「新社会兵庫」 10月11日号
-
- 宗主国に対して従属国が朝貢する。2千年前のアジアでは、ことあるごとに繰り返されていた。漢や三国の時代には、東方の小国が朝貢したという記録がある。その時の下賜品と考えられる銅鏡などが発掘されるたびに、わが国の古代史学界は大騒ぎである▼わが国の保守陣営は政権交代のたびにワシントン詣でをし、「誓い」の言葉を述べるのが常であった。今度の民主党政権も、野田首相と前原政調会長が早速のワシントン行きである▼野田首相は、鳩山以来の政権がアメリカを苛立たせたことを詫び、沖縄・普天間問題については日米合意を遵守すると誓いを新たにした。その上、国内では言を左右にした観があった原発再稼動問題について「来年の夏には」とヤケにきっぱりした▼前原政調会長は、武器輸出3原則の取り崩しを語り、集団的自衛権問題にも踏み込んだ。ワシントン詣でといい、発言内容といい、野田政権がまごうかたなき保守政権であることを自ら立証した▼なぜアメリカに行くとこうなるのか。まさに朝貢だ。政権の支えが、国民よりもアメリカと財界であると本能的に感じ入るからであろう▼折りしも9・19の明治公園では6万人結集である。国民の力を思い知らせよう。
- 漂流日本。民主主義の再生へ憲法政治の実現めざそう
-
民主党への「政権交代」から2年が経つ。自公政権が大敗したのは、積年の悪政、とりわけ小泉政権が推進した新自由主義諸政策による貧困社会の招来、年金制度を「最低生活保障年金」に改革する等、民主党が掲げる「国民の生活が第一」に共感し政治の流れを変えてほしいと期待したからである。一言でいうならば「自民党政治の全否定」に人々が民主党に1票を託した結果といってもよい。
ところが、この2年間で人々の政治への思いは「期待」から「怒り」に変質し、さらには大衆迎合主義的政治指導者への喝采、支持へと「危うい民主主義」状況にこの国は向かおうとしている。その際たるものが大阪府・橋下知事だろう。
今春の改選前、府議会と知事の関係は「大阪都」構想などで対立の極限に至り、自ら首長新党「大阪維新の会」を立ち上げ、府議会、大阪・堺の両政令市議会で過半数を獲得、議会を意のままにしようとした。過半数獲得は府議会だけであったがその他も躍進し、その後も勢いは止まらず、大阪府・市ダブル首長選挙を目論んでいる。まさに権力を一手にし、独裁的・強権的統治を推進しようとしている。それは「民主主義」の崩壊を想起させる。人々には「脱原発」など聞こえの良いことをいい、議会では維新の会以外がすべて反対の中、問答無用の「職員国旗国歌強制条例」、「定数大幅削減条例」を成立させてきた。現在、各界から批判のある「職員基本条例」「教育基本条例」を提出・審議中である。「独裁容認」発言で物議を醸したことも見逃せない。
人々の変心はなぜ起こったのだろうか。私はこの原因を「民主党政権の政策・運営」に求めざるを得ないと思う。鳩山政権では「行政刷新会議」という政治ショーで茶の間を賑わせ、他方、「友愛」「東アジア共同体構想」などを主張しながら普天間基地の国外・県外移設の公約を反古にし、結局、自公政権時代の内容に立ち戻った。このような裏切りは、県民そして連立与党・社民党の怒りを招いた。その鳩山首相も民心の支持を失い、1年も満たずに退陣した。
変わって菅氏が首相を引き継いだ。「最小不幸社会」構築などを掲げ貧困問題に真面目に取り組む姿勢があるのかと思いきや、参院選直前に「税と社会保障の一体化改革」を行い、財源には消費税増税を提起した。結果、参院選で与党過半数割れ、衆院再可決もできない混迷の国会状況を招いた。
このような中で「東日本大震災」「福島原発事故」が発生した。震災対応の不手際、対策の遅れ、原発事故のデータ隠し等々、現在に至るまで復興の道筋すら立てられず、被災者の生活不安は日に日に増す状況を生じさせた。これを打開するために「大連立」や「財政再建・増税」論者の与謝野馨氏を閣僚にスカウトしたりと、国会は目まぐるしく権力ゲームに終始した。他方、復興の名の下、「復興増税」提起と世論を増税に誘導する。率直に言って、「国会は何をやっているんだ」というのが大方の人の素朴な気持ちではないだろうか。鳩山前政権の時と同様、民心が離れ、さらに与党からの支持も失い、結局、菅政権は退陣に追い込まれ、現在の野田首相誕生になったわけである。
この3人目の野田新首相の支持率はこれまで同様、就任時点では高い。どう推移していくのかは今後注目すべき点であろう。
さて、私が何故、「橋下維新」の問題を例示したのか、もうおわかりだと思う。共通するのは「大衆の喝采」をテコに民心を得ようとしている政治手法、そして、橋下氏は「大阪都構想」(府市再編)、野田首相は「統治機構改革」を言う。異口同音ではないだろうか。 震災復興(被災者の生活再建を除く)を為政者的観点から円滑に運ぶため超法規的統治システム(行政特区)導入もあり得る。そこで「地方自治」、「れじれ国会」を標的に、「道州制」「一院制」導入に向け改憲機運を高めてくる可能性はある。
民意は政治そのものに期待も信頼も置いていない。このような不幸な状況は為政者にとっては非常に都合が良い。私たちは今、この国の民主主義にとっては危機的・破滅的な方向が密かに進行しつつあるのではないかと認識すべきである。そして、失われた信頼回復のためには憲法で掲げられる平和・人権、とりわけ生存権をリアリティーをもって対話に努めていかなければならないと思う。改憲機運を打ち破るには立憲主義の貫徹(憲法政治の実現)で対抗するよりほかないと強く思う。
鈴田渉(元「9条ネット九州」代表)
- かけがえのない仲間
-
今月、私にとってプライベートな女性の集まりがいくつかあった。そのうちの2つについて、振り返ってみた。
ひとつは、同じ職場の仲間の集まり。私が労働組合の全国組織の役員を引き受ける決意をしたのを聞きつけて、今、病気治療に専念し休暇中の仲間が呼びかけてくれて身近な仲間を彼女の自宅に集めてくれた。メンバーは40歳〜48歳で総勢7人。それぞれに子育て、親の介護、闘病、組合員活動とがんばっていて、仕事もかなりのプレッシャーや責任を感じつつ精一杯取り組んできたメンバーだ。結婚している・していない、子どもがいる・いない、住んでいる地域が違う、親がいる・すでにいない……、いろいろな違いはありつつも、お互いのがんばりや悩みを理解し合いつつ、なんとか働き続けられてきたメンバーだ。職場のこと、家庭のこと、あれこれ話は尽きなかったが、声をかけてくれた彼女に感謝しつつ、健康回復を祈りつつ、次回また集まろうねと笑顔で解散した。あ〜、仲間はありがたいな〜としみじみ感じた集まりだった。
もうひとつは高校時代(卒業してすでに30年)の友だちとの2年に1回の恒例の旅行。今回は乗鞍岳への3人の旅行。一人は私と同じ兵庫県から、もう一人は東京からの参加。今回は初めての登山にチャレンジだった。おいしい料理、お互いの近況報告、歳相応のカラダの変化の話。集合してすぐは少しブランクを感じても、「おやすみなさい」を言う頃には気持ちは高校時代に戻っていた。毎朝4時起きだという東京から参加の友だちが「お星さま出てるで〜」と思いっ切りの関西弁で起こしてくれ、満天の星空を目の当たりに感謝感激。旅の最後には「また今度ね!」と笑顔で手を振り合ったのだった。
どちらの集まりも、どちらのメンバーも私にとってはかけがえのないものだ。
何人かに夢を聞いてみた。「ふつうに穏やかに暮らしていきたいな〜」「やっぱり文句は言いながらも働いていたいな〜」「カラダがキシキシ言ってて油さして〜って感じやけど、衰えながらもそれなりに元気に老後を過ごしたいな〜」。みんな、そうだよね。
あ〜、楽しかった、私にはこんな仲良しグループがあるから安心って、思うだけでは、このひどすぎる社会は変わらない。
だから、また、こつこつがんばろうと本当に思う。
(M・M)
- 運動の継続は力と仲間をつくる
-
前回(365号*)では、熟年者ユニオン結成へ至る経過を米岡史之顧問が報告した。32名で船出した組織も今や100名を越えた。
この10月14日で87回を数えることになるサンドイッチマンデモ。当初は、商店主からの批判もあったが結成から11年、今ではお店の方から「ビラを」と手をさしのべてくれたり、外国人観光客に写真を撮られたり、デモ後にビラをみた市民から問い合わせも来るようになった。まさに「継続は力なり」と言えるほどに私たちの活動が市民に認められてきていることが実感できる。今回のデモでは、東日本大震災での原発事故を受け、神戸市役所前から関西電力神戸営業所前を通るコースを取り、関電前で脱原発を訴えるシュプレヒコールを行なう。月1回のデモだが楽しく力強く続いている。
もう一つは、女性会員の拡大によって、より元気になったことである。カラオケ、マージャンやバス旅行などに女性の参加者が増え、今年4月に開催された第12回総会では、11年間頑張ってこられた米岡史之会長から山村ちずえ新会長にバトンタッチした。レクレーションを楽しみながら、「介護」「年金」「平和」「脱原発」など、少しでもより良い社会を残す運動へと繋げようと決意を新たにした。まさに私たちが掲げてきた「第2の人生、Nice Middle宣言」を誓い合った総会であった。
この10月から、あわはら富夫さん、小林るみ子さんの2名の神戸市議と協力し合い、神戸市の敬老パス利用者の声を聞くためのアンケート活動を行なう。「活動家集団から大衆組織への脱皮」が行なえるかどうか、大切な取り組みである。敬老パス・アンケート活動は10月5日、灘区・水道筋商店街を皮切りに、13日は須磨区・地下鉄名谷駅前、17日は兵庫区・東山市場(湊川)ダイエー前、いずれも14時から1時間の行動予定。私たちの顔を見たら声をかけてください。読者の皆さんのご協力もよろしくお願いします。 (*バックナンバー6月14日号参照)
横林賢二(熟年者ユニオン事務局次長)
|