「新社会兵庫」12月24日号
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70年以上前のことだが、東京の郊外に陸軍気象学校があった。気象観測を行い、晴、曇、雨などによって青、赤、黄などの大きな風船を上げていた。近所の子どもたちは、それを見て今日、明日の天気を知るのを楽しみにしていた▼太平洋戦争突入直前、気象風船は上がらなくなった。そればかりか、新聞でもラジオでも天気予報は差し止められた。空襲が警戒されるようになり、気象が重大な軍事機密になったのである▼気象に関する知識を持っていようがいまいが、明日の天気を知ろうとなにがしかのことをすれば、あるいは、それを密告されれば、憲兵に睨まれる▼敗色濃厚になった時、軍部は風に乗せてニューヨークを襲おうと、風船爆弾を考えた。そうなれば、風向、風力、風速等に興味を持つ人、台風の接近を心配する人等は、すべてスパイ扱いだ▼今では住宅街を歩くと、ペットボトルを羽根にしてクルクル回る風車をつくっている庭を見かける。もしも当時そんなことをする人がいれば、たちまち憲兵隊に連行である▼明日の天気を考えるという日常生活上当然のことが、お上の御意向に逆らうことになるという真逆の世の中が、そこまで近づいているとすれば、手を拱いてはいられない。

- 安倍政権の雇用破壊を許すな/“雇用共同アクション”に結集を
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第2次安倍政権のもとで今年6月、規制改革会議の答申に基づく「成長戦略」と「骨太方針」が閣議決定された。経済成長は、アベノミクスの第3の矢とされるもので、「世界で一番企業活動がしやすい国」を目指している。
来年1月からの通常国会では労働法制の規制緩和が争点となるのは必至であり、これまでの働き方を一変させる法律改悪に対して、国会内での数の力≠上回る運動を私たちがどうつくっていくかが問われている。
■働き方が一変する
(1)労働者派遣法
最も突出して議論されているのが派遣法。すでに労政審では年内に意見を取りまとめようと急ピッチで議論が進められている。しかも、その内容があまりにも酷い。いまの働き方が一変してしまう危険性を含んでいる。
現在の派遣法は、「一時的・臨時的業務に限る」「常用雇用(正社員)の代替えにしてはならない」というのが大原則だ。ところが、これを撤廃しようというのだ。現在、製造業では3年以上派遣労働者を受け入れることができない。恒常的業務であれば派遣ではなく直接雇用しろというのが法の趣旨であるからだ。
この仕組みを廃止し、一人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を最長3年にして、人さえ代えれば同一業務で無期限に派遣を使い続けられるようにしようというのである。
これは、派遣労働者に「正社員への道」を閉ざすばかりか、正社員から派遣労働者への置き換えが急速に広がる危険性がある。
(2)残業代ゼロ
「1日8時間、週40時間」がいまの労働時間ルールだ。ところが、一定の年収を超える労働者を適用除外する制度を導入しようとしている。ホワイトカラーイグゼンプションと言われる制度で、「過労死促進法」と揶揄され、過去に私たちが運動で葬り去った代物だ。
(3)解雇の金銭解決制度
不当な首切りにあった労働者が、裁判で「この解雇は無効」と勝訴しても、会社が金さえ払えば労働者をクビにできる制度だ。
労働組合を嫌う企業が、「人材の過剰在庫」と称して解雇を自由にできるようになれば、労働者は奴隷であり、商品となってしまう。
この他、日雇い派遣の再解禁や限定正社員制度導入など、安倍政権による「世界一労働者が働きにくい国づくり」に向けた政策は目白押しである。
■雇用共同アクション
こうした政府の動きに対して10月23日、「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション(雇用共同アクション)」が結成された。全労連、全労協、全港湾、日本マスコミ文化情報会議、純中立労組懇、中小労組政策ネット、下町ユニオンなどが結集。結成集会には、日弁連や日本労働弁護団、民主党、共産党、社民党から国会議員も参加した。
当面の行動として、労政審に対応した厚労省前アクションや、日弁連シンポの開催、各地での取り組みを広げながら、日弁連呼びかけの12・.13日比谷野音集会に結集していく。
■連合の動き
この問題では連合も取り組みを活発化させている。11月から全国各地で第1波の統一街宣行動を展開し、11月22日に「労働者保護ルール改悪阻止全国行動結集集会」、12月5日には日比谷野音で5千人規模の集会を開いた。また、労政審に合わせて厚労省前でも行動。全国・地方紙28紙に意見広告を掲載するなど、古賀会長自らが先頭に立って「今こそ行動を起こす時」と呼びかけている。
■兵庫での取り組み
ひょうごユニオンの運営委員会で小西委員長から提起があり、自分たちで考えるしかない中、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークからも資料を送ってもらい、「兵庫で何ができるか」を検討した。全港湾神戸支部に相談すると、「こんな法律がつくられたら大変や」が第一声だった。組合つぶしの解雇を金で解決されたら、労働組合が存在できなくなるからだ。そこで、全港湾とひょうごユニオンの呼びかけで始めようと決意。県下のユニオン、全港湾、地域共闘の仲間とともに、まずは12・13日比谷野音集会に連帯し、県内各地で街頭宣伝行動に取り組む。労働者に、私たちの働き方がどうなるか、まず知らせることが重要だと考えたからだ。これをさらに広げていくためには、兵庫での運動体が必要であり、ナショナルセンターの枠を超えて組織された「雇用共同アクション」兵庫県実行委員会を1月27日に結成する。14春闘では「労働法制の規制緩和反対」の声を、兵庫県下でどれだけ大きくできるかが勝負だ。安倍政権の数の力≠上回る運動を作りたい。
塚原久雄(ひょうごユニオン事務局長)
- “命”と向き合う女性たち
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子どもの命≠ノ懸命に向き合う女性たち
◆都市型河川の一つ、灘区の都賀川。2008年7月28日、ゲリラ豪雨が襲い、子ども3人を含む5人の尊い命が奪われた。あれから5年、亡くなった子どもを知る女性が中心となって、毎年の「犠牲者を偲ぶ会」をはじめ、当時の聞き取り調査、学童保育をめぐる諸課題についての神戸市『子ども家庭局』への申し入れ等々を続けている。ちなみに、昨年の夏、またもやゲリラ豪雨があり、あわやと思われる事態が起きている。
◆2013年5月、神戸市内の保育所で0歳児が午睡時に救急搬送され、後日、亡くなった。この事故原因も明らかにされぬまま、保育所による保護者への説明も決して十分とは言えないなか、元保育士の女性が中心となって、再三、この事故原因を明らかにするために、説明責任を果たすよう神戸市の『子ども家庭局』への陳情を繰り返している。ちなみに、この間、全国の保育所での、とりわけ0歳児の死亡事故が急増している。
今、彼女たちは、遺族の遣り切れない、行き場のない気持ちに寄り添いながら、「事故を防ぐことはできなかったのか」「2度と繰り返させないために何ができるのか」―このことを悩みながらも追求している。子どもの命≠ノ懸命に向き合おうとしている。
保育所、学童保育所の質量の充実にこそ力を
「一馬力ではとうてい暮らせない」と、共働き家庭が急増している昨今。にもかかわらず、保育所、学童保育所数が実態に追いついていけず、待機児童解消が全国の自治体での喫緊の課題となっている。
このたび、神戸市は「小規模保育事業」の導入を発表した。生後6か月から3歳未満児を対象とする定員6〜19人の保育所で、国の「待機児童解消加速化プラン」の支援制度を活用しようとしているものだ。認可保育所の新増築も合わせ、来年度中に約1200人の保育枠を拡大しようとしている。しかし、受け皿拡大が必要に迫られているとはいえ、詰め込み、人手不足等々の保育・労働環境をおざなりにしたまま、数≠フ解消にだけ奔走してはならない。この間の自治体間競争はどうもその傾向があるように思えてならない。しかも、対象は、顕在的待機児童だけで、その数倍いるとも言われている潜在的待機児童は対象になっていない。目先の待機児童解消を追い続けるだけでは根本的な解決にはならず、いたちごっこが続く。子どもたちの命≠守るためにも、保護者が安心して託すことのできる、働く人たちが安心して働き続けることのできる保育所・学童保育所の質・量の充実にこそもっともっと力を入れなければならない。
先日、前述の女性たちが一堂に会して懇談する機会があった。彼女たちの直向な行動を通して多くの人が立ち止まって命≠考えることができればと思う。
(小林るみ子)
- 結成15年を迎えたあかしユニオン
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あかし地域ユニオンは、1999年2月に発足し、今年で15年を迎えることとなった。ひょうごユニオンと明石地労協人権平和センターから生を受け、県下・全国の労働組合の皆さんや地域の民主団体の方々に暖かく育んでいただくなかで、今日の状態まで成長することができた。
バブル崩壊後の長期不況と労働運動の氷河期ともいえる時期に誕生した私たちは、捲土重来、再び働く人たちの組織化と労働組合の強化をめざし、精一杯の活動を展開してきた。
この15年間に寄せられた労働相談はおよそ700件にのぼる。内容は「○○について教えてほしい」といった問い合わせで終わったケースから、労働委員会闘争や裁判闘争にまで発展したケースまで多種多様である。相談者の男女比は、男性55%、女性45%であった。年齢別では、40歳台が26%、30歳代が23%、20歳代が17%であった。そして、相談者のうち約500人がユニオンに加入し、会社との団体交渉などを取り組んだ。
私たちが出会った労働者は、正規・派遣・パート・アルバイト等々雇用関係も職種も様々であり、待遇も様々であった。しかし、自らの権利のために闘うことを最後まで諦めなかったという点は共通している。その意味で、ユニオン結成15年は、ひとりひとりの組合員の闘いの歴史でもある。ユニオンは働く人の駆け込み寺ではあるが、労働者自らが闘わなければ、労働組合が持つ力を十分発揮することはできない。
15年の節目にあたり、これまでの闘いをしっかりと総括し、現在の息苦しい職場の現状を正しく立て直す力を、改めて組合員全員で学び合いたいと考えている。
社会の主人公は労働者だ。その労働者の基本的な権利が保障され、あらゆる束縛から解放されるために、私たちはこれからも明石の地にしっかりと根をはり、幹を太くし、枝葉を茂らせていく決意である。さらなるご支援をお願いします。
西山和宏(あかし地域ユニオン委員長)
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