「新社会兵庫」6月25日号
-
「自虐史観」。嫌悪を催すだけでなく、この世にあってはならない感じの用語である。「自虐」という感情的な言葉に、科学的であるべき「史観」を接木した用語である。妖語というべきか▼この語を罵倒語として好んで使う論者には特徴がある。柳条湖事件(1931年)から1945年の敗戦までの15年戦争を、日本による侵略と植民地支配の戦争と見ることに殊更の憎悪を示すことである。この戦争に関して侵略と植民地支配を反省・謝罪することを、精神病理としての自虐として罵倒するのである。歴史を事実にもとづいて認識することを病気とするのである▼自虐の反対語は尊大であろう。己を絶対的正義とし、他を蔑視し、支配を当然と理論づける。戦争推進の原動力となった戦前の皇国史観はまさにそうであった。神・天皇が統治する聖なる政治を全アジアに及ぼす目的だったことを、侵略や植民地支配とは何事か!自分たちのやった立派なことを悪と見做すとは何たる自虐!として反省も謝罪も拒否する▼自虐史観という言葉の愛用者の本音は、戦争を目論み準備する道を掃き清めることである。「従軍慰安婦」問題も掃き捨てられ、忘れられるべきゴミだというのが自虐のレッテルを貼りたがる人の本音であろう。

- 護憲の共同の枠組みを今後の発展につなげる参院選に
-
護憲勢力が惨敗した昨年末の総選挙の結果とその後の深刻な右傾化の流れのなか、新社会党は参議院選挙に向けて、これに対峙しうる勢力の結集をめざしてきた。護憲・左派勢力の大同団結で展望を切り開くべく、いわゆる「オリーブの木」方式による共同したたたかいを提示し、その実現に努力してきた。しかし、総選挙での護憲勢力の惨敗とこれに比例するかのような右傾化の強まりの中で、自・公・民や維新、みんなと対峙すべき政党は、独自路線を強め、共同名簿方式による比例区選挙には背を向け、分散化の傾向を強めている。このため、護憲や脱原発の市民団体、文化人、労働組合関係者などの「比例を共同で」というアピールも生かすことができないまま推移した。
◇ ◇
新社会党は、反新自由主義の旗のもとに結集する諸勢力との共同による「共同名簿方式」が事実上不可能になったことをふまえ、社民党との間で選挙協定を締結し、比例区は社民党を応援することとした。その協定の主な柱は、@消費増税反対・不公平税制の是正、A脱原発社会の実現、B沖縄新基地建設反対、憲法改悪阻止、CTPP参加反対、D解雇の自由化阻止と働くものの権利擁護……などである。
これを受けて、兵庫県本部は比例区選挙において社民党を支持し、山シロ博治(やましろ・ひろじ)氏を重点候補として位置づけ、同氏の必勝に力を尽くす決意だ。これは、沖縄の基地問題が重大局面にある中、山内徳信議員が維持してきた護憲の議席を維持できるか否かは政治的に大きな意味を持つからである。また、兵庫は沖縄との間に長年の交流の積み重ねもある。そうした経験も生かしながら、山シロ博治選挙に取り組んでいきたい。
また、鴨ももよ(かも・ももよ)氏の比例区選挙は、地域ユニオン運動の強化、I女性会議のいっそうの活性化に生かす運動として位置づけ取り組まれることが重要だ。
◇ ◇
一方の選挙区選挙だが、当初めざした「共同名簿方式」の比例選挙に連動した選挙区選挙を想定したが、比例区選挙がバラバラでたたかわれることになったために、新たな対応を迫られることになった。
弁護士や学者、労働組合関係者、護憲・反戦・反基地・脱原発をたたかう市民組織代表、それに社民党、新社会党の関係者による運動団体「『共生・連帯』近畿」において度重なる協議・検討を行う中で、少なくとも、大阪と兵庫の両選挙区での無所属統一候補の擁立をめざすことで合意しその実現をめざした。兵庫でも社民党との間でいったんは合意したものの、候補者の選考の段階で頓挫した。
けれども、憲法改悪が選挙の争点にされようとするなか、護憲を党是としてきたわれわれがこの選挙を看過することは許されない。何としてもこの選挙に関わって、われわれの主張を展開し、壊憲¢j止の今後のたたかいに繋いでいかねばならない。そのために、次善の策ではあるが、「緑の党ひょうご」に対し、「『共生・連帯』近畿」が共同してめざそうと提起している「4つの柱」―@戦争に加わったり、他国を侵略・支配しない社会、A貧困と格差をなくし、働くもの、若者が希望を持って生きられる社会、B原発をやめ、自然・環境と調和のとれた持続可能な社会、Cあらゆる差別を許さず、誰もが安心して生きられる共生の社会(これらに付随する12の課題も含め)……を内容とする「選挙協定」(案)を提示した。この内容で合意されれば、ただちに「『共生・連帯』近畿」を軸に具体化していくことになる。
間近に迫った参議院選挙は、橋下の「慰安婦」問題に関わる妄言騒動や領土問題などで顕著になっている右傾化の強まりのなかで、96条改憲を争点にしてたたかわれようとしている。護憲の旗を掲げる党にとって、たいへん重要なたたかいだが、われわれは力不足故に自前の候補を擁してたたかうことができない。たいへん口惜しい。が、参院選を通じて、共同の枠組みを大事にし、選挙後の兵庫における壊憲¢j止のたたかいの発展につないでいきたい。
鍋島 浩一(新社会党兵庫県本部書記長)
- 非正規職も声を出そう!
-
私は学童保育の指導員として働き続け、今年で40年目になる。雇用形態は1年契約の嘱託職員で、いわゆる有期雇用の非正規労働者だ。40年も雇用し続けながら、当局は「継続雇用を保障してほしい」という私たちの願いに対して「1年契約で雇っているので継続雇用は保障できない」と平気な顔をして回答する。40年も働いていて、有期雇用なんてありえない!
私が働き始めたころは、正規労働者で無期雇用が当たり前だったが、今や私のような労働者がたくさんいる。そして、雇用は不安定、賃金・労働条件は低くて当たり前とされ、私が労働組合と出会う前のように、本人たちさえ「パートやから、アルバイトやから、仕方がない」と思い込まされている。
でも、私たちは、非正規であっても責任を持って正規の人たちと同じ思いで日々仕事をし、得た賃金で人としての生活を営んでいる。私の周りの臨時職員、嘱託職員として働いている指導員、調理師、保育士、福祉職、事務職の人、どの人を見ても正規職員に引けを取らない働き方をしている。
そして、私自身がそうであったように、労働組合と出会い、仲間と出会い、雇用形態による差別にめげず、その差別をなくすために、誇りを持って働きながら運動をしている。
最近、その中に郵便局で働く非正規の若者が、1回の遅刻を理由に時給を210円も下げられた理不尽な扱いに対して「自分のためだけでなく、同じ思いをしている仲間のためにも……」と裁判闘争に立ちあがった。以前は、非正規と言えば女性がほとんどだったが、最近は男性、若者も非正規とされている人が増えた。だから、立ち上がった若者を見ると、本当にうれしく、心強く思う。精いっぱい応援したい!
パートやアルバイトなど、非正規で働く女性、若者たちに伝えたい!
正規の人たちは仕事漬け、私たち非正規は劣悪な労働条件! こんな職場おかしい! 得をしているのは誰? 非正規で働きながら、決して待遇に満足しているわけではないし、不安もあるでしょう。声を出していいんです!
仲間と相談し、労働組合に相談し、ユニオンに相談し、一緒にみんなが助け合って働き続けられる職場に変えること、そして、そのことが今の弱い者いじめの社会を変える一つの力になればいいなと思っている。
(芦屋 森口知子)
- 判断難しいパワハラの手法
-
全国的にパワハラの相談が激増しているという。はりまユニオンでもパワハラの相談が増えている。だが、相談の内容は以前と比べ少し変わってきている。以前は暴力や暴言といった明らかにパワハラと言える内容が多かった。ところが最近は、仕事上の注意・指導の範囲なのかパワハラなのか、判断が難しい内容が増えてきている。
北播地域の外資系会社で働くSさんから、上司からパワハラを受けていると相談があった。「仕事ができない」「能力がない」など再三言われ、職責に見合った能力を発揮しろと言いながら、職責にふさわしい仕事をさせてもらえない。「業務改善計画をやってもらうことになる」、「降格だ」とも言われている。このままでは間違いなく降格され、大幅に賃金を下げられる、そうなると退職せざるを得なくなるということであった。
しかし、Sさんが受けているというパワハラの内容を、仕事上の注意・指導を明らかに逸脱した違法な行為であると断定するのは難しい。Sさんにわざと上司とケンカして、上司の本音を引き出すことを勧めるが、Sさんにそんなことができるくらいならパワハラにあわなかったと言える。だが、なかなか直しようがなく、上司が主観的にどうにでも評価できる「本人の性格の改善」を執拗に迫って、短期間の業務改善計画をさせ、改善できなければ降格、賃下げと言っていることなどを総合的にみて、間違いなく目的は職場からの追い出しであると判断せざるを得ない。また、Sさんはこのことでメンタル障害になっており、早急な職場環境の改善が必要である。
そこで会社に「パワハラ」だけでなく「職場環境の改善」を求め、団体交渉を進めている。
今回の例は、いま外資系で広がっているPIP(業務改善計画)の手法と同じものだと思っている。はじめての経験であり、なかなか難しい課題であるが、ねばり強く取り組んでいきたい。
塩谷 明(はりまユニオン書記長)
|