「新社会兵庫」10月22日号
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オリンピック東京招致にしゃしゃり出ては「汚染水の影響は港湾内で完全にブロックされている」と大見得を切って現地の人の怒りを買い、今度は熊本で開かれた水俣病条約のための外交会議にビデオレターを送り、その中で「水銀による被害とその克服を経た我々」と述べ、患者団体などからひんしゅくを買い、批判を受ける▼あたりまえだ。福島第一原発の汚染水については東電そのものが港湾外でのセシウム検出を発表している。水俣の被害は、今も多くの人たちが苦しんでいる▼この人は、根拠をきちんと示すこともなく、自分がこう言えば事態はその通りになっている―そんなふうに考える人であり、自分の思い通りにならないことはなかった。子どもの頃からそんなふうに育ってきたのではなかろうか▼原発の傍で不安を抱えながら暮らす人、被曝しながらそれでも汚染水漏れの現場で作業せざるをえない人、水俣病に苦しみながらもいまだに政府からそうとは認定されていない人、こうした人たちが存在することを想像だにしない▼第1次内閣のとき、やけに目立った「私の内閣…」という前につんのめった姿勢が、少しは懲りて勉強したのかと思いきや、またぞろ復活のようで気色が悪い。

- 高齢者!黙っていていいのか(上)
社会保障切り下げに反撃を
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高齢者を標的にした社会保障切下げ攻撃
2013年版の『高齢社会白書』(内閣府、13年7月)が発刊されているが、それによると、現在および将来の高齢化率(人口に占める65歳以上の高齢者の比率)は、現在(2013年、平成25年)で25・1%、将来(2035年、平成47年?!)は、33・1%になると推定されている(資料@)。
この種の数字が発表されると、必ず後に続く文言は「だから社会保障がたいへんだ」「ますます減少する現役世代が、増える高齢者を支えねばならない(オミコシ、キバセン、オンブ……)」ということである。高齢者攻撃を社会保障切下げ攻撃の最初の標的に据えている意図は明らかだ。高齢者関係の社会保障給付が全体の68%を占める?―年金が含まれている以上、当然である。
この論理がもつ反人間性、反社会性
(イ)急激に進む高齢化というが、高齢者人口の増大の大きな一因は、この世代から近代史上はじめて戦争の犠牲者を出していないことにある。戦後70年近くの間、戦争を許さなかった平和憲法の下で生きてきた生き証人として、誇るべき存在として高齢者人口を考えるべきである。憲法を守り抜くためにも、高齢者を社会の迷惑者にしようとする悪意ある企図を許すべきではない。
(ロ)高齢者が22年後に33%を、48年後に40%を占めるという人口構成の社会では、常識的に戦争を遂行できるはずがない。その時こそ戦争が不可能となる社会の到来である。だからこそ、憲法擁護、軍備縮小を将来に向けての現実的な目標と考え、その歩みを強めるべきである。
(ハ)高齢社会の社会保障を考える現実的な鍵は軍事費の削減でなければならない。高齢化社会のための軍事費削減という要求は財政面から考えても、社会の高齢化という面から考えても、整合性のある、説得力のある要求である(われわれの力が必要であるが)。
本来、社会保障というものは、貧困、病弱、障害、その他、人間らしい最低限の生活を営むのに困難性を持っている人たちに対する援助・扶助は社会全体で行うべきものとするものであるから、ある世代が他の世代を支えるとか、援助するとかということを喧伝しようとすることは、社会保障の本旨に反するどころか、社会全体の連帯という精神を蝕むものである。ましてや、生活保護受給者に対するねたみ≠笂{りを煽り、監視社会化を助長しようとすることなど許されないことである。
また、教育や医療など個人よりも社会全体が責任をもつことが相応しいものについては社会全体の事業であり、負担とすべきであることを強調し、追求すべきである。
この点から「おみこし型」「騎馬戦型」「おんぶ型」などという言いつのりは、高齢者人口の増大が持続性ある社会保障を突き崩す元凶であるとする暴論の流布を許す、悪意に満ちたものである。反論こそすべきであって決して共犯者になってはならない。
高齢者攻撃と高齢者の生活
第2次安倍内閣は発足9カ月を迎えたが、国家主義的・超反動政権という自己の本性を隠そうとしない露骨さである。攻撃のかけ声のもとに改憲、集団的自衛権の容認、教育への国家統制の強化が推し進められている。
安倍政権の高い支持率はアベノミクスによるといわれるが、経済諸政策の本性は、格差の解消どころか拡大―成長のプラスはすべて大企業と富裕層に吸い寄せ、マイナスはすべて勤労国民と社会的弱者に押しつける―するものである。消費税増税の代償≠ェ法人税減税であり、円安の表側が輸出企業の増益と株価の高騰であり、裏側が食料品や電気代の値上がりであることもその証左である。
われわれ高齢者世代が人生をとおして守りたたかってきた平和と民主主義の諸果実は切りさいなまれ、打ち捨てられようとしている。【つづく】
今村 稔(77歳10ヵ月)
※資料@高齢化率(内閣府『高齢社会白書』)
昭和25年(1950年) 5%未満
昭和45年(1970年) 7%を超えた
平成6年(1994年) 14%を超えた
《以下、推計》
平成25年(2013年) 25・1%
(平成29年以降は、75歳以上が65歳〜74歳を上回る)
平成47年(2035年) 33・1%
平成72年(2060年) 39・9%(うち75歳以上は26・9%
- 今を生きる若者達
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過日、一水会顧問の鈴木邦男さんのところから頼まれて、「左翼の人の意見も聞きたい」という若者の勉強会に行って来ました(左翼を代表できるだけの理論など持ち合わせていないのに、大胆にも……)。20代、30代の若者達で、いただいた会社の名刺とは別に日の丸がプリントされた「会」の名刺に、グッと引いてしまいそうでしたし、当日のタイムテーブルには最初に「君が代斉唱」とあり、えらいところに来てしまったと思いました。
でも、事前の代表の方とのやり取りでは、とても気を使って下さっていたのでそう心配はしていませんでした。この時もその時間帯(「君が代」斉唱時)、私は代表のDさんとお茶を飲んで待っていました。
そして始まったこの「勉強会」は、針のむしろ(?)と参加された一人が後で言うほどのものでした。1時間ばかり私の方から現行「日本国憲法」の前文と9条について、そして昨年発表された自民党の「日本国憲法改正草案」のこの部分と関連する条文ついて(あくまでも客観的に)対比表を作って、自分の考えを述べていきました。
「尖閣諸島」「拉致問題」「自衛権」「現実的でない」「3分の2(96条)は民主主義ではない」「左翼の言うことは決まっている」……この議論が1時間ばかり続き(もっとあったかも)、私の全部を使って私なりに参加してきました。多分に理論的ではない部分もあったと思うし、事実関係で分からないことは分からないとはっきり言うしかありませんでしたので、最後はどうなることかと思っていました。
がしかし、最後のあいさつをした世話役の若者が「ここにおられる皆さんはそうではないと思いますが、軍ができたとき(自分達の世代で)果たしてどれだけの人が行ってくれるのか……」と。救われた気分になりました。それで調子に乗って誘われるまま2次会に付き合い、最終の新幹線で帰ることになってしまいました。
そこで出た話も、私を大いに元気付けるものでした。「原さん、僕ね、いま育児休業中なんです。妻と話し合って決めたんです。会社では肩身の狭い思いがあるけれど良かったと思っています。そして、最近とてもうれしいことがあったんです」―なんだろうと思って聞いていると「3歳になる上の娘が一緒に寝てくれるようになりました」。なんだかじ〜んと来ました。
そして、こんな話も。「妻と子の面倒は見るから(軍、戦地?へ)行ってくれと言われても自分は果たして行けるかなぁ?」から、「原さんの話を聞いていて、ジョン・レノンのイマジンを思い出しました」(心の中でガッツポーズ!)など、針のむしろ状態も忘れ、私は大いに満足して帰って来ました。
右も左もない、皆、今を懸命に生きている若者たちなのです。
(原 和美)
- パワハラ問題の行方
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K株式会社に勤めるNさんは、職場で数々のパワハラを受けたことに対して、損害賠償請求の裁判を起こしている。
裁判での証人尋問は、パワハラをした張本人と上司の2人であった。Nさんは、クロスの張り替え作業時に「汚い。やり直せ」と言われたり、暴言を数々吐かれたことを訴えたが、相手側は「おだやかに注意をしただけ。Nさんも『わかった』と言った」など、すべての出来事に対して、パワハラの言動は全くなかったと主張し、通常のやりとりであったと全面的に否認してきた。また、Nさんは寮の上階から庭に飛び出して脱出を図ったこともあったが、会社側はそのような事実はないとうそぶいている。
裁判は今後、裁判所の方で証人尋問の調書を作成し、それを受けて、原告と被告双方から最終準備書面を出すことになる。
この裁判のように、パワハラの事案では会社側は平気で嘘をつく。
さらに最近、「異動して慣れない仕事でミスをして攻められたり、ノルマを達成していないと執拗に攻められる。また、他人のミスまで自分がしたことになっており、異動をほのめかされ、賃金も切り下げられた」など、新たな相談もあった。
労働者は現場で起きた事柄を証明するのは大変難しい。「ビデオ」や「テープ」にでも撮っていれば確たる証拠となるのだが……。だから、「携帯で録音する」「メモをこまめに取る」「日記をつける」など、できることからはじめていこう。自分の身は自分で守ることを考えていかなければならない。
厚生労働省はパワハラ定義を「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為」と発表している。ただ、これを守らせるにも労働組合の力が必要になる。職場でのパワハラ、いじめに対して泣き寝入りせず、根気強く闘っていこう。
藤井 彰(はりまユニオン副委員長)
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