差是正)である。市場原理は必ずしも公平な分配を達成するわけではない。歳入面では所得税や相続税など累進税率の適用により高所得者層から多く徴収し、歳出面では社会保障給付などを通じて低所得者層に多く配分するなどの手段で調整が図られる。
もうひとつは、景気調整機能(自動安定化機能と裁量的財政政策)である。景気上昇期には累進課税構造を持つ所得税や法人税の増収を通じて民間需要を抑制し、景気後退期には失業手当や生活保護費の支出が増大して需要を喚起していく仕組みである。景気の過熱時には増税や公共事業など財政出動の抑制で景気の行き過ぎを防ぎ、不況には政府による減税や公共事業の拡大で景気を刺激する考え方である。
これらの機能から新自由主義の経済運営における税制のあり方について考えてみる。
ひとつは、新自由主義経済による景気調整機能の破綻である。アベノミクスによる経済再生とデフレからの脱却は、これまで大胆な金融緩和や機動的な財政出動による公共事業で株高や円安として成功しているように見える。これらは経済成長のみがすべての問題を解決してくれるという考え方である。
従来の国民経済では「公共事業→企業利益→賃金改善・設備投資→内需拡大→雇用改善」というサイクルだったものから、新自由主義経済では「公共事業→企業利益→投資家・海外投資→グローバル企業の成長」というサイクルに変化した。もはや公共事業は自国の実体経済の改善の有効な手段とはいえない。少子高齢で人口減少社会の到来により経済規模は縮小していくなかで、経済成長を至上命題とする神話から脱却する哲学が必要である。成長せずとも日本の経済力で国民の幸福は維持できるのではないか。
ふたつは、税制や社会保障制度の改悪による所得再配分機能の破綻である。税制改革でも明らかなように勤労国民には消費増税、社会保障制度や労働法制の大改悪を押しつける反面、企業には今後も大幅な減税で経済成長につなげるという。安倍政権は今後も「成長重視」や「企業優先」の姿勢を貫く構えであるが、この考え方のなかには貧困と格差社会を大きくする新自由主義の影が見える。
成長の「果実」が賃上げにより家計に還元されなければ、税制改悪により家計のお金が企業に移るだけである。ポスト格差社会として所得配分機能を実質化するためにもベイシック・インカムなど新たな社会国家の構想が求められている。
菊地憲之(ひょうご自治体労働運動研究会)
- 誰もが人間らしく暮らせる社会を
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介護の仕事を始めてもうすぐ3年を迎えますが、昨年11月、初めて利用者の方が亡くなられました。仕事を始めてからずっと訪問していたので、想いも深く、正直ショックでした。利用者の方との関わりをあまり深めることは良いことではないと学んでいましたが、介護するにはなんと言ってもコミュニケーションが必要で、お互い信頼関係がなければうまくいかないことも事実です。これからもこのような経験をしていくとは思いますが、十分な支援ができたのか、もっと他にも出来る事があったのではないかと心が重くなりました。
数年前から義理の姉が若年性アルツハイマーと診断されグループホームに入所しています。暫くヘルパーさんの介護を受けながら自宅で暮らしていましたが、病状が進み施設に入ったとのことでした。兄が亡くなった後は疎遠になり、私が知らされたのは一昨年の法要の時でした。その後1カ月に1度のペースで施設を訪問するようになりました。初めて訪問した時、長年会っていなかったことと発症から数年が経っていたので私のことは全く分からず、少し親切なヘルパーだと思っていたようです。訪問の度に写真を見せながら問いかけをすると、時々ですが、「私の主人、娘」と答えます。
知人のお母さんが認知症を発症以来お父さんが介護をされていましたが、昨年お父さんが急逝され、これからの対応にご家族は苦慮されているそうです。お母さんはお父さんの死が受け入れられず、施設への入所を拒否しヘルパーの支援を受けながら一人暮らしを続けています。彼女は休日と有給休暇を取って介護のため実家に毎月帰っています。この状態をずっと続けていけば精神的にも肉体的にも負担が増大し、いつかは彼女自身が倒れてしまうのではと心配です。
認知症は誰にでも起こりうる病気で、その時々によって症状が違い、特に初期の頃は普通に対話ができるので変化に気づきにくいことがあります。どんなに現状は認識できなくても感情(心)は最後まで残ると言われます。言葉でのコミュニケーションが難しい場合、介護者は利用者の方にとっての必要な介護、支援できる事に悩みます。この数年、利用者の方々と関わった結果、出来るだけ穏やかにその方らしく暮らしていけるよう支援することが介護者の役割だと今は思っています。
国は超高齢化社会に備えようと医療体制の見直しを進めています。これまでの病院診療から地域や在宅での診療に移行させるというものです。しかし移行先の受入体制が整っているとはとても思えません。財政難と言って簡単に制度を変え、生きる権利も奪いかねない政治を許すことはできません。何度裏切られても同じ選挙結果に腹立たしさと無力感に諦めてしまいそうになります。でも何もしなければますます暮らしづらい国になってしまいます。諦めずに憲法で保障された生存権(人間らしい暮らし)を取り戻す運動を次世代へ繋げていくことが私たちの責務だと思います。
(T)
- あらためて原点に立ち地道な活動を
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はりまユニオンは2月23日、加古川市立勤労会館で第13回定期大会を開催した。
ユニオン結成時17人だった組合員は45人に増え、着実に発展してきていると言いたいところだが、ここ数年、組合員数は減少を続けている。また、昨年度は活動が大きく停滞してしまった1年だった。
年2回のホットラインと2ヵ月に1回のはりまユニオン独自の労働相談日は継続して取り組んでいるが、相談件数は大きく減少し、新規加入は2人だけだった。争議件数も激減し、4件だけだった。
はりまユニオンは「みんなで取り組む、みんなで参加する活動をめざす」ということを重点課題にしているが、労働相談日の事前駅頭ビラ配布にしろ、学習会、交流会にしろ、参加者が少なく、固定してしまっている。
労働の現場はますます矛盾を深めている。ユニオンを必要としている人も増えていると思われる。しかし、それがはりまユニオンに結びついていない。結びつけられていない。
けれども、それはなぜなのか、どうすればいいのか分からない状態である。
はりまユニオンは結成以来、「みんなは一人のために、一人はみんなのために」をモットーにしてきた。はりまユニオンの原点である。いまはこの原点に立って、地道な活動を着実に進めていくしかないと思っている。
自らの争議が解決すると辞めていく人もいるが、ずうっとユニオンに残って運動を支えてくれている組合員も多くいる。
大会では、@できるだけ組合員が交流できる場をつくっていく、A個々の争議も真剣に取り組んでいく、Bそれとともに、焦眉の課題となっている「労働法制の総破壊」反対の取り組みも継続していく、と運動方針を決めた。きびしい活動の状況が続いているが、ユニオン運動を必要とする人がいる限り、ねばり強く頑張っていくことを再度決意し合った大会であった。
塩谷 明(はりまユニオン書記長)
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