「新社会兵庫」 12月25日号
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- 総選挙は、敵失や消去法で自民の大勝、民主は惨敗を通り越して壊滅的敗北。3年余の民主党政権はあえなく潰えた。民主の敗北はいい。しかし、自公で衆院の2/3以上、維新が第3党という国会状況下、われわれはどうなんだと問われてもいる▼75年前の12月13日、中国の首都南京が陥落し日本軍の占領が始まった。占領から始まった城内の敗残兵狩り、掠奪、強姦、放火は翌年3月ころまで間断なく続き、今に尾をひく大きな傷を中国民衆にもたらした。当時からこの南京の事実は世界中に知られていた。ただ日本国内だけを除いて▼先日、南京事件の幸存者、夏淑琴さんの話を聞く機会があった。南京城陥落の直後、突如襲ってきた日本軍兵士によって一家9人のうち7人までもが8歳の少女の目の前で強姦、殺戮され、4歳の妹と彼女だけが残った。彼女の身体には今も当時の傷跡が生々しい▼今回の選挙では振るわなかったが未来に行った名古屋市長や維新代表の前都知事は、繰り返し南京事件を否定する。再び政権を担当することになった自民党総裁も「領土は1㍉たりと譲らない」と、まるで戦争を始めるかのよう。こんな人たちが政権を担当したり、その周辺にいること自体が許し難い。
- 借り上げ復興住宅
県や神戸市は居住継続認め“終の棲家”に -
阪神・淡路大震災時の「借り上げ復興住宅」の「明け渡し・転居」問題が深刻である。兵庫県や神戸市当局から「調査・住宅紹介」等が居住者に対して頻繁に行われ、被災者は、避難所時、仮設住宅時、そして今、と震災から3度目の不安な日々を送っている。
そもそも、復興公営住宅の数が不足したということで、兵庫県や神戸市は民間やURから住宅を借り上げ「復興住宅」として被災者に提供した。その数は、県、市合わせて5千世帯を超えている。その契約期限が20年となっていたことから、契約期限が迫っている(2015年から始まる)ことを理由に、居住者はこの間、転居を迫られてきたし、今も迫られている。たしかに契約当時は、借地借家法で期限が最長20年という規定があった。しかし現在は、借地借家法が改正され、その期限はなくなっている。当局は20年契約を理由にしているが、URや民間所有者と賃貸借契約を結んでいるのは県や市であり、当局が契約を延長すれば良いことである。居住者は、県や市から一般公営住宅と同じ居住許可を受けている。実は、居住者の多くは入居のときに20年の期限の説明を受けていない。また、説明を受けた居住者も「20年が来ても大丈夫」と、当時の担当者から聞いている。国も、県や市が延長を望めば対応すると国会で答弁している。県や市は、財政的負担を転居強要の根拠にしているが、本来、その負担を国に求めるなど震災後10数年間、対策を怠ってきたのは県や市当局である。
一方、居住者の実情はどうか。多くの居住者は高齢化している。また、現在のところに転居して15年余が経過し、ようやく近所付合いも始まり、「終の棲家」と心に定めたときに、またもや転居を迫られることに被災者はもちろん、心ある市民から兵庫県や神戸市の対応に憤りの声が上がっている。
借り上げ住宅の居住者の構成を見ると、2011年の数字で、神戸市の場合3598世帯のうち、65歳以上の単身高齢世帯は1882世帯で全体の52・3パーセント、75歳以上は1049世帯にもなる。期限が切れる3年後からは、70歳以上世帯が過半数を超え、80歳以上世帯も全体の3割を超え、90歳を超える単身世帯も多く存在することになる。
私はポートアイランドのUR団地の自治会の会長も務めているが、このUR団地には県下で最大の数(385戸)の借り上げ復興住宅がある。自治会の役員にもその居住者がたくさん就任している。しかし、その方々からは、県からの郵便物が届くたびに不安になって「夜も寝られなくなり体調を崩している」「会長、どうしたらいい?」との相談が私にたくさん寄せられる状況になっている。
震災からまもなく18年になるが、まだまだ震災が続いていることを日々痛感する。そんな中、震災問題を取り組んできた多くの団体、個人で結成した「被災地と被災者を考える懇談会」が、県や市に借り上げ復興住宅の「継続居住」を求め、署名集めや神戸市役所前での座り込み行動、県・市当局との交渉などが始まっている。今年の7月上旬と10月下旬、神戸市役所前でテントを張って行った座り込み(要請・相談のための行動)にも多くの借り上げ復興住宅居住者が不安を抱え、どう対応したらいいのかと相談に来られた。
私もポートアイランドのUR団地で2回、県との話し合いの現状報告や居住者の生活相談会などを開いた。当日は50人近くの居住者が集まったが、ほとんどが70歳以上の高齢者でヘルパーさん同伴の方もいた。また、当日までに「寝たきりで参加できないから、家まで署名を取りに来てほしい」「集会所まで車椅子で行くつもりだが、集会所には車椅子で入れるか」「自分は長時間座れないので息子を行かせる」「耳が悪いので話を聞けない。署名だけ持ってゆくがそれでよいか」などなど、その電話を受け、家を訪問するたびに、現状の深刻さと「移転を強要」する県・市の姿勢に怒りを感じた。
これは世界人権規約の「居住の権利」の重大違反である。また、東日本大震災でいま取り組まれている「みなし仮設」でも将来同じことが起きうると考えられる。
私は、借り上げ復興住宅の居住者に、市や県の動きにかかわらず、「このまま住み続ける思い」を皆で共有化すること、また多くの市民が応援していることを伝えることが大切だと思いながら、来年の「1・17」を迎える。
あわはら富夫(神戸市会議員、ポートアイランド公団自治会長)
- 友だちが教えてくれたこと
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20歳そこそこの頃からの約30年来の友だちが亡くなった。
深い悲しみの中にいま身を置いている。
その一方で、若い頃、いっしょに笑い転げたこと、いっしょにご飯を食べたこと、ずっといっしょに組合活動をしてきたこと、彼女がかけてくれたたくさんの言葉、大好きな笑顔、彼女ならではの優しいまっすぐなまなざし、たくさんの思い出が私を時に微笑ませ、暖かい気持ちにしてくれてもいる。
闘病生活は苦しかったはず。でも、彼女は一方で、家族とゆっくり触れ合う宝物のような時間だったと言っていた。このことは、子育てしながら働き続けた日々が、いかに大車輪のような毎日であったかを物語っている。私も、子どもはいないけれど、働くこと、親の介護、自分の健康、組合活動、いろいろなことを成り立たせることが、まるで曲芸といえるような日々を今も過ごしている。
病気で休める期間が満了し、就業規則の壁で退職になってしまう間際に、彼女から相談があった。「このまま辞めさせられてしまうのは違うと思う。ひとりぐらいそんな人がいてもいいと思うから、病気は治っていないけど、治療を続けながら職場復帰したい」と。復帰にむけて「ならし勤務」を始めた矢先、病状が悪化し、フルタイムで働ける体調ではなくなり「職場復帰」という荷物は下ろす決心をしたけれど、彼女がやろうとしたことは、まさに彼女の生き様だったと思う。
彼女が退職にあたって組合役員にあてた手紙、職場の仲間に送ったあいさつ状を多くの仲間が今も大切に持っている。
「組合が目の敵にされているけれど、昔からコツコツやってきたことは間違っていないし、一人ひとり働く者はもっと大切にされるべき」「人間らしく健康で安心して働けることのできるそんな魅力ある職場になるよう険しい道だけれど、少しずつ皆で条件を勝ちとっていってほしい」「仕事の替わりはいても、家族や友人にとって替わりはいないから、くれぐれも自分の健康と家族を一番大事に、ムリを重ねないように」と。
わたしにも、「かくちゃんは人に吸い取られる方やからなあ。吸い取られんようにせんとな」と。
私は言いたい。
活動を必死でがんばっている仲間のみなさん、“自分の身体を大切にしながら”がんばり続けましょう。
活動をさぼっている人へ。悔しさやこだわりもなしに、仕事優先で日々を過ごしている場合ではないです。
大好きな友だちへ。ありがとう。わたし、ずっとずっとがんばるからね。
(かく)
- 30分の遅刻で210円(時給)引き下げ
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神戸市の長田郵便局で働く非正規労働者たちは、労働時間の一方的な削減に抗して2008年10月、武庫川ユニオンに加入し「日本郵便非正規ユニオン」を結成、団体交渉などを重ねて労働条件の一方的な不利益変更を撤廃させるなど、一歩ずつ労働組合活動を進めてきていた。
ところが、今年10月の契約更新時に大きな事件が起こった。日本郵便長田支店は、「日本郵便非正規ユニオン」の委員長でもある福本さんに対し、次年度のスキル評価を下げ、現在の時間給を210円引き下げると提示してきた。その理由は、1回30分の遅刻があり、訓戒処分がなされたからということであった。
ユニオンは長田支店と団体交渉を持ったが、会社側の言い分は、「朝寝坊による遅刻は不承認」であり、不承認の遅刻をすれば、基礎評価項目の4(「無届けの遅刻・早退・欠勤がなかった」)ができていないことから10円ダウン。その結果、Aランク評価項目で「他の時給制契約社員等に対して、指示・指導ができる」という習熟度が〈有り〉から〈無し〉という評価となり、結果200円ダウンとなって、合計210円ダウンの時間給で契約するというものであった。
しかし福本さんは、遅刻をしたといってもわずか1回30分だけで、仕事はきちんとこなし、会社に何ひとつ迷惑をかけたわけでもなく、始業時刻前に連絡もしているのである。
郵便会社は1回の30分の遅刻だけを理由として、半年で24万から25万円程度賃金を下げるというのだ。こんな不当な賃金の引き下げはありえない。福本さんは引き下げられた賃金には異議を残して現在、働いている。
今回の賃下げは、非正規労働者全体に対する差別であり、ユニオン活動に対する攻撃でもある。武庫川ユニオンとしてこんな理不尽な攻撃は許すことはできず、裁判に訴える。その支援組織として「日本郵便非正規労働者の権利を守る会」を立ち上げ、1月24日午後6時30分から尼崎労働センターで結成集会を開く。
仲間のみなさんのご支援をお願いします。
小西純一郎(武庫川ユニオン書記長)
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