「新社会兵庫」 7月24日号
 オスプレイ。ミサゴの英語名だそうだが、今回は鳥のことではなく米軍が開発したティルトローター機のことである。ヘリコプターのように垂直に離発着し、普通の飛行機のように飛ぶ▼MV22オスプレイは、米海兵隊が今月末にもいったん岩国基地に陸揚げしたあと、普天間基地配備の大型輸送ヘリCH46の後継機として沖縄に配備しようとしている▼開発から30年が経ち実戦配備もされているが、まだ完成したとは言い難い代物だ。今までに30人を超すパイロットが事故死しており、「未亡人製造機」と呼ばれているという▼この危なっかしい兵器の持ち込みに沖縄県民はこぞって反対の声を上げ、政府は外務・防衛の両省が岩国も含めて現地の説得に当たっている。が、返ってくるのは拒絶ばかり。仲井真知事は「一度でも事故が起これば沖縄の全基地閉鎖だ!」と、米政府の言いなりになっている日本政府にきつい言葉を返した▼内心は知らないが、米国務・国防総省の一セクションみたいに振る舞うのはこの国の政府の常か。自民党だけでなく民主党も。そういえば○○党もそうだったか。政権に就くと政治家はなぜ市民の目線から離れるのか。ここが本当に変わる政権の交代はいつ?
教育ローン化した奨学金制度
給付型への見直し要求を題
 先日の大内裕和さん(中京大学教授)の講演会(6月2日、神戸市)で、「奨学金問題を取り上げてください」との提起があった。
 2009年頃、奨学金を返済できない大学生が増加し、ブラックリストに載せられるなど、奨学金が教育ローン化した現状が問題になり、当時、社民党の衆議院議員だった保坂展人さんがこの奨学金問題を取り上げ、民主党も「給付型を増やす」と言っていたのに、そのまま放置されている。
 当時からこの問題に取り組んできた「首都圏なかまユニオン」が奨学金返済で困っている学生への相談窓口を開いていたり、NPO法人POSSE(ポッセ)などが相談と支援の窓口を開設している。マスコミも、2010年9月にNHKの「クローズアップ現代」が、また最近では朝日新聞が3月と6月に記事に取り上げ、NHK・Eテレでも尾木直樹さんの解説で紹介されていた。
 いったい奨学金に何が起こっているのだろうか。今の大学の授業料は国公立で年間53万8千円。私立は、文系でも半期で60万以上、理系はもっと高い。授業料のほか、本代や交通費などと毎月の費用は大変である。実家を離れ下宿するとなると生活費もさらに膨らむ。その時の支えになるのが奨学金である。ところが、給付型の奨学金は、企業や大学などが成績を基に募集していて約12万人である。かつての育英会はいま「日本学生支援機構」に改組されている。そこは、貸与型のみで、受給者は123万人、1兆118億円(2010年度)を貸し出していると言われる。第1種は無利子だが、学力など採用基準が厳しく、借りられる金額もやや低い。第2種は3%の利子がつくが、保護者の年収が基準を満たせばほぼ全員が採用され、金額も第1種の2倍、最高月12万円を借りることができる。親の所得は4人家族で年収1200万以下が制限という。
 先日のテレビ番組では、大学生の半分が奨学金を受けていると報道していた。一方で、返還金を滞納している人は30万人を超え、3カ月以上滞納してブラックリストに載せられた人が1万人いるとか。ブラックリストに載せられるということは、この後の住宅ローンなどは借りられなくなるということだ。また、滞納すると年10%の割合で延滞金がつく。しかも、日本学生支援機構の調査では、6カ月以上の滞納者の84%が年収300万円には満たない低所得者であった、と報告している。実は、年収300万円以下は返還猶予(5年間)の対象でもある。
 実際には、大学や専修学校を出ても、若者の男性の35%、女性の58%が非正規という就職状況である。300万円どころか、200万円にも達しないで働いている、あるいは、アルバイトしかなくて親の家から出て行けない、という状況が数多くある。私たちの回りにも就職できなくて親が代わりに返還したとか、今の給与では40歳まで返し続けるのは生活が成り立たないと、親の退職金で返還したとかの話も耳にする。番組の中でも70社以上就職試験を受けたが正規に採用されず、いまアルバイトで毎月の返還ができないという話や、5年間返還猶予の制度があるので相談を、という学生支援機構の説明もあった。しかし一方で、民間回収業者への回収委託や法的措置の早期化など、強引な回収強化策も進められてきた。奨学金が教育の機会均等を保障しないばかりか、ますます生活困窮者を生み出している。
 私たちは、国際的に見ても高い学費を引き下げることや奨学金制度の給付型への見直し、現行の奨学金返還制度の見直しを要求する。安心して大学で学べるように、また、就職して自分の将来が考えられるようにするためにも教育の無償化や奨学金の給付型化を要求していかなければと思う。そして、何よりも若者が生活できる安定した雇用制度も要求しなければならない。とりあえず奨学金をめぐっては給付・貸与併用型を、そして無利子に、という要求を国にあげていく必要がある。また、地方自治体にも、給付型の奨学金を増やしていくよう要請したいものだ。
 一方で、いま困っている卒業生や大学生・専修学校生への相談窓口の開設、返還できないケースについて相談・交渉をしていくことなど奨学金問題に身近な労働組合が取り組んでいくことが必要だ、という大内裕和さんの提起も受け止めていきたい。そのための宣伝行動も必要なことだ。 小城 智子(教育労働運動研究会)
フランス旅行での驚き
 今年3月に定年退職し、6月にフランスに行ってきました。のんびりと違う世界の雰囲気を味わいたいと、人生で2度目の海外旅行です。フランスでは、社会党のオランド政権が誕生したということもあり、そのことも興味がありました。
 私が回ったのは、オーヴェルニュ地方というフランスの田舎で、ずいぶんゆっくり、人々が歩いているな、と感じました。石畳の道に、建物は、みんな古くからの建物を改造して使っていて落ち着いた街の雰囲気です。
 でも、まず驚いたのは、学校が水曜日も休みだとのこと。その理由がそんなに勉強したら疲れるから、と説明されたのにはびっくり……。
 帰国してから調べてみると、土曜日は隔週休みで、1日の授業が日本より長いということで、少し納得しました。でも、フランスの教育制度がどうなっているかという質問に、運転手さんやレストランのコックさんがああでもないこうでもないと、話し合っていたのには理由があり、フランスでは、跳び級や落第があるので人によって差があるためらしいです。
 義務教育は5歳から16歳までであり、小学校5年、中学校4年の初等教育の後、リセ(高校)に3年、バカロレアに合格して、大学へという道筋らしい。国立の大学はすべて教育費は無料であり、卒業後、就職するまでは失業保険が支払われるそうです。ただ、日本のように多数の人々が大学をめざすわけではなく、職業高校への進学も多いとのことです。
 次に驚いたのは、ストがとても多いことです。
 添乗員さんの話によると、空港で、今日はポーターのストがあるとなると、みんな荷物は旅行者が持って運ばなければいけないし、アナウンサーのストがあると、アナウンスは一切なしで、電光掲示板を見て動かなければいけないし、税関のストとなると、100パーセント、ストをしていれば手荷物検査もなくなるかもしれないのに、少しの人員でさばこうとするのでとてもたいへんだそうです。そして、何と新聞に今日のストライキという欄があり、その日予定されているストが書かれているそうです。
 でも、フランス人は文句を言わず、そのことでみんなの生活が良くなるのだったらと、じっと待っているそうで、日本だったら考えられないスト権に対する理解です。さすが人権の国だと感心しました。私たちが行ったリヨンでも教育関係の少人数の集会が行われていて、高校生らしき子どもも参加していました。
 夏のバカンスは、ガイドさんの説明によると、実は1カ月で、それに他の休暇を合わせて2カ月取っているということで、「だから、国にお金がなくなるのよ」と、少々憤慨気味でした。
 また、商店や教会などの観光センターなども午前は10時から12時までで2時間の昼休みがあり、午後は2時からの営業となります。日曜日は、パン屋さん以外は商店も休みで、みんな10時ごろまでは家のシャッターを下ろして寝ているそうです。そして、バゲット(パン)を抱えている人々の姿があり、のんびりと過ごす休日の様子がうかがえました。忙しい日本とのこの違いは何だろうとつくづく考えさせられた旅行でした。
(長田・M)
東亜外業の不当解雇は許さない
 昨年6月25日、東亜外業(株)は、東播工場で働く28人の従業員を整理解雇した。その大多数はあかし地域ユニオンの組合員であり、労働組合を嫌悪した不当解雇であることは明らかであった。
 昨年9月に提訴した不当解雇撤回を求める裁判は、5回の弁論期日を経て、6月28日には原告、被告双方が申請した証人4人の人証が行われた。
 証人調べのトップバッターは、会社側が申請した本社の経理担当者のA氏であった。会社側代理人からの質問に対し、A氏は「東播工場の受注量がなくなってきた一番の理由は、労働組合ができ、労働争議があることです」と言い切り、傍聴席はざわめいた。工場の受注量が減った原因は、会社が営業を自粛したためであり、その経過は会社側の準備書面において何度も述べられている。しかし、A氏は正直者だったようで、社内で流布されている内容をそのまま証言したのである。
 反対尋問では、上原康夫弁護士が「社を上げた経営改善、合理化が喫緊の課題と陳述書に書いているが、具体的な案は?」と問うと、「わからない」「聞いていない」と回答。株主に配当金を払い続けている点についても、「お客様に迷惑をかけられない」と、緊迫した経営状況ではないことが浮き彫りになった。
 続いて、会社側証人の工場長への尋問が行われた。工場長は、現在も東播工場で社外工が13人働いていること、残った20人の社員も毎日仕事があり必要である、東播工場をもう一度再開したい、との思いを述べたのであった。公の場で、会社関係者から工場再開の見解が述べられたのは初めてである。
 その後、原告側証人として分会長と分会書記長が証言台に立ったが、会社側は実質的に反対尋問を放棄し、予定より大幅に短時間で終了したのであった。
 会社を追い込むため、毎月の抗議行動を構えている。法廷闘争はもちろん、現地闘争で勝利を勝ち取る決意である。ご支援をお願いしたい。
西山和宏(あかし地域ユニオン委員長)