「新社会兵庫」 4月24日号
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- バカバカしさに呆れ、腹立たしさを感じながらも、背筋に寒さを覚える。大阪府立和泉高校の校長が、教頭に命じて国歌斉唱の際に、教員の起立のみならず本当に歌っていたか、口を動かしていたかを報告させたという▼命じられて監視観察をメモした教頭は、自身は口をパクパクさせて歌いながらだったのだろうか。校長は「君が代」の歌い方にことさら厳しかった戦前の教育を知らなかったのだろう▼「君が代」を「ながら」で歌うなどは、不敬極まる非国民だったのである。こんな報告を命じて、普通ならば当然感じる自己嫌悪に、この校長は陥らなかったのだろうか。「職務命令に従っただけで自分の価値観は入れていない」のだとか▼校長は自らの発言の奇怪さに気づかないのだろうか。教育の現場最高責任者が自分の価値観を没却させて、ロボットのように職務命令に従えるとすれば恐ろしい話である。41歳の校長は橋下大阪市長の弁護士仲間であり、公募という名目で送り込まれた「橋下教育」の先兵であるらしい▼ならば訊ねよう。「君が代」の「君」とは誰を指すのか。「天皇」か、友でも恋人でもいい単なる「YOU」か。まさか歌意を問わず条例で強制を進めるわけではあるまい。
- 施行65年 いま改めて憲法闘争の強化を
5.3兵庫憲法集会の成功を -
憲法施行65年 改めて憲法闘争強化を
平和主義、基本的人権の尊重、主権在民を3大原則とした日本国憲法は、今年5月3日で施行65年を迎える。
戦後の日本は、平和を求める人々の不断の努力によって、戦前のような相次ぐ戦争という事態には至らなかったものの、憲法9条は空洞化され続けてきた。強引な憲法の拡大解釈のもとで、自衛隊は肥大化し、日米安保条約は強化され、いまや日本は世界有数の軍事力を持ち、また、米軍基地とあわせて世界最大・最強の基地群が築かれている。
あらためて施行65年を迎えて憲法闘争の強化を地域・職場から担っていくことが問われている。
相次ぐ改憲への動き
憲法改正をめぐっては、2010年5月に「日本国憲法の改正手続に関する法律」(改憲手続法)が施行され、これまで衆議院のみで制定されていた「憲法審査会規程」が、衆参のねじれを受けて参議院においても2011年5月に制定され、改憲に向けた議論が始動している。
たちあがれ日本、大阪維新の会、自民党が相次いで改憲に向けた動きを活発化させている。自民党憲法改正推進本部は、天皇を「元首」とするなど極めて保守的な「憲法改正原案」をまとめ2012年4月28日までに成案を発表。大阪維新の会は「維新版・船中八策」を示し、憲法改正発議要件の過半数への緩和や首相公選制、参議院の廃止などを明らかにした。
このような保守的勢力からの改憲議論は、そのことを基本に保守勢力の総結集が意図されることも懸念され、注視が必要といえる。
憲法を生かした本当の復興を
昨年3月11日に発生した東日本大震災から1年以上が経ったが、未だ復興への道のりは遠い状態である。そして、福島原発事故の収束も未だできず、放射能汚染問題はますます広がりを見せている。
現地では、生活や就労、そして健康など心身にわたる苦労が続いている。さらに福島県を越えて広範囲にわたる地域での放射能汚染や対策、避難問題、健康問題、除染問題、がれき処理問題など福島原発事故のもたらした被害の実相を明らかにし全国的な課題として対策を進めていくことが問われている。
東日本大震災の被災地および被災者の声が尊重され、一人ひとりの命が大切にされる復興へ全国的な取り組みが求められる。まさしく、憲法理念を実現していくことこそ、被災地及び被災者の本当の復興につながっていくことを阪神・淡路大震災を経験した私たちが発信していかなければならない。
5・3憲法集会に積極的な参加を
今、この国で起きている事実は、すべての人が平和で健康に生きる権利を保障した日本国憲法の精神がないがしろにされていることである。あらためて憲法の精神を生かす社会を私たち自身の手によってつくりあげていくことが求められている。
「太陽と風、大地、自然の恵みをエネルギーに!」として脱原発・持続可能で平和な社会をめざす「さようなら原発1000万人アクション」は、脱原発の大きなうねりをつくりあげてきた。私たちは、脱原発の実現から新しい社会を求めていく運動のうねりをさらに大きくつくっていかなければならない。
阪神・淡路大震災時に「この国は人間の国か」という鋭い指摘がなされた。いまあらためて、このことを私たちが指摘し、新たな責任追及のたたかいを全国運動として展開していかなければならない。「平和・人権・環境」を守るためにも今こそ憲法理念の実現が求められている。「戦争をする国づくり」をやめさせ、差別や排外主義を克服した多民族・多文化共生社会の実現に向け憲法闘争の強化をはかっていこう。
憲法記念日の5月3日、神戸市垂水区の垂水レバンテホールで開催される「憲法65年 5・3兵庫憲法集会 問われる民主主義―9条・25条と現在―」に積極的に参加し、兵庫での運動の輪を広げよう。
森 哲二(平和運動研究会)
- 仕事からの自立
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3月31日に「退職」してから1週間が経ちました。私は教育現場(高校)で38年間働いてきました。特に、この3年間は精神的にしんどかったです。ラスト1年は、「3月31日」を目標に「一日、一日」と思いながら過ごしてきました。待ちに待った日でした。
ところが今、家にいるのが落ち着きません。当たり前のことですが、身体に染みついている習慣は怖いもので、もう朝は早く起きなくていいのに目が覚めてしまいます。毎朝6時半に家を出て、毎夕6時半に学校を出る。一日の半分を学校で過ごしてきました。典型的な仕事人間の貧乏性です。
私は、働くことが好きでした。しんどいこともたくさんありましたが、楽しいこともたくさんありました。私は恵まれていたと思います。教師になりたくてなれたからです。それに「教える」ということは楽しかったです。また、私達の年代は組合活動も楽しかったです。以前は職場には「教育」のことも、「組合」のことも話せる同僚、仲間がいました。生徒達のことでしんどいことがあっても、話せる仲間がいると元気が出ました。職員会議では、いろんなことを議論しました。組合の会議で職場の問題が話されました。先輩教師の話をゆっくり聞く時間もありました。
家事も育児も、働いていたからできた気がします。頑張れた気がします。3人の子ども達が次々と自立していったときは、子どもが親離れすることよりも、「親が子離れ」して自立することの方が難しいんやと、その時つくづく思い知らされました。しかし今、実は一番難しいことは「仕事からの自立」だということを思い知らされています。
働いているときは、組織のなかの一員として社会に繋がっていました。今やっと一人の自由人になれたのに、今まで仕事以外のトレーニングが不足していたために不安です。自分自身がそんな気持ちになるとは。これは多分、今までが常に答えを求める働き方、過ごし方ばかりしてきたことの後遺症である気がします。
ここからが、本当の人生の正念場のような気がします。私の亡くなった父は80歳まで働いていました。母は90歳で、今も地域活動に元気に携わっています。そんなことは、身近すぎて当たり前のように思ってきましたが、実はとても努力のいることなんだと思います。
今はまだしばらく違和感を感じる日々が続きそうですが、これからどうやって生きていくのかを模索しながら見つけたいと思います。少し時間がかかるかも知れませんが、少なくとも自立している子ども達や両親に恥ずかしくないように。でも一番忘れてはいけないことは、今まで姉任せでしてこなかった親孝行です。
追記。最後に担任をした生徒が卒業式の日に言ってくれました。「セカンドライフを楽しんでくださいよ!」
(N)
- 気になる労働者側のモラル低下
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最近はどうも労使ともにモラルが著しく低下しているように感じる。使用者側がモラルに反しているのは今に始まったことではないが、最近の相談は労働者側の常識はずれな相談も時々ある。
今日受けた相談は内定取消だった。3月29日にハローワークの紹介で面接を受けその場で採用が決定。4月3日の入社が決まったが、相談者は短期のバイトが辞められず入社前日に「入社日を9日にしてほしい」と頼み会社も承諾した。ところが、9日の入社日当日、母親が倒れ入院することになった。会社に事情を説明、入社日を12日に延期してもらった。会社は、相談者が会社の雰囲気に合わないのではないかと心配になり、ハローワークに相談をしている。ハローワークから相談者に会社が心配していると連絡があったという。
それでも12日の入社日に会社に行けなかった。また母親が倒れ、病院に行かなければならなくなったという。会社に連絡したが、「ご縁がなかった」と内定取消になったという相談だった。
言葉が出なかった。確かに「内定取消」だが、取り消されたのは相談者の事情によるものであり、会社に落ち度はない。自分に置き換えて考えてみた。どうしても就職したいなら、4月3日にバイトを放り出してでも会社に行ったと思う。仮に1回延期してもらったら次回は必ず行くと思う。
相談者は内定を取り消された12日、母親が入院して会社に行かなかったが、内定取消に納得できないと兵庫労働局に相談に行っている。
相談者には、会社に行かなかった事情は相談者の責任で、会社には問題がないと説明したが、納得していないようだった。
社会的常識の問題だと思う。このような相談を受けていると、教育の大切さを痛切に感じる。「労働者」以前の問題だと思うが、このような相談にも対応しなければならないことを考えると活動の担い手を増やしていくことが必要だ。グチになったが、グチもこぼさなければユニオンの専従者として続けられない現状もわかってほしい。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン)
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