「新社会兵庫」 5月22日号
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- 5月5日、北海道電力泊原発3号機が定期検査のために発電を停止し、国内の50基の原発がすべて止まった(福島第一原発の4基は事故で廃止)。原発再稼働の突破口として何とかこの日までに大飯原発3、4号機の再稼働を、ともくろんだ政府や電力会社などにとっては地団駄を踏む思いだったろう▼福島原発の事故で子どもや未来に大きな負担・不安・脅威を負わせてしまったなか、「子どもの日」に原発ゼロ≠フ状態をみたことは、それなりに記念の日だと思いたい。脱原発へ、さらなる決意の日としよう▼簡単に再稼働に踏み込めない状況をつくったのは福島原発事故の影響の大きさであり、脱原発の世論の盛り上がりである。この間の運動の成果だといって間違いない▼一方、原発再稼働に向けた電力会社・財界、政府の巻き返しは凄まじい。電力不足、節電、計画停電、電力使用制限令、そして電気料金値上げと、さまざまな言葉が飛び出てくる。事故の反省、謝罪、責任などはまったくお構いなし。脅迫まがいの迫り方だ▼そんな中、おおい町議会の再稼働同意の報にはこの町、この社会の原発依存の構造を改めて思い知らされる。この構造を変えていかない限り、脱原発への道のりは長い。
- 改憲の本丸は前文と9条 改憲阻止戦線の強化・拡大を
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憲法の平和主義をかみしめる
憲法施行65年、安保条約発効60年。あらためて憲法前文と9条を読む。
侵略戦争の反省のうえに立った、現行憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」決意を明らかにし、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とうたい、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成すること」を誓ったのである。
この前文の決意をうけ、憲法9条は1項で戦争放棄、2項でそれを確実なものとするため戦力の不保持と交戦権の否認を明記した。 われわれの学習会や講演会の講師をこころよく引き受けていただいている浦部法穂・神戸大学名誉教授(憲法学)は、憲法の平和主義について次のように説かれている。
「平和への念願や、その具体化のために戦争放棄を定めるといったことは、諸国の憲法や国際条約に、例がないわけではない」とし、国連憲章やフランス憲法、イタリア憲法、ドイツ基本法を例にあげながら「日本国憲法は、これらの国際条約や諸国の憲法よりもさらに一歩進んで、(2項によって)戦争放棄を現実のものとするための軍備廃止を宣言している点で、徹底した平和主義に立っているといえる。この点に、日本国憲法の平和主義の世界史的な意義があるのである」と。(法学館憲法研究所双書『憲法の本』)
この「世界史的な意義」をもつ9条2項が海外での武力行使を許さない歯止めとなってきた。歴代政府はこれまで、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力組織」であるから9条に違反しないが、海外派兵や集団的自衛権の行使、また目的、任務が武力行使を伴う国連軍への参加は「必要最小限度の範囲を超える」から憲法上許されないとしてきた。
9条2項が掘り崩され、集団的自衛権の行使や海外での武力行使が正当化されれば、日米の軍事一体化―軍事的行動の道を大きく開くことになる。5月1日に発表された日米首脳会談の共同声明は「安全保障・防衛協力の強化」「動的防衛協力」をうたっている。
「戦争する国」へ―自民党の改憲草案
5月3日の憲法記念日を前に、自民党が「日本国憲法改正草案」、みんなの党が憲法改正の「基本的な考え方」、そして、たちあがれ日本が「自主憲法大綱(案)」を発表した。3党が相次いで改憲案を発表した背景には、「新憲法制定」を持論とし、日米同盟の強化を掲げる野田首相のもとで、改憲原案の審議・提案権を持つ衆・参の憲法審査会が始動していることがある。
改憲の本丸である前文と9条改憲について自民党の改憲草案(以下「改憲草案」)を見てみよう。
自民党には2005年に条文として初めてまとめた「新憲法草案」があるが、「改憲草案」はそれを、さらに一歩踏み込んだ内容となっている。天皇は「元首」、9条2項の削除と自衛権の発動、国防軍の保持、国旗国歌の尊重、緊急事態条項などが定められている。
前文は全面的に書き換えられ、侵略戦争への反省や平和的生存権はかけらもなくなっている。それに代わって「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただく)国家」と規定し、「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」とうたい、復古的色彩もちりばめられている。
「改憲草案」は、9条1項で戦争放棄の規定は残しているが、2項で「自衛権の発動を妨げるものではない」と規定し、歴代政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使も容認する。また、9条の2を新設し、「国防軍の保持」を明記した。
かくして、「平和主義の世界史的な意義」をもつ前文と9条は破壊され、「戦争しない憲法」から「戦争する憲法」への転換となる。
9条改憲阻止の戦線拡大に全力を
自民党の「改憲草案」の狙いを徹底的に学習・宣伝し、9条改憲ノー≠フ世論をつくっていくことが喫緊の課題である。
明文改憲の先取りによる憲法破壊も進んでいる。武器輸出3原則を大幅に緩和した野田民主党政権は、今度は自衛隊の武器使用基準を緩和し、「駆けつけ警護」を認める方向でPKO協力法の改悪を企てている。また、自民党は集団的自衛権の行使を可能にする安全保障基本法案をまとめている。明文改憲の動きに加えて、解釈改憲反対の闘いも重要になってくる。
これらと、消費税増税・社会保障切り捨て反対、反原発などのたたかいと結びつけ、9条と25条を守る大衆運動のウネリをつくりだそう。
中西裕三(憲法を生かす会・神戸)
- いんろんなことが、でも、だから・・・
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数年ぶりに新社会党中央本部の大会に行ってきた。なつかしい人たちが元気で活動されている様子、新しく入党した人の思いなどに触れることができた。その2週間後、兵庫県本部の大会でも女性や若い人達が率直に活動の状況や県本部への思いを語っていた。小政党の悔しさを選挙のたびに味わい、議論が高じて心に亀裂が走ることも経験してきたが、何かが変わり始めているのかと思わせてくれる姿だった。
そこに残ればまだ大きな組織としての強みがあった当時の社会党から、「新社会党って何ですか」と問われることから始まる小さく新しい政党をつくってでも私たちが大事にしたことは何だったのか。政党が大事にするのは将来への展望、政策のあり方だ。だが、例えば護憲≠ヘ、人間を人間としてこの社会で生き暮らせるようにしなければならない政府の基本を守らせることに尽きるのに、与党になるならその基本を捨てる組織、構成員に自分の意見を捨てることを求める組織では党として存在する意味がないと覚悟して、当たり前の活動ができる党にしたかったこと。
苦労を承知で新社会党に結集してきた仲間達、負けても、活動になかなか参加できずにいても、党に残ってきた人達……。その人たちの思いはどこにあるのか。長らく顔を見る機会がないと心配になる。執行部は次々迫る選挙や共闘や活動の課題で手いっぱいになり、時として「寝ている(活動していない)党員がいる」「党員の意識が低い」と口をつくこともままあるが、そうかもしれないし、そうとばかりは言えないかもしれないと思う。私は24時間の生活を議員・候補者・執行部として使った経験もある。振り返ればすさまじい企業戦士と変わらない生活だった。反対に、どうあがいても介護に時間を割くしかなく、家に帰れば疲れきって食事を作るのが精一杯、何日も新聞すら読めない状態で、まさに非活動も経験(中)した。毎月請求されなければ党費を払うことだって、はっきり言って後回しになる。それでも自分を諦めてはいないから何かできることを見つけながらきたと思う。企業戦士の頃よりも細々とした活動でも続ける仲間をすごいと思うようになった。今、私たちの周りには理不尽なまでに使い捨ての道具として扱われる働く人がたくさんいる。それにもなれない(仕事に就けない)と自分を諦めている人もいる。
でも、少しずつだが諦めきれない人がいることが見えてきた。何より仕事に追われ、家族を抱え、踏ん張ってきた党員自身がその実際でもある。かつて活動に踏み出した職場の課題は、今も同じ。「当たり前の活動」をそれぞれの生活の中に見つけ、交流すれば共感し合えるはず。そして待たれている。そんな確信を形にできるよう努力しなければ……。
(岡崎宏美)
- 違法派遣や偽装請負は野放し状態
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はりまユニオンでは、三菱電機エンジニアリング(以下MEE)に対し、長年下請け労働者として働いてきたKさんを正社員にすることを求めて裁判闘争を行ってきたが、残念ながら上告が棄却されてしまった。
Kさんは1997年にMEEの下請け会社の誠和設計に採用され、主にMEEの試験装置の開発・設計の仕事に従事してきた。下請け労働者といいながら、労働実態は偽装請負の状況であった。
兵庫労働局からはMEEと誠和設計に対して、Kさんを含む十数名の本務出向が職業安定法44条に違反するから労働者の雇用を安定することを前提にただちに出向を中止するよう勧告が出された。
そこで、本務出向の解消にあたっては、これまで実際にKさんに指揮命令をして仕事をさせているMEEに当然雇用責任があるとして、正社員として雇用するように要求した。
団体交渉を重ねたが、MEEは正社員化を拒否し再びKさんを派遣に戻してきた。MEEは偽装請負→派遣→出向→派遣とその時々の雇用形態を変えながら、有能な人材を雇用責任を持たずに低賃金で自由にフルに使うために働かしてきたのである。
この間、派遣にかかわる裁判は、パナソニックPDPが最高裁で逆転敗訴になって以降負け続けている。
今年3月18日に成立した労働者派遣法の修正法案は、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止を改正案の目玉として盛り込んだが、昨年、民主・自民・公明3党合意でこれを削除。違法派遣が行われた場合に、派遣先企業が派遣労働者を雇用したものとする「みなし規定」も実施が3年先送りされてしまった。
派遣労働者の使い捨て状態は変わらない。
しかし、労働組合が強ければ法律がなくても勝利は可能であり、取り組みが広がることによって、必ず「より良い」法改正もつくれる。
この社会の主人公は働く者であるという確信を持って取り組んでいけば、展望は必ず見つかる。ねばり強く取り組んでいきたい。
藤井彰(はりまユニオン副委員長)
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