「新社会兵庫」 2月12日号
-
- 最近は、日韓問わず多くのプロ野球球団が暖かい沖縄でキャンプを張る。沖縄からの球春を告げる報道に、ひいきチームへの期待も膨らませたい▼その沖縄から1月下旬、大規模な代表団が上京した。MV22オスプレイの配備撤回と普天間基地の閉鎖・撤去を求めた、沖縄県内41全市町村長と全市町村議長ら総勢約150人からなる要請団だ。27日に4千人の集会を都内で開き、翌日は官邸、関係省庁を訪ね、「建白書」を安倍首相らに提出した。「建白書」なる言葉は歴史の勉強でしか知らない。それほど特別な、強い意志を込めてのものだ。報道でもこの言葉にはカギカッコが着いた▼琉球新報は「異例の行動は、そこまで取り組んで見せないと無視され、黙殺されると恐れるからだ。この民意をくみ取らなければ基地問題は危険な局面に入る」と書いた。安倍首相はこれにどう応えるのか。振興策の欺瞞はもう通じない。再度、琉球新報の社説を借りる。「今回の要請行動は犠牲の強要と差別を断つ、沖縄の尊厳を懸けた闘いだ。歴史的意義を認識し、不退転の決意を示そう」(1月27日)▼この「建白書」、政府にだけ宛てたものだろうか。本土の人間がこれをどう受け止めるのか、それが私たちに問われている。

- 新長田南再開発事業
ビル管理システムの変更に神戸市は決断を
-
今年1月11日付の神戸新聞1面トップに「新長田再開発2年延長、完了に20年費やす」と、大きな見出しで新長田再開発をめぐる記事が載った。阪神・淡路大震災復興のまちづくり事業として唯一継続しており、果たして2年延長で完了できるのか疑問である。
記事には、「地区は深刻な商業不振に陥っており、市は3年後の事業化を目指しテナントの再配置や施設整備など新たな活性化策に着手する方針。近く商店主らも協議を始める。新たな商業活性化支援策の『にぎわいプロジェクト』は3月まで商店主らによる協議の場を設立、自らまちづくり案を練ってもらう。活性化はビルの管理などと併せ第3セクター『新長田まちづくり会社』が担ってきたが、不況の影響もあり好転せず、市は根本的な立て直しが必要と判断した。商店主の案を直接市が受け取ることで迅速に実行する」とある。
そもそも2710億円もの巨費を投じて、震災後2カ月で強引に地元住民不在のまま都市計画決定したこの再開発事業が、失敗であることが明らかになりつつある。約50%の保留床(1万1865坪)が全く売れず、仕方なく賃貸に出しても正規の家賃では借り手もなく、先に買った地権者には適用しなかった内装補助(300万円)までしても、いまだに残っている。結果、権利床と保留床がバラバラに混在し、まるで虫食い状態である。しかも、この事業の市債残高は700億円もありその返済の目途もない。
1998年に市の第3セクター「新長田まちづくり会社」が設立され、ビル管理や床の販売促進、町の活性化のトータル・マネジメントを担った。ところがトータル・マネジメントどころか、ビル管理も満足にできていない。まちづくり会社に対して約100人の区分所有者のうち58人から管理費の過払いの返還請求の裁判も起きている。ずさんな管理、不明瞭な使い道、非民主的な運営等で、去年は区分所有法に定められる集会がまともに成立した番館は3カ月の暫定承認も含め1〜5の番館でどこもなかった。しかも、いまだに解決策も示されていない。原告である商店主は「まちづくり会社」はもはや管理者としては不適格であり管理会社の変更も求めている。ところが、最大の床を所有する神戸市の態度は住民の要求に背を向け、まちづくり会社に賛成する議決権の行使をする有様であった。
去年12月5日の第4回定例市会で粟原富夫議員(新社会党市議団)がこの問題で核心をつく鋭い質問をされた。「新長田再開発ビルの管理は第3者管理方式を採用しているが、新長田まちづくり会社が管理者としてだけでなく、管理会社の業務も行っており、同社の独断専行がまかり通る状態となっている。店舗集会では、決算や委託契約の継続が否決され暫定承認となった上に、区分所有者が訴訟を提起するなど事態は混乱を極めている。これ以上の混乱を避けるためにも、神戸市が前面に立って、管理方式や新長田まちづくり会社の在り方を見直すべきだ」と。それに対し、中村副市長は苦し紛れに「いつまでもサブリース契約を当該会社にお願いしていくことは考えていない。地域活性化をするため、いまはいろんなプランを考えているが、その中で市が持ってやったら良いというなら、その方向もやぶさかではない」と、まちづくり会社を否定するようなニュアンスの回答をした。
そして、去年の11月にコンサル会社が実施した国道南地区の意識調査の結果が出た。それにもとづき、「にぎわいプロジェクト」の議論が神戸市も入って地元で始まっている。
再開発の再整備ともいえるこのプロジェクトを成功させるためにも、震災直後の住民無視・ゼネコン主導の再開発の失敗を2度と繰り返さないよう神戸市はあらゆる情報を公開、検証し、全市民的議論を巻き起こさなければならない。その前提として、この際きっぱりと決断して、ビル管理の在り方を腐りきった「まちづくり会社」から取り戻し、住民主導のシステムに切り替え、住民、商業者の信頼を取り戻すべきである。
中島秀男(新長田南再開発を考える会 世話人)
- 年をとってもやめられない
-
ボランティア朗読の自主サークルの会員になってからいつの間にか7〜8年が過ぎる。NHK神戸の「ボランティアのための朗読講座初級」受講がきっかけだったが、講師(H先生)は「自己満足のお勉強は何年続けてもお勉強で終わる。必要とする人に役立つためには、実践あるのみ。聞き取りやすく間違わず、求められるスピードで目の代わりに音訳する。だから、勉強と実践は継続が大切」と繰り返された。
講座を卒業するとH先生は実践の場として地域の音訳グループや日本ライトハウスを紹介し、ぜひ活動を続けるようにと後押しをされた。その先生の熱意と、対面で出会った利用者の方々の積極的な姿勢、会の勉強会や交流が自分を励ましてくれて毎月締切りに追いかけられながらも定期的な音訳・録音を続けている。
ところで、H先生は今年満87歳を迎えられる。作家の田中澄江さんの仲人で結婚されたというご夫君はすでに無く、お一人暮らし。各地のボランティア朗読講座で、発声の基礎からアクセント、文章の意味を把握した読み方まで精力的に教える一方、講座卒業生のボランティア活動の質向上をめざして、様々なグループに足を運び、利用者の声や、新しい音訳技術を伝える活動に精力的だ。先生の身長は、私の半分くらい。華奢な体つきながらパワフルだ。年齢と共に声は低くなると思ってきたが、先生の声はきれいで高い。力みがないのによくとおる。これは、基礎的な発声練習をぞんざいに扱うことなく続けることと少し意識して高い声を出すことだそうだ。
今年最初のグループの例会に先生が参加され、「私が還暦を迎えたころ、田中澄江さんが『いろんなことがわかるようになるのは80歳を過ぎてから。60ではまだまだわからないことだらけよ』と話された。その時はほんと?と思って聞いていたが、実際80を超えて、本当だと気付く。だから、いま、自分が知り得たこと、気づいたことを皆さんにお伝えするわね」と。後は一人一人の録音を聴きながら細かな指導に余念がない。
これぞ目指すべき25年後、30年後の我が姿。若い頃、仕事や活動にバリバリ取り組んだと同じような時間の割き方はできない。それでも、生き方、考え方は何も変わらない。続けること、新しい知恵を取り入れ、より良くあろうともがきたい。
去年、1年限りの復活を果たしたプリンセスプリンセスの曲「ダイアモンド」は「眠たくても嫌われても年をとってもやめられない」と謳う。そう、そのとおり。何があってもそんな自分を大事に世の中とかかわっていけたら、誰かの役に立てたらしあわせだろうな。
(岡崎宏美)
- 新しく結成した分会の試練
-
昨年8月、20人で結成したU分会はいま、その半分になった。
11年までは一時金は夏・冬各1カ月分程度支給されていたが、12年4月に残業未払分の是正を労働基準監督署から指導された会社は、夏一時金を「残業未払分」として支給した。7月31日、社員たちは「夏の一時金として受け取る」と宣言して受給した。
その後、監督署から過去2年間の支払いを指導された会社は、冬一時金をゼロ回答とした。「経営が厳しい」と言いながら、一方では役員報酬は満額支払うという回答に組合員は憤った。
会社は一時金不支給の代わりに残業未払いの仮払いを行うという代替案を提示した。そのことについて分会会議を開いたら、「何も受け取らず残業を拒否して闘う」「受け取って闘う」「一緒に闘いたいが残業を拒否できない」など、意見は3つに割れた。多数は「何も受け取らず闘う」だったが、少数意見も無視することはできない。みんなの気持ちは揺れた。受け取って闘うことは一時金支給への圧力は低くなり、受け取らず闘うことは生活の困窮を招くことになる。一人が「今がんばれなかったらこれから労働条件の向上を勝ち取ることができない」と発言した。入社1年にも満たない新人だった。決断は、「受け取らず闘う」。
それからひと月経つが、今も残業拒否は続いている。ただ、時間外協定を締結していないので会社は残業を指示できない。
このときの決断が、結果として組合員を半減させ、反省すべきことも多い。決断が荒っぽいと言われたが、今は少しずつ団結をつくり労働者になろうとしている。ネットに掲示板を立ち上げ、意見交換をしている。未加入の社員たちに現状を話し労働組合を理解してもらおうとがんばっている。
そして、「今がんばれなかったら」と言った組合員は、ようやく見つけた仕事で、「この会社で働き続けたい」と言った。労働組合として一番大事なことだ。働き続けるためにがんばろうとしている気持ちを大事にしたい。お互いの状況を理解し、より深く話し合うことが必要だったが、それができていたのかどうか、不安と反省が残るが、この判断が間違いではなかったと言えるような労働組合をつくりたい。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)
|