「新社会兵庫」11月26日号
 前号の本欄は、企業の謝罪や反省の姿勢を問題にした。内幕を暴露することになるが、その原稿が届いたときには阪急阪神HDのホテルによる食材虚偽表示はまだ明らかになっていなかった。直後にそのことが発表され、一応、一言は挿入できた▼だが、あたかもこの原稿が引き金になった如くに、次から次へとホテル、デパート、レストランと、時には新聞1面分すべてがその関係記事で埋まるほどに虚偽表示が明るみに出され、企業の「謝罪姿」が報道された▼今頃になって、なぜこれだけ一斉にと誰しも疑問が生じよう。もう隠し通せないと観念したのかと勘繰りたくもなる。この際と、自社で調査した結果もあろう。そして、事件をきっかけにした内部告発も少なくはなかろう。いずれにしても不祥事は、一応は明るみに出てきた▼もし、「秘密保護法」が制定されたときの国家の重要情報に関わることとなればどうなる。「特定秘密」に指定しまえば、その情報は一般に知らせることもなく隠し通せる。「秘密保護法」なんて言わずに「特定情報隠ぺい法」と呼ぶべきだ、と提案する憲法学者もいるが、「秘密保護法案」は国民の知る権利を奪い、まず国民の目と耳とをふさいでしまう。廃案しかない。
反対世論をさらに大きく 秘密保護法案は廃案に
 世論では秘密保護法案反対が多数
 「特定秘密保護法案」の審議が衆議院で緊迫した局面を迎えている。一部の野党との修正協議が行なわれており、与党側がどこまで修正を受け入れるかどうかはともかく、修正という程度ではこの法案が持つ危険性にストップをかけることはできない。この法案は廃案にするしかない。
 国会での力関係は残念ながら明白である。安倍政権の数の力にまかせた横暴を許さずこの法案を止める力は世論にしかない。報道機関による世論調査では「法案」反対が「賛成」を上回っている。毎日新聞の調査(11月9、10日実施)では「賛成」29・0%に対し、「反対」が59・0%、「今国会にこだわらず、慎重に審議すべきだ」が75・0%、「廃案にすべき」が11・0%で、あわせれば86%が今国会での成立に否定的で、「今国会で成立させるべき」の8・0%を圧倒している。また、朝日新聞(同日実施)では「賛成」30・0%、「反対」42・0%だ。ただ、毎日新聞の調査でも、法案の内容について「あまり知らない」が36%、「まったく知らない」が15%あり、当面の運動の余地を大きく残している。
 きわめて短い時間だが、この反対世論をさらに盛り上げる運動の強化と広がりをあらゆる手だてでつくり出すしかない。
 急速に広がる反対の声と運動
 10月25日の法案の閣議決定以降、マスメディアで法案の問題点が詳しく取り上げられることが多くなった。この法案の持つ重大な問題点が一般にも伝わりだしたのは確かだ。
 また、各界の反対声明などの発表も急速に広がり、さまざまな反対の声が上がりだした。
 早くからこの法案に警鐘を鳴らしてきた日本弁護士連合会(日弁連)が閣議決定に抗議する会長声明を出したほか、各地の弁護士会も反対声明などを出し、10月28日には憲法・メディア法の研究者、刑事法の研究者あわせて265人がそれぞれ反対声明を発表、合同の記者会見を行なった。また、11日にはテレビキャスターやジャーナリスト8人が反対声明を発表した。このほか、日本雑誌協会、日本書籍出版協会、新聞労連、日放労連など言論・報道関係からも多数の反対声明が出され、このほど日本外国特派員協会、自由報道協会も相次いで反対声明を出した。日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本ペンクラブらも危惧、懸念を表明する意見書を出している。「取材・報道の自由」を制限されるおそれのある立場からすれば当然のこととはいえ、新聞の論調も、とくに地方新聞は、反対色が目立つ。
 と同時に、動きは遅かったと言わねばならないが、各地で集会や街頭行動などが取り組まれだした。新社会党も衆議院での審議の山場にあわせ、18日〜22日、国会前での座り込み行動を呼びかけている。
 秘密保護法案の本質と問題点
 この法案の及ぶ対象は、公務員や言論、報道関係にとどまらない。国民の知る権利を奪うことはもちろん、一般の人々をも国家の監視の下におき、もの言えぬ社会に押し込めていく内容を持つ。
 あらためて秘密保護法案の問題点を確認したい。日弁連のHPから引かせていただくと、@保護対象となる「特定秘密」の範囲が広範・不明確、A「特定秘密」の指定が行政機関の長によって恣意的になされうる、B指定の有効期間5年を延長し続ければ指定は恒久化する、C内部告発や取材等行為についての処罰範囲が広く、厳罰に処するものであるため、表現の自由及び報道の自由や権利が侵害される、D適性評価制度により重大なプライバシー侵害が生じるおそれがある、E行政機関の長の判断で「特定秘密」を国会に対しても提出を拒むことができることになっていることで国会の国政調査権が空洞化され、国権の最高機関性が侵されるおそれがある、ということである。
 そもそも秘密保護法案は、安倍内閣の「戦争ができる国」づくりのシナリオのなかに位置して出てきたものである。国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と一体をなし、来年にも予定される国家安全保障基本法の制定とあわせて集団的自衛権行使への道を開くものだ。それは海外での軍事行動を意味する。廃案しかない。
(11月16日記)
野上 司(平和運動研究会)
「酒蔵寄席」、実現できました!
 こんなことができたらいいな、楽しいだろうな……、そんな思いつきが実現できた!協力してくださった皆さん方に、本当にただただ感謝です。ご報告を兼ねて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
 私は、おいしい日本酒が好き。高校の同級生とふらりと入ったお店で飲んだお酒が、親が住んでいる江井ヶ島・太陽酒造のお酒と知り、訪ねてみたことからお付き合いが始まりました。震災、東京の企業の買収騒ぎ、買い戻すために蔵のファンが地元金融機関を動かし融資を得、今はその返済に向けて蔵一家は良い酒を造ることでしか返せないと覚悟を決めて頑張っています。
 そんな私に付き合っている夫は、大の落語好き。ひいきの落語家の追っかけを東京、名古屋、滋賀等せっせと通うほどです。私は、近場でこの人なら聴いてみてもいいかという時に付き合うくらいですが、間合いが合う落語家さんの話は引き込まれて気持ちよく笑えます。
 太陽酒造の蔵の2階を使ったギタリストのライブに行ったことがきっかけで、あの昔ながらの姿そのままの場所で落語会をやれたらいいだろうなと思うようになりました。
 そんな頃、選挙で面識もないのに新社会党を理解して応援してくださった落語家露の新治さんが、本格的に落語の大作に取り組み始められたことを知りました。天満天神・繁昌亭で開催された東京の落語家柳家さん喬さんとの二人会は、露の新治さんの新たな決意が伝わり、人権高座で全国活動される新治師匠の柱ともいえる本業落語が飛躍し始めていると、素人の私でさえ感じられました。そして、太陽酒造の蔵で開く落語会は新治師匠にお願いしたいと決めたのです。たまたま「明石の方で落語会が開けるようなところがありますか?」とお話があったのを幸いに、事情を話し、現地を見ていただいたところ二つ返事で引き受けていただき、今回の落語会の実現となりました。
 念願かなった落語会を、できるだけ多くの方に来ていただきたいと思い、長らくご無沙汰していた方々にもお手紙を出し、退職後会う機会が減ってしまった先輩、友人にも声をかけました。予定があって参加できず残念だが案内うれしかったよと、わざわざ電話をかけてくださる方も多く、準備中からうれしいことが一杯でした。
 当日は、お互い何だか同窓会みたいと声を掛け合い、新治さん、露の紫さんの落語、豊来家一輝さんの大神楽に気持ちよく笑い、終了後は蔵の試飲会と、楽しい一日でした。蔵のご一家にも大変な協力をいただきました。その後、ぜひ来年も、と背中を押される形で新治さんとご相談したところ、これまたOKのお返事。1年後、また大笑いできるよう気合を入れようかと思っています。ありがとうございました!
(岡崎宏美)
熟年者ユニオンで福島視察
 10月11日から13日まで、熟年者ユニオンから5人が福島県浪江町の視察に行った。
 JR福島駅を出るとモニタリングポストがあった。公園や市の施設の前にもあるが、場所によっては0.3〜0.4μsv/hと、神戸より1ケタ高い数字が示されていた。駅周辺では除染作業が行われていたが、防護服ではなく普通の作業服で行なっていた。
 当地の生協との交流では、福島県の子ども達に甲状腺ガンが20数人発生しており、疑いありの子どももいるとのこと。しかし、東電も国も原発事故との関係を否定している。「除染完了」の掲示板がある公園で親子が遊んでいたが、0.208μsv/hだった。
 「原発事故被災者相双の会」会長代行の國分さんの案内で福島第一原発から約5qの浪江町請戸地区を視察した。町の入り口にはガードマンがいて許可の有無のチェックを受けた。どうにか入ることができたが、そこには無人化した町があった。放射能に汚染された漁船が数隻打ち上げられ、当時のまま放置されている。津波と放射能で汚染された田畑も放置されたまま。脱原発運動がなかなか拡がらないという報告を聞き、帰宅困難地域の方々が県外や全国に避難している状況では大変むずかしい面もあると感じた。
 福島第一原発から50q以上はなれた所でも除染が行われている福島市内。駅前では復興への思いを込めた若い人達のイベント。高い放射線への怖さや、今後の不安などを感じないようなにぎわいであった。
 いま、県外に避難した家族が「福島から避難してきた」と言えない状況がある。地元の方との交流では、「県外に避難されている方々が各地でどのような取り組みをしているのか」との思いや、漁業者からは「岩手や宮城では操業しているが、福島では展望が持てない。お先、真っ暗」という話が出て心に残った。
 今回の視察で見聞きしたエネルギーで今後、関電を追及しなければならないと考えている。国や東電からコントロールされないために。
横林賢二(熟年者ユニオン事務局長)