「新社会兵庫」 4月10日号
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- 「ミサイルを発射する資金があるのなら困窮する国民生活に回せばいいのに。現代人ならば誰もがそう思う」(3月28日「余録」)。まったく同感。当たるかどうか分からないようなミサイルディフェンスに巨額の資金を投入するのならワーキングプアの解消や老後の安心確保、マニフェストどおり子ども手当を続ければよかったのに▼でもこれは日本の話ではなく、4月に北朝鮮が計画しているという「人工衛星」打ち上げを毎日新聞が揶揄しているのだ▼ミサイルであれ人工衛星であれ、核の脅威の高まりに無関心ではいられない。しかし、日・韓・中・露・米の各政府とマスコミ一体となった北朝鮮非難の大合唱。半面、北包囲の側が醸成する軍事的緊張については等閑視。率直に言って著しくバランスを欠き不当ではないか▼北朝鮮の核開発を是とは思わないし、冒頭の批判も故なしとしない。しかし日本のメディアによる日本政府に向けたこうした批判は寡聞にして知らない。政府は沖縄にPAC3を、海上にはイージス艦搭載のSM3を配備し領空を通過する飛行体への破壊措置命令を出した。北朝鮮非難の尻馬に乗るよりはまっとうなメディアとして自国政府の危うさを批判するほうが先ではないか。
- 国民監視・管理を強めるマイナンバー法案の危険性
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野田政権は2月14日、税金と社会保障の個人情報を一つにまとめる「共通番号制度法案」(マイナンバー法案)を閣議決定し、国会に提出した。この法案が成立すれば、2014年秋から日本に暮らす個人と法人に番号が割り振られ、15年1月からICカードが配られることになる。
出てきたマイナンバー法の目的はこれまで言われてきたものと大きく変わっていた。昨年12月16日の実務検討会に出された「法律事項に関する概要」(案)には
「国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図り、国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与する」とあるのに、法案では「国民の利便性」も「国民の安心」も飛んでしまい、国民監視・管理が前面に出てきた。
税と社会保障の共通番号ということだったが、出てきたものは「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」だ。「目的」は、第1条に「この法律は、行政事務を処理するものが番号による識別する機能を活用して、効率的な情報の管理、利用並びに他の行政事務を処理する者との間に迅速な情報の授受が行えるようにする」とある。国民の手続き簡素化は付け足しだ。
「番号制度」を何に使うのか。これまでは年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務の6分野と言われてきた。あと災害が発生したときがある。ところが思わぬものが前に出ている。第17条11項は「…訴訟手続その他の裁判所における手続、裁判の執行、刑事事件の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査若しくは租税に関する調査又は会計検査院の検査が行われるとき、その他政令で定める公益上の必要があるとき」である。国家権力が「公益上の必要がある」と政令で定めると、国民の情報が捜査当局にどっと持って行かれる。橋下大阪市長はさらに忙しくしだすかもしれない。自衛隊は人格権侵害など気にせず、個人情報収集を進めるだろう。
改めて政府がどんな制度を考えているのか、住基ネットとどう違うのかを調べる。
まずすべての国民と在留外国人に住基コード(番号)と違う番号を付ける。法人(会社や団体)にも付番する。そしてカードを交付。カードはICカードで、表面に氏名、住所、生年月日、個人番号、写真その他その者を識別する事項で政令で定めたもの、とある。指紋とか顔貌の生体認証情報の利用も心配される。適用される事務は健康保険など93事務。5年後に見直しなので、さらに増えることが考えられる。住基カードは廃止されるが、住基ネットは活用される。
住基ネットは民間での利用はしないことになっていたが、番号カードは民間でも使用される。病院は公立だけじゃない。また所得等の情報を正確に把握するとなれば、「民―民―公」と言われるように、物を買えば買った方も売った方も番号を見せ合わねばならない。また、利用事務は委託、再委託ができる。委託を受けた人は他人の個人情報を知ることができる。それを束ねて売り飛ばすような事件は起こらないか。
利用事務は93といったが、市町村の機関は、条例で定めれば個人番号カードをさらに利用することができる。住基ネットができたとき、兵庫県も加古川市もいち早く条例を制定し独自利用したが、今度のカードも条例で定めれば、個人番号カードを利用できる。
「情報提供ネットワークシステム」は「情報連携基盤」のことと思われるが、調達スケジュールによると、設計は7月となっており、法案審議に間に合わないらしい。が、情報蓄積システムではなく情報処理組織のようだ。分散している一人一人の情報をひも付けし、番号で引き出して突き合せをする。
膨大な個人情報がひも付けされて突き合せ、データ・マッチングできる状態におかれる。そのデータを引き寄せる共通番号はカードの表面に記載されしょっちゅう他人に見せるのだ。権力の前にさらされた情報は番号を盗まれ、いつ誰にマッチングされるかわからない。韓国では4年間に人口の2倍以上の個人情報が流出したと伝えられる。
なお今回は住基ネットと違って法定受託事務なので、住基ネットのときのように国立市や矢祭町のようなことは起こらないという。
見てきたように、この制度は番号だけでなくICカードを持たされる制度で(いつも持ってないと不便)、これが進めばカードを持たないでいると逆に「管理外の人間」として疑われることになりかねない。
白鴎大学の石村耕治教授は「警官がカード読み取り機を持ち歩きし、持っていない人は『ご同行願います』という仕組みを作ろうとしているのだ」と警告している。
菅野 博(住基ネットいらん東播磨の会)
- 30年前の寮生活
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今から5年ほど前、短大時代の同窓会がありました。同窓会は同窓会でも寮生活をしていたときの同期の寮生の同窓会でした。「同じ釜の飯を食う」と言いますが、本当にその言葉通りの生活でした。二段ベッドの下だけなくし、そこに裸電球をつけ、言葉だけでは説明がつかないような生活でした。「穴ぐら生活」と言った人もいました。そんな場所で、初めて顔を合わす人たちと毎日生活することは気が合う人でも大変でした。
30年ぶりに訪れた学生寮は建物だけが残され、何に使われているのか……。今の若い人たちにはそんな共同生活は無理みたいで、近くにワンルーム・マンション風の寮が建っていました。
確かに大変な生活でしたが、今思い出すのは楽しかったことばかりです。夜中、鍵のかかった台所に狭い窓から忍び込み、おにぎりを作ったこと(チビの私がいつも窓から忍び込む役目でした)、先輩の持って帰ったお酒で大宴会、舎監の先生に見つかったこと(私は19才でしたが)、8時が門限の寮に向かって地獄坂と呼ばれる坂を走って帰ったこと、みんないい思い出として残っています。
その思いはみんな一緒だったようで、同窓会館に一歩足を踏み入れた途端、50才のおばさんが20才の女子学生に戻っていました。「キャー、○○ちゃん、元気?」「どうしてた?」とあちこちから声が飛び交いました。卒業して30年、みんなそれぞれ違う道を歩いてきても、あの2年間の生活は私たちを30年の長い年月を飛び越えさせてくれました。結婚して専業主婦をしている子たちがほとんどでしたが、結婚しても働き続けている子、結婚せずに働いている子、子どもが手を離れまた働き始めた子……。30年まったく違うところで暮らしてきていても、顔を合わせば20才の女子に戻っていました。今でもみんなの中の私は、六甲おろしが吹きすさぶ中でも裸足でスリッパをはき、パタパタ走っている元気者のHちゃんでした。(笑)
その同窓会を機に関西圏に住むメンバーで、小同窓会をするようになりました。一人の子が中心となり、1年に2回ほど日帰り旅行を楽しんでいます。その時は、やっぱり20才の乙女(?)に戻って、昔のこと、今のことをおしゃべりして、ストレスを発散しています。そのメンバーにしても今はまったく違う生活をしていますが、なぜか気持が分かり合える、それがあの生活を共にしてきた友なのだと思っています。
(まめ)
- 辞職申し出に「給与から年休分減額」
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西宮市にある宗教法人の幼稚園で働くYさんから、昨年10月に労働相談があった。幼稚園から8月に10日間の年次有給休暇が一方的に付与されたが(勤続期間が5カ月しか経過していないのに、恐らく先生方の夏休みの関係で付与されたのだろう)、その後、Yさんが幼稚園を辞めると言ったとき、「10日間の年次有給休暇分を10月の賃金から減額します」と言われ、「社会保険等を控除すると残金は600円位です」と言われたということだった。
幼稚園を辞める決意をした理由は、採用された時、事務か担任の補助をする仕事でと幼稚園側に伝えていたのに、1人の担任が辞められ、その後任として担任を任されるようになったことがひとつ。前任者は体調を崩して辞められたということだが、きっと大変な労働実態で辞めたのだろうと思う。
また、幼稚園は保護者に対して、後任の担任になるYさんは実際には経験がないのに他の幼稚園での経験ありと経歴詐称して文書で伝えたり、プールでの水着、折り紙、マジック等は自己負担であったり、行事が多く、勤務時間は8時〜17時、9時〜18時となっているのに実態は18時40分まで帰宅できなかったり、時間外労働についても未払い、月1回の土曜日は姉妹幼稚園での行事の手伝いをしなければならないという実情であった。このような大変な労働実態ではこの先働き続けられないと、辞める決意をしたのである。
しかし、10月の賃金が600円しかないことは許せないし、生活ができない。時間外労働の未払は納得できない。
早速、ユニオンは幼稚園に対して要求書の提出と団体交渉の開催を要求し、第1回団体交渉では年次有給休暇10日分の賃金減額の取り消しを明確にさせた。第2回団体交渉では、時間外労働の未払分について、Yさんの手帳のメモに基づいて要求し、要求額の60%を解決金として支払う回答を引き出し、双方合意した。
Yさんは、交渉で自分の主張を明確にし、堂々と交渉に臨んでいたし、職場に残った仲間にも自分の主張を言っていかなければ労働条件は改善されないと伝えていた。
旭 茂雄(ユニオンあしや委員長)
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