「新社会兵庫」 9月11日号
 既存の政党の溶解、そして政治の劣化が止まらない。それはとりもなおさず、この国の政治への国民の失望と不信がいっそう拡大していることを意味する▼だが、不信の底が深く、淵が広がっている分、そうした気運につけこみ、強い言葉や大胆な主張による強烈な発信力でそれらを引きつけ、のし上がってくる政治勢力は、掲げる政策からも危険この上ない。マスコミの大きな「応援」も受け、さらに勢いを増している。国政進出へ新党結成を宣言した「大阪維新の会」が、次期衆院選・比例代表の投票先で自民、民主を上回るような世論調査結果も出てきた。「人気取り」しか考えていない総裁選・代表選の動きを見せられれば、これらの党にさらに愛想を尽かす人々が増えて当然だろう▼こうして、既存の政党がのた打ち回っているような姿をさらしているとき、領土問題や歴史認識などをめぐってなにごともはばからない右翼的主張がばっこしている。まさに「いいたい放題、なんでもあり」の様相だ▼とんでもない言動で、そしてそれに対抗する隣国の主張をも利用して、国民の意識の地殻が揺すぶられ、大きく右に持っていこうとする企みが目下のところ功を奏しているように感じられてならない。
明石駅前再開発の賛否は住民投票で決めよう!
 明石駅前南地区市街地再開発事業をめぐり、その賛否を問う住民投票条例の制定を求めて、市民らが立ち上げた「市民みんなで決める住民投票を実現する会」(略称=駅前再開発・住民投票の会)が酷暑の中、8月25日から1か月間、地方自治法に基づく住民投票の直接請求署名の取り組みを明石市内で始めた。これまでに、同事業の見直しを求める請願が否決、市民団体からの同事業に関わる20項目にわたる「公開質問書」にも納得できる回答がなかったなどの経過がある。
 「大事なことは住民投票で」と自治基本条例で規定
 明石市は2010年4月、明石市の「憲法」でもある自治基本条例を施行した。その14条に住民投票についての条文を設け、「将来にわたって明石市に重大な影響を及ぼすと考えられる事項について、住民が市長に対して住民投票の実施を請求したときは、市長は住民投票を実施しなければならない」と定めている。いわゆる「常設型」の住民投票条例だ。
 しかし、現在、住民投票の手続きを定める住民投票条例がつくられていないため、私たちは、駅前再開発の見直しについて、地方自治法に基づく「条例制定の直接請求」手続きを行なった。有権者の50分の1(明石市では約4700人)以上の署名を添えて条例の制定を請求すれば、市長は20日以内に議会を招集して提案しなければならない。しかし、再開発推進の立場の議員が多数を占めているため、今回の署名運動では法定の約10倍の3万〜5万人程度の署名を目標にしている。
 226億円(事業費の85%)もの税金投入で市財政が危機に!
 2005年8月にダイエー明石店が閉店・撤退し、明石駅前の再整備が課題となり、駅前再開発を核事業に盛り込んだ中心市街地活性化基本計画(国の補助金が多い)が、2010年11月、国の認定を受けた。
 当初の計画は、6階建の4〜6階部分を市役所が買い取り、窓口部門など市役所機能の3分の1を移し、さらに、高さ100m、34階建て200戸余りの超高層マンションを建設するというものであった 昨年4月の市長選挙で、駅前再開発の見直しを掲げて当選した泉市長は、7月にパブリックコメント形式の市民アンケートを実施し、わずか2カ月で見直し案を作成した。その中身は、計画規模は変えずに、市役所の窓口棟は1フロアーだけ、5階に市立図書館を移設、子育てや医療保健施設を1フロアーに充てるというものだ。図書館等への国の補助金の増加などにより、明石市の負担金は127億円から98億円に減少するが、しかし、再開発事業費266億円のうち85%の226億円が、国や兵庫県の補助金や市の買い取り費用で占める税金丸抱えの「民間事業」である。
 たこフェリーの廃航で中心市街地活性化基本計画の見直しを!
 明石市は、60ヘクタールの中心市街地活性化基本計画の核事業に、明石駅前南地区市街地再開発事業と明石港再整備(たこフェリーの再開と砂利揚場移転)を据えている。ところが、たこフェリーは、今年5月29日の臨時株主総会で、「会社の解散」を決議した。14年度からの本州四国連絡道路の通行料の一般高速道路並み引き下げにより、再開断念を決断したのである。また、泉市長は「砂利揚場の廃止を」と言っているが、兵庫県や近隣市町へは働きかけていない。明石の南玄関である明石港の再整備のとん挫は、町のにぎわいづくりへの悪影響が大きく、中心市街地活性化事業の抜本的見直しが迫られている。
 アスピア明石は30億円の累積赤字。長期不況で再開発
 明石で初めての再開発事業(事業費380億円)の「アスピア明石」は、11年前にオープンし、30億円の累積赤字である。保留床が売却できず、三セク会社を作って買い取り、賃貸商業施設に転換し経営してきた。しかし、バブル経済の崩壊後、内需や個人消費の低迷で、業は行き詰り、今年度から借入金の返済も始まって厳しい経営に陥っている。その上、最大の権利者から9億円で床買い取り請求の裁判が起こされている。しかも、昨年度中に結成されるはずであった再開発組合は、10月に設立され認可されるという予定である。しかし、高い床代や共益費のために保留床が売れない可能性が高く、98億円もの市税を投入し、多額の借金をかかえ、市財政は危機的な状況になってしまう。
 そのため、駅前再開発事業の抜本的見直しについて、住民投票で市民の意思を問うべきなのである。
永井俊作(明石市会議員)
手作りの満足感
 子どもの頃の母を思い出すと、ミシンの前に座っているところが出てくる。家族中の着る物を作っていたので、毎日のように座っていたように思う。独学で自己流でも、下着に、コートに、制服も、何でも作っていた。
 趣味なんてものではなく、あくまでも家計のため。働きに出るかわりに、節約できることは何でもすると言っていた母は、材料も近くの神社で定期的に開いていた市で、はぎれを探していた。だから、デザインや柄は、布に左右されていた。
 あの頃、家で服を縫う人は結構いたと思うが、私は、服を買ってもらいたくてしかたなかった。
 それに反して、わが子は、私の手作りの服など着たことがない。学校に持っていく手提げでさえも私は作れなかった。子ども達は、服を作ってもらうなんて、夢にも思ったことはないだろう。時間も技術も私にはなかった。
 それから何十年……、今、私はちょっと手作りにはまっている。
 退職してもう何年も経つけれど、家の中でのうつうつと日々テレビのお守りが日課となっていた。こんな生活もあるんだと、ちょっと至福の気分も持てたときもあったけれど……、犬の散歩とダイエーと病院がほとんどの行動範囲となっていては、ちょっと悲しい。とりあえずは、何かに挑戦。
 冬の帽子を編んだりはしていたが、今年は、本を買って縫い物に挑戦した。  針の糸通しの器具を使って、やっと糸を通してちくちく手縫いでチュニックとパンツを作った。編み物も、ベストにショールとファッショナブルなものに。
 自分の物ばかりで、やっぱり自分のことしか考えてない私だけど……、雑念から解放され、没頭できること、ちょっとだけ工夫できる創造性と、できたときの達成感など、ひとりでじんわりと満足感に浸っている。
 母も、きっと家族のためだけでなく、この手作りの満足感にも浸っていたんだろうなと感じた。作っていたときの母のしんどそうな顔を見たことがなかったから。
 次は、一人だけでこつこつしているのもいいけれど、誰かとおしゃべりしながらやったら楽しいだろうし、本では分からないことを教えてもらえるのもいいかも、と思い始めた。
 ますます自分のために≠追求して、楽しい日々を過ごしたい。
(W)
パート従業員の夏季一時金交渉が妥結
 ユニオンあしやのポオトデリカトオカツ分会は、パート従業員の夏と冬の一時金については、それぞれ勤続年数×1万円をここ数年要求している。これについて、会社側の交渉責任者は「なぜこのような要求になるのか?」と問題にしてきたが、組合員は「分かりやすいのでこの要求にしている」と応えてきた。労使ともに要求の基準を決めなければと考えてはいたが、これまでの妥結額は「今回に限り1千円」「2千円」「3千円」など、会社の都合で支給金額が決まっていた。 今年の4月に会社側の交渉責任者が変わってから組合のこれまでの要求にも理解を示し、夏の一時金についても会社として責任ある発言があったので妥結した。以下はその経過である。
 今年の夏の一時金について、分会は会社と6月25日、28日、7月2日と3回の交渉を持った。組合は社員との均等待遇を要求したが、会社は「昨年の不祥事以降、会社全体の業績が悪化しているが、頑張ってもらっているパート従業員の方々に少しでも還元したいので、賞与3回目の65歳以下に1千円加算したい」と回答してきた。組合は、「加算は一時的なもの。また、冬には元に戻ってしまう。組合が要求しているのは、社員との格差をなくせということだ。何年も基本支給額が変わっていないことが問題で、工場がパート従業員でもっているというのなら、少しでも社員との格差をなくす努力をしてほしい」と再考を求めた。会社は「今すぐに社員との均等待遇は難しい。今回はパート従業員全員の支給額を1千円アップする」と再回答してきた。組合は「今回は基本支給額を1千円アップするということで了承するが、少しでも社員との格差をなくす努力をしてほしい」と会社に求めた。会社から「誠意を持って検討させていただく」との回答を得て、全員の基本支給額1千円アップで合意した。今後も社員との格差が縮まるよう組合は要求していく。
森口道夫(あしやユニオン)