「新社会兵庫」 9月27日号
-
- 一度は行かねばと思っていた祝島に意外に早く行く機会が訪れた。室津港からチャーター漁船で祝島に渡る途次、付近の自然もたっぷり見せてもらった。船長さんのはからいでスナメリの遊泳も目撃できた。瀬戸内海にこんなきれいな海がまだ残っているのかというほど水は澄んでいる▼その長島の端、田ノ浦の中国電力上関原発新設計画。山口県知事はすでに予定地の公有水面埋め立てを許可、現地での激しい攻防が続く。しかし、現地を見て、世界遺産にも登録しようかというこの地の埋め立てなど絶対に許されない、との感を強くした▼グロテスクな原発に毎日向きあうことになる祝島の人9割の反対も当然だ。しかしこの比率、上関町全体では逆転し、3・11を経た今も変わらないという。室津で交流した原発に反対する上関町民の会の年配者は、「原発が人のしがらみをメチャメチャにした」「今でも何かあると圧がかかる」「(脱原発で)著名な人を招いた講演会も参加者は十指に満たない」―悔しそうに語っていたのが印象深かった▼上関町はこの9月25日が町長選だ。現地の人たちは悲観的な見通ししか語らないが、勝って日本全国の脱原発運動への大きな弾みとなってほしいものだ。
- JAL等の組合つぶし、モノ言う労働者の掃討作戦を許すな
-
JALの整理解雇 1800億円超の黒字でも強行
日本航空(JAL)は昨年の大みそかに、パイロット84人、客室乗務員81人の合計165人もの整理解雇を強行した。日本航空は会社更生手続きに入っていたが、11年3月末決算はこの時点で1500億円を超える黒字が見通されていた(確定決算は1800億円超の黒字)。
解雇する必要はなくなったのに解雇は強行されたのである。解雇を強行した経営トップは、民主党政権と密接なつながりを見せつけている稲盛和夫会長(京セラ、KDDIを創立。現在は両社とも名誉会長)だ。稲盛会長は2月8日の記者会見で「解雇をしなくても経営上問題なかった」と述べる一方で、「更生計画の人員削減数を守るためだった」とその理由を説明した。会社が倒産して更生計画中であれば、どれだけ業績が回復しても予定した解雇は実施しなければならないというのだ。
冊子「組合つぶし、モノ言う労働者の掃討作戦を許すな!」を発行
解雇された労働者は組合活動の中心的メンバーだった。彼らは「空の安全」と「安心して働ける職場」を実現するために闘ってきた「モノ言う労働者」だった。その彼らがなぜこんな不当極まりない解雇を強行されたのか? 私たちにとって馴染みのない闘争であり、理解を深めるためには冊子が必要だということになり、私が担当した。東京在住の元航空労組連絡会役員の協力を得て、2カ月で作成できた。
小説『沈まぬ太陽』(山崎豊子著)を読んだり、同名の映画をご覧になった方も多いだろうが、「国民航空」はJALをモデルに描かれたものである。しかし、あくまでも小説であり、脚色されているところもあるようなので、客観的な資料として「明日へのはばたき 航空労働運動50年のあゆみ(航空労働運動50年史編集委員会 編著)」を参考にした。
この冊子を作成してみて、「組合つぶしと航空事故が直結している」ことを痛感した。と同時に、この解雇はモノ言う労働者を職場から排除する、いわば「掃討作戦」として敢行されたことに確信をもったのである。
伊藤運輸、東亜外業では露骨な組合つぶしと解雇の攻撃
しかし、この「掃討作戦」が敢行されているのは、JALだけではない。同冊子でも紹介したのだが、「ひどい労働条件を改善したい」と組合を結成したら、ただちに解雇してしまうという露骨な事例が全港湾神戸支部姫路伊藤分会、あかし地域ユニオン東亜外業分会と相次いでいる。
また、大阪の地域政党「大阪維新の会」は「職員基本条例」「教育基本条例」を制定しようとしている。モノ言わせぬ職場づくりをハッキリと目指しているのだ。単なる橋本のパフォーマンスではない、戦略的な動きである。
闘う構えを確立し、陣形を築き、連帯を強めよう
一方で、多くの企業・職場では労働組合つぶしはすでに実現している。本紙9月13日号の「おんなの目」欄で報告されているように、県立高校では労働組合員は少数に追い込まれ、組合がなくなることが危惧されている。10割近い組織率を誇るある自治体の支部では、この3月で委員長が退職し、書記長が転勤したが、8月末でも後任が決まっていない。
このように、労働組合が衰退しているなかでの、モノ言う労働者の排除である。まさに「掃討作戦」なのだ。労働運動の「息の根」を止めようとしているのだ。今機能している労働組合も多くは弱体化しつつある。それを踏まえた「掃討作戦」だ。よほどしっかりとした構えをつくらないと、この「掃討作戦」は成功してしまうだろう。
個々の職場や組織で闘う陣形を築き、今必死で闘いを繰り広げている仲間に連帯・支援の手を差し伸べることが求められている。そのスタートとなる集会を11月1日(火)に神戸市勤労会館で開催する。
冊子は一部200円。注文は兵庫県社会労働運動センターに。電話078‐335-1182
佐野修吉(労働運動研究会)
- ボランティアで福島へ
-
7月17日〜19日、私は、あるNGO団体の有志ボランティアのひとりとして福島を訪ねました。福島YWCAのみなさまのご協力で、貴重な経験と出会いをさせていただきました。
初日午後は、避難所のあづま総合体育館へ。当時は約500人がおられました。私は理科実験工作教室≠開きました。参加した小2の男子はお母さんと浪江町から避難していました。放射能を逃れ、家族は離ればなれに、落ち着き先の見当もつかない生活が続いています。被曝の検査や補償についていつ通知が来るか分からず、県外に避難したくてもできない、と話されていました。
2日目は、福島から車で2時間走り、宮城県境の新地町災害ボランティアセンターへ。家屋片付けのボランティアに参加しました。海辺の一帯は家屋の基礎しか残っていません。片付けをした家屋は1階の床が陥没し、2階の外壁には津波で流れてきたものが衝突した跡があちこちにありました。家周りの土を少し掘ると、ガラスや食器、おもちゃなどが出てきました。この家のものではないものも流されてきて埋もれています。泥が渇いて砂になり、掃くと細かい砂が舞い上がります。30分おきに休憩を取りながら、2時間ほど作業をしました。
午後に、ボランティアセンター長やコーディネーターの方たちから、現在の状況と今後の課題を伺いました。新地町の被災者全員が仮設住宅へ。生活支援の活動へ移っていくとのことでした。
帰りは火力発電所のある相馬港の方を回りました。入り江の海の中には車や家屋が取り残されて、手つかずの状態。海沿いの町は人影がほとんどありませんでした。
夕方は、福島市内で果樹園をされている「福島・未来塾すばる」のOさんと夕食を共にし、放射能除染の方法や実態について、また、子どもたちを放射能から守るため地元の方々が取り組んでおられる活動についてお話を伺いました。学校で除染がなかなか進んでいないこと、自主避難の難しさなど、福島市に住む皆さんが今直面している問題は、急を要するものだと実感しました。
3日目の午前は、Oさんの果樹園を訪ねました。ガイガー計測では最高3・0マイクロシーベルト/時を記録。「放射能除染・回復プロジェクト」の京都精華大学のY教授が除染の実験に来られるとのことでしたが、時間の関係でお会いできず残念でした。福島県では花卉栽培への転換を勧めているそうですが、長い年月をかけて立派に育ったリンゴやナシの畑を見ると、何とか放射能を除染し、もう一度果物を育てる道はないのかと憤りを覚えました。
その後、仙台への転居を決めたTさんを自宅に訪ねました。高い線量のホットスポットが点在する福島市で、行政による学校や通学路の除染がなかなか進まないことへの不信・不安や、それらを口に出すと、知人との隔たりができてしまうと話されました。
お世話になったWさんの「私たちは3・11以降被爆し続けているんです」という言葉が心に重く残りました。
(M・I)
- 「仮眠」の名でタダ働き強要
-
「仮眠」とは、一体どういう意味なんだろう。睡眠も取れないような過酷なスケジュールの中で、わずかな時間を見つけて「少しでも眠っておこう」というのが「仮眠」ではなかったのか。
Aさんが勤める警備会社は、姫路市と市の施設の夜間休日常駐警備業務委託の契約を交わし、昨年4月から2ヵ月間、Aさんともう一人にその勤務を命じた。
平日は、午後4時から翌日の8時までの16時間、日・祝日は、午前8時から翌日の午前8時までの24時間勤務だが、「警備指令書」には仮眠の記載がなく、「勤務形態表」にも指令書と同じ勤務時間が記載されているだけだ。「タイムスケジュール」には、「仮眠」はあるが、確かな時間は記されていない。
勤務については、会社から口頭で指示されたが、労働契約書はなく、休憩などについては、現場で市の担当者から簡単に説明を受けただけだった。その時に、仮眠時間中の対応について、「警報が鳴った場合には、その現場の確認をするように」「仮眠時間は休憩時間ではないので、帰宅は認めない」との指示を受けた。それなのに、会社は、仮眠時間の手当も支払おうとせず、タダ働きを強要してきた。
3回にわたる団体交渉でも会社の態度は変わらず、それどころか、仮眠施設がない中で、同僚が折りタタミの簡易ベッドを持ち込み、市の担当者の指示を受けた場所に置いたところ、「無断で持ち込んだことについて処分する」と言い出す始末。
結局、賃金不払いで姫路簡易裁判所に訴え、9月13日、第1回期日が開かれた。
この問題点は、「仮眠」という名のもとにタダ働きが強制されている現実があるということとともに、姫路市が業者と委託契約を結ぶ時、「安ければ良い」という姿勢に終始しているということにある。
姫路市においても、「公的事業で利益を受ける企業は、労働者に地方自治体が指定した賃金を確保させる」という「公契約条例」の設置が急がれる。
森山容光(姫路ユニオン委員長)
|