「新社会兵庫」 12月11日号
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- 総選挙が始まった。この選挙に向けていったいいくつの新党が生まれ、きわめて短い間の合従連衡の末、いくつの政党になったのだろう。わずか5日だけで名を消した新党もあったが、いちいち数える気も起こらない。これだけ急ごしらえのパーティ(政党)が選挙に出てくると、まるで何かのパーティで騒いでいるようなものかと、逆に冷めた目にもなりそうだ▼政党という名はついても、綱領もなければ一般党員もいない。いわば選挙のための「看板」を掲げる議員集団をつくっただけのことなのか、とも見えてくる▼既成政党に対する根深い不信やとてつもない閉塞感が新党乱立≠フ背景にある一面、「雨宿りのための軒下」「沈没船からの脱出」という趣もなくはない。それに合流≠ノは小選挙区比例代表並立制という現行選挙制度や「政党要件」という法的枠組みの問題も大きく影響している。その有無によって、とんでもない差別と不公平がのしかかる。無ければ、政見放送ができない、重複立候補もできない等々、きりがない▼とにかくこの選挙の先にさらなる政治の劣化、溶解が待ち受けるというのだけはごめんだ。
- 公契約条例の取り組みを広げよう
官製ワーキングプアをなくせ -
公契約条例制定の取り組みが、兵庫県内でも加西市や尼崎市で始まっている。2009年9月に千葉県野田市で全国初の公契約条例が制定され、続いて10年12月に川崎市、11年12月に多摩市、相模原市、12年6月に渋谷区、国分寺市での制定と続いている。
公契約条例という言葉は、連合、自治労、全建総連では馴染みがあるが、まだまだ市民権を得ていない。誰が命名したのか、「公契約条例」という硬い言葉から条例の内容を想像することさえできない。簡単に言えば、官製ワーキングプア(働く貧困層)をなくしていく方策のひとつである。
今回の総選挙の争点は、原発、消費増税、経済対策、社会保障、PTTなど多くの課題があるが、労働者の貧困はあがっていない。09年夏の総選挙で自民党から民主党に政権を交代させた原動力となった格差社会と労働者の貧困は、民主党政権でも解決はされていない。
財界が95年に打ち出した「新時代の日本的経営」や01年からの小泉構造改革による労働者派遣法の改悪で有期雇用(非正規)の不安定雇用労働者がすでに全労働者の35・5%と急増し、民間労働者の23・4%(約1063万人)が年収200万円以下のワーキングプアである。自治体でも2012年自治労調査によると臨時・非常勤職員などの非正規職員は推定70万人、全職員の33・1%を占め、その約7割がワーキングプアである。
自治体ではコスト削減のために学校給食、清掃事業、保育所、病院などの民間委託・民営化が広がってきている。ある市の水道営業課で委託された職場で働く水道メーター検針員は、個人委託から委託会社に雇用となったが、検針員の増加による検針戸数の減少で年報酬240万円から年収100万円程度に減り、トリプルジョブ(3つの仕事)で生活せざるを得ないことから労働組合を結成したという。
労働者の貧困問題を解決する方法は、@労働組合結成・団体交渉権などの行使、A労働法制の改善や新しい法制度の創設、B就業による所得保障ではなく社会保障制度としてのベイシックインカムの実現などが想定される。
公契約条例は、労働者の貧困問題を解決する新しい法制度といえる。公契約とは自治体の事業(工事、サービス、物の調達)を民間企業などに発注・委託する場合に取り結ぶ契約である。自治体は、公契約を結ぶ民間企業の決定について談合の防止のために多くの場合は競争入札を行なう。財政の悪化により落札価格が安くなり、公共工事や委託業務に従事する労働者の賃金・雇用などの処遇が悪化している。99年から価格だけでなく福祉、男女平等、環境など社会条項に着目した総合評価方式など入札改革が自治体に広がった。公契約条例とは、入札において社会条項にとどまらず、これら労働者の最低賃金の下限設定や継続雇用の努力義務など公正な労働条項を盛り込んだものである。
公契約条例の目的は制定自治体で異なるが、公共工事や委託業務に従事する労働者などの適正な労働条件の確保、公共サービスや公共サービスの質の向上、地域経済の活性化などである。その適用分野は、一定の予定価格以上の公共工事、請負委託、指定管理者による公の施設管理などである。その賃金等の基準については、野田市の職種別で施設の設備または機器の保守点検に関する契約1480円(時給)、多摩市の公共工事での建設労働者(熟練)の左官15936円(日給)など下限が設定されている。自治体はこれらの事項を遵守できない事業者との契約を解除することができる。
昨年5月の加西市長選挙で西村和平市長がマニフェストに明記した公契約条例制定検討委員会を後押しするために「加西市を豊かにする公契約条例づくり連絡会議」が、今年5月1日に連合北播、加西市職、兵庫土建加西支部、部落解放加西市民共闘会議など12労組・団体により結成され、今年末を目途に制定の請願署名に取り組んでいる。尼崎市では議員提出の公契約条例案が市議会で09年5月に僅差で否決されたが、再度の取り組みとして、「尼崎市公契約条例の制定をめざす会」発足集会が12月1日に開催される。
これらの条例が制定されれば、西日本初の公契約条例となる。「なくそうワーキングプア」キャンペーンとして公契約条例の取り組みを広げ、強めよう。
菊地憲之(ひょうご自治体労働運動研究会代表)
- おしゃべりおんなは元気
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最近、「きんさん、ぎんさん」のぎんさんの4人姉妹がよくテレビで取り上げられています。あるテレビ番組の中で、アナウンサーが彼女たちに「元気で長生きする秘訣は何ですか?」と問うと、「それは、雑談やなー」と。彼女たちは、毎日いつも楽しそうにおしゃべりをしています。しかも、その番組の中で脳学者が実験したのですが、彼女たちが姉妹同士でおしゃべりするときと、知らない人とおしゃべりするときでは「脳の活性」が全然違いました。もちろん気兼ねなくおしゃべりしている姉妹同士のときの方が活性化していました。要は活き活きしているのです。
私は今年の3月末に定年退職してから、神戸市主催のシルバーカレッジに入学したのですが、そこに来ている高齢者達は実に元気で活き活きしています。もちろん静かな人達から賑やかな人達と様々ですが、またそこでは半分は男性ですが、みんな元気です。男女に関係なく、人とコミュニケーションをとったり、ボランティア活動等の社会的な活動に関わっているからだと思います。私自身はまだこれからの過ごし方は模索中ですが、多分そこに集まってきている人達もこれからのことを模索しているのだろうと思います。
女性、男性に関係なく、働いているときは、否が応でも人と接触していましたが、仕事人間であればあるほど仕事から離れると、自分から動かない限り人との接触が少なくなってしまいます。脳への刺激となる「おしゃべり」が減ってしまうということです。でも、まだ女性は、親戚や近所づきあいをするので刺激がありますが……。でもやっぱり最大の刺激は友人づきあいでしょう。退職後、平日に映画を見に行ったり、紅葉を見に行ったりすると、街には溢れ出るように、また観光地も中高年の元気な「おしゃべりな女性」で一杯です。
私はスポーツジムに通っていますが、これまた明るく元気な中高年の女性で一杯です。着替えながら、サウナに入りながら、これまた楽しい会話が聞こえてきます。でも最近は、男性も増えてきています。おしゃべりは少ないですが……(笑)。
今、平均寿命が女性は85歳を超え、男性も80歳に近づいています。定年退職後の人生が20年以上もある中で、どう過ごしていくかが人ごとではなく、まさに私自身が今問われています。仕事をしているときは、流れに乗って過ごしていれば良かったのが、今はその流れを自分で作らなければいけません。じっとしていても、誰も働きかけてはくれません。自分自身から動くことです。そう私自身に言っています。
自由な時間をどう過ごすか。今までなかった時間です。大事に有意義に使わないと、90歳になっても今もなお社会活動に携わっている私の母のことを思うと、恥ずかしい限りです。まだ少しもさもさと時間がかかりそうですが、「おしゃべり」を大切にしながら模索したいと思います。
(N)
- 増える職場のパワハラに構造的メスを
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最近、職場のパワハラに関する相談が増えている。会社規模の大小や業種はもとより、労働者の雇用形態や身分(管理者か労働者か)を問わず、いじめや嫌がらせが蔓延している。
では何をもってパワハラというか。上司が部下の力量をどう評価していたか、何をどう指導しようとしているのかが問題になる。力量以上のことを要求するのはパワハラである。
今年3月、厚生労働省は、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を発表した。「提言」では、「職場のパワーハラスメントの行為類型」が示されている。@暴行・傷害(身体的な攻撃)、A脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、B隔離・仲間はずし・無視(人間関係からの切り離し)、C業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)、D業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(寡少な要求)、E私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)。もちろん、すべてがこのように類型されるわけではない。
しかし、類型が示されたことにより、起きているパワハラに関してどの類型に該当するのかを、会社に認識させることができる。この点は大いに活用できるのではないだろうか。
先日、ユニオンが取り組んだ全国一斉「職場のいじめ・パワハラ ホットライン」には、全国で121件の相談が寄せられた。
最近の傾向は、リストラの手段としてパワハラを用いる会社が増えていることである。しかも、労働者に「無能」の烙印を押して会社から追い出す、乱暴な手法が横行しているのだ。
いじめは、会社ぐるみや「社風」から発生している現象がほとんどである。個人の問題とするのではなく、構造的問題としてメスを入れる取り組みが「予防」にもつながる。大人の社会を子どもたちは見つめている。
西山和宏(あかし地域ユニオン委員長)
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