「新社会兵庫」 3月26日号
 今年の春闘はどこかおかしい。「春闘は安倍政権に乗っ取られた感がある」と述べる人もいた。アベノミクス効果を狙い、安倍が財界に対して異例の賃上げ要請を行なった。3月13日の集中回答日、トヨタ、日産、ホンダ、三菱と自動車大手がこれを考慮、一時金の満額回答を出した▼この賃上げを「よかった」とは正直なかなか思えない。安倍が、「オレが上げてやった」とばかりにほくそ笑んでいそうだ。主役は安倍、労働組合が闘い取ったという感じが微塵もない。「労使自治への政府の介入」があってはならない。この構造がつぎは賃下げへの介入に逆転するかもしれない▼喜べない理由がもうひとつ。賃上げの恩恵に与るのはほとんどが大企業の正社員。働き手の3分の1を超える非正規労働者のどれほどに賃上げがあるのか。大手の賃上げがかつてのように他に波及して相場を形成するような力を今の春闘は持ち得ていない▼トヨタの一時金満額回答は205万円。一方で、年収200万以下の労働者、いわゆるワーキング・プアが1200万人とも言われる。格差のさらなる拡大か。労働組合組織率が18%を割ったという数字も重たい。労働組合の役割が問われる。中小や地域ユニオンの春闘はこれからだ。
選挙敗北を見すえ立ち直りの途を探る
いま自分にできることは何か
直面した現実の再確認
 昨年末の総選挙で、6年前に教育基本法を改悪し「お腹が痛い」と1年ほどで消え去った男が、有権者6人に1人の支持で議席の61%を得て首相に返り咲いた。今度は「国防軍」だの「集団的自衛権行使」だのと、「軍隊と戦争を出来る国」をめざし、平和憲法の改悪に乗り出すと公言。7月の参院選で2/3以上の議席獲得をめざし選挙協力を含め着々と準備を進めている。彼らの主張は、戦後の国民主権・平和・人権尊重を謳った現憲法体制を根底から変え、「権力の暴走を拘束・制限する」という憲法の本質(立憲主義)を破壊する「壊憲」そのものである。7月までの期間が戦後日本政治の重大な分岐点となる。
 数十年にわたり議席の1/3を確保し続けてきた社共の護憲勢力は、この選挙で10議席(2%)にまで凋落した。社民党は前回得票の過半数152万票を、共産党も前回の1/4に当たる125万票を失い、その結果、社民党(比例)得票数は301万票(4・3%)から142万票(2・4%)へ、議席数は7→2へと激減し、共産党もまた494万票(7・0%)から369万票(6・2%)へ、議席数は9→8へと後退した。最も多くの被害を受ける「戦争を知らない世代」が、この動きに棹差しているのが、つらい。
いま何をすべきなのか
 3年前、自民党を政権から引き下ろし、今回、民主党の変節にあきれ果てた政治情勢は、まさに共産党や社民党など護憲派の出番のはずであった。だが私たちが直面したのは、 「社民党は解党的惨敗=A共産党はその瀬戸際」という現実だった。「我が党の正義の主張=vを掲げながら長期低落の度を深めてきた護憲派政党は、「有権者に選択肢を示せる存在感」を失っていることを自認する必要がある。しかし、政党の動きは鈍い。それは護憲派市民の鈍さの反映である。誰しも「このままでは大変なことに…」と悩みながら、「どうしたらよいか…」「時間がない…」「結局あかんのでは…」と思考を停止してしまったり、「これまでの直接行動をやり続けるしかない…」として、敗北の現実に目をつむる場面に何度もぶち当たってきた。
 衰退しつつあるとはいえ、護憲派の比例区10%の得票を増やし、政治への諦めと不信を取り戻す道は、護憲・平和・生活擁護に向け基本の志を同じくする政治勢力が、共同して「壊憲」派に立ち向かうことが緊急の課題である。参院選に向けての「護憲共同」しかないと、私たち元教職員ひょうごネットワークは「4・14護憲結集! 討論集会」を呼びかけ、全国各地からも各系列の憲法団体所属の人たちを含め60人の賛同を得られた。
拡がり始めた草の根の動き
 東京では、24人の弁護士が9条改憲に反対し脱原発を支持する政党に対し、「平和といのちを守る政党連合」の結成等を要望する「要望書」を提出(2月2日)、2月18日には「選挙時協力党方式」について考える討論集会が開催され、京都では「4・20シンポジウム/革新は生き残れるか―新しい変革の主体を考える」が研究者を中心に開催が決まり、神奈川では「脱原発勢力結成を かながわ勝手連」による「政党・政治団体に選挙協力を申し入れる動き」が伝えられ(2月19日)、長野では「参院選で共同候補を? 長野県、全国の皆様 長野選挙区で、全国で、共同候補を?」の呼びかけ(44人・3月8日現在)が発せられ、4月上旬に正式発足を目指している。
 5千万人以上が参加する国政選挙において、これらの何十人単位の市民の動きなどは蚊の涙かもしれない。「社共なんかはもう古い、若い者には何の魅力もない」との声を耳にするが、自分自身を棚にあげて逃げたくはない。現に議席を保つ護憲派政党を「自党最優先」から「有権者に選択肢を示せる護憲共闘」に変えるために、私たち市民・有権者の声を大きくするしかない。そのためには、活動家自身も「民主集中制」から脱し、自分の頭で考え行動すべきだと思う。それが実行できるかどうかは、社会の現実に目を向け生きてきた一人ひとりの決断にかかっており、その決断はいまの危機感をどう捉えるかにかかっているようだ。
 安倍の祖父、岸信介は日米安保維持に命をかけ、安倍が頼りにしている麻生副総理の祖父、吉田茂は中ソを排除した米との片面講和を締結した男である。これらの最悪の先祖帰りらが政権トップを握り、石原・橋下らをリーダーとする極右政治集団が伸長し、68年以前の戦前回帰大合唱である。このままでは死にきれないではないか。
佐藤 三郎(憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネットワーク共同代表)
不妊治療費助成制度の問題点
 ある日、知人のAさんから「不妊治療費の助成申請に区役所にいったが、受理されなかった。困っている」という相談があった。
 「不妊」ということだけでも、カップルの、とりわけ女性は、羨み、焦り、自己嫌悪……、複雑な思いに駆られてしまう(私も、無排卵のために治療に通った経験もあることから、不妊で悩む女性の思いが多少なりとも理解できる)。ましてや、不妊治療となると、身体的、精神的、経済的にいくつものハードルがあることで、カップルは、ともに大きな決意をしなければならない。
 そんな時に、少しでも経済的な支援があれば、それは精神的な支援にもつながる。1回につき、30万円以上の治療費に対して15万円(神戸市の場合)の助成額だ(妊娠した場合、成功報酬?としてまた多額を支払わなければならない病院もあるとか)。それが不受理になったことでどれほどAさんが落胆したことか、想像するに余りある。
 私は、あらためて神戸市の「不妊治療費助成制度」について調べてみた。驚いたことに、申請を受理されるまでに、対象者・対象治療法・所得制限額・申請方法等々、どれだけの条件が付けられていることか。その条件の一つに重大な問題がある。それは、「法律上の婚姻をしていること」の一文だ。裏返せば、「事実婚」は除外されるということであり、Aさんは、そこで拒否されてしまったのだ。ライフスタイルが多様化している今、「事実婚」は、カップルの生き方の一つの選択である。それは、尊重されなければならない。しかし、「婚姻届」という紙切れ1枚の有無で、今なお多くのところで不利益なことがまかり通っている。
 その一方で、「事実婚」は、健康保険では被扶養者として、国民年金では第3者被保険者として、児童扶養手当においてもすでに認められている。このことからも、「法律婚」という条件は、今の時代に合わなくなっていると言えるのではないだろうか。ちなみに、フランスには、1999年、パックス制度(非婚カップルに婚姻夫婦に準ずる諸権利を付与する制度)が導入されており、その結果、出生率が上昇したと聞く。
 少子化の背景には様々な事情がある。そもそも出生は、戦時期のように政治≠ノコントロールさせてはならない。働きやすい労働環境、生きやすい社会環境さえあれば、自ずとバランスはとれていくものだと私は思っている。とは言うものの、それこそが難しいのだが……。
 Aさんは、「同じ悩みを持ち苦しむ人が出ないためにも良い方向へ変わってほしい」と、神戸市に問題提起しようとしている。
(小林るみ子)
サンドイッチマンデモに替え歌
 兵庫県高齢者団体連絡会第2回総会が2月9日、姫路市で開催された。熟年者ユニオン、西はりま熟年者の会、明日を考える東播高齢者の会の3組織から代表が集い、「われら高齢者のパワーを繋げる」ことを確認しあう力強い総会となった。
 それぞれの組織に共通した取り組みは、「脱原発金曜日行動」への参加に取り組んでいることであった。関西電力神戸支店前と姫路支店前で行われている。厚生労働省前での金曜日行動の参加者が減少しているとの報道がされたが、この行動は続けなければならないと、雨の日も続けられている。そこに熟年者ユニオンの会員も参加している。
 また、熟年者ユニオンは毎月1回、花時計前に集まり約1時間のサンドイッチマン・デモを続けているが、2月のデモでは新たに住友ゴムのアスベスト問題のプラカードも加わり、楽しいデモを行うことができた。サンドイッチマン・デモも昨年12月には数えて100回となった。今村稔相談役が、鶴田浩二の「街のサンドイッチマン」の替え歌をつくった。それを紹介したい。
 「(1)老眼メガネにプラカード 歩けば手を振る人もいる たたかい止めない〈男・女〉だよ サンドイッチマン サンドイッチマン おいらは熟年者ユニオンだ 腰を伸ばして今日も行く(2)嗄れ声でシュプレヒコール 叫べば微笑む顔もある 誇りを捨てない〈男・女〉だよ サンドイッチマン サンドイッチマン おいらは熟年者ユニオンだ 足元気をつけ今日も行く(3)可愛い孫に励まされ 今日も来ました花時計 頑固(へんこ)が売りの〈男・女〉だよ サンドイッチマン サンドイッチマン おいらは熟年者ユニオンだ 呆けを封じて今日もゆく」―という会員の気持ちを表した詩である。
 この詩の持つ力と行動が、関西電力神戸支店との面談を実現させた。
 4月24日には第14回総会を迎える。5月には東北被災地への交流訪問を予定している。
横林 賢二(熟年者ユニオン事務局長)