「新社会兵庫」7月30日号
 エジプトの7月3日、ムバラク独裁崩壊後の軍による暫定政権を経て1年前に選挙で選ばれたモルシ政権が、今度は軍のクーデターで退陣させられた▼今回の政変がクーデターなのかどうか、新聞の伝えるところによるとアメリカ政府はなぜか明言を避けているらしい。エジプトの安定が中東・北アフリカ地域の安定の要とみなし、年間15億ドルの支援を実施してきたアメリカ政府だが、クーデターだとすれば国内法に従い援助を打ち切らなければならない。慎重に判断しているということのようだ▼しかし、エジプトの政変がクーデターでないというのはどう見ても通らない。武力で憲法を停止し、統治が適切だったかどうかは別にして選挙で選ばれた大統領を無理やり引きずりおろした。階級間の権力の移動をともなう革命でなければ、誰が見たってクーデターなのだ▼そういえば、昨年の自民党改憲草案、あれも現行憲法の三大原理をことごとく否定、あるいは換骨奪胎して、もはや日本国憲法の改正案というレベルではない。自民党による憲法簒奪(さんだつ)、クーデターにほかならないというのは、これまでに指摘されてきたとおりだ。参院選後、安倍自民党による反動クーデターはなんとしても阻止しなければならない。
安易な解雇へ限定正社員制度
安倍政権が進める「規制改革」
 今年1月に安倍政権により復活した「規制改革会議」の規制改革実施計画が6月14日、閣議決定された。規制改革実施計画の雇用分野では、正規・非正規の二極化構造の是正、雇用の多様性、柔軟性を高め「失業なき円滑な労働移動」を実現させていく観点から、@限定(ジョブ型)正社員の雇用ルールの整備、A裁量労働制など労働時間法制の見直し、B有料職業紹介事業の規制改革、C労働者派遣制度の見直しに重点的に取り組むとしている。
 ここでは、急浮上した「限定正社員」という新たな雇用形態について考察することが主眼である。
 規制改革会議の雇用ワーキング・グループ報告書がある。座長に鶴光太郎教授、専門委員も大学教授だが、労働者側のメンバーはいない。言いたい放題の産業競争力会議と比べると本気度が高いのが規制改革会議であり、学者などのヒヤリングを行なっている。
 限定正社員とは何か。勤務地や職務、労働時間などが限定されている正社員。従来の正社員と非正規社員の中間の雇用形態と位置づけられる。賃金水準は従来の正社員より低いが、転勤や配置転換がないことで子育てや介護などと両立がしやすくなる利点もあるといわれている。非正規社員より安定的な待遇が考えられるが、正社員の賃金引下げや安易な解雇に悪用される懸念は根強い。
 同報告書では、限定正社員は多くの企業で導入が進んでいるとして、政府としてその普及や拡充の方策を幅広く検討していく必要を強調している。正社員が限定正社員に転換する場合の労使の合意原則など労働条件の明示、雇用管理上の留意点を取りまとめている。
 労働条件の明示では、就業規則に限定正社員を契約類型として明確に定め、労働条件が変更された場合にも、変更された労働条件が書面で明示される必要がある。均衡処遇・相互転換の要請では、正社員、限定正社員、非正規社員の雇用形態の壁を低くし、相互転換を円滑にしていく法的枠組みを検討する必要がある。限定正社員の人事処遇の在り方検討では、限定された勤務地や職務がなくなった場合に正社員に関わる解雇4要件が適用されない裁判事例も多いことから立法的な手当を明確にすることも視野に入れる―とある。
 この限定正社員制度の創出に伴う問題点は数多くありそうだ。報告書にある「均衡待遇」と、よく使われる「均等待遇」とは似て非なるものである。均衡とは力や重さなどの釣り合いがとれていることであり、均等とはお互いに平等で差がないことである。労働分野の規制改革では「均衡待遇」という用語がこの頃よく使用されるが、労働者が求めているのは「均等待遇」である。相互転換では、雇用形態の壁を低くして雇用形態間の往来を自由にする方策が言われているが、労働者の要求よりも資本(使用者)の決定力や低きに流れる経済法則が勝るだけに、多くの正規労働者が限定正社員に、限定正社員が非正規社員に転換させられていくことになるのではないか。最大の問題点は、数々の判例法理のつまみ食いから限定正社員には解雇4要件が適用されない方途が検討されていることだ。首切り自由の社会にまた一歩近づくことへの懸念は大きい。
 日本郵政グループ労働組合(JP労組)は今年8月中旬に長野市で定期大会を開催する。この大会では、日本郵政グループから提案されている、産業競争力会議が提起する限定正社員制度の2014年度導入を含めた人事・給与制度が検討される。郵政グループでは、限定正社員を「新一般職」と呼び、全国転勤を伴う「総合職」、支社管内で異動する「地域基幹職」などとともに新たな正社員区分の一つとする。限定正社員は転居を伴う転勤や管理職への登用はなく、郵便局の窓口や配達業務に従事する。希望により他の正社員区分への変更は可能ではあるが、その年収は現行の正社員より低く、最高で470万円である。
 新聞報道では非正規社員から限定社員を登用するので非正規の割合が縮小するとしているが、長期的には限定社員の拡大は正規社員の縮小に繋がる危険性がある。また、労組は労使交渉で「組合の意見を大幅に採り入れた」と判断し、大会で新制度を受け入れる方向だ。
 限定正社員制度の拡大による雇用の不安定化と更なる貧困化に対する労働組合の闘争目標は、非正規制度の撤廃であり、資本による労働条件の不利益変更に抗するものは労働組合に組織された労働者の闘争力の向上である。
菊地憲之(兵庫自治体労働運動研究会代表)
日々雑感
 私は、「ぴぃぷる」のお米の配達を月1回しています。2組に分かれて行くので、1組10軒くらい1時間ほどの活動ですが、私はこの活動が結構気に入っています。車の運転をしてくれるIさんは郵便労働者で、運転中に職場の話などを聞かせてもらいます。大の阪神ファンでラジオの阪神戦を聞いて一喜一憂しながら野球解説もしてもらいます。配達先の家では、久しぶりに顔を合わせて元気にされている様子にほっとしたり、世の中の出来事、仕事のこと、健康のこと、家族のことなど話がついつい長くなって、Iさんに「おかげでたばこが1本吸えました」と言われたりすることもあります。自分で書かれた毛筆を玄関にかけていらっしゃるお家があって、それを見せていただくのも楽しみです。飼われている猫や犬に会うのも楽しみのひとつになっています。お米を買ってくださるのは、味が良いということももちろんありますが、みんな「新社会党のためになるなら」と買ってくださっているのだと思い感謝しています。
 さて、いよいよ参議院選挙が始まりました。残念ながら新社会党は独自候補を擁立できず護憲共同候補も実現しませんでした。「平和憲法が危ない」「原発再稼動とんでもない」「原発輸出を止めなければ」「生活破壊がやってくる」……こんな時に何故わたしたちの納得できる候補者が作れないのか?今までやってきたことは何だったのか?と悔しさと無力感にとらわれる中、社民党比例区の候補者、鴨ももよさんの街頭行動と演説会に参加しました。鴨さんは、保育士として働き、退職後は1人でも加入できる「なのはなユニオン」を作り、25年間非正規労働者や労働組合のない職場で働く人たちとともに活動してきた人だそうです。街頭行動でも、「昨日、大阪の行動では22時間働かされた若者が話しかけてきた」「協調性がないから解雇だと言われた女性がいる」など訴えかけが具体的でわかりやすく堂々としていました。そして大変な若者に寄り添い切る姿勢が感じられました。三宮、元町での街頭行動なので、いつもながらビラを取らない人も多くいましたが、それでも「この人はどんな人ですか?」と足を止めて聞いてくる若者がいたり、「生活保護費が8月から減額される」と訴える男性がいたり、受け取ったビラを熱心に読む人もいて、生活が厳しくなっている分、政治にも目を向けざるを得なくなっているのではと感じました。
 この原稿が新聞記事となって読まれる頃には参議院選挙の結果が判明しています。結果も大変気になるところですが、どのような結果が出ても、平和憲法を守りぬくために、脱原発を実現するために、働く者の生活を守るために、なるべく多くの人たちと一緒に知恵を出し合い工夫をこらして、自分のできることをしていこうと思っています。
(T・T)
継続を力にしていきたい
 今年3月に私は2度目の退職をした。振り返ってみると早いもので、19歳で東灘郵便局に入局してから同局で10年、豊岡局で35年の45年間、郵政の職場でお世話になった。しかも、40年近く支部や青年部の労組役員を担ってきた。少々疲れたので少しゆっくりしたいなぁと思っていた。
 ところが4月6日、「但馬ユニオンへの加入を検討している。加入方法等が分かる資料を送ってほしい」という内容のファックスが入ってきた。  但馬ユニオンを結成して3年。結成準備中には4件も労働相談があり、3件の団体交渉もしてきた。が、結成後は県下一斉の労働相談ではビラ配布もしてきたが相談は1件もなし。その要因のひとつは、私たちの消極的な活動(ビラ配布も団地、集合住宅が中心)によるところが大きいと思う。また、組織を去る人もあった。しかし、そうした中でも月1回の「定例会議」は欠かすことなく結成以来(結成前も)続けてきた。今回の労働相談に対応できたのは、不十分でも続けてきたこの「定例会議」があったからこそだと思う。
 「継続は力なり」という言葉がある。私もその通りだと思うが、より積極的に「継続を力にしていく」ことでなければ但馬ユニオンの発展はない。
 今回の相談は、「豊岡市内の機械メーカー(従業員約170人)が、業績が悪いので30人ほど勧奨退職?≠してもらうと噂≠ニして職場に流し、あらかじめ対象者を絞り、追い込んでいくという手法をとっている。私がその対象者になると思う」ということで、ご夫婦で相談があった。
 少しゆっくりしたいと思っていたが、こうして労働相談を受けると不安もあるが、うれしいものである。組織が停滞している状況の中で組織にいい意味での緊張感も出るし、様々なことを学ぶことができると思う。
 但馬ユニオンでは、自動車教習所におけるパワハラと劣悪な労働条件の問題に加えて、今回のこの問題を相談者の目線で一緒に考え、取り組んでいきたいと思う。
岡田一雄(但馬ユニオン委員長)