「新社会兵庫」8月27日号
 いやぁ暑い。お盆が過ぎても酷暑の日々が続く。昼間はなるべく出歩かない、と思っても思い通りにはいかない。個人的には、顔の傷跡を保護する意味でも日焼けは禁物と医師から言われている身、日射を避けるには帽子やクリームでは間に合わず、この際、男の日傘≠始めてみようと決意した▼考えるに、なぜこれほど男女に差があるのだろう。面倒くささからなのか、見た目の問題からか、男にはずっと敬遠され、ようやく最近になって話題にされ、静かなブームだとも言われる。だが、現状では圧倒的に少数派。実際に使おうとなると何となく気恥ずかしさが先走り、ちょっぴり勇気が要る。だが、ここは合理性を優先して挑戦してみた▼どうだ、実にいい。まさに「日陰を持ち歩く」というキャッチコピーがうってつけだ。使わないのは無意味なやせ我慢≠フようだ。他人の好奇の視線も少しは気になっていたが、我が身の年恰好のせいか、誰もそんな視線は浴びせない。逆に、暑さに閉口した顔つきで歩いている人たちが憐れにさえ見えてくる。 調子づいて先駆者意識≠烽ュすぐられる▼実際には昔はあったようで、先駆どころか復古に過ぎないかも知れない。だが、これはぜひお薦めしたい。
安倍政権の「壊」憲戦略に改憲反対勢力の総結集を
 7月の参議院選挙は自民党が大勝し、連立与党の公明党の議席を合わせ「安定多数」を得、長らく続いていた衆参「ねじれ」状態は解消されることとなった。また、選挙前からの焦点であった日本維新の会やみんなの党で改憲発議可能な3分の2以上を制することは実現しなかった。その意味では安倍首相の悲願である「9条明文改憲」は当面停滞することとなろう。しかし、私は9条改憲問題については、今後、楽観視できない、極めて深刻な状況がもたらされるのではないかと懸念する。以下、このことについて述べていきたい。
 安倍政権は、集団的自衛権(自国に密接に関係する国が武力攻撃を受けた場合、日本も攻撃を受けたとみなし共同して応戦すること)行使容認に向けて第1次政権時に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」を発足させた。それは歴代政権が内閣法制局の見解「専守防衛」「必要最小限度の自衛のための実力行使」の範囲を超えるものとして憲法上認められないとする内容を真っ向から否定しようとしていることである。
 年内にも提言される「報告書」には第1次政権時「報告書」(いわゆる4類型)のようなケースを想定する「限定」したものではなく、全面的に集団的自衛権行使を容認しようとしていることだ。しかも、対象国を米国以外にも拡大を検討していることは注目される。
 もし仮にこのような「集団的自衛権」行使容認の政府の「合憲」解釈がなされ、「敵地攻撃能力保有」など取り沙汰されている新たな「防衛大綱」にもこれが反映されれば、「9条明文改憲」ができなくとも、「解釈改憲」によって事実上の「9条改悪」、9条の空文化、存在意義そのものが危ういこととなっていくであろう。
 安倍政権は外務省国際法局長経験者で駐仏大使の小松一郎氏を内閣法制局長官に起用した。小松氏は自らの著書で集団的自衛権容認の立場をとっており、このような見解をとらない内閣法制局の勤務の経験は全くない。その意味で異例の人事といえ、安倍首相の改憲に向けた意気込みが伺える。
 従来、内閣法制局は内閣の「法の番人」といわれるように、条約・法令について常に最高規範である憲法(裁判所による憲法判例)に適合するか否か審査する。ところが条約・国際法畑出身の小松氏は憲法と国際法との関係をどのように捉えているのか。安保法制懇の裏方も務めた小松氏の言動からすれば憲法も国際法に沿うような解釈をすべきと念頭にあるのではないかと思われる。
 憲法96条改憲について、世論の反対、そして連立相手の公明党などからの反対で前進しないとみた安倍首相はいわば、内閣法制局長官人事という「迂回路」で改憲の道筋をつけようとしていると指摘できる。「改憲は歴史的使命」という安倍首相ではあるが、このような手法は極めて姑息な手段と断ぜざるを得ない。自衛隊合憲・9条改憲論者からも批判が出てくるのは当然だろう。
 これからの政局の焦点は消費税増税判断や景気対策などであろうが、その影で安保関連では、前述のような集団的自衛権行使容認の動き、それを受けて防衛大綱決定、さらに国家安全保障基本法や秘密保全法、国家安全保障会議設置法(日本版NSC)の成立を目指してくるだろう。9条を実質改悪していく動向の目白押しともいうべき事態である。こうしたことを積み上げ、憲法とのかい離を是正するために明文改憲が必要であるという論理に導いていきたいのであろう。
 自民党のなりふり構わぬ改憲路線、さらには占領憲法と揶揄する日本維新の会など国会では改憲勢力が席巻している。これにどう対抗していくのか。まさに護憲・憲法改悪反対勢力の課題である。やはり、改憲反対勢力の総結集しかない。そこには、既存団体はもちろんではあるが、厳しい環境におかれている労働者、社会保障改悪で打撃を被っている人々、保守的な立場でも安倍政権に違和感を覚えている人々など、大きくすそ野の広い緩やかな連帯・連携が必要なのではないか。閉塞した時代ではあるが平和で安心して日々の暮らしが送っていける基本に憲法がある、ということを道理を尽くして訴えていくこと以外に途はない。改憲包囲網は凄まじいものの、今日の社会をみれば、これに対抗する勢力の結集は必ずできると考える。改憲を許す、許さないは私たち自身一人ひとりにかかっていることだと申し上げたい。
鈴田 渉(政治学研究者)
韓国〜一番近い国〜
 曲がりなりにも中学生の時から目にしてきた英語なら、標識や地名は何となく分かる。会話も少しなら理解できる(と思っている)。ところが、飛行機で2時間もかからないお隣の国、韓国の言葉や文字は……。さっぱりわからない。
 昨年、韓国へ行った。一緒に行った仲間の現地の知り合いに案内してもらっての旅だったので、何の不安も問題もなく、充実したものになった。ほとんどのお店では日本語を話してくれるので、買い物にも不便はない。しかし、目にする文字は記号にしか見えない。聞こえてくる会話は韓国語だとは分かるが、抑揚のある音としてしか、耳に入らない。「標識ぐらい読めたらなあ」「少しでも、会話ができればなあ」、そんな思いを強く持った。それは、一緒に行った友人も同じだった。
 そこで、「標識だけでも読めるようになりたい」という思いで、友達数人とで韓国語に詳しい友達にまずハングル文字を教えてもらうことになった。
 母音と子音を組み合わせて表記するハングル文字。特に子音字は口の形(発生器官)からその文字が作られたことを知り、「ハングルっておもしろい」「ハングル文字をつくった世宗王と学者たちはなんとうまく考えたのだろう」と感心するばかり。
 少しずつ読めるようになると、街を歩いていても、やたらハングル文字が目に飛び込んでくる。地下鉄の車内。あちらこちらの標識。飲食店の看板などなど。ハングル文字を見つけるたびについつい読んでしまう。まるでひらがなを読み始めた子どもが、読める文字を拾い読みしているようなものである。
 そして、言葉を知っていくうちにうれしくなった。韓国語と日本語はとてもよく似ているのだ。文法もそうだが、韓国も日本も中国から漢字の言葉が伝わってきたので、語源が同じなのだ。「約束」は「ヤクソク」、「時間」は「シガン」、「気温」は「キオン」、他にもまだまだある。
 韓国と日本の間には長い歴史がある。日本の文化や技術はほとんどが朝鮮半島から伝わってきている。漢字ももちろんそうだが、仏教、焼物、紙や筆の製法など渡来人が伝えてくれた種々の技術。韓国との間には深いつながりがあり、距離的にも日本に一番近い国なのだ。
 ところが、「従軍慰安婦」の問題をはじめ、日本政府は戦争中に日本が犯した罪に向き合おうとしていない。右傾化を強める安倍政権の動きには不安が募るが、普通に暮らす私たちが、一番近い隣の国、韓国のことをもっともっと知って、仲良くなりたいものである。
 今年も韓国に行った。標識が読めた!韓国語でコーヒーを注文できた! 次は韓国語で会話のキャッチボールができるようになりたいものだ。
(M・S)
解雇から2年の東亜外業分会
 東亜外業分会の23人の組合員に対する「整理解雇」事件は、大阪高裁で係争中である。
 工場を休止するとして組合員たちを解雇した会社だが、地裁での証人尋問で、工場長は「東播工場を再稼働し生産を再開したい」との強い思いを述べていた。
 今年の5月に入り、「一昨年に希望退職に応じて辞めた本工が、下請け業者に採用されて東亜外業の東播工場で働いている」という噂が飛び込んできた。組合として、会社が操業をしているのではないかと考え、組合員で分担し工場の監視を開始した。すると、工場が本格的に再稼働し生産を再開していることが判明したのである。
 退社時間になると、保守点検要員の20人しかいないはずの工場から自動車やバイク60台が出て来たのであった。
 工場は製品を海路で運び出すことができるよう岸壁に接しているのだが、海側から工場のヤードをみたところ、鋼管が大量に置いてあるのを発見したのである。解雇された時点では、ヤードにこのような数の鋼管はなく、その後に製造されたものに間違いない。また、正門付近の路上に駐車していたトレーラーにも出荷待ちの大口径鋼管を積載してあるのを発見した。
 製造を開始していることがわかったので、航空写真を撮影する業者に依頼して、上空から工場の全景の写真を撮ってもらった。その写真から、ヤードに置いている鋼管の数を数えたところ、165本が確認できた。工場休止時点の製造水準に近いことは明らかである。
 大阪高裁の第1回期日において、会社は「稼働率は50%程度である」とか、「業務量の見込みは悲観的」とか言い訳をしているが、「顧客に工場再開の挨拶に行った」と生産活動再開を公式に認めたのである。
 解雇から早や丸2年が経過したが、闘い続けることで会社を追い込んでいることは間違いない。
 次回の高裁期日は、9月4日の午後2時から。引き続きご支援をお願いします。
西山和宏(あかし地域ユニオン委員長)