「新社会兵庫」 12月13日号
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- 「無主物」という言葉を新聞記事(11・24/朝日)で目にした。文字通り、「持ち主の無い物」という意味である▼東電福島第一原発の事故による放射能汚染のために営業に障害が出ているとして、福島県内のゴルフ場が土地の除染を東電に求めて仮処分を申し立てたことに対する東電側の反論の論拠がこの「無主物」という概念であるというのだ。原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではなく、誰のものでもないから東電に除去の責任はない、というわけだ▼無責任この上ない。開き直りの域すら超えて、東電のせせら笑いさえ透けて見えてきそうだ。しかも、この仮処分の申し立て、東京地裁はゴルフ場側の訴えを退けた、とある。この司法判断も驚きである▼福島のみならず、全国、いや世界の人々が今後も持ち続けなければならない放射能の恐怖と不安。それをもたらした事故の責任者がこの姿勢だ。2日に公表された東電の社内調査委員会の中間報告書も、想定外の津波が事故の原因だとの従来の主張を崩さず、事故後の対応も問題はなかったと責任逃れに終始している。この企業の上層部は、何の反省もない、思考が停止したままの人たちなのだろうか。怒りは増すばかりである。
- 県立高校普通科の学区再編問題
高校普通科の学区統合は教育を破壊するもの
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兵庫県内の公立高校普通科の学区再編などを検討してきた兵庫県高等学校通学区域検討委員会(以下、検討委員会)は、現在の高校普通科16学区を、@神戸・芦屋・淡路(神戸第一・芦屋、神戸第二、神戸第三、淡路19校。以下、カッコ内は現行)、A阪神・丹波(尼崎、西宮、伊丹、宝塚、丹有29校)、B播磨東(明石、加印、北播20校)、C播磨西(姫路・福崎、西播20校)、D但馬(北但、南但7校)の5学区に再編することが望ましいとする報告書を、ほぼ素案(今年6月末発表)どおりにまとめ、11月28日、県教育長に提出した。実施時期は、2014年度入試(現在の中学1年生の入試時期)からが望ましいとしており、県教委はこれを受け、来年早々にも実施計画を策定したいとしている。
これは、従前より兵庫県教委が県立高等学校教育改革と称してすすめてきた全日制の総合選抜制度の廃止、複数志願制度の創設、夜間定時制の統廃合による多部制単位制高校の設置の延長線上にある。
大学区移行の状況を全国的にみれば、小泉政権以降の新自由主義政策のもとで学区統合は強力に推し進められ、現在、全県1学区が20県にも達している。
検討委員会は学区再編=統合の目的を「学びたい高校で学べるように選択肢を拡大すること」としているが、真の目的は広範囲にわたり受験競争を激化させスーパーエリート校をつくることである。郡部の地域に根ざした小規模校を「地域の高校」でなくし、ひいては廃校にすることである。都市部に生まれる不人気校も充足率の低下を理由に廃校にすることである。さらに言えば、近い将来に意図する全県1区の大学区移行へのステップにほかならない。
この学区統合案が実施されれば、「お金がある家の子」「できる子」にとっては選択肢が拡大するであろうが、多くの「お金がない家の子」「できない子」にとっては高校に行けないという結果を招くことになる。競争が激化することにより今以上に学校間格差が拡がり、序列化は厳しくなる。12歳から15歳の中学校教育が高校受験第一主義に変質していく。高校受験が大学受験と同じように模試の偏差値で受験校(合格可能校)が決まってしまう。中学校の進路指導は混乱するばかりである。
阪神・丹波学区で考えると次のとおりである。丹波地域の「お金のある家の子」で「できる子」は阪神地域のエリート校に入学できる。その逆に、はじかれた阪神地域の「お金のない家の子」は丹波地域の高校に入学できない。たとえ複数志願制で合格しても経済的理由で辞退せざるを得なくなってしまう。その結果、丹波地域の小規模高校の充足率は下がり、廃校につながる。地域の高校がなくなる。
中学校教育が従来と比較にならないほどに高校受験のためのものとなり、高校教育は国民の経済力に比例して学校間格差が拡がり、序列化がすすむなかで、これまで教育現場の教員が悪戦苦闘して守ろうとしてきた教育基本法の理念に基づく「人格の形成」を教育の目標にすることはますます困難になっていく。
兵庫県教委は県下7つの会場で地域説明会を開くとともに、パブリックコメントも受け付けてきた。7月の神戸新聞等の報道にもあるように、多くの市民から質問や反対意見が表明されている。また、明石市をはじめ多くの市町から意見書、要望書が出されている。明石市議会は、「県立高校普通科の通学区・明石学区を拡大しないことを求める意見書」の中で「学区拡大は競争と選択の教育を一層激化させるおそれがあるとともに、遠方の高校への通学は保護者の経済的な負担や生徒の長時間通学を余儀なくさせ、格差と貧困が多くの学習権を脅かしている中で、生徒の学校教育に多くの困難を持ち込むことが懸念される」と指摘している。
県教委がやみくもにすすめる学区統合が限られたエリートづくりであること、これまで教育現場がめざしてきた一人ひとりを大切にする教育を破壊するものであることは明らかである。私たちは今、高校進学希望者がすべて入学できる運動を学区統合を阻止する活動を軸にしてすすめていかねばならない。
山ア 貢(憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネットワーク)
- 私の「闇から光へ」
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今年は当たり年(?)で、次から次へと身体を傷つけ、うつになりそうで、思考力も乏しく、鉛筆を持つのも辛く、文章を考える気持ちすら起きず、今回は娘に頼むことにしました。 (F)
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私は、生まれてきて良かったのかと時々思っていた暗い子でした。幼少期から母は必死で働いていて私を育ててくれました。六甲山に住んでいましたが、中学はケーブルとバスでの通学でした。暗い私は、同じ小学校出身の友達からいじめられるようになりましたが、かばってくれる先輩の助けもあり、何とか1年生のときは過ごせました。その頃、母は勤めていて、六甲山住まいは通勤も大変で、家の都合もあって2年生から不良の多い学校へ転校することになりました。その中学校は山に近い学校でした。不良の女子達は、大抵はとても優しく接してくれたので安心しました。違う髪の色や長すぎるスカート、校則違反の鞄……。だけど、休み時間には話しかけてくれ、自分たちは授業に出ないけど、私には教室に戻るように言ってくれました。友達ってこういう人たちのことなんだと、深く感謝したのを覚えています。
そして、時は巡り、暗かった私も母の知人を通して良縁に恵まれました。
今年は、全国各地で大きな災害があり、心を閉ざしてしまう人も少なくありません。3月11日は忘れられない日となりました。
それで思い出すのは1月17日。多くの人が亡くなり、傷つきました。でも、私は傷一つなく助かりました。生まれてきて良かったのかと思っていた私です。その震災の年の秋に結婚することができました。暫くした頃、主人のお父さんに「2冊あるから1冊あげよう」と、本をいただきました。その本はこんな文章から始まっています。「初めに神は天と地を創造された……」。聖書でした。なぜくださったのか、新婚時代の私は怖くて尋ねられず、また、難しい内容に感じられて大切にしまったままになっていました。が、その後、ある宗教団体の方が訪問してくれ、聖書研究が始まりました。進化論しか教えられずに育った私は、すぐには創造説を受け入れられませんでした。しかし、人は間違ったことをしてしまっても、心から悔い改めれば、神は許してくれると考えるようになると、自分がうれしいことを人にもしましょうと、未来への希望が感じられ、爽やかな気持ちになります。神は平和を愛しています。私の名前には「和」の文字があります。平和の「和」の文字が。親が付けてくれた名前です。感謝しています。
(みわ)
- 職場のイジメの悪質化を実感
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「頑張ってください!私もユニオンに入っています」「どちらのユニオンですか?」「天六ユニオンです」―定例の駅頭宣伝ビラ配布行動でのある時の一コマである。
ユニオンあしやは、毎月の労働相談とその「呼び込み」のためのビラ配布行動を定例化しているが、私は西宮地区の担当で、阪神甲子園、武庫川(近くに偉大な武庫川ユニオンがあるにもかかわらず、領域侵犯≠オている?!)、今津などの各駅で配っている。上記のような声をかけられると本当にうれしく、大げさにいえば連帯感を感じる。
相談の際にはじっくり話を聞くことに徹している。最初は警戒気味だった人から相談後に名刺をいただいたときには、「少しは気持ちが落ち着いたのかな?」と思ったりする。
最近とくに感じるのはイジメの悪質化である。ある人材派遣会社で働く人の例であるが、職場で暴力を受け、刑事告発も考えているといって駆け込んできた。メールなどでの脅迫もあり、見せてもらうと、「昨日どついた際のタンコブは治ったか?いいかげんに死んだらどうや!」。2人きりの密室のような職場での出来事である。毎日の出来事のメモ化、録音化をするように言って別れたが、その後、こちらから時々電話をかけるが返事はない。
最近、最も印象に残っている交渉は、パワハラ・セクハラなんでもありの中小の無法職場からの相談で、団体交渉の際、事前に趣旨説明を行っているにもかかわらず警察に通報され、警備課長を含む6人の警官が団体交渉の場に駆けつけたことである。「仲良く話し合ってください」と言って引き揚げていったが、2回目にも通報され、開いた口が塞がらなかった(同席したMMさんをヤクザと勘違いしたとしか考えられない?)。この案件の解決直後に社長は亡くなっている(ユニオンの所為ではありません。念のため)。
大野克美(ユニオンあしや)
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