「新社会兵庫」 9月13日号
 民主党の新代表に野田佳彦氏が選ばれ、政権交代後3人目の首相となった。代表選での「どじょう演説」が功を奏してか、マスコミでは好感度高く伝えているようで、新政権の支持率は社によっては60%を超えている。演説に引用され再び脚光を浴びることになった詩人で書家の相田みつを氏もさぞかし墓の下で驚いていることだろう。その影響かどうかは知らないが、「なでしこジャパン」も「泥臭いサッカー」を掲げるようになった。「どじょう作戦」は見事に当たった▼とは言え、これで民主党への国民の不信が拭われ、信頼を取り戻すとは到底考えられない。実際の政権運営はこれからだが、政治は増税・大連立の方向へ進んでいくのは間違いなかろう。野田首相は原発再稼動も明言している▼国民生活のうえからも新政権に期待は持てないのは当然だが、注意しなければならないのは、一見温厚そうな風貌の裏にある危険な戦争観、歴史認識である。05年に彼が提出した国会の質問主意書で、「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」と明言していることは有名だ。残念なことだが、このままでは政治はさらに保守化し、民主党と自民党の違いがいっそう分かりにくくなっていく。
「核と人類は共存できない」の運動の確立を
脱原発・エネルギー政策の転換へ
 今年は、広島に原爆が投下されて66年目となる8月6日を広島平和祈念公園で迎えた。数年ぶりに原水禁広島大会に参加した。大会は、福島原発事故もあり非常に緊張感があるなかで開催され、各所で福島からの参加者の涙の訴えが続くとともに、ヒバクシャの皆さんの反省の声が続いた。
 被爆国日本が原発を54基設置している現実を正面から受け止め、改めて「核と人類は共存できない」とした被爆30周年原水禁世界大会・広島大会(1975年)での森滝市郎さんの言葉が私たちの運動に活かされてきたのかが問われた。
 ヒロシマ、ナガサキそしてビキニでヒバクしたみなさんの厳しい現実が続くなか、同じ苦しみが福島原発事故により「フクシマ」で始まろうとしている。全国の職場・地域から、あらゆる「核」に反対し、「さようなら原発1000万人アクション」を全力で取り組み、脱原発・エネルギー政策転換にむけた運動強化を進めていくことが求められる。
福島原発事故は「人災」である
 福島原発事故により、福島県を中心に広範囲に大量の放射性物質が放出されている。このことにより、今も多くの住民が避難を余儀なくされている。
 電力会社、プラントメーカー、監督官庁、研究者、マスコミ、業界誌など「原子力村」と呼ばれる人たちの責任は重大である。彼らは、危険性に対する多くの危惧の声を無視し、原子力の「安全神話」を声高に喧伝してきた。まさしく彼らが起こした「人災」である。
 4月30日、東電により行われた福島県飯舘村の住民説明会で高校1年の女子高生から「結婚して子どもを産むという夢がある」「子どもが産めない体になるのではないかと不安」との悲痛な訴えがあった。
 放出された放射性物質の長期間にわたる影響を余儀なくされる人々の、健康不安と精神的苦痛ははかりしれない。とくに放射線の影響に敏感な子どもたちや次世代を育んでいく若い人々への健康被害は重大である。農産物や海産物への影響、就労や生活への不安なども生み出されている。特に子どもたちや妊産婦などへの放射線による被害は、最小限にとどめなくてはならない。
 東京電力・政府に対し、現在の生活や将来の健康被害への補償そして不安解消に向けたあらゆる措置を求めるとともに、再び惨事が起こらないためにも原発からの脱却を早急に決断することこそが求められる。
脱原発・エネルギー政策転換へ 1000万人アクションの成功を
 私たちには、放射能汚染地域での「命」を守る運動と連携した取り組みが求められる。ふるさとを奪われた人たちが「普通の生活」に戻れるよう、共に運動を進めなければならない。この被害をもたらした原発だけでなく「核」そのものの廃絶にむけ全力をあげよう。
 ノー・モア・ヒロシマ、ノー・モア・ナガサキ、ノー・モア・ビキニ、ノー・モア・フクシマ、ノー・モア・ヒバクシャ!
 「さようなら原発・兵庫」(「さようなら原発1000万人アクション兵庫県実行委員会」)は、10月からは毎月11日を県下統一行動日として1000万人署名行動を展開するとともに、各地域で脱原発の具体的な取り組みを呼びかけている。
 職場・地域から、あらゆる「核」に反対し、「さようなら原発1000万人アクション」を全力で取り組み、脱原発・エネルギー政策転換にむけた運動強化を進めていこう。
「核と人類は共存できない」の運動の確立を
 「核分裂エネルギーに頼り続けたら、この地球全体がプルトニウムや放射性廃棄物の故に、人類の生存をあやうくされるのであります。私たちは今日まで核の軍事利用を絶対に否定してきましたが、いまや核の平和利用とよばれる核分裂エネルギーの利用をも否定しなければならぬ核時代に突入したのであります。しょせん、核は軍事利用であれ平和利用であれ、地球上の人間の生存を否定するものである、と断ぜざるをえないのであります。結局、核と人類は共存できないのであります」(被爆30周年原水禁世界大会・広島大会での森滝市郎代表委員発言)。
森哲二(平和運動研究会)
忙し過ぎる教育現場
 いよいよ私の教員生活(高校教師)もあと6ヵ月余りとなりました。38年間にあともう少しで終止符。その教員生活の中でも今が一番忙しくて、心身ともに疲れている気がします。毎日クタクタです。「何でやねん」と思うぐらい、最後までよう働かせてもらっています。
 まだ10年ぐらい前までは、退職前の先生には仕事上何らかの配慮がありしました。その頃は、職場全体にそのことを受け入れる雰囲気があり、「長い間ごくろうさんでした」「そんなことは当然やわ」と。もちろん今はどこの職場もそんな配慮も、余裕もありません。最後の最後まで目一杯です。
 また、最近は臨時講師の先生方がとても多いのですが、賃金は低くされているのに正規教員と同じか、それ以上の仕事をさせられています。その忙しさの中での採用試験です。勉強するヒマもありません。やっぱり以前は何らかの配慮がありましたが、もう何もかもに余裕も配慮もありません。
 職場の仲間同士では何とかしたいのですが、お互いに余裕がなく、どうにもできていないのが現状です。私自身もです。
 今、退職を迎えようとしている年代の教師は、若い頃はまだ仕事に余裕があったからこそ、今まで勤め続けることができたように思います。これからの年代、とくに今の若い年代の教師は本当に大変です。現在のような働かされ方が続くようでは、退職まで心身ともに持つはずがありません。しかも、これからは退職年令が引き上げられるのに。中堅以上の教師のほとんどの人が、「そんなん絶対に持たへんわ。でも年金支給年齢も延びるから働かなアカンし……」と不安顔です。
 こんな問題こそ組合活動の原点ですが、ほとんど取り組みができていないのが現状です。私自身、組合に入っていることだけで精一杯です。今の職場では組合員が5人しかいません。しかも、私を含めて3人が今年度で退職です。このままでは、この数年で職場に組合が無くなってしまいそうです。
 職員会議でその忙し過ぎることや問題点のあること等を指摘するのは、とても勇気のいることです。多忙な中ではそんな発言をすると「サボり」のように聞こえてくるからです。どうにもならないことを発言するのがはばかられます。
 組合が無くなると、問題を批判したり、指摘する考えが職場から消えてしまいそうです。そうなると「学校」が「学校」でなくなってしまいます。教師に余裕がなくなると、生徒達にしっかりとした教育ができなくなります。教師が流れだけに流されていては、子ども達に物事を考える力を教えられなくなります。
 私自身があと半年で何かができるわけではありませんが、親しい若い先生達には、「短期間で燃え尽きるのではなく、退職まで元気で働き続けられる働き方をしてね。あなたみたいなステキな先生には先生を続けてほしいから」と言っています。
(N)
労働者の「モノ」扱いが許されていいのか
 約2年半にわたって正社員化を求めて闘ってきた三菱重工高砂製作所・圓山浩典さんの大阪高裁の判決が7月14日に出た。請求は棄却され、敗訴した。
 昨年12月8日の神戸地裁姫路支部の判決では偽装請負であったことすら認められなかった。それだけに大阪高裁では、予断なく証拠を検討してもらえれば、勝てないまでも、偽装請負の事実だけは認められるだろう、認めてほしいと願っていた。
 ところが出て来た判決は、またもや偽装請負であったことを認めず、神戸地裁姫路支部の判決を上回る不当な内容であった。
 三菱重工は、圓山さんを偽装請負で長年働かせ、偽装請負が社会的に問題になり始めると、本来直接雇用しなければならないにもかかわらず、不法な派遣に切り替え、派遣の雇用限度3年を迎えると再び請負に戻した。どこまでも働く者を「モノ」扱いし、不法を重ねてきた。
 いま、この不法行為がこのまま許されてしまっていいのかという怒りでいっぱいである。
 この裁判闘争を始めるにあたって、地域から「派遣法の抜本改正」につながる運動をつくっていこうという方針を立てた。三菱重工高砂製作所の門前でのビラ配布行動を続けた。そのビラを見た派遣の人からの相談も何件かあった。昨年10月のひょうごユニオン主催の「派遣法の抜本改正を求める兵庫県集会」の開催にも努力した。
 しかしその後、松下PDP裁判の最高裁での敗訴。派遣法改正案も成立の見込みはまったくない状況である。追い風がなくなった中で、現在、門前ビラもできずにいる。
 7月25日、最高裁に上告した。きびしい情勢の中で、どう運動をつくっていくのか思い悩んでいるのが、率直な現状である。
塩谷 明(はりまユニオン書記長)